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第2章
第73話 ようやくの勝利
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「けど、止めない!」
銃弾が俺に直撃。体が宙を舞う。正直きつい。もう一発食らったら終わりだと思う。
けれど、それに似合うだけのリターンはもらった。
その瞬間、俺の体と剣が今までないくらい強く光始めた。
これで俺の攻撃の威力は2倍。これなら有利に戦える!
そう思うだけで、力が湧いてくる。俺は両足に力を入れ、ゆっくりと立ち上がった。
立