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チュートリアル
2 偽りの仮面(アバター)
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「さて、どうしたもんかな」
LF(ローラシア・フロンティア)の公式サイトを見ながらつぶやいた。
サービス開始日にスムーズにゲームがスタート出来るように、アバターの設定は先行で出来るみのだけれど、どの種族にするか決めかねていた。
このアバターはNFTとなっている。NFTというのはNon-Fungible Tokenの略で、簡単に言うと偽造や改造が出来ない唯一無二のデジタルデータのことだ。
以前のゲームで使っていたアバターが使えれば楽なのだが、残念ながらあのアバターはNFTではないので、このゲームには持ち越せない。
逆に言えば、対応しているNFTなら他のゲームとこのゲームのアバターを共有できるってことだ。
まあ、今のところNFTアバターを使うVRゲームはこれが初めてだから、他から持ってくるもなにもないんだけど。
それで、種族選びだ。
種族は大きく分けてヒューマン、エルフ、ドワーフ、ドラゴニア、ハーフリング、獣人の六種。獣人はさらにモデルとなる動物によってパワータイプやスピードタイプなど色々と分岐する。
それぞれの特徴はこんな感じだ。
・ヒューマン
秀でた能力がない代わりに弱点も無く、どんな職業にでも適性がある。
・エルフ
高い知性と信仰心を持ち、魔法を使う職業に適している。
・ドワーフ
強靭な肉体と高い腕力を誇り、物理職に適している。
・ドラゴニア
高い信仰心と強靭な肉体を持ち、回復職に適している。ちなみに見た目は長身でうろこが付いた人間って感じだ。ようは竜人だな。
・ハーフリング
動きが素早く手先が器用で高い運を持つ。身軽な職に適している。
・獣人
パワータイプ、スピードタイプ、魔法タイプなど、元となる動物によって様々なタイプに分かれる。
まあ、ここまではいいんだ。問題は、種族によってアバターの変更範囲が決まっていることだ。
長身スリムなハーフリングとか、ずんぐりむっくりなエルフなど、設定に反するアバターは作れないように制限がかかっている。
そして、これは当たり前のことだが、VRゲームは自分の体格とアバターの体格を合わせた方が操作しやすいと言われている。あまり現実と離れているとどうしても違和感をおぼえてしまうからだ。
俺の身長は200で体重120。人よりちょっと大柄なせいか、自分の体格と同じアバターを作ろうとすると選択肢がドラゴニアと獣人(パワー型)しかないのである。
先程も言ったけど、対応しているシステムだとアバターが共有される。見た目は当然だけど、この種族特性もだ。
近いうちに色々とVRゲームを出す予定らしいので、この選択は重要だ。
それで、もし、別の種族が使いたいと思ったら、別にアバターを用意する必要がある。
そんな感じでいちいちアバターを切り替えるのも面倒だし金が勿体ないので、できれば一つに統一したい。
ということで、かれこれ二時間程ナーガにするか熊獣人にするか悩んでいたのだが、ついに結論が出た。
「よし、体格を合わせるのはやめよう! ハーフリングに決めた!」
俺は、あえて自分の身長の半分くらいしかない種族を選択した。
いっそのことリアルの自分とかけ離れた容姿にしてやろう。
どうせハーフリングとか小型の獣人を選ぶ人は、みんな身長差で違和感を覚えることになるはず。
それならスタートラインは同じだろう。
次はメイキングだ。身長から髪の色、顔のパーツ、首や手足の長さ、胴回りなど細かく設定できる。
身長は100cm。体重は26キロ。どうせだから最小値にしておこう。髪は現実ではまずお目にかかれないであろう緑を選択。目の色も緑色だ。
手足の長さも最小サイズで、顔は中性的な感じでまとめた。性別はもちろん男。アバターネームはゆうちゃん。決定ボタンを押せば、個別のナンバーが振り分けられてNFT化する。
これで俺のアバターの完成だ!
次は職業だ。
職業はLF(ローラシア・フロンティア)内だけで有効な設定で、他ゲームには持ち越せない。
イメージ的には、アバターはVR空間での自分自身。ゲームをするときはそのゲーム専用の職業に就く感じ?
レベルや職業、スキルと言ったステータスはあくまでそのゲームだけで有効で、他ゲームに持って行くことは出来ない。
種族特性はアバター依存なので、他のゲームでも共通。
あと、装備品やアイテムはNFTなので他のゲームにも持っていけるし、売ることもできる。
しかもゲームの中のお金。ゲーム内通貨。これ、仮想通貨なのだ! つまり、現金化できる!
おっと、いけない。職業だったな……。
LFで最初に選べる職業は次の通り。
・ファイター
・プリースト
・メイジ
・シーフ
詳細はゲームが始まらないとわからないが、ファイターはアタッカーかタンク。プリーストは回復役。メイジは遠距離魔法。シーフは……なんだろう?鍵開けとか?そんな感じだと思う。
一応救済措置で、最初の一度だけは無条件で職業を変えることが出来るらしい。だから、失敗しても大丈夫。
まあ、それでも、アバターの種族特性に合わせる職業がいいだろう。
ヒューマンならなんにでもなれるし、エルフはメイジだろう。ドワーフはファイターだな。獣人はよくわからん。ドラゴニアは説明を見た感じだとプリーストか。
でもって、ハーフリングの種族特性にあったのは、選択できる基本職の中だとシーフになる。
駄目なら速攻で変更すればいい。
これで完了。
さあ、これでとりあえず設定は全部終わったかな?
