57 / 1,493
無音の世界
しおりを挟む
模擬戦のおかげか、今日は早く眠くなった。
ベッドに座っただけで、とろんとした瞼は重く閉じていく。
そのまま、シーツに潜り込んでベッドの中で丸くなると……体はぽかぽかとしてきて、いつでも寝れる状態になっている。
部屋に戻ってくる前に、もちろん当たり前のように兄に珍しくメチャクチャ叱られた。
正式な模擬戦を申し込んで、審判も立てて、相手も戦ってくれるって言ったから、別に叱られる道理はないのだけど……令嬢らしからぬ行いというので、叱られたのだ。
いつものことだと思うので、兄に叱られるのはなんだか納得いかない。
しかし、兄にも兄の考えがあったのだ。
あと1年で、自分のところから離れていく妹のことを思うと気が気じゃないらしい。
頼むから、大人しくしてくれと懇願された。
懇願されたくらいで大人しくなるのであれば、とうの昔に深窓の侯爵令嬢と言われていたであろう。
そんなことにはならないと、もう諦めているのだと思っていたのだが……兄は、手の焼ける妹に一般的な令嬢になることも忘れないよう諭してくれたのである。
はねっかえりは、厄介ごとを招き入れるらしいのだ。
兄なりの心配なのだろう。
叱られたことを思い浮かべていると……そのまま抗いようのない眠りについてしまった。
もやもやっとした見たことがない景色が広がる。
あぁ、これは夢だとわかる。
ここ1年くらいは、現実が忙しすぎて見ていなかった。
私の夢は、視覚的に見ることはできるが、音のない映像もある。
長い映画を見るようなときもあれば、一瞬だけの映像も。
今回は、少し長めの映像のようだった。
うーん。これは、どういう状況なのだろうか……?
ソフィアに似た男の子……が、私の子供と対峙している……?
あっ!男の子の腕に、アンバーのブレスレットがはまっていた。
ジョージアとソフィアの子供だろう。
アンバー家の人間として扱われるのは、妻の場合は、国宝になっているアンバーの宝飾品を付けなければならない。
第二夫人や子供であれば、準国宝級のアンバー家に伝わるアンバーの宝飾品を付けることになっている。
ただし、正当な継承権を持つ蜂蜜色の瞳を持つ子供は、瞳が宝石の代わりとなり、一切の宝石がなくても当主の次の上位で扱われる。
私の子供は、当主の次となるわけだ。
ソフィアの子供が、何を言っているのか音声がないのでわからないが、なんとなく読み解くことはできそうだ。
年の頃からいうと、ちょうど私ぐらいだろう。
よくよく見るとそこには、シルキーそっくりな男の子と、イリア嬢にそっくり女の子がいる。
あぁ、これは学園で行われるお茶会の一幕なのだろう。
周りには、テーブルが並んでいて、それぞれの前には、素敵なカップにお茶が入っていて、とてもおいしそうなお菓子が置かれている。
そして、我が子が、ソフィアの子どもやイリア嬢の子どもを言い負かしたという構図だろうか……?
ここだけにみんなが集中していて、お茶会で注目を浴びているようだ。
誰に似たのか、無鉄砲な。
あぁ、私に似たのか……
容姿は、ジョージア様そっくりなのに……もったいない……もちらん、自分のことは棚に上げている。
私なら、完膚なきまでに言い負かしはしないだろう。
頭で勝てるとは思っていないので、武力行使あるのみ!である。
見た感じ、ここがお茶会の下座ね……イリア嬢がしそうな嫌がらせだわ……まったくぅ……親子そっくりなのね……結婚する予定のハリーもとっても大変そうだ。
そう思ったところで、映像が途切れた。
私はそのままぐっすり眠りについたようで、次に意識が戻ったら、すでに朝であった。
夢で見た内容は、まだはっきり覚えている。
早めにぐっすり眠ったようで、いつもより少し早く目が覚めた。
朝食までには、十分すぎる時間があったので、この時間を利用して、先ほどの夢を書き綴ることにした。
未来の我が子のために……どこまで、役にたつのかはわからないけど、それが私の役目であるのだからと言い聞かせて筆を動かせるのであった。
ベッドに座っただけで、とろんとした瞼は重く閉じていく。
そのまま、シーツに潜り込んでベッドの中で丸くなると……体はぽかぽかとしてきて、いつでも寝れる状態になっている。
部屋に戻ってくる前に、もちろん当たり前のように兄に珍しくメチャクチャ叱られた。
正式な模擬戦を申し込んで、審判も立てて、相手も戦ってくれるって言ったから、別に叱られる道理はないのだけど……令嬢らしからぬ行いというので、叱られたのだ。
いつものことだと思うので、兄に叱られるのはなんだか納得いかない。
しかし、兄にも兄の考えがあったのだ。
あと1年で、自分のところから離れていく妹のことを思うと気が気じゃないらしい。
頼むから、大人しくしてくれと懇願された。
懇願されたくらいで大人しくなるのであれば、とうの昔に深窓の侯爵令嬢と言われていたであろう。
そんなことにはならないと、もう諦めているのだと思っていたのだが……兄は、手の焼ける妹に一般的な令嬢になることも忘れないよう諭してくれたのである。
はねっかえりは、厄介ごとを招き入れるらしいのだ。
兄なりの心配なのだろう。
叱られたことを思い浮かべていると……そのまま抗いようのない眠りについてしまった。
もやもやっとした見たことがない景色が広がる。
あぁ、これは夢だとわかる。
ここ1年くらいは、現実が忙しすぎて見ていなかった。
私の夢は、視覚的に見ることはできるが、音のない映像もある。
長い映画を見るようなときもあれば、一瞬だけの映像も。
今回は、少し長めの映像のようだった。
うーん。これは、どういう状況なのだろうか……?
