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崩壊
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キルコの言葉にトランは以前見ていたこのパーティーの行動を思い出した。
(こいつが嘘をついているようには見えねぇ。待てよ、あの時もう一人いたよな。あいつ、魔力を使ってこいつらを……。なるほど、そういう事か)
「──わかったぞ。以前もう一人いたろ。雑用とかしていたやつが。そいつが加護とか使ってたんだ。その時は確かにSランクに恥じない強さがあった。今とは違って、おそらくそいつがお前たちの術式を強化していてSランクの力を発揮させていたんだ」
もう一人、それは当然フライのことだ。その言葉に激しく憤るアドナとウェルキ。
当然だ、フライはこのパーティーの足かせ。
雑用くらいしかなく幼なじみというだけでこのパーティーに入っている無能。
こいつを首にした今、このパーティーから邪魔者がいなくなりさらなる高みに進む──はずだった。
「知らねぇよあんなやつ。加護? ああ、あのクソ野郎が行ってたな。俺たちがせっかく戦ってやってんのに下らねえことを。だから言い返してやってんだよ。そんなところで油売ってねぇでてめぇもサッサと戦えってな。まあ、アイツチキンだから戦うなんてしなかったけどな」
だから、彼がこのパーティーの要なんてこと、あっていいはずがなかった。
現実は、どうであれ──。
「加護も知らねぇのかよお前たち。どれだけ脳筋なんだよ。そのおかげでお前たちは速度、パワーを強化できて、脳筋のお前たちでもごり押しで活躍できていた。後方の二人も、魔力を強化できて強い術式を撃てていたそれがない今。お前たちの化けの皮がはがれたってことだ」
「クソが! 好き放題言いやがって」
そして、二人が言い争いになっている最中を利用してアドナは作戦の実行に移した。この作戦。確かにここから脱出できる可能性は高いものの、とある犠牲を負ってしまう。
しかし、それをしなければアドナたちは確実に全滅してしまうだろう。
リーダーのアドナにとっては、苦渋の決断だった。
そしてアドナが三人にそれぞれ飛び回ってトランから告げられた作戦を説明する。
「……わかったよ。それしかないんだろう」
「──しょうがないわね。やればいいんでしょう」
「わかった」
ウェルキとキルコは腑に落ちないような、仕方がないというような態度で、ミュアは強気な表情で言葉を返した。
それからも、彼らは気力を振り絞ってポルセドラと戦っていく。
──とはいえ動きがバラバラなままでは打つ手などない。
そして、ボロボロになったアドナはイラつきながら、突き付けられた現実に対して心の中で叫ぶ。
(どうして、うまくいかないんだ。俺たちの足かせで、足を引っ張っているだけのフライがいなくなった。だから後は最強のパーティーとしてのストーリーが待っているはずだった。最強とたたえられ、誰からも尊敬され──、こんなはずじゃない。俺たちは最強なんだ。こんなの間違っている)
しかし、これは間違ってなどいない現実だ。
自らの願望と、現実のあまりの剥離。
アドナはその悔しさのあまり自身の剣を地面にたたきつける。
ドォォォォォォォォォォォォォォォン!
「これで最後だ、ゾイガー!」
一方トランはその実力で、一人ながらもなんとかゾイガー達を倒しきる。しかし魔力が底をつきつつある。
当然、ポルセドラと戦うにはあまりに足りない。
そこで、例の作戦の決行を決めた。自らの生き残りをかけて──。
「おい女。回復魔法、あと何回使える?」
「あと一回くらいしかできない」
「それを使ってくれ、その後俺とアドナが先陣を切ってもう一度こいつにとびかかる。それからそのスキをついてウェルキが飛び掛かってくれ、キルコとミュアはしっかり支援の方頼むぞ」
トランの案にミュアは戸惑いながらも納得、最後の回復術式を使い、全員の体力を回復させた。
これでミュアはほとんど魔力を使い切った。これでもう回復魔法やその他の支援魔法は使えない。
「よし、行くぞ」
そしてトランがミュアの方へと手をかざし、小声で一言。
「光れ──」
そうささやいた瞬間ミュアの体が黄色く光る。そうポルセドラが見ると攻撃をしてくる色だ。
ポルセドラは、すぐにミュアの方向に視線を向け、敵意を今までにないくらい送り始めた。
それを思い出したミュア。自らがおとりにされていることを理解し、恐怖する。
顔が引きつり、足がぶるぶると震えはじめた。
「仕方ねぇ。宝は惜しいが生き残ることが第一だ。だから一番足手まといなお前におとりになってもらうのが一番だ」
「ちょっと、私を置いてかないでよ」
ミュアの瞳から涙があふれ始める。
ポルセドラはミュアに視線を向けた。これもかというくらい敵意と殺気を持ちながら。
それを見たトラン、アドナたちに向かって叫ぶ。
「よし。逃げるぞお前たち」
「わかったよ」
そしてトランを先頭にウェルキたちも一緒に出口に向かって一目散に走り去っていった。
「ちょっと、アドナ、キルコ。私を置いてかないで!」
彼らの雰囲気からおとりにされていると気付いたミュアは涙目になりながら手を出して助けを乞う。
しかし、死ぬかもしれないという恐怖から解放されたい彼らにミュアの声は耳に入らない。
キルコだけが、憐みの眼で振り返り、ミュアの方へ向かおうとする。
「キルコ。何やってんだ。早く逃げるぞ!」
しかしアドナの声に反応し、すぐに出口の方向へ走ってしまう。いま彼女のところへ行けば、自分も敵だと扱われてしまうからだ。
