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2章
アトラントローパ・到着
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バシィィン!!
思いっきりミシェウの背中を叩いた。痛そうに背中を抑えるミシェウ。それを無視してマリーに話かける。
「ごめんね、見苦しいところを見せちゃって」
「構わないですよ、見ていて楽しいですし」
苦笑いで答えるマリー。そうだ、マリーとも色々話してみようか。せっかくの機会だし。
「マリー、故郷の事とか聞いてみたいな。せっかく一緒になったんだから色々話そうよ」
「へぇ~~そんな速い馬があるんだ」
「ハンバーグって、この辺りで生まれた食べ物なんですね」
「そういうわけではないのですが、遊牧民族と親しかった故彼らからいろいろな文化を学んで、そのうちの一つがハンバーグです。それにジンギスカンなんかも教わりました」
「ああ、作戦じゃなくて食べ物ね」
イヤな作戦を思い出してしまった。でも、珍しい話を聞けるというのはとても嬉しい。私も、地元の話を話してみる。まあ、王宮のことを話すわけにはいかないからスラム街や一般層でのお話になっちゃうけど。
「へぇ、色々な亜人が集まるんですか? 大変そうです」
「まあ、大変といえば大変ね」
色々と、面白い話を聞けていい時間になった。私にとってもマリーにとっても有意義な時間だったと思う。色々と、王国にいたら聞けなかったことも色々と聞くことが出来た。この遊牧民や広大な土地に住んでいる人の価値観も。
それから夜の風景は──それはもう美しいの一言。きれいな空気と、雲一つない空に満天の星空。
「素敵ですね。空気も澄み切っていて」
「神秘的です」
大都市では見られない、静寂な雰囲気と合わさってとても素敵に思えた。
忘れられない──とても有意義な時間かな。
そして、数日ほど移動を繰り返すと、目的地アトラントローパにたどり着く。
無人地帯と比べると人通りがそこそこ大きな街。
草原地帯の真ん中にポツンとあるオアシスがもととなっているこの街は、緑の植物や地下水が湧いてくる池が所々に点在している。
また、様々な交易路の要所として、商人が訪れる場所しても知られており。この地方の商品が行き交っていた。様々な民族衣装を着た商人らしき人が、取引をしようとしている姿をよく見かける。繁華街の露店では、物珍しい品物がいたるところに売っている。
馬や羊を引き連れた遊牧民みたいな人が多い。
そんな人が商人たちと交渉して、大きな買い物をしていたり。
物珍しい風景を見ながら、色々なものを見物。やっぱり、珍しいものがいっぱいで目移りしちゃう。
「ヤギのミルクのチーズ、買ってみない?」
「このソーセージ、絶対美味しいから食べてみなよ」
小腹が空いていたこともあり、ちょっと変わったソーセージを人数分買って買い食い。
焦げ茶色で、香ばしいけど獣臭さが強い感じ。
「美味しい美味しい。ちょっとしょっぱいけど」
「わかります」
「まあ、遊牧民族が保存がきく食料として発明した食べ物ですから、どうしても腐らせないために塩分が多めになってしまうんですよ」
「そうなんだ。詳しいねマリー」
「ミシェウさんありがとうございます。この辺りの事情は、私もよく聞いているので」
「でもこれだけじゃ足りないかな。お腹空いたし、ご飯ご飯」
「飯より宿です」
「え~~」
きっぱりという私に、不満そうにぷくっと顔を膨らませて言葉を返すミシェウ。まあ、私もお腹空いてきたから気持ちはわかるんだけど。
お腹を抑えながら言うミシェウ。当然だ、こんな初めての場所でホテルが見つからず野宿なんてするわけにはいかない。
出店の人に、ホテルがある場所はどこか聞き出してからそこまで歩く。幸いにも、数分ほど歩いたエリアにホテルが数件あるらしい。
治安もそうだし、海や湖の無い内陸というのは温度を保持するものがないので寒暖の差が激しい。夜は水が凍り付く寒さな一方、昼は季節によっては体温よりも暑くなることだってある。正直、命に係わることだからだ。
街を歩きながら、周囲に視線を移す。
人があふれる賑やかな繁華街を抜けて、ホテルを探した。
この辺りは土を利用したレンガでできた家屋が特徴。王都とは違う内陸部特有の光景に新鮮さを感じる。
街の中心にある、そこそこ高いホテルを見つけた。どれだけ滞在するかわからないけど、とりあえず1週間にしておこう。
代金を支払ってから、キーを受け取る。階段を登ってから2階へ。
荷物を置いて、全員いっせいにベッドに身を投げた。馬車に揺れながらの長旅、想像以上につかれていたみたいで。横になった瞬間。今までの疲れがどっと襲ってきて瞼が重くなった。
ミシェウもマリーも目をこすったりあくびを空いたり眠くなってしまったみたい。
取引は2日後だし、疲れをとるためにも今日は寝よ。
2人もすぐに寝てしまった。私もすぐに夢の中へ。
思いっきり眠ってしまい、目をこすりながら外へ視線を向ける。気が付けば夜になっていた。
市場で買った干し肉と砂糖が付いているパン、それからミルクを頂く。ちょっと変わった味だけど美味しいかな。でも、においや癖が強いわね。
「このミルク、すごい独特。匂いに癖があるけど、美味しい」
思いっきりミシェウの背中を叩いた。痛そうに背中を抑えるミシェウ。それを無視してマリーに話かける。
「ごめんね、見苦しいところを見せちゃって」
「構わないですよ、見ていて楽しいですし」
苦笑いで答えるマリー。そうだ、マリーとも色々話してみようか。せっかくの機会だし。
「マリー、故郷の事とか聞いてみたいな。せっかく一緒になったんだから色々話そうよ」
「へぇ~~そんな速い馬があるんだ」
「ハンバーグって、この辺りで生まれた食べ物なんですね」
「そういうわけではないのですが、遊牧民族と親しかった故彼らからいろいろな文化を学んで、そのうちの一つがハンバーグです。それにジンギスカンなんかも教わりました」
「ああ、作戦じゃなくて食べ物ね」
イヤな作戦を思い出してしまった。でも、珍しい話を聞けるというのはとても嬉しい。私も、地元の話を話してみる。まあ、王宮のことを話すわけにはいかないからスラム街や一般層でのお話になっちゃうけど。
「へぇ、色々な亜人が集まるんですか? 大変そうです」
「まあ、大変といえば大変ね」
色々と、面白い話を聞けていい時間になった。私にとってもマリーにとっても有意義な時間だったと思う。色々と、王国にいたら聞けなかったことも色々と聞くことが出来た。この遊牧民や広大な土地に住んでいる人の価値観も。
それから夜の風景は──それはもう美しいの一言。きれいな空気と、雲一つない空に満天の星空。
「素敵ですね。空気も澄み切っていて」
「神秘的です」
大都市では見られない、静寂な雰囲気と合わさってとても素敵に思えた。
忘れられない──とても有意義な時間かな。
そして、数日ほど移動を繰り返すと、目的地アトラントローパにたどり着く。
無人地帯と比べると人通りがそこそこ大きな街。
草原地帯の真ん中にポツンとあるオアシスがもととなっているこの街は、緑の植物や地下水が湧いてくる池が所々に点在している。
また、様々な交易路の要所として、商人が訪れる場所しても知られており。この地方の商品が行き交っていた。様々な民族衣装を着た商人らしき人が、取引をしようとしている姿をよく見かける。繁華街の露店では、物珍しい品物がいたるところに売っている。
馬や羊を引き連れた遊牧民みたいな人が多い。
そんな人が商人たちと交渉して、大きな買い物をしていたり。
物珍しい風景を見ながら、色々なものを見物。やっぱり、珍しいものがいっぱいで目移りしちゃう。
「ヤギのミルクのチーズ、買ってみない?」
「このソーセージ、絶対美味しいから食べてみなよ」
小腹が空いていたこともあり、ちょっと変わったソーセージを人数分買って買い食い。
焦げ茶色で、香ばしいけど獣臭さが強い感じ。
「美味しい美味しい。ちょっとしょっぱいけど」
「わかります」
「まあ、遊牧民族が保存がきく食料として発明した食べ物ですから、どうしても腐らせないために塩分が多めになってしまうんですよ」
「そうなんだ。詳しいねマリー」
「ミシェウさんありがとうございます。この辺りの事情は、私もよく聞いているので」
「でもこれだけじゃ足りないかな。お腹空いたし、ご飯ご飯」
「飯より宿です」
「え~~」
きっぱりという私に、不満そうにぷくっと顔を膨らませて言葉を返すミシェウ。まあ、私もお腹空いてきたから気持ちはわかるんだけど。
お腹を抑えながら言うミシェウ。当然だ、こんな初めての場所でホテルが見つからず野宿なんてするわけにはいかない。
出店の人に、ホテルがある場所はどこか聞き出してからそこまで歩く。幸いにも、数分ほど歩いたエリアにホテルが数件あるらしい。
治安もそうだし、海や湖の無い内陸というのは温度を保持するものがないので寒暖の差が激しい。夜は水が凍り付く寒さな一方、昼は季節によっては体温よりも暑くなることだってある。正直、命に係わることだからだ。
街を歩きながら、周囲に視線を移す。
人があふれる賑やかな繁華街を抜けて、ホテルを探した。
この辺りは土を利用したレンガでできた家屋が特徴。王都とは違う内陸部特有の光景に新鮮さを感じる。
街の中心にある、そこそこ高いホテルを見つけた。どれだけ滞在するかわからないけど、とりあえず1週間にしておこう。
代金を支払ってから、キーを受け取る。階段を登ってから2階へ。
荷物を置いて、全員いっせいにベッドに身を投げた。馬車に揺れながらの長旅、想像以上につかれていたみたいで。横になった瞬間。今までの疲れがどっと襲ってきて瞼が重くなった。
ミシェウもマリーも目をこすったりあくびを空いたり眠くなってしまったみたい。
取引は2日後だし、疲れをとるためにも今日は寝よ。
2人もすぐに寝てしまった。私もすぐに夢の中へ。
思いっきり眠ってしまい、目をこすりながら外へ視線を向ける。気が付けば夜になっていた。
市場で買った干し肉と砂糖が付いているパン、それからミルクを頂く。ちょっと変わった味だけど美味しいかな。でも、においや癖が強いわね。
「このミルク、すごい独特。匂いに癖があるけど、美味しい」
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