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4章

このたび風邪をひきました

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「…クッション…」



もうすぐ冬だっていうのに、全身ずぶ濡れ濡れネズミになれば風邪ひくよな…

頭がふらふらするよ、隣の鈴木君が何やら心配そうに私を見てるし熱ぽい顔でもしてるのかな私。

それも宿敵ヒロインとの対決が、親友扱いされ協力要請まで確実におかしな方向に進んでるし。考えなければならない事が多いのだが頭ぐるぐるして今の授業ですら内容がまったく頭に入ってこない。これは不味い今日は諦めて早退させて貰おうかな…でもあと少しでお昼休み休憩だからあと少し堪えなければ。ピヨたんに会いたい、ピヨたんに色々ご報告とご相談したいのに身体が重いよクラクラする



キーンコーンカーンコーン♪

キーンコーンカーンコーン♪




やっと授業が終わった早くピヨたんに会いに行かねば、立ち上がらなきゃなのに立てない身体に力が入らない。目がぐるぐる回って思わず机に伏せて吐き気に堪える…

ぎもぢわるぃぃぃ…



「小野さん…小野さん…大丈夫…?」



全然大丈夫じゃない気持ち悪いから、ユサユサ揺らさないでおくれよモブ男。

私の肩をユサユサ揺する鈴木君は何か気がついたらしく慌てて立ち上がり私のおでこに手を当てる



「小野さん熱出してるじゃないか!?なんでそんな無理してるんだよ…保健室に連れていくから立てる?」


「…むり…」



自分の身体が全然言うことを聞いてくれない、頭を上げたいのにヘニョリと再度机に突っ伏してしまう…なにやら呼吸するのも一苦労だよ。



「小野さん申し訳ないけど僕が担ぐよ!!」



それはダメ!!じつは私ジャージの下がノーブラノーパンなんですよ。だって下着までびしょ濡れだったから身につけておけなくて…今モブ男の鈴木君におんぶされればジャージ越しの生乳を押し付けることになるし、お姫様だっこなんてされたら尻が強調されてパンツの線でないからノーパンだとばれる!?いやTバック履いてれば下着の線なんか出ないから皆私がTバック履いてるって思うかな…

いやいや…なに変なところで悩んでいるんだ、ここは申し訳ないが鈴木君にピヨ男さんを呼んできて貰おうか、でも鈴木君はピヨ男さん狙ってるから二人に会瀬チャンスを私が与えてしまうのでは…!?


私の知らない間に連絡交換なんかしちゃって、私の体調確認という名目でLINEで連絡しあってお互いの趣味話なんかで意気投合して、お休みの時にこっそり会瀬し初めて…気付けば手なんか繋いで人目を避けて口付けを交わす。

これ以上深みにはまってはダメだと思うのに、押さえられない恋心…止められない衝動…





「おのれぇぇぇぇ鈴木君め!!私が風邪に浮かされてる間に止められない衝動に走る気かぁぁぁ!!」


「なっ…なっ…なに言ってるの小野さん、熱でおかしくなってるんだね。イヤかもしれないけど担ぐよ、このままほっとけば症状が益々悪化する我儘言わないで大人しくして」


「いやぁぁぁ~」



強引に腕を引かれて鈴木君の背中におんぶされそうになる、必死に背中に胸が当たらないように抵抗するが熱に浮かされ身体が言うこときかないヨロヨロと鈴木君の背中にあと数センチで接触する



「やめてぇぇぇ~ピヨ男しゃん助けてぇぇぇ」




半べそかきながら必死に助けを呼ぶ…


フワリと身体が空に浮く、ついに鈴木君におんぶされてしまったのかと涙を堪えて現状を把握すれば、おんぶではなく縦抱っこされていた。

私を縦抱っこしている人物を見れば、必死に堪えてた涙がポロポロ溢れだし思わず彼の胸にすがりつき泣き出してしまった。




「あかりん大丈夫…?熱だしちゃったのか…辛かったね、泣かないの今保健室連れて行ってあげるから…」


「ピヨたん…ピヨたん…うわぁ~ん…」


「よしよし…大丈夫だから…なんで髪が半乾きなの…それもジャージ姿?お昼休みだからクラス前まで迎えにきてよかったよ。」


「おい…待てよ!!カイン先輩!」


「また君か…うちの亜香里に触れようとしないでくれるかな…下心丸出しで恥ずかしくないのかい?」


「なっなっなっ!!下心とかじゃない友人を心配するのは当たり前の行動だろ!」


「へぇぇ…じゃそのまんま友人として行動してね。亜香里にちょっかいだすなら僕が本気で相手するから…」


「学園アイドルかなにか知らないが、お前のせいで小野さんはこんな熱を出す酷い目にあってるんだからな!!」


「どういう事だ?」


「あんたと付き合ってるから小野さんは嫌がらせを受けている…僕にははっきり教えてくれないけど、今日だって制服をびしょ濡れにされてジャージ姿でしか居られなくなってるし、教科書や下駄箱の靴とかもしょっちゅう隠されて彼女一人でいつも探しているんだぞ!!」


「……そう…それは僕の落ち度だね…教えてくれてありがとう…」




なにかピヨ男さんと鈴木君が言い争ってるなって思うけど聞き耳を立てる余裕がない。

必死にピヨ男さんにしがみつくしか出来ない



「鈴木君悪いけど亜香里を早く看病したいから連れていくよ…」


「・・・ああ」



ユサユサとピヨ男さんに担がれ私は保健室に連れていかれる。

ピヨ男さんならこのまま意識を無くしてもどうにかしてくれると安堵し寝るように力を抜いた。





「あ…あか…あかりん大丈夫?気を失ったのかな、酷い熱だ呼吸も荒いし保健室じゃダメかもしれないな…あかりん大丈夫だからね僕が一緒だから安心してね…」




うん…安心してる…


私の意識が無いからって鈴木君と連絡交換しちゃダメだからね…


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