「早く逃げるぞぉぉぉぉぉぉ」
そしてトランと、仲間だったアドナたちはそのまま走り去っていってしまった。
(こいつが嘘をついているようには見えねぇ。待てよ、あの時もう一人いたよな。あいつ、魔力を使ってこいつらを……。なるほど、そういう事か)
「──わかったぞ。以前もう一人いたろ。雑用とかしていたやつが。そいつが加護とか使ってたんだ。その時は確かにSランクに恥じない強さがあった。今とは違って、おそらくそいつがお前たちの術式を強化していてSランクの力を発揮させていたんだ」
もう一人、それは当然フライのことだ。その言葉に激しく憤るアドナとウェルキ。
当然だ、フライはこのパーティーの足かせ。
雑用くらいしかなく幼なじみというだけでこのパーティーに入っている無能。
こいつを首にした今、このパーティーから邪魔者がいなくなりさらなる高みに進む──はずだった。
「知らねぇよあんなやつ。加護? ああ、あのクソ野郎が行ってたな。俺たちがせっかく戦ってやってんのに下らねえことを。だから言い返してやってんだよ。そんなところで油売ってねぇでてめぇもサッサと戦えってな。まあ、アイツチキンだから戦うなんてしなかったけどな」
だから、彼がこのパーティーの要なんてこと、あっていいはずがなかった。
現実は、どうであれ──。
「加護も知らねぇのかよお前たち。どれだけ脳筋なんだよ。そのおかげでお前たちは速度、パワーを強化できて、脳筋のお前たちでもごり押しで活躍できていた。後方の二人も、魔力を強化できて強い術式を撃てていたそれがない今。お前たちの化けの皮がはがれたってことだ」
「クソが! 好き放題言いやがって」
そして、二人が言い争いになっている最中を利用してアドナは作戦の実行に移した。この作戦。確かにここから脱出できる可能性は高いものの、とある犠牲を負ってしまう。
しかし、それをしなければアドナたちは確実に全滅してしまうだろう。
リーダーのアドナにとっては、苦渋の決断だった。
そしてアドナが三人にそれぞれ飛び回ってトランから告げられた作戦を説明する。
「……わかったよ。それしかないんだろう」
「──しょうがないわね。やればいいんでしょう」
「わかった」
ウェルキとキルコは腑に落ちないような、仕方がないというような態度で、ミュアは強気な表情で言葉を返した。
それからも、彼らは気力を振り絞ってポルセドラと戦っていく。
──とはいえ動きがバラバラなままでは打つ手などない。
そして、ボロボロになったアドナはイラつきながら、突き付けられた現実に対して心の中で叫ぶ。
(どうして、うまくいかないんだ。俺たちの足かせで、足を引っ張っているだけのフライがいなくなった。だから後は最強のパーティーとしてのストーリーが待っているはずだった。最強とたたえられ、誰からも尊敬され──、こんなはずじゃない。俺たちは最強なんだ。こんなの間違っている)
しかし、これは間違ってなどいない現実だ。
自らの願望と、現実のあまりの剥離。
アドナはその悔しさのあまり自身の剣を地面にたたきつける。
ドォォォォォォォォォォォォォォォン!
「これで最後だ、ゾイガー!」
一方トランはその実力で、一人ながらもなんとかゾイガー達を倒しきる。しかし魔力が底をつきつつある。
当然、ポルセドラと戦うにはあまりに足りない。
そこで、例の作戦の決行を決めた。自らの生き残りをかけて──。
「おい女。回復魔法、あと何回使える?」
「あと一回くらいしかできない」
「それを使ってくれ、その後俺とアドナが先陣を切ってもう一度こいつにとびかかる。それからそのスキをついてウェルキが飛び掛かってくれ、キルコとミュアはしっかり支援の方頼むぞ」
トランの案にミュアは戸惑いながらも納得、最後の回復術式を使い、全員の体力を回復させた。
これでミュアはほとんど魔力を使い切った。これでもう回復魔法やその他の支援魔法は使えない。
「よし、行くぞ」
そしてトランがミュアの方へと手をかざし、小声で一言。
「光れ──」
そうささやいた瞬間ミュアの体が黄色く光る。そうポルセドラが見ると攻撃をしてくる色だ。
ポルセドラは、すぐにミュアの方向に視線を向け、敵意を今までにないくらい送り始めた。
それを思い出したミュア。自らがおとりにされていることを理解し、恐怖する。
顔が引きつり、足がぶるぶると震えはじめた。
「仕方ねぇ。宝は惜しいが生き残ることが第一だ。だから一番足手まといなお前におとりになってもらうのが一番だ」
「ちょっと、私を置いてかないでよ」
ミュアの瞳から涙があふれ始める。
ポルセドラはミュアに視線を向けた。これもかというくらい敵意と殺気を持ちながら。
それを見たトラン、アドナたちに向かって叫ぶ。
「よし。逃げるぞお前たち」
「わかったよ」
そしてトランを先頭にウェルキたちも一緒に出口に向かって一目散に走り去っていった。
「ちょっと、アドナ、キルコ。私を置いてかないで!」
彼らの雰囲気からおとりにされていると気付いたミュアは涙目になりながら手を出して助けを乞う。
しかし、死ぬかもしれないという恐怖から解放されたい彼らにミュアの声は耳に入らない。
キルコだけが、憐みの眼で振り返り、ミュアの方へ向かおうとする。
「キルコ。何やってんだ。早く逃げるぞ!」
しかしアドナの声に反応し、すぐに出口の方向へ走ってしまう。いま彼女のところへ行けば、自分も敵だと扱われてしまうからだ。
「早く逃げるぞぉぉぉぉぉぉ」
そしてトランと、仲間だったアドナたちはそのまま走り去っていってしまった。
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