ソフィアに似た男の子……が、私の子供と対峙している……?
あっ!男の子の腕に、アンバーのブレスレットがはまっていた。
ジョージアとソフィアの子供だろう。
アンバー家の人間として扱われるのは、妻の場合は、国宝になっているアンバーの宝飾品を付けなければならない。
第二夫人や子供であれば、準国宝級のアンバー家に伝わるアンバーの宝飾品を付けることになっている。
ただし、正当な継承権を持つ蜂蜜色の瞳を持つ子供は、瞳が宝石の代わりとなり、一切の宝石がなくても当主の次の上位で扱われる。
私の子供は、当主の次となるわけだ。
ソフィアの子供が、何を言っているのか音声がないのでわからないが、なんとなく読み解くことはできそうだ。
年の頃からいうと、ちょうど私ぐらいだろう。
よくよく見るとそこには、シルキーそっくりな男の子と、イリア嬢にそっくり女の子がいる。
あぁ、これは学園で行われるお茶会の一幕なのだろう。
周りには、テーブルが並んでいて、それぞれの前には、素敵なカップにお茶が入っていて、とてもおいしそうなお菓子が置かれている。
そして、我が子が、ソフィアの子どもやイリア嬢の子どもを言い負かしたという構図だろうか……?
ここだけにみんなが集中していて、お茶会で注目を浴びているようだ。
誰に似たのか、無鉄砲な。
あぁ、私に似たのか……
容姿は、ジョージア様そっくりなのに……もったいない……もちらん、自分のことは棚に上げている。
私なら、完膚なきまでに言い負かしはしないだろう。
頭で勝てるとは思っていないので、武力行使あるのみ!である。
見た感じ、ここがお茶会の下座ね……イリア嬢がしそうな嫌がらせだわ……まったくぅ……親子そっくりなのね……結婚する予定のハリーもとっても大変そうだ。
そう思ったところで、映像が途切れた。
私はそのままぐっすり眠りについたようで、次に意識が戻ったら、すでに朝であった。
夢で見た内容は、まだはっきり覚えている。
早めにぐっすり眠ったようで、いつもより少し早く目が覚めた。
朝食までには、十分すぎる時間があったので、この時間を利用して、先ほどの夢を書き綴ることにした。
未来の我が子のために……どこまで、役にたつのかはわからないけど、それが私の役目であるのだからと言い聞かせて筆を動かせるのであった。
0
お気に入りに追加
121
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
真実の愛の言い分
豆狸
恋愛
「仕方がないだろう。私とリューゲは真実の愛なのだ。幼いころから想い合って来た。そこに割り込んできたのは君だろう!」
私と殿下の結婚式を半年後に控えた時期におっしゃることではありませんわね。
この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
婚約破棄は誰が為の
瀬織董李
ファンタジー
学園の卒業パーティーで起こった婚約破棄。
宣言した王太子は気付いていなかった。
この婚約破棄を誰よりも望んでいたのが、目の前の令嬢であることを……
10話程度の予定。1話約千文字です
10/9日HOTランキング5位
10/10HOTランキング1位になりました!
ありがとうございます!!
「股ゆる令嬢」の幸せな白い結婚
ウサギテイマーTK
恋愛
公爵令嬢のフェミニム・インテラは、保持する特異能力のために、第一王子のアージノスと婚約していた。だが王子はフェミニムの行動を誤解し、別の少女と付き合うようになり、最終的にフェミニムとの婚約を破棄する。そしてフェミニムを、子どもを作ることが出来ない男性の元へと嫁がせるのである。それが王子とその周囲の者たちの、破滅への序章となることも知らずに。
※タイトルは下品ですが、R15範囲だと思います。完結保証。
義妹がピンク色の髪をしています
ゆーぞー
ファンタジー
彼女を見て思い出した。私には前世の記憶がある。そしてピンク色の髪の少女が妹としてやって来た。ヤバい、うちは男爵。でも貧乏だから王族も通うような学校には行けないよね。
五歳の時から、側にいた
田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。
それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。
グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。
前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる