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2人で1人
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当然だ、戦いというものはそういうこと。まだ未熟なところがある人間が行っていい場所ではなかった。
それでも、私は負けられない。ミシェウが後ろだと術式が私に当たってしまう可能性がある。
「私、シャマシュと一緒にいたい」
そんなミシェウの言葉を思い出す。一緒に??
「さあ、とどめの一撃だ。遺言の言葉でも考えておくんだな!」
ジェフリーは 今までにないくらいの魔力。勝負を決めに来ているのだろう。
私の脳裏によぎった策。荒唐無稽だけど、これなら互いの欠点と、未熟なコンビネーション補える。
「私のことがわからないなら──こうすればいいのよ!」
そう、確かに私ひとりでは勝てないかもしれない。ミシェウと一緒だと、足の引っ張り合いになるかもしれない。
それなら──私は一気にミシェウに向かっていった。
「ちょっと、いきなりどうしたの?」
ミシェウが明らかに動揺しているが、気にしない。ちょっと戸惑うけど、すぐにわかるから。
「確かに今の私達のコンビネーションは甘いかもしれない。ミシェウの攻撃が当たっちゃうかもしれない。でもそれなら、引っ張り合わないくらい近い距離にいればいいのよ!」
そう言って、ミシェウを抱きかかえた。左手に剣、右手にミシェウを抱え──ジェフリーと対峙。
「ちょっと、なにをしてるの?」
「見ての通りです、抱きかかえたままた戦えば、邪魔になりませんしミシェウも思う存分攻撃をぶっ放せます」
「ふざけているのか? 人一人を抱えて、動きに支障が出ないはずがない!」
「ふざけてなんかいません。これが、私の本気です!」
ジェフリーの言葉はもっともだ。確実に動きは落ちる。しかし、これでようやく力を合わせて戦える。
「私たち、2人で1人だから──これが一番なんです」
「やけになったか、まあいい。終わらせてやる!」
そう言って、舌打ちをした後ジェフリーは再び突っ込んできた。私たちの行動にイライラしているようだ。まあ、ふざけてるって言われても否定はできないわよね。
そんなことはないって、行動で証明すればいいんだから!
ジェフリーが放ってきた攻撃に、ミシェウが対応していく。占星術を使った、高威力の光線。
「あっ、これいいかも!」
ミシェウへの攻撃を私が防ぎ、ミシェウの火力ならジェフリーの攻撃をうまく相殺することができるから、互いの欠点を補いあう結果になる。
どうしても速さは落ちちゃうけど、撤退戦ならともかくもう逃げる気なんてないし──ミシェウの力があれば行けるから、全部力でねじ伏せる。
「くっ──ふざけた戦術してるくせに!」
攻め続けるジェフリーに、私たちは引けを取らずに戦う。
横一線に薙ぎ払われた攻撃を、喉元をかすめるようにかわしていく。少しでもタイミングがそれたり、引きが弱かったりすれば、たちまち攻撃が喉元を引き裂いていくだろう。
それでも、負ける気はしなかった。要所要所ではミシェルが対応してくれたり、攻撃を放ってくれたりして相手のペースを乱していく。
ミシェウの攻撃をよけたタイミングで突っ込めば──。
「ぐはっ!」
また有効打が入った。そこにミシェウが攻撃を加えていく。さすがに全力は無理だが、さっきまでとは明らかに空気が変わった。
「反動が怖いから全力では無理だけど、今のこいつならこれで十分だわ!」
「この野郎、なめやがって!」
「なめてなんかない。これが最善──だって、どんどんあなたを追い詰めているじゃない!」
「くそ……俺は、負けるわけにはいかないのだ。お前なんかに、負けない。絶対に勝ってやり!」
無理やり一気に突っ込んできた。
太刀筋を見ているだけで、彼の感情が理解できる。抱えている強い憎しみ。次第に攻撃が力任せになってきているのがわかる。
強いけど──攻撃が単調。
感情を殺しきれていない。これではさっきまでの方がはるかに強かった。そろそろ勝負を決めに行かないと。仮にも人一人抱えている、長期戦だと腕が持たない。
一旦距離を置いた後、思いっきり突っ込んでいく。ジェフリーも同じだった、これで決めるつもりなのだろう。
そして、ジェフリーはわたしの身体を思いっきり突き刺し──。
「なに?」
突き刺した瞬間、私の姿が陽炎のように消える。
「消えた??」
予想もしなかったのだろう。唖然とするジェフリー。そんなジェフリーの上に影がかかる。
見上げるジェフリー、そこには上から剣を振り下ろす私の姿。
これは幻──。私の幻影を見せて、攻撃させる。まだ不完全でよく見れば偽物だと気づく人は気づく。でも攻撃的になり動揺している今のジェフリーなら十分通った。
「聖天──スターライト・ミラージュ」
無防備なジェフリーめがけて、一気に剣を振り下ろした。ジェフリーは無理やり体をよじって攻撃をかわす。
優勢になって、一気に攻勢に出た。それでもジェフリーは無理やり体制を変えて攻撃に出てきた。でも、無理に来たせいで隙もできた。これなら──。
「これで終わりだ! 散れぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
込められた衝撃──それを殺す力。
切っ先を触れて、円を描くようにジェフリーの攻撃を受け流す。
口で言うのはたやすいが、実行するのは困難を極める。
少しでも力がそれたり、読み違えればれば受けきることができずに押しつぶされるだろう。必要以上に感情的になって力んだり、動揺したりすればその衝撃に体が振り回され衝撃を生む。
でも、集中を切らさずに感情を表に出さず攻撃を受け流しきった。憎しみのあまり──前のめりになりすぎてたあなたにはできなかった強さ。
その推進力を利用して、一気にジェフリーの懐へと突っ込んでいく。目の前には、無防備となったジェフリーの胴体。
これで勝負を決める。
それでも、私は負けられない。ミシェウが後ろだと術式が私に当たってしまう可能性がある。
「私、シャマシュと一緒にいたい」
そんなミシェウの言葉を思い出す。一緒に??
「さあ、とどめの一撃だ。遺言の言葉でも考えておくんだな!」
ジェフリーは 今までにないくらいの魔力。勝負を決めに来ているのだろう。
私の脳裏によぎった策。荒唐無稽だけど、これなら互いの欠点と、未熟なコンビネーション補える。
「私のことがわからないなら──こうすればいいのよ!」
そう、確かに私ひとりでは勝てないかもしれない。ミシェウと一緒だと、足の引っ張り合いになるかもしれない。
それなら──私は一気にミシェウに向かっていった。
「ちょっと、いきなりどうしたの?」
ミシェウが明らかに動揺しているが、気にしない。ちょっと戸惑うけど、すぐにわかるから。
「確かに今の私達のコンビネーションは甘いかもしれない。ミシェウの攻撃が当たっちゃうかもしれない。でもそれなら、引っ張り合わないくらい近い距離にいればいいのよ!」
そう言って、ミシェウを抱きかかえた。左手に剣、右手にミシェウを抱え──ジェフリーと対峙。
「ちょっと、なにをしてるの?」
「見ての通りです、抱きかかえたままた戦えば、邪魔になりませんしミシェウも思う存分攻撃をぶっ放せます」
「ふざけているのか? 人一人を抱えて、動きに支障が出ないはずがない!」
「ふざけてなんかいません。これが、私の本気です!」
ジェフリーの言葉はもっともだ。確実に動きは落ちる。しかし、これでようやく力を合わせて戦える。
「私たち、2人で1人だから──これが一番なんです」
「やけになったか、まあいい。終わらせてやる!」
そう言って、舌打ちをした後ジェフリーは再び突っ込んできた。私たちの行動にイライラしているようだ。まあ、ふざけてるって言われても否定はできないわよね。
そんなことはないって、行動で証明すればいいんだから!
