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最終章 建国祭編
第84話 元勇者 デートを終えて
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俺の言葉を信じていないのは表情でわかる。まあ、見てなって──。
結果発表。受付のお姉さんが、壇上で叫ぶ。
「優勝は、最後にアピールを行ったセフィラさんでーす」
「え! 私が──、ドッキリかなにかですか?」
その言葉を信じ切れず、動揺しているセフィラ。俺はセフィラの前に立ち、両手をぎゅっと握る。
「そんなことないよ、純粋なセフィラの魅力だよ。しょうこに、周囲の声を聴いてみ?」
「やっぱり、セフィラちゃんよね。私も一票入れたわ」
「だよなー。嫁にしたいくらいのかわいさだったぜ」
「うう……」
その言葉に、認めざるを得ないのだろう。自分の魅力を。
「じゃあ、表彰の方、行ってきなよ」
「──わかりました」
そしてセフィラは壇上に上がり賞金の金貨と表彰状を受け取る。
観客席に目を抜け、ぺこりとお辞儀をすると、観客たちから盛大な拍手と歓声を受ける。
「優勝おめでとう。セフィラちゃん!」
「よかったら俺と付き合ってくれないか??」
何か余計な声が聞こえた気がするが。
それから俺たちは金庫に金貨と表彰状を置いてから海へ。
海の底がよく見えるほど綺麗な海に腰までつかる。
「優勝おめでとう。これがセフィラの純粋で、素敵な人だって証拠だよ。とっても素敵な人だと思う。理解できた? もっと自信持ってほしいんだよ。自分のことを。セフィラ、いっつも謙遜ばっかりしてるからさ──」
「そ、そうですか……。ありがとうございます。私、もっと自分に自信を持ってみます!」
顔が真っ赤にしながらセフィラはそう話す。少し、表情が明るくなったようにも思える。これから、自分に自信が持てるようになるといいね。
「俺なんかと違ってセフィラキレイだし。素敵な人とか、できると思うよ」
「え? 陽平さん、本当に恋愛とかしたことないんですか?」
その言葉に俺はズキッと心の中に衝撃を受ける。
「俺は……、異性と交際したことはない。」
「え? 普通の年頃の人って異性と交際したりするんですよね。ましてや陽平さんは世界を救いになった勇者。ですよね。異性という観点ならかなり選びたい放題になれますよね。極端な話、女の子いっぱいのハーレム状態とかもできなくはないと思います」
「ハーレムねぇ~~。聞き心地はいいかもしれないけど、実際にあったら地獄だと思うぞ。
俺は、勇者になるまで、異性とは無縁の生活を送っていて、どう接していいかいまだによくわからないんだ。
非常時ならまだしも、女の子と日常会話をするって聞いただけで気が重くなる。絶対黙りこくって気まずい雰囲気になって、陰キャとかコミュ障とか陰でボロクソに言われるにきまってる。そんなふうにどうしても考えてしまうんだよ!」
普通の年頃。確かに普通ならそうかもしれない。けど、俺は普通の年頃じゃないんだ。
「お、俺はなんて灰色の青春を送っていたんだ……」
俺は涙目になりながら囁く。するとセフィラがオドオドとしながら慰めてきた。
「だ、だ、だ、大丈夫ですよ。 陽平さんを受け入れてくれる人だって絶対にいますから」
セフィラ、ありがとう。俺、何か勇気が出た。
「セ、セフィラ、ありがとう」
「それに私は知っていますから。陽平さん。確かに異性という観点では物足りなさを感じていますけど、正義感が強くて、どんな時も他人への思いやりがあって、いい人だって、陽平さんと旅ができて、本当に良かったって本当に思ってますから。だから、そこまで自分を卑下するのはやめてください!」
セフィラが必死になって俺をなだめてくれるのがわかる。本当にありがとう。これからは、自信を持って行動するよ。
それからも俺たちは海で遊んだ。たまにセフィラがナンパされたり、楽しいこともあった。
そして夕方──。
「そろそろ、ホテルに帰りましょう」
「──そうだな」
海に沈む夕焼けを見ながら俺は考えた。
セフィラ、いつもローザの傍らにいる物静かな子だった。
お前は決して地味なんかじゃない。
もっと自信が持てるようになるといいな。
そんなことを考えながら、俺たちはホテルへと帰っていった。
夜は、みんなで外に出て出店の屋台をごちそうになる。
ナンや、ゲバブなど、見たことない異国の料理をおいしくいただいた。
その中でルシフェルがセフィラに話しかける。
「セフィラちゃん。今日のデートはどうだった?」
「どうだった。というと?」
「陽君、全然しゃべってないとか、場所選びのセンスがないとか、変なことしてきたとか、不満に思ったこと、正直に答えていいのよ」
まて、前2つはわかるが、最後は何だ最後は。そんなことしないよ。
「そ、そ、そんなことはないです。ちょっと、不器用とは感じましたが、親切でしたし、とても楽しかったです」
セフィラがあわあわとしながら答える。とりあえず、濡れ衣は着せられなくて。
「そうね。セフィラの言葉、信じることにするわ」
そしてルシフェルはドリンクを口にする。すると、ローザが手に持っているパンを皿に置くと、話に加わってくる。
「そういえば、明日は警備の日です。うまくいけるといいですね」
「そうだな」
「ええ。平和に建国祭をみんなが過ごせるように頑張りましょう」
そう、明日は警備の担当日。先日のエミールのこともあり、何があってもおかしくはない。けど、力を合わせて頑張ろう。
