ローラシア・フロンティア クロスオーバー！ ソードマスター編

チュートリアル

16 追加効果と新スキル

　さて、スキルツリーを伸ばすと言っても、どれをどうするのかが悩むところ。
　スキルツリーで出来ることは、スキルのレベルを上げること。もしくは新しいスキルを習得すること。
　どちらにしても今より強くなるのは確実なんだけど……。

「まだスキルツリーの情報はあまり出回ってないのよね」

　はるちゃんがそういうのならそうなのだろう。私はそういうのは全然調べてないので全くわからない。

「私とたくみは同じツリーだね。ファイターのツリーだと、疾風斬りの次が脛斬りだよ。相手に鈍足のデバフをかけられるんだって」
「鈍足のデバフ？　みさと、デバフってなに？」
「えっと、状態異常の事だよ。毒とか盲目とか混乱とか」

　なるほど。状態異常の事をデバフっていうのか。デバフデバフ……よし、覚えた。多分。

「私はファイアアローのレベル上げに全振りね」
「他の魔法は覚えないの？」
「ファイアアローがあれば今のところ困らないからね。不利属性が出てきたらストーンアローを伸ばするつもり」
「なるほどね～」
　
　はるちゃんは一点集中で強化するつもりらしい。ステータスもINTに全部振ってたからね。きっと火力特化なんだろう。

「るなちゃんはどうするの？」
「え、えっと。どれを上げればいいかわからなくて……」
「プリーストのスキルツリーを見た感だと、ヒールの先は回復系じゃないかしら？」
「そうだね。私もそう思う」
「スキルツリーの先って予想着くものなの？」
「まあ、あくまで予想だけどね。大抵こういうのってツリーの先は同系統なのよ。回復の先は回復。攻撃の先は攻撃ってね」
「そうなんだ！　じゃあ、ファイターの挑発の先って何だろう？」
「さあ？　予想付かないから誰も取らないんじゃない？　私も人柱になる気はないかなあ」

　人柱とは酷い表現だけど、確かにどんなスキルが出るかわからないもんね。リスクが高いよね。

「プリーストだと、最初に表示されているスキルが、ヒール、プロテクション、ライトの三種類だけだから……。おそらくヒールは回復系。プロテクションは補助系。ライトは……よくわからないわ」

　うーん、結局どうすればいいんだろう？

「二人とも、そんなに難しく考えることないよ！　好きなの選べばいいじゃない！」
「えっ、でも……」
「大丈夫だって！　失敗しても今より弱くなる事なんて無いしさ」

　お気楽だなあ、みさとは。でも、言われてみればそうだよね。失敗したところで弱くなるわけじゃないんだし、ちょっと試してみようかな？

「わかった。やってみる！」

　というわけで、私はスキルツリーを確認する。そういえば今までスキル一切使ってなかったな。さっきまで存在をすっかり忘れてたくらいだし。
　うーん……。そうだ、私もはるちゃんを見習って一点集中にしよう！　残っているポイントを全て疾風斬りのレベルアップに使う。
　よし、出来た！

「みんなもう出来た？　あ、ごめん。もう出来てたか……」

　私が声を掛けると既に全員終わっていたようだ。私が一番遅かったのね。しょぼん。
　みんなでスキルツリーを見せ合いながらお互いのスキルを確認することにした。

たくみ　スキルツリー

みさと　スキルツリー

るな　スキルツリー

はるみ　スキルツリー


「こんな感じだけど、どうかな？」
「たくみは疾風斬り上げたんだね。私は脛斬り取って、残りは保留かな。脛斬りの先が二つに分岐してるんだよね」
「私はSPを一つ残してファイアアローに全振りしたわ。るなはどんな感じ？」
「えっと、プロテクションと、その先のスタンバッシュって攻撃スキルを取ったよ」
「いいんじゃない？　あとは実際やってみましょう」

　どうやらみんな順調に強化できたみたい。それじゃあ早速実践行ってみようか！


【ファイアアロー】

　魔法がヤギに当たる。そしていつものよう私たちの横を通り過ぎるはるちゃん。しかしいつもと違う状況に戸惑う私たち。

「ねえ、ちょっと、あれ。あれ見て！」
「何あれ！　燃えてるんだけど！？」
「凄いです！」

　いつもであればファイアアローが当たってもダメージが入るだけで変化は無かったのに、今回は当たった瞬間にモンスターに火が付いたのだ！
　ヤギは身体に付いた火を消そうと、地面に転がってじたばたしている。

「もしかして、レベルアップして追加効果が加わった？」
「どっちにしろこれはチャンスだわ！　みんなで総攻撃しましょう！」
「おっけー！」

　三人でのたうち回っているヤギに駆け寄って一斉に攻撃を仕掛ける。よし、私もスキル使ってみよう！

【疾風斬り】

　シャキン、シャキン、シャキン！！　突然の三連撃。チュートリアルの時に使ったのと全然違う。単発じゃなくて連続斬りになってる！　しかも一撃ごとに威力が上がっている気がする……！
　火の消えたヤギがよろよろと立ち上がり、体勢を立て直したところにるなちゃんのスキルが炸裂する。

【スタンバッシュ】

　ガコンという、細い杖を叩きつけた音にはとても聞こえない衝撃音が響き渡る。そして攻撃を食らったヤギはその場にひっくり返った。

「はい、よいしょっと！」

　みさとが剣を突き立てると、ヤギは光の粒子になって消えていった。さっきと違って全然余裕に倒せた。やったね！

「みんな凄いじゃん！」
「うん、突然燃えるからびっくりしたよ」
「さっき危なかったのが嘘みたいだね！」
「この追加効果って確定なのかしら？　何度かやってみて検証したいわね」

　うんうん、どんどん強くなっていくね！　 これからが楽しみになってきたよ！
　その後私たちは危なげなく狩りを続けてレベルを上げていくのだった。
　ちなみに検証の結果、ファイアアローと疾風斬りは確率で追加効果が発生することが分かった。
　だいたい二回か三回に一回発動って感じ。これってスキルのレベルが上がると確率が上がるのかなあ？