後は正式稼働を待つばかり。
楽しみだなあ……。
LF(ローラシア・フロンティア)の公式サイトを見ながらつぶやいた。
サービス開始日にスムーズにゲームがスタート出来るように、アバターの設定は先行で出来るみのだけれど、どの種族にするか決めかねていた。
このアバターはNFTとなっている。NFTというのはNon-Fungible Tokenの略で、簡単に言うと偽造や改造が出来ない唯一無二のデジタルデータのことだ。
以前のゲームで使っていたアバターが使えれば楽なのだが、残念ながらあのアバターはNFTではないので、このゲームには持ち越せない。
逆に言えば、対応しているNFTなら他のゲームとこのゲームのアバターを共有できるってことだ。
まあ、今のところNFTアバターを使うVRゲームはこれが初めてだから、他から持ってくるもなにもないんだけど。
それで、種族選びだ。
種族は大きく分けてヒューマン、エルフ、ドワーフ、ドラゴニア、ハーフリング、獣人の六種。獣人はさらにモデルとなる動物によってパワータイプやスピードタイプなど色々と分岐する。
それぞれの特徴はこんな感じだ。
・ヒューマン
秀でた能力がない代わりに弱点も無く、どんな職業にでも適性がある。
・エルフ
高い知性と信仰心を持ち、魔法を使う職業に適している。
・ドワーフ
強靭な肉体と高い腕力を誇り、物理職に適している。
・ドラゴニア
高い信仰心と強靭な肉体を持ち、回復職に適している。ちなみに見た目は長身でうろこが付いた人間って感じだ。ようは竜人だな。
・ハーフリング
動きが素早く手先が器用で高い運を持つ。身軽な職に適している。
・獣人
パワータイプ、スピードタイプ、魔法タイプなど、元となる動物によって様々なタイプに分かれる。
まあ、ここまではいいんだ。問題は、種族によってアバターの変更範囲が決まっていることだ。
長身スリムなハーフリングとか、ずんぐりむっくりなエルフなど、設定に反するアバターは作れないように制限がかかっている。
そして、これは当たり前のことだが、VRゲームは自分の体格とアバターの体格を合わせた方が操作しやすいと言われている。あまり現実と離れているとどうしても違和感をおぼえてしまうからだ。
俺の身長は200で体重120。人よりちょっと大柄なせいか、自分の体格と同じアバターを作ろうとすると選択肢がドラゴニアと獣人(パワー型)しかないのである。
先程も言ったけど、対応しているシステムだとアバターが共有される。見た目は当然だけど、この種族特性もだ。
近いうちに色々とVRゲームを出す予定らしいので、この選択は重要だ。
それで、もし、別の種族が使いたいと思ったら、別にアバターを用意する必要がある。
そんな感じでいちいちアバターを切り替えるのも面倒だし金が勿体ないので、できれば一つに統一したい。
ということで、かれこれ二時間程ナーガにするか熊獣人にするか悩んでいたのだが、ついに結論が出た。
「よし、体格を合わせるのはやめよう! ハーフリングに決めた!」
俺は、あえて自分の身長の半分くらいしかない種族を選択した。
いっそのことリアルの自分とかけ離れた容姿にしてやろう。
どうせハーフリングとか小型の獣人を選ぶ人は、みんな身長差で違和感を覚えることになるはず。
それならスタートラインは同じだろう。
次はメイキングだ。身長から髪の色、顔のパーツ、首や手足の長さ、胴回りなど細かく設定できる。
身長は100cm。体重は26キロ。どうせだから最小値にしておこう。髪は現実ではまずお目にかかれないであろう緑を選択。目の色も緑色だ。
手足の長さも最小サイズで、顔は中性的な感じでまとめた。性別はもちろん男。アバターネームはゆうちゃん。決定ボタンを押せば、個別のナンバーが振り分けられてNFT化する。
これで俺のアバターの完成だ!
次は職業だ。
職業はLF(ローラシア・フロンティア)内だけで有効な設定で、他ゲームには持ち越せない。
イメージ的には、アバターはVR空間での自分自身。ゲームをするときはそのゲーム専用の職業に就く感じ?
レベルや職業、スキルと言ったステータスはあくまでそのゲームだけで有効で、他ゲームに持って行くことは出来ない。
種族特性はアバター依存なので、他のゲームでも共通。
あと、装備品やアイテムはNFTなので他のゲームにも持っていけるし、売ることもできる。
しかもゲームの中のお金。ゲーム内通貨。これ、仮想通貨なのだ! つまり、現金化できる!
おっと、いけない。職業だったな……。
LFで最初に選べる職業は次の通り。
・ファイター
・プリースト
・メイジ
・シーフ
詳細はゲームが始まらないとわからないが、ファイターはアタッカーかタンク。プリーストは回復役。メイジは遠距離魔法。シーフは……なんだろう?鍵開けとか?そんな感じだと思う。
一応救済措置で、最初の一度だけは無条件で職業を変えることが出来るらしい。だから、失敗しても大丈夫。
まあ、それでも、アバターの種族特性に合わせる職業がいいだろう。
ヒューマンならなんにでもなれるし、エルフはメイジだろう。ドワーフはファイターだな。獣人はよくわからん。ドラゴニアは説明を見た感じだとプリーストか。
でもって、ハーフリングの種族特性にあったのは、選択できる基本職の中だとシーフになる。
駄目なら速攻で変更すればいい。
これで完了。
さあ、これでとりあえず設定は全部終わったかな?
後は正式稼働を待つばかり。
楽しみだなあ……。
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