ジェフリーが放ってきた攻撃に、ミシェウが対応していく。占星術を使った、高威力の光線。
「あっ、これいいかも!」
ミシェウへの攻撃を私が防ぎ、ミシェウの火力ならジェフリーの攻撃をうまく相殺することができるから、互いの欠点を補いあう結果になる。
どうしても速さは落ちちゃうけど、撤退戦ならともかくもう逃げる気なんてないし──ミシェウの力があれば行けるから、全部力でねじ伏せる。
「くっ──ふざけた戦術してるくせに!」
攻め続けるジェフリーに、私たちは引けを取らずに戦う。
横一線に薙ぎ払われた攻撃を、喉元をかすめるようにかわしていく。少しでもタイミングがそれたり、引きが弱かったりすれば、たちまち攻撃が喉元を引き裂いていくだろう。
それでも、負ける気はしなかった。要所要所ではミシェルが対応してくれたり、攻撃を放ってくれたりして相手のペースを乱していく。
ミシェウの攻撃をよけたタイミングで突っ込めば──。
「ぐはっ!」
また有効打が入った。そこにミシェウが攻撃を加えていく。さすがに全力は無理だが、さっきまでとは明らかに空気が変わった。
「反動が怖いから全力では無理だけど、今のこいつならこれで十分だわ!」
「この野郎、なめやがって!」
「なめてなんかない。これが最善──だって、どんどんあなたを追い詰めているじゃない!」
「くそ……俺は、負けるわけにはいかないのだ。お前なんかに、負けない。絶対に勝ってやり!」
無理やり一気に突っ込んできた。
太刀筋を見ているだけで、彼の感情が理解できる。抱えている強い憎しみ。次第に攻撃が力任せになってきているのがわかる。
強いけど──攻撃が単調。
感情を殺しきれていない。これではさっきまでの方がはるかに強かった。そろそろ勝負を決めに行かないと。仮にも人一人抱えている、長期戦だと腕が持たない。
一旦距離を置いた後、思いっきり突っ込んでいく。ジェフリーも同じだった、これで決めるつもりなのだろう。
そして、ジェフリーはわたしの身体を思いっきり突き刺し──。
「なに?」
突き刺した瞬間、私の姿が陽炎のように消える。
「消えた??」
予想もしなかったのだろう。唖然とするジェフリー。そんなジェフリーの上に影がかかる。
見上げるジェフリー、そこには上から剣を振り下ろす私の姿。
これは幻──。私の幻影を見せて、攻撃させる。まだ不完全でよく見れば偽物だと気づく人は気づく。でも攻撃的になり動揺している今のジェフリーなら十分通った。
「聖天──スターライト・ミラージュ」
無防備なジェフリーめがけて、一気に剣を振り下ろした。ジェフリーは無理やり体をよじって攻撃をかわす。
優勢になって、一気に攻勢に出た。それでもジェフリーは無理やり体制を変えて攻撃に出てきた。でも、無理に来たせいで隙もできた。これなら──。
「これで終わりだ! 散れぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
込められた衝撃──それを殺す力。
切っ先を触れて、円を描くようにジェフリーの攻撃を受け流す。
口で言うのはたやすいが、実行するのは困難を極める。
少しでも力がそれたり、読み違えればれば受けきることができずに押しつぶされるだろう。必要以上に感情的になって力んだり、動揺したりすればその衝撃に体が振り回され衝撃を生む。
でも、集中を切らさずに感情を表に出さず攻撃を受け流しきった。憎しみのあまり──前のめりになりすぎてたあなたにはできなかった強さ。
その推進力を利用して、一気にジェフリーの懐へと突っ込んでいく。目の前には、無防備となったジェフリーの胴体。
これで勝負を決める。
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