78 / 103
パトラ編
第78話 元勇者 パトラさんと大人のアレをする
しおりを挟む
「大丈夫よ。似合っているじゃない」
ルシフェルが親指を立ててOKする。
「陽君。かっこいいよ執事みたい!」
「私も、大丈夫だと思います!」
「彼氏役も今日で最後ね。最後くらいびしっと決めてきなさい」
ルシフェルがバシンと元気に俺の背中をたたく。
「じゃあ、行ってくるよ!」
そして俺は店の中へ。
珍しく気を利かせたのか、ルシフェルはローザとセフィラとともに、店の外から観察している。
「パトラさん。おはようございます。今日でここにいるのも最後ですね」
「はい、陽平さん。本当にあっという間でした」
上品な香りがするコーヒーを優雅にすすりながら。綺麗な純白のドレス姿を来たパトラさんの姿があった。
とても美しく、上品だ。お姫様という言葉がとても似あっている。そしてエマがしゃべりだす。
「とても素敵な人だと思ったっチュ。元勇者さんなら私が嫁になってもいいチュ」
「へ、変な冗談言うなよ……」
「私はこれで失礼するっチュ。後はお二人でいちゃいちゃするっチュ」
「そうですか、それではエマも元気でいてくださいね」
そういってエマは静かに席を立った。
パトラさんの穏やかな笑みに、彼女がペコリと一礼をして返す。
その姿は、いつもの陽気ながらも礼儀正しさを忘れない物に戻っているが、その表情には隠しきれない喜びが浮かんでいたのが俺にはわかる。
というかいちゃいちゃって──。思わずドキッとしてしまう。
しかし、恋人になる予想もしなかった依頼にいろいろと困惑したけれど。
もうすぐその依頼が終わるというのは少しさびしい気持ちを感じる。
「お姫様の恋人っていうのも、本当に大変ですね」
本当だよ。ビシッとした服装、マナー、礼儀。本当に神経を使う。
「まあ、大変そうなのは伝わっていました」
「僕なんかじゃ──、やっぱり釣り合わないですよね」
「確かにそれは言えるかもしれません。異性としては、何かあるとおどおどしたり、戸惑ったりしていて頼りなさを感じていました」
俺は少しだけ苦い顔を浮かべて作り笑いをする。やっぱりわかっていたのか。
「まあ、ろくに異性と付き合ったことなんてないですしね」
「でも、あなたは強引なところはとても強引で、ここぞというとき、自らの正義を貫く時は本当に引きませんね。そこは素敵だと感じました」
「はは……、ありがとうございます」
俺は苦笑いをしながらわずかに頭を下げる。まあそりゃそうだ、そうでなきゃ勇者なんてやってられない。
「そういう所、勇者として見直しました。今のところは、とりあえず、こんなお礼はどうでしょうか?」
するとパトラさんはフッと微笑を浮かべた後顔を俺に近づける。
そしてほんの少し、口づけが触れる。
甘美な香水の香り、柔らかく甘い唇の感触。
「え……、ちょっ、パトラさん待って!!」
「依頼を受けてくれたこと、そして皆を救ってくれた感謝の気持ちの一つです」
いやいや、そんなことでキスなんておかしいって。これじゃあまるで本当の恋人同士じゃないか。
触れるだけの口づけ 俺は体をカッと体を赤くする。
「いきなり、そ、そんな──」
「そうですか、それではこれはどうでしょうか?」
いつものように無表情だが、パトラさんの頬がうっすらと赤くなっているのが分かる。
ついばむような口付けが俺の唇に伝わってくる。
「え?? ちょっと、それはさすがに──!!」
何とパトラは俺の口の中に舌を突っ込んできた。
溶けそうで柔らかい舌が俺の歯茎に触れ、舌に巻きつく。
絡み合う舌、温かい彼女の体温を感じる。互いの温かさが少しずつ混ざり合い、口の中が溶け合っていく感覚。
その感覚で、俺の心も意志も少しずつ溶け合い、パトラさんと1つになってしまいそうな感覚になる。
待ってくれ、こんなの生まれて初めてだ
時間にしてほんの数秒だが俺にとっては永遠ともいえる時間。
「もし私と本当に交際を認めてもらうならば──」
そう言ってパトラは俺の耳元に顔を近づけ甘く囁く。
「それ以上の事、してあげましょうか?」
微笑を浮かべながら、俺のほほにそっと指先をはわせる。くすぐったいような冷たい指の感覚。おい待て、流石にそれはまずいって!!
「陽君、何やってんの!! エッチ!!」
「うわっ、 最低──!! いくら任務を遂行したからって体を要求するなんて!!」
「陽平さん、ひどいです」
ルシフェル、ローザ、セフィラ、突然の乱入、そうだった。見張りと称してこの部屋の外から俺達の行動を見ていたんだ──。
するとパトラさんはからかうような微笑を浮かべて俺たち全員に視線を送る。
「まあ、みなさんのように素敵な女性に囲まれていては仕方がありません。この話は考えておいてください」
「この話──? あんた何考えていたの? 説明しなさい」
「不埒です。不潔です。見損ないましたよ!!」
「ちょっと待ってパトラさん。誤解を招くような発言はやめてください!!」
この後、3人の誤解を解くのに相当な苦労を要したのは別の話。
いろいろあったがこれで依頼は終了。
異性と交際って、大変だ。俺に務まるのかな? それがよくわかる依頼だった。
ルシフェルが親指を立ててOKする。
「陽君。かっこいいよ執事みたい!」
「私も、大丈夫だと思います!」
「彼氏役も今日で最後ね。最後くらいびしっと決めてきなさい」
ルシフェルがバシンと元気に俺の背中をたたく。
「じゃあ、行ってくるよ!」
そして俺は店の中へ。
珍しく気を利かせたのか、ルシフェルはローザとセフィラとともに、店の外から観察している。
「パトラさん。おはようございます。今日でここにいるのも最後ですね」
「はい、陽平さん。本当にあっという間でした」
上品な香りがするコーヒーを優雅にすすりながら。綺麗な純白のドレス姿を来たパトラさんの姿があった。
とても美しく、上品だ。お姫様という言葉がとても似あっている。そしてエマがしゃべりだす。
「とても素敵な人だと思ったっチュ。元勇者さんなら私が嫁になってもいいチュ」
「へ、変な冗談言うなよ……」
「私はこれで失礼するっチュ。後はお二人でいちゃいちゃするっチュ」
「そうですか、それではエマも元気でいてくださいね」
そういってエマは静かに席を立った。
パトラさんの穏やかな笑みに、彼女がペコリと一礼をして返す。
その姿は、いつもの陽気ながらも礼儀正しさを忘れない物に戻っているが、その表情には隠しきれない喜びが浮かんでいたのが俺にはわかる。
というかいちゃいちゃって──。思わずドキッとしてしまう。
しかし、恋人になる予想もしなかった依頼にいろいろと困惑したけれど。
もうすぐその依頼が終わるというのは少しさびしい気持ちを感じる。
「お姫様の恋人っていうのも、本当に大変ですね」
本当だよ。ビシッとした服装、マナー、礼儀。本当に神経を使う。
「まあ、大変そうなのは伝わっていました」
「僕なんかじゃ──、やっぱり釣り合わないですよね」
「確かにそれは言えるかもしれません。異性としては、何かあるとおどおどしたり、戸惑ったりしていて頼りなさを感じていました」
俺は少しだけ苦い顔を浮かべて作り笑いをする。やっぱりわかっていたのか。
「まあ、ろくに異性と付き合ったことなんてないですしね」
「でも、あなたは強引なところはとても強引で、ここぞというとき、自らの正義を貫く時は本当に引きませんね。そこは素敵だと感じました」
「はは……、ありがとうございます」
俺は苦笑いをしながらわずかに頭を下げる。まあそりゃそうだ、そうでなきゃ勇者なんてやってられない。
「そういう所、勇者として見直しました。今のところは、とりあえず、こんなお礼はどうでしょうか?」
するとパトラさんはフッと微笑を浮かべた後顔を俺に近づける。
そしてほんの少し、口づけが触れる。
甘美な香水の香り、柔らかく甘い唇の感触。
「え……、ちょっ、パトラさん待って!!」
「依頼を受けてくれたこと、そして皆を救ってくれた感謝の気持ちの一つです」
いやいや、そんなことでキスなんておかしいって。これじゃあまるで本当の恋人同士じゃないか。
触れるだけの口づけ 俺は体をカッと体を赤くする。
「いきなり、そ、そんな──」
「そうですか、それではこれはどうでしょうか?」
いつものように無表情だが、パトラさんの頬がうっすらと赤くなっているのが分かる。
ついばむような口付けが俺の唇に伝わってくる。
「え?? ちょっと、それはさすがに──!!」
何とパトラは俺の口の中に舌を突っ込んできた。
溶けそうで柔らかい舌が俺の歯茎に触れ、舌に巻きつく。
絡み合う舌、温かい彼女の体温を感じる。互いの温かさが少しずつ混ざり合い、口の中が溶け合っていく感覚。
その感覚で、俺の心も意志も少しずつ溶け合い、パトラさんと1つになってしまいそうな感覚になる。
待ってくれ、こんなの生まれて初めてだ
時間にしてほんの数秒だが俺にとっては永遠ともいえる時間。
