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フリジオ王国編
唯一王、レディナの微笑に気付く
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「了解しました。その部屋、しばらく借りさせていただきますね」
「ちょ、ちょっとまでフリーゼ」
何と俺が返事を返す前にフリーゼが勝手に了承してしまったのだ。慌ててフリーゼに話しかける。
「フリーゼだって男の人と一緒の部屋で寝るなんて嫌でしょう?」
「私は、フライさんと一緒なら構いませんよ。レディナとハリーセルも、同じこと言うでしょう。それとも、私達と寝ると聞いただけで理性が持たないとか」
「そ、そういう事じゃないけれど」
……無防備すぎるこいつに俺は少し心配になってしまう。いつか本当に間違いが起こってしまうのではないかと。
「兄ちゃん。うちの部屋、それなりに防音対策はしているから夜、激しく変なことしても大丈夫だから、安心してお愉しみをしてくれよ」
ホテルのおじさんも茶化すように言ってくる。
これじゃあ断りようがない。仕方がないか──。
「分かりました。その部屋、しばらくお借りいたします」
「ありがとうございました。存分にお楽しみくださいね」
そして俺たちはキーを受け取り、ハリーセルとレディナを呼んでくる。そして階段を上がり、用意された部屋へ。
「はー、疲れたフィッシュ」
「そうね、しばらく休もうかしら」
俺たちは歩き続けて疲れていたせいか、すぐに荷物を床に置いてベッドに身を投げる。
そしてしばらく会話が途切れる。ハリーセルに至ってはいびきをかいて寝ているのがわかる。
しばらくはそっとしておこう。
それからしばらく昼寝をして体を休める。夕日が部屋の中に入ってきたころに、俺は周囲が起きているのを確認。
「みんな、起きてるか──」
「起きてるわよ。っていうか夕方になっちゃったわね」
レディナに続き、フリーゼとハリーセルも起きる様子を見せる。夕飯でも作るか。
夕食は、有り合わせの物で簡単に作った。
安く市場で買った鶏肉に、塩で味付け、それから、野菜を焼いて一緒に食べる。
あとはライ麦のパン。
贅沢な食事とは言えないけれど、おいしい味がした。
「ごはん、おいしいフィッシュ」
「はい、みんなで食べると、とてもおいしい気がします」
「──そうね、ご馳走様」
レディナの、どこか安心したような表情でのその言葉。
安らかな微笑だ。
──ちょっと、会話してみるか。
食後、フリーゼが気を聞かせてくれたようでコーヒーを入れてくれた。
「よろしかったら、どうぞ」
「フリーゼ、ありがとう」
とりあえず、コーヒーを飲みながらレディナに、思ったことを話そう。
「レディナ。なんか会った時と印象が変わったなって、思った」
俺の言葉に彼女ははっと表情を変え、近くにいる椅子に座った後言葉を返してくる。
「印象が変わったって、どういう事よ」
「ん~~、なんていうか、会った時より話しやすい気がする。出会った時より砕けていて、親しみやすい気がするんだよね」
その言葉にレディナが照れたように顔が赤くなり、自身のカールした髪をくるくると撫でまわし始めた。
困り果てたような表情をしながら。
「な、何よいきなり。褒めたって何にも出ないわよ」
「けど、一緒に服を選んだり、会話をしている時とか、どこか楽しそうにしていたように見えたんだけど、気のせいかな?」
するとレディナは目を伏せ、少しの間考えこんだ後、顔を上げる。
「このすけこまし! ……正直に言うと、今まで楽しいなんて感情、味わったことなんてなかった。けれど、これが楽しいってことかな……、と考えるようにはなってはいるわね」
「回りくどい言い方ですね──」
「もしかしてレディナ、笑ってるフィッシュ?」
その言葉にレディナの顔が真っ赤になる。そして──。
「わ、笑ってる? そ、そ、そ、そんなわけないでしょ! からかうのもいい加減にしなさい!」
「からかってないよ。本当のことを言っているんだよ」
「わ、私をほめたってなにも出ないわよ。そういうことはハリーセルやフリーゼに言いなさい」
レディナがそう言いながら表情を背ける。どう考えても照れているのがわかる。
「いえ、今のレディナさんは、言葉こそ出さないもののとても喜んでいるように見えます。自分の気持ちに、もう少し素直になったらいいのではないでしょうか」
「素直に──。変なこと言うんじゃないの。別に、喜んでいるわけじゃないわ。……もう」
「これがツンデレというやつだフィッシュ」
レディナの顔がさらに赤くなり、まるでリンゴのようだ。
彼女は本心を出すのが苦手なんだと思う。それでもどこか打ち解けることができるような気がした。
「じゃあ、楽しい時間はこれでいいかしら? これから重要な話、私の頼みをしたいのだけれど──」
レディナの表情が真剣なものに変わる。その雰囲気を察したフリーゼ、そして楽しそうだったハリーセルも、空気を読んでかおとなしくなった。
「それで、頼み事って何だ?」
「簡単に言うと、私が住んでいた遺跡を取り戻してほしいの」
「遺跡、それってもともとレディナが住んでいた遺跡のことか?」
「そうよ」
取り戻す? 誰かに占領されてしまったということか?
「その前に、良く理由を聞かせてほしいです。どういう事があったか説明をお願いします」
フリーゼの言う通りだ。まずは何があったかを聞きたい。
そしてレディナは手に持っていたコーヒーを机に置き、遠目に視線を覆き始め、何があったかを話し始めた。
「ちょ、ちょっとまでフリーゼ」
何と俺が返事を返す前にフリーゼが勝手に了承してしまったのだ。慌ててフリーゼに話しかける。
「フリーゼだって男の人と一緒の部屋で寝るなんて嫌でしょう?」
「私は、フライさんと一緒なら構いませんよ。レディナとハリーセルも、同じこと言うでしょう。それとも、私達と寝ると聞いただけで理性が持たないとか」
「そ、そういう事じゃないけれど」
……無防備すぎるこいつに俺は少し心配になってしまう。いつか本当に間違いが起こってしまうのではないかと。
「兄ちゃん。うちの部屋、それなりに防音対策はしているから夜、激しく変なことしても大丈夫だから、安心してお愉しみをしてくれよ」
ホテルのおじさんも茶化すように言ってくる。
これじゃあ断りようがない。仕方がないか──。
「分かりました。その部屋、しばらくお借りいたします」
「ありがとうございました。存分にお楽しみくださいね」
そして俺たちはキーを受け取り、ハリーセルとレディナを呼んでくる。そして階段を上がり、用意された部屋へ。
「はー、疲れたフィッシュ」
「そうね、しばらく休もうかしら」
俺たちは歩き続けて疲れていたせいか、すぐに荷物を床に置いてベッドに身を投げる。
そしてしばらく会話が途切れる。ハリーセルに至ってはいびきをかいて寝ているのがわかる。
しばらくはそっとしておこう。
それからしばらく昼寝をして体を休める。夕日が部屋の中に入ってきたころに、俺は周囲が起きているのを確認。
「みんな、起きてるか──」
「起きてるわよ。っていうか夕方になっちゃったわね」
レディナに続き、フリーゼとハリーセルも起きる様子を見せる。夕飯でも作るか。
夕食は、有り合わせの物で簡単に作った。
安く市場で買った鶏肉に、塩で味付け、それから、野菜を焼いて一緒に食べる。
あとはライ麦のパン。
贅沢な食事とは言えないけれど、おいしい味がした。
「ごはん、おいしいフィッシュ」
「はい、みんなで食べると、とてもおいしい気がします」
「──そうね、ご馳走様」
レディナの、どこか安心したような表情でのその言葉。
安らかな微笑だ。
──ちょっと、会話してみるか。
食後、フリーゼが気を聞かせてくれたようでコーヒーを入れてくれた。
「よろしかったら、どうぞ」
「フリーゼ、ありがとう」
とりあえず、コーヒーを飲みながらレディナに、思ったことを話そう。
「レディナ。なんか会った時と印象が変わったなって、思った」
俺の言葉に彼女ははっと表情を変え、近くにいる椅子に座った後言葉を返してくる。
「印象が変わったって、どういう事よ」
「ん~~、なんていうか、会った時より話しやすい気がする。出会った時より砕けていて、親しみやすい気がするんだよね」
その言葉にレディナが照れたように顔が赤くなり、自身のカールした髪をくるくると撫でまわし始めた。
困り果てたような表情をしながら。
「な、何よいきなり。褒めたって何にも出ないわよ」
「けど、一緒に服を選んだり、会話をしている時とか、どこか楽しそうにしていたように見えたんだけど、気のせいかな?」
するとレディナは目を伏せ、少しの間考えこんだ後、顔を上げる。
「このすけこまし! ……正直に言うと、今まで楽しいなんて感情、味わったことなんてなかった。けれど、これが楽しいってことかな……、と考えるようにはなってはいるわね」
「回りくどい言い方ですね──」
「もしかしてレディナ、笑ってるフィッシュ?」
その言葉にレディナの顔が真っ赤になる。そして──。
「わ、笑ってる? そ、そ、そ、そんなわけないでしょ! からかうのもいい加減にしなさい!」
「からかってないよ。本当のことを言っているんだよ」
「わ、私をほめたってなにも出ないわよ。そういうことはハリーセルやフリーゼに言いなさい」
レディナがそう言いながら表情を背ける。どう考えても照れているのがわかる。
「いえ、今のレディナさんは、言葉こそ出さないもののとても喜んでいるように見えます。自分の気持ちに、もう少し素直になったらいいのではないでしょうか」
「素直に──。変なこと言うんじゃないの。別に、喜んでいるわけじゃないわ。……もう」
「これがツンデレというやつだフィッシュ」
レディナの顔がさらに赤くなり、まるでリンゴのようだ。
彼女は本心を出すのが苦手なんだと思う。それでもどこか打ち解けることができるような気がした。
「じゃあ、楽しい時間はこれでいいかしら? これから重要な話、私の頼みをしたいのだけれど──」
レディナの表情が真剣なものに変わる。その雰囲気を察したフリーゼ、そして楽しそうだったハリーセルも、空気を読んでかおとなしくなった。
「それで、頼み事って何だ?」
「簡単に言うと、私が住んでいた遺跡を取り戻してほしいの」
「遺跡、それってもともとレディナが住んでいた遺跡のことか?」
「そうよ」
取り戻す? 誰かに占領されてしまったということか?
「その前に、良く理由を聞かせてほしいです。どういう事があったか説明をお願いします」
フリーゼの言う通りだ。まずは何があったかを聞きたい。
そしてレディナは手に持っていたコーヒーを机に置き、遠目に視線を覆き始め、何があったかを話し始めた。
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