そして俺たちは食事を終わらせ、ホテルへ帰る。
建国祭の警備、大変なこともあるだろうけど、頑張ろう。
結果発表。受付のお姉さんが、壇上で叫ぶ。
「優勝は、最後にアピールを行ったセフィラさんでーす」
「え! 私が──、ドッキリかなにかですか?」
その言葉を信じ切れず、動揺しているセフィラ。俺はセフィラの前に立ち、両手をぎゅっと握る。
「そんなことないよ、純粋なセフィラの魅力だよ。しょうこに、周囲の声を聴いてみ?」
「やっぱり、セフィラちゃんよね。私も一票入れたわ」
「だよなー。嫁にしたいくらいのかわいさだったぜ」
「うう……」
その言葉に、認めざるを得ないのだろう。自分の魅力を。
「じゃあ、表彰の方、行ってきなよ」
「──わかりました」
そしてセフィラは壇上に上がり賞金の金貨と表彰状を受け取る。
観客席に目を抜け、ぺこりとお辞儀をすると、観客たちから盛大な拍手と歓声を受ける。
「優勝おめでとう。セフィラちゃん!」
「よかったら俺と付き合ってくれないか??」
何か余計な声が聞こえた気がするが。
それから俺たちは金庫に金貨と表彰状を置いてから海へ。
海の底がよく見えるほど綺麗な海に腰までつかる。
「優勝おめでとう。これがセフィラの純粋で、素敵な人だって証拠だよ。とっても素敵な人だと思う。理解できた? もっと自信持ってほしいんだよ。自分のことを。セフィラ、いっつも謙遜ばっかりしてるからさ──」
「そ、そうですか……。ありがとうございます。私、もっと自分に自信を持ってみます!」
顔が真っ赤にしながらセフィラはそう話す。少し、表情が明るくなったようにも思える。これから、自分に自信が持てるようになるといいね。
「俺なんかと違ってセフィラキレイだし。素敵な人とか、できると思うよ」
「え? 陽平さん、本当に恋愛とかしたことないんですか?」
その言葉に俺はズキッと心の中に衝撃を受ける。
「俺は……、異性と交際したことはない。」
「え? 普通の年頃の人って異性と交際したりするんですよね。ましてや陽平さんは世界を救いになった勇者。ですよね。異性という観点ならかなり選びたい放題になれますよね。極端な話、女の子いっぱいのハーレム状態とかもできなくはないと思います」
「ハーレムねぇ~~。聞き心地はいいかもしれないけど、実際にあったら地獄だと思うぞ。
俺は、勇者になるまで、異性とは無縁の生活を送っていて、どう接していいかいまだによくわからないんだ。
非常時ならまだしも、女の子と日常会話をするって聞いただけで気が重くなる。絶対黙りこくって気まずい雰囲気になって、陰キャとかコミュ障とか陰でボロクソに言われるにきまってる。そんなふうにどうしても考えてしまうんだよ!」
普通の年頃。確かに普通ならそうかもしれない。けど、俺は普通の年頃じゃないんだ。
「お、俺はなんて灰色の青春を送っていたんだ……」
俺は涙目になりながら囁く。するとセフィラがオドオドとしながら慰めてきた。
「だ、だ、だ、大丈夫ですよ。 陽平さんを受け入れてくれる人だって絶対にいますから」
セフィラ、ありがとう。俺、何か勇気が出た。
「セ、セフィラ、ありがとう」
「それに私は知っていますから。陽平さん。確かに異性という観点では物足りなさを感じていますけど、正義感が強くて、どんな時も他人への思いやりがあって、いい人だって、陽平さんと旅ができて、本当に良かったって本当に思ってますから。だから、そこまで自分を卑下するのはやめてください!」
セフィラが必死になって俺をなだめてくれるのがわかる。本当にありがとう。これからは、自信を持って行動するよ。
それからも俺たちは海で遊んだ。たまにセフィラがナンパされたり、楽しいこともあった。
そして夕方──。
「そろそろ、ホテルに帰りましょう」
「──そうだな」
海に沈む夕焼けを見ながら俺は考えた。
セフィラ、いつもローザの傍らにいる物静かな子だった。
お前は決して地味なんかじゃない。
もっと自信が持てるようになるといいな。
そんなことを考えながら、俺たちはホテルへと帰っていった。
夜は、みんなで外に出て出店の屋台をごちそうになる。
ナンや、ゲバブなど、見たことない異国の料理をおいしくいただいた。
その中でルシフェルがセフィラに話しかける。
「セフィラちゃん。今日のデートはどうだった?」
「どうだった。というと?」
「陽君、全然しゃべってないとか、場所選びのセンスがないとか、変なことしてきたとか、不満に思ったこと、正直に答えていいのよ」
まて、前2つはわかるが、最後は何だ最後は。そんなことしないよ。
「そ、そ、そんなことはないです。ちょっと、不器用とは感じましたが、親切でしたし、とても楽しかったです」
セフィラがあわあわとしながら答える。とりあえず、濡れ衣は着せられなくて。
「そうね。セフィラの言葉、信じることにするわ」
そしてルシフェルはドリンクを口にする。すると、ローザが手に持っているパンを皿に置くと、話に加わってくる。
「そういえば、明日は警備の日です。うまくいけるといいですね」
「そうだな」
「ええ。平和に建国祭をみんなが過ごせるように頑張りましょう」
そう、明日は警備の担当日。先日のエミールのこともあり、何があってもおかしくはない。けど、力を合わせて頑張ろう。
そして俺たちは食事を終わらせ、ホテルへ帰る。
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