「もし私と本当に交際を認めてもらうならば──」
そう言ってパトラは俺の耳元に顔を近づけ甘く囁く。
「それ以上の事、してあげましょうか?」
微笑を浮かべながら、俺のほほにそっと指先をはわせる。くすぐったいような冷たい指の感覚。おい待て、流石にそれはまずいって!!
「陽君、何やってんの!! エッチ!!」
「うわっ、 最低──!! いくら任務を遂行したからって体を要求するなんて!!」
「陽平さん、ひどいです」
ルシフェル、ローザ、セフィラ、突然の乱入、そうだった。見張りと称してこの部屋の外から俺達の行動を見ていたんだ──。
するとパトラさんはからかうような微笑を浮かべて俺たち全員に視線を送る。
「まあ、みなさんのように素敵な女性に囲まれていては仕方がありません。この話は考えておいてください」
「この話──? あんた何考えていたの? 説明しなさい」
「不埒です。不潔です。見損ないましたよ!!」
「ちょっと待ってパトラさん。誤解を招くような発言はやめてください!!」
この後、3人の誤解を解くのに相当な苦労を要したのは別の話。
いろいろあったがこれで依頼は終了。
異性と交際って、大変だ。俺に務まるのかな? それがよくわかる依頼だった。
0
お気に入りに追加
63
あなたにおすすめの小説
狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・
マーラッシュ
ファンタジー
何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。
異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。
ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。
断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。
勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。
ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。
勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。
プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。
しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。
それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。
そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。
これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。
今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので
sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。
早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。
なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。
※魔法と剣の世界です。
※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。
スキルスティール〜悪い奴から根こそぎ奪って何が悪い!能無しと追放されるも実はチート持ちだった!
KeyBow
ファンタジー
日常のありふれた生活が一変!古本屋で何気に手に取り開けた本のタイトルは【猿でも分かるスキルスティール取得法】
変な本だと感じつい見てしまう。そこにはこう有った。
【アホが見ーる馬のけーつ♪
スキルスティールをやるから魔王を倒してこい!まお頑張れや 】
はっ!?と思うとお城の中に。城の誰かに召喚されたが、無能者として暗殺者をけしかけられたりする。
出会った猫耳ツインズがぺったんこだけど可愛すぎるんですが!エルフの美女が恋人に?何故かヒューマンの恋人ができません!
行き当たりばったりで異世界ライフを満喫していく。自重って何?という物語。
悪人からは遠慮なくスキルをいただきまーーーす!ざまぁっす!
一癖も二癖もある仲間と歩む珍道中!
