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アンバーのお屋敷
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ローズディアへ越してから2週間。
私は、公都にあるアンバーの屋敷へジョージアの迎えで越してきた。
「若奥様、こちらをお召しください」
そう、ここでは『若奥様』と呼ばれている。
どうもこそばゆい……まだ、結婚もしていないのだから……やめてほしい。
「あの……その、若奥様ってどうにかならないかしら……?」
私付(仮)の侍女になった子たちに恐縮されながら対応されるとその距離感も辛かった。
それに今まで好き放題してきた手前、こんなに何でも手伝われると正直息が詰まりそうでふらっと出かけたい衝動にかられる。
ドレスを着せられ、窓際に備え付けられた文机のところで、侍女やメイドたちに下がってもらい、少しダレる。
するとノックがされたので、背筋を伸ばして入室の許可をした。
実家では、兄は勝手に入ってきたり自由だったのに、こういうところは嫁ぐと不自由だと感じる。
「どうぞ!」
「アンナ、そろそろいいかい?」
「勉強の時間ですね。行きます!」
パタパタと小走りに扉の方へ向かうと、私を迎えに来てくれたジョージアの腕に自分の腕をからませる。
不思議そうにこちらを見たジョージアを私も不思議そうに見上げる。
「どうか、されましたか?」
「あ……いや、嬉しいんだけど……アンナって……その……」
チラッとみた目線を追うと胸だった……
うん、仕方ないよね……と、思いながら知らぬ顔してさらにジョージアの腕をぎゅっとしておく。
「ほら、遅れますよ!」
「あ、あぁ、そうだな!」
こちらにきてから1週間は、荷物の片づけをした。
その後は、午前中はアンバー公爵家の人間としてふさわしいよう、義母に指導してもらいマナーや習わしなど勉強しているところだ。
その後は、ジョージアと一緒に義父から領地の講義をしてもらっている。
ただでさえ、お勉強の出来ない私が、1年以上早くから本格的に勉強しているうえに小さい頃からのアドバンテージのあるジョージアに追いつくのは、なかなか至難の業であった。
なかなかジョージアに追いつけないジレンマもあって、2週間たった今、まさに私は鬱々している。
今日の講義は、義父に領地運営に関することを教えてもらうことになっていた。
ある程度、ニコライから資料をもらって覚えたこともあるが、商人の持っている情報と領主が持っている情報の質が違いすぎるので、覚えるのも結構なストレスだ。
それでも、予習はしていたので、何もないよりかは、話にもついていけたし、今後のことも考える余裕が豆つぶくらいはできた。
みっちり3時間講義を聞いて、メモをとり講義が終わっても毎晩勉強漬けだった。
それをみかねたジョージアが、今日はサロンへと誘ってくれる。
「アンナ、サロンへ行こうか。薔薇が咲き始めたらしいから、どう?」
「薔薇ですか?」
「そう。嫌そうだね……?」
「そんなことないです、行きましょう!」
そういって、ジョージアの手を取り、私は気にせずサロンの方へ歩いていく。
春の柔らかな光がサロンに差し込んでいる。
真ん中にお茶の準備がされている。
「あれは、ジョージア様が用意してくれたのです?」
「必要なかった?」
「ううん。嬉しい。お茶入れるね?」
侍女にさせればいいとは言ってくれなかった……
でも、気分転換に自分が飲みたいように入れられるので嬉しい。そういうのも狙っていたのだろう。
さっきまで、目をしっかり使っていて疲れていたので、ハーブティーでもと思ったのだが、何種類かの茶葉があった。
その中で、初めて見るものがある。
「これは、なんですか?お花?」
「あぁ、これは、花茶っていうお茶だね。飲んでみるかい?」
「はい。でも、入れ方がわかりません……」
「俺に任せて、座ってて」
お茶が用意されていたテーブルセットから離れたところにある可愛らしいベンチへ私は腰をかけ準備をしてくれているジョージアを見ていた。
手際いいな……公爵家の嫡男にしては、かなり手際よく準備していて感心する。
蒸らしているのだろうか……?透明の蓋越しに中をのぞいている。
これは、なかなか貴重な王子様の絵ね……こんなジョージアは一緒に住んでみないと見れなかっただろう。
指を四角にしてジョージアを切り取ってみる。やっぱり、かっこいい!
5ドルがいたら、どんな絵にしただろう?ティアなら、どんな風に描いただろう?
そんなことを考えていると、さっきまで張りつめていた私の気持ちも少しほぐれてきた。
投げやりな私の姿を見ても、ジョージアはさわやかに笑っている。
ハリーなら……考えるのは、やめよう。
「アンナ、できたからおいで!」
「はーい!」
ジョージアの方へ行くとふわっと花のいい匂いがする。
「いい香りですね?」
「そうだね、ほら、見てごらん」
そういって蓋を開くと、さっきまで閉じていた花がお湯の中で咲いている。
「わぁ!ステキ!お茶に花が咲いてて、目も楽しいし匂いもとってもいいし!!」
「気に入った?」
「はい!これは、なんですか?」
「ジャスミンって呼ばれるものだよ。とてもリラックスできるんだ。
アンナも言っていたけど、目も楽しめる。
2週間でアンナの生活も変わって疲れてたかなって……思ってさ。取り寄せておいたんだ。
今日は、もうゆっくりしなよ?予習も復習もなし!俺と夕飯を食べて、その後はだらだらと過ごす。
わかった?」
コクンと頷くとジョージアは満足そうだ。
私が予習復習しているのもばれていたのか……なかなか、鋭いようだ。
勧められた花茶を飲んでみると、口の中から鼻に抜ける香りのおかげで、とても優しい気持ちになった。
「やっとリラックスした顔してる」
ジョージアは、私のことをかなり心配してくれていたようだ。
「そんなに険しい顔してたかしら?」
「してた。まだこっちに着て日も浅いから不安もあるだろうし、新しいこと覚えたりで気持ちが張って
いたんだろ……」
私は自分の頬っぺたをグニグニと揉み解す。
それをみて、ジョージアは笑っている。
こんな時間が、少しでも長く続くといいなと思う。
とても、優しい時間だった。
「何か困ったこととかあったら何でもいうように!遠慮はいらないよ。
アンナがこの家の女主人なんだから、むしろ自分が生活しやすいようにすればいい。
今はまだ、両親がいるから、叶わないこともあるかもしれないけど、ゆっくり、好きにしなさい。
アンナがアンナじゃなくなると面白くないから!」
ジョージアの手が頭を撫でてくれる。
それだけで、緊張で凝り固まった心が溶けていくようだった。
私は、公都にあるアンバーの屋敷へジョージアの迎えで越してきた。
「若奥様、こちらをお召しください」
そう、ここでは『若奥様』と呼ばれている。
どうもこそばゆい……まだ、結婚もしていないのだから……やめてほしい。
「あの……その、若奥様ってどうにかならないかしら……?」
私付(仮)の侍女になった子たちに恐縮されながら対応されるとその距離感も辛かった。
それに今まで好き放題してきた手前、こんなに何でも手伝われると正直息が詰まりそうでふらっと出かけたい衝動にかられる。
ドレスを着せられ、窓際に備え付けられた文机のところで、侍女やメイドたちに下がってもらい、少しダレる。
するとノックがされたので、背筋を伸ばして入室の許可をした。
実家では、兄は勝手に入ってきたり自由だったのに、こういうところは嫁ぐと不自由だと感じる。
「どうぞ!」
「アンナ、そろそろいいかい?」
「勉強の時間ですね。行きます!」
パタパタと小走りに扉の方へ向かうと、私を迎えに来てくれたジョージアの腕に自分の腕をからませる。
不思議そうにこちらを見たジョージアを私も不思議そうに見上げる。
「どうか、されましたか?」
「あ……いや、嬉しいんだけど……アンナって……その……」
チラッとみた目線を追うと胸だった……
うん、仕方ないよね……と、思いながら知らぬ顔してさらにジョージアの腕をぎゅっとしておく。
「ほら、遅れますよ!」
「あ、あぁ、そうだな!」
こちらにきてから1週間は、荷物の片づけをした。
その後は、午前中はアンバー公爵家の人間としてふさわしいよう、義母に指導してもらいマナーや習わしなど勉強しているところだ。
その後は、ジョージアと一緒に義父から領地の講義をしてもらっている。
ただでさえ、お勉強の出来ない私が、1年以上早くから本格的に勉強しているうえに小さい頃からのアドバンテージのあるジョージアに追いつくのは、なかなか至難の業であった。
なかなかジョージアに追いつけないジレンマもあって、2週間たった今、まさに私は鬱々している。
今日の講義は、義父に領地運営に関することを教えてもらうことになっていた。
ある程度、ニコライから資料をもらって覚えたこともあるが、商人の持っている情報と領主が持っている情報の質が違いすぎるので、覚えるのも結構なストレスだ。
それでも、予習はしていたので、何もないよりかは、話にもついていけたし、今後のことも考える余裕が豆つぶくらいはできた。
みっちり3時間講義を聞いて、メモをとり講義が終わっても毎晩勉強漬けだった。
それをみかねたジョージアが、今日はサロンへと誘ってくれる。
「アンナ、サロンへ行こうか。薔薇が咲き始めたらしいから、どう?」
「薔薇ですか?」
「そう。嫌そうだね……?」
「そんなことないです、行きましょう!」
そういって、ジョージアの手を取り、私は気にせずサロンの方へ歩いていく。
春の柔らかな光がサロンに差し込んでいる。
真ん中にお茶の準備がされている。
「あれは、ジョージア様が用意してくれたのです?」
「必要なかった?」
「ううん。嬉しい。お茶入れるね?」
侍女にさせればいいとは言ってくれなかった……
でも、気分転換に自分が飲みたいように入れられるので嬉しい。そういうのも狙っていたのだろう。
さっきまで、目をしっかり使っていて疲れていたので、ハーブティーでもと思ったのだが、何種類かの茶葉があった。
その中で、初めて見るものがある。
「これは、なんですか?お花?」
「あぁ、これは、花茶っていうお茶だね。飲んでみるかい?」
「はい。でも、入れ方がわかりません……」
「俺に任せて、座ってて」
お茶が用意されていたテーブルセットから離れたところにある可愛らしいベンチへ私は腰をかけ準備をしてくれているジョージアを見ていた。
手際いいな……公爵家の嫡男にしては、かなり手際よく準備していて感心する。
蒸らしているのだろうか……?透明の蓋越しに中をのぞいている。
これは、なかなか貴重な王子様の絵ね……こんなジョージアは一緒に住んでみないと見れなかっただろう。
指を四角にしてジョージアを切り取ってみる。やっぱり、かっこいい!
5ドルがいたら、どんな絵にしただろう?ティアなら、どんな風に描いただろう?
そんなことを考えていると、さっきまで張りつめていた私の気持ちも少しほぐれてきた。
投げやりな私の姿を見ても、ジョージアはさわやかに笑っている。
ハリーなら……考えるのは、やめよう。
「アンナ、できたからおいで!」
「はーい!」
ジョージアの方へ行くとふわっと花のいい匂いがする。
「いい香りですね?」
「そうだね、ほら、見てごらん」
そういって蓋を開くと、さっきまで閉じていた花がお湯の中で咲いている。
「わぁ!ステキ!お茶に花が咲いてて、目も楽しいし匂いもとってもいいし!!」
「気に入った?」
「はい!これは、なんですか?」
「ジャスミンって呼ばれるものだよ。とてもリラックスできるんだ。
アンナも言っていたけど、目も楽しめる。
2週間でアンナの生活も変わって疲れてたかなって……思ってさ。取り寄せておいたんだ。
今日は、もうゆっくりしなよ?予習も復習もなし!俺と夕飯を食べて、その後はだらだらと過ごす。
わかった?」
コクンと頷くとジョージアは満足そうだ。
私が予習復習しているのもばれていたのか……なかなか、鋭いようだ。
勧められた花茶を飲んでみると、口の中から鼻に抜ける香りのおかげで、とても優しい気持ちになった。
「やっとリラックスした顔してる」
ジョージアは、私のことをかなり心配してくれていたようだ。
「そんなに険しい顔してたかしら?」
「してた。まだこっちに着て日も浅いから不安もあるだろうし、新しいこと覚えたりで気持ちが張って
いたんだろ……」
私は自分の頬っぺたをグニグニと揉み解す。
それをみて、ジョージアは笑っている。
こんな時間が、少しでも長く続くといいなと思う。
とても、優しい時間だった。
「何か困ったこととかあったら何でもいうように!遠慮はいらないよ。
アンナがこの家の女主人なんだから、むしろ自分が生活しやすいようにすればいい。
今はまだ、両親がいるから、叶わないこともあるかもしれないけど、ゆっくり、好きにしなさい。
アンナがアンナじゃなくなると面白くないから!」
ジョージアの手が頭を撫でてくれる。
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