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母からの伝言
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今日は、ローズディアの友人たちがお見舞いに来てくれたおかげで、気持ちもホクホクしていた。
お見舞いに来てくれたウィルたちを見送った後、食事をとり、そのまま自室へ戻る。
もちろん、エリザベスが私の背中に軟膏を塗るために付き添ってくれてくれていた。
「すっかり、背中のやけども痕がわからない程度にはなってきたね。
もう、一時期はどうなることか、心配でしかたなかったのよ……アンナ、無茶はしないでね?」
エリザベスには、今回のことで相当心配をかけたようだ。
学園での私を知っているとはいえ、まだまだほんの一握りしか私のことを知らないのでしかたない。
「なるべく努力するわ。そういえば、今週末のお茶会なんだけど、準備はどうかしら?」
ウィル達との最終目的地である自領であるフレイゼンでのお茶会について、エリザベスに尋ねる。
今回、フレイゼン侯爵家のお茶会になるよう、エリザベスは母に全面的に任せられたらしい。
「準備は、進んでいるの……でも、大丈夫かとても不安で……
サシャは、用意しているものを確認してくれて、全て揃っているから大丈夫とは言ってくれる
のだけど……どうも……」
不安気なお義姉様を助けるのは、義妹である私の役目だ。
小言を言うだけの小姑では、決してない!!
「後で見せていただける? あと招待状ね。
それに、今回は、かなり私的なものだから、それほど気を使わなくても大丈夫よ」
エリザベスが安心してくれるよう、肩の力を抜いても大丈夫だと伝える。
「荷物は、金曜に領地の屋敷に送っておいて。エリザベス達は、日曜の朝に出発よね?」
「そうなの。それも不安なところなんだけど……
お義母様からは、それ以上、早く行くことを止められているのよ」
「大丈夫よ。向こうにも優秀な人がいるから。そんなに自分の気持ちを追い込まないで!!」
向こうには、侍女のニナがいるのだから、エリザベスがそんなに心配する必要はない。
それに本当に私の身内だけのお茶会なのだ。
「招待する方には、兄からもうすでに口頭では案内をしてあるの。
私の快気祝いってことでお茶会をするから、本当に身内だけよ」
「リストを見たわ。ローズディアの方々が多いようね。
不思議な取り合わせだけど、サシャは、それで合っていると言っていたから、もう余計に混乱
しちゃって……」
「そうね。そのうち、三人は私と出かける予定だから、出先からそちらに寄るわ」
『トワイス国侯爵家 ヘンリー ・ メアリー
トワイス国商人 ティア
ローズディア公国子爵家 ウィル ・ ナタリー
ローズディア公国男爵家 セバスチャン
ローズディア公国商人 ニコライ 』
招待客のリストを見ているのだろう。
軟膏を塗り終わったエリザベスは、もう一度お茶会の荷物を確認してくると部屋を出ていった。
◆◇◆◇◆
入れ替わりに母が部屋に入ってきた。
「アンナ、背中の方はどうかしら?」
「エリザベスが言うには、もうよさそうですよ?」
「そう、ならよかったわ……嫁入り前に、痕に残るようなケガとかは避けてちょうだいね!
それと、この週末は、ニナの実家に行くそうね?」
「はい。そのつもりです。他にもおじい様のところで体を慣らして来ようと思っています」
「わかったわ。ヘンリー様も領地に呼ぶと聞いているけど、スケジュールが過密すぎない?」
「確かに……病み上がりでは、なかなかハードですよね……」
母にため息をつかれたが、それでもこの強行スケジュールをこなす予定だ。
時間が、そんなにあるとは、到底思えなかったから、仕方がない。
「ニナの縁談話を持ってきたの。領地に行くなら、アンナから伝えるほうがいいと思って。
あと、ニナの名前を変える必要があるわ。本人に了承を得て、アンナが新しい名前を考えておいて」
「名前ですか?」
「そう、名前。縁談先は、うちと同じ侯爵家なのよ。
跡取りが生まれなくてね……養女として受け入れて、弟と結婚させることになったの」
「弟とですか?それなら、ニナと相当年が離れているのでは?」
「そうね。10くらいかしら?侯爵も弟とは年が離れているらしいわ。妾腹の子供らしいから……」
「それで、ニナは幸せになれますか?」
「えぇ、それは、問題ないわ。
侯爵が、引きこもりの弟を部屋から出すのも兼ねているらしいのだけど、弟がかなりニナのことを
気に入ったようで、早く来てほしいと言っているくらいなの。
侯爵夫妻は、とてもいい人だから、ニナもきっと幸せになれるはずよ。あとは、ニナ本人次第ね」
母が持ってきた縁談は、聞く限りではいい話のように聞こえる。
相手が気に入ってくれているなら……政略結婚でもうまくいくこともあるのだ。
政略結婚と言っても、母みたいな押し掛け政略結婚もあるので……なんとも言えないのだけど、
本人たちが幸せで、私たち子どもも幸せなのだから、母の結婚相手を見る目は確かだったのだろう。
「そうですね。そのこと、本人に伝えたいと思いますが、よろしいですか?」
「そうね。もう名前も変わることだし、教養も大丈夫になったから、本格的に輿入れの準備に
入りましょう。それも伝えてくれるかしら?」
母は、あれ以来、ニナのために動いてくれていたようだ。
いい縁談先を見つけてくれたようで、ホッとする。
「名前か……どんな名前がいいかしら?」
また、何かと動こうとしている娘をみて、母はため息をついている。
「アンナは、本当に、他人のためによく動きますね……無茶だけはしないでちょうだい」
「はい。お母様。重々承知しています。
それに、今は、他人のために動いているように思いますが、ゆくゆくは、私に恩恵をもたらして
くれると信じてますから!ただで動いているわけでは、ありませんよ。
きっちり私の代か子供の代で回収してみせます!」
私は、ポンと胸をたたく。
ちょっと、力加減が強かったのか、むせこんでしまい、そんな私を呆れたと頭を振って母がため息をついたのであった。
お見舞いに来てくれたウィルたちを見送った後、食事をとり、そのまま自室へ戻る。
もちろん、エリザベスが私の背中に軟膏を塗るために付き添ってくれてくれていた。
「すっかり、背中のやけども痕がわからない程度にはなってきたね。
もう、一時期はどうなることか、心配でしかたなかったのよ……アンナ、無茶はしないでね?」
エリザベスには、今回のことで相当心配をかけたようだ。
学園での私を知っているとはいえ、まだまだほんの一握りしか私のことを知らないのでしかたない。
「なるべく努力するわ。そういえば、今週末のお茶会なんだけど、準備はどうかしら?」
ウィル達との最終目的地である自領であるフレイゼンでのお茶会について、エリザベスに尋ねる。
今回、フレイゼン侯爵家のお茶会になるよう、エリザベスは母に全面的に任せられたらしい。
「準備は、進んでいるの……でも、大丈夫かとても不安で……
サシャは、用意しているものを確認してくれて、全て揃っているから大丈夫とは言ってくれる
のだけど……どうも……」
不安気なお義姉様を助けるのは、義妹である私の役目だ。
小言を言うだけの小姑では、決してない!!
「後で見せていただける? あと招待状ね。
それに、今回は、かなり私的なものだから、それほど気を使わなくても大丈夫よ」
エリザベスが安心してくれるよう、肩の力を抜いても大丈夫だと伝える。
「荷物は、金曜に領地の屋敷に送っておいて。エリザベス達は、日曜の朝に出発よね?」
「そうなの。それも不安なところなんだけど……
お義母様からは、それ以上、早く行くことを止められているのよ」
「大丈夫よ。向こうにも優秀な人がいるから。そんなに自分の気持ちを追い込まないで!!」
向こうには、侍女のニナがいるのだから、エリザベスがそんなに心配する必要はない。
それに本当に私の身内だけのお茶会なのだ。
「招待する方には、兄からもうすでに口頭では案内をしてあるの。
私の快気祝いってことでお茶会をするから、本当に身内だけよ」
「リストを見たわ。ローズディアの方々が多いようね。
不思議な取り合わせだけど、サシャは、それで合っていると言っていたから、もう余計に混乱
しちゃって……」
「そうね。そのうち、三人は私と出かける予定だから、出先からそちらに寄るわ」
『トワイス国侯爵家 ヘンリー ・ メアリー
トワイス国商人 ティア
ローズディア公国子爵家 ウィル ・ ナタリー
ローズディア公国男爵家 セバスチャン
ローズディア公国商人 ニコライ 』
招待客のリストを見ているのだろう。
軟膏を塗り終わったエリザベスは、もう一度お茶会の荷物を確認してくると部屋を出ていった。
◆◇◆◇◆
入れ替わりに母が部屋に入ってきた。
「アンナ、背中の方はどうかしら?」
「エリザベスが言うには、もうよさそうですよ?」
「そう、ならよかったわ……嫁入り前に、痕に残るようなケガとかは避けてちょうだいね!
それと、この週末は、ニナの実家に行くそうね?」
「はい。そのつもりです。他にもおじい様のところで体を慣らして来ようと思っています」
「わかったわ。ヘンリー様も領地に呼ぶと聞いているけど、スケジュールが過密すぎない?」
「確かに……病み上がりでは、なかなかハードですよね……」
母にため息をつかれたが、それでもこの強行スケジュールをこなす予定だ。
時間が、そんなにあるとは、到底思えなかったから、仕方がない。
「ニナの縁談話を持ってきたの。領地に行くなら、アンナから伝えるほうがいいと思って。
あと、ニナの名前を変える必要があるわ。本人に了承を得て、アンナが新しい名前を考えておいて」
「名前ですか?」
「そう、名前。縁談先は、うちと同じ侯爵家なのよ。
跡取りが生まれなくてね……養女として受け入れて、弟と結婚させることになったの」
「弟とですか?それなら、ニナと相当年が離れているのでは?」
「そうね。10くらいかしら?侯爵も弟とは年が離れているらしいわ。妾腹の子供らしいから……」
「それで、ニナは幸せになれますか?」
「えぇ、それは、問題ないわ。
侯爵が、引きこもりの弟を部屋から出すのも兼ねているらしいのだけど、弟がかなりニナのことを
気に入ったようで、早く来てほしいと言っているくらいなの。
侯爵夫妻は、とてもいい人だから、ニナもきっと幸せになれるはずよ。あとは、ニナ本人次第ね」
母が持ってきた縁談は、聞く限りではいい話のように聞こえる。
相手が気に入ってくれているなら……政略結婚でもうまくいくこともあるのだ。
政略結婚と言っても、母みたいな押し掛け政略結婚もあるので……なんとも言えないのだけど、
本人たちが幸せで、私たち子どもも幸せなのだから、母の結婚相手を見る目は確かだったのだろう。
「そうですね。そのこと、本人に伝えたいと思いますが、よろしいですか?」
「そうね。もう名前も変わることだし、教養も大丈夫になったから、本格的に輿入れの準備に
入りましょう。それも伝えてくれるかしら?」
母は、あれ以来、ニナのために動いてくれていたようだ。
いい縁談先を見つけてくれたようで、ホッとする。
「名前か……どんな名前がいいかしら?」
また、何かと動こうとしている娘をみて、母はため息をついている。
「アンナは、本当に、他人のためによく動きますね……無茶だけはしないでちょうだい」
「はい。お母様。重々承知しています。
それに、今は、他人のために動いているように思いますが、ゆくゆくは、私に恩恵をもたらして
くれると信じてますから!ただで動いているわけでは、ありませんよ。
きっちり私の代か子供の代で回収してみせます!」
私は、ポンと胸をたたく。
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