神の手違い転生。悪と理不尽と運命を無双します!
yoshikazu
ファンタジー
橘 涼太。高校1年生。突然の交通事故で命を落としてしまう。
しかしそれは神のミスによるものだった。
神は橘 涼太の魂を神界に呼び謝罪する。その時、神は橘 涼太を気に入ってしまう。
そして橘 涼太に提案をする。
『魔法と剣の世界に転生してみないか?』と。
橘 涼太は快く承諾して記憶を消されて転生先へと旅立ちミハエルとなる。
しかし神は転生先のステータスの平均設定を勘違いして気付いた時には100倍の設定になっていた。
さらにミハエルは〈光の加護〉を受けておりステータスが合わせて1000倍になりスキルも数と質がパワーアップしていたのだ。
これは神の手違いでミハエルがとてつもないステータスとスキルを提げて世の中の悪と理不尽と運命に立ち向かう物語である。
オタクな母娘が異世界転生しちゃいました
yanako
ファンタジー
中学生のオタクな娘とアラフィフオタク母が異世界転生しちゃいました。
二人合わせて読んだ異世界転生小説は一体何冊なのか!転生しちゃった世界は一体どの話なのか!
ごく普通の一般日本人が転生したら、どうなる?どうする?
マッチョな料理人が送る、異世界のんびり生活。 〜強面、筋骨隆々、とても強い。 でもとっても優しい男が異世界でのんびり暮らすお話〜
かむら
ファンタジー
【ファンタジー小説大賞にて、ジョブ・スキル賞受賞しました!】
身長190センチ、筋骨隆々、彫りの深い強面という見た目をした男、舘野秀治(たてのしゅうじ)は、ある日、目を覚ますと、見知らぬ土地に降り立っていた。
そこは魔物や魔法が存在している異世界で、元の世界に帰る方法も分からず、行く当ても無い秀治は、偶然出会った者達に勧められ、ある冒険者ギルドで働くことになった。
これはそんな秀治と仲間達による、のんびりほのぼのとした異世界生活のお話。
利己的な聖人候補~とりあえず異世界でワガママさせてもらいます
やまなぎ
ファンタジー
9/11 コミカライズ再スタート!
神様は私を殉教者と認め〝聖人〟にならないかと誘ってきた。
だけど、私はどうしても生きたかった。小幡初子(おばた・はつこ)22歳。
渋々OKした神様の嫌がらせか、なかなかヒドイ目に遭いながらも転生。
でも、そこにいた〝ワタシ〟は6歳児。しかも孤児。そして、そこは魔法のある不思議な世界。
ここで、どうやって生活するの!?
とりあえず村の人は優しいし、祖父の雑貨店が遺されたので何とか居場所は確保できたし、
どうやら、私をリクルートした神様から2つの不思議な力と魔法力も貰ったようだ。
これがあれば生き抜けるかもしれない。
ならば〝やりたい放題でワガママに生きる〟を目標に、新生活始めます!!
ーーーーーー
ちょっとアブナイ従者や人使いの荒い後見人など、多くの出会いを重ねながら、つい人の世話を焼いてしまう〝オバちゃん度〟高めの美少女の物語。
時の果てのレイジ
北浦寒山
SF
謎の存在「レイジ」を巡って対立する「OZ」と「MM」の二つの組織。
時間を越えるテレパシーを持ってしまった中学生、真佐崎あかりは否応なく戦いに巻き込まれていく。
あかりを守るため「OZ」から送り込まれるジュディ。
「MM」からあかりを監視もしくは抹殺するために送り込まれたネコ。
対立する二人の間であかりの心は揺れ動く。
能力者の同士として心を開くジュディ、あかりと触れ合って心が揺れ始めるネコ。
「こんなの、わたしじゃない!」
「超越者」の秘密をめぐって繰り広げられる超能力者たちの死闘。
能力者同士の戦いに「連想攻撃」が加わるとき、人間は「崩壊」する。
誘拐された親友みつるを救うためにあかりは敵地に乗りこむ。
二つの組織が決戦を繰り広げる中、あかりの真の能力が目覚める。
あかりは人類の明日を救うことができるのか。
四人の少女たちによる波瀾万丈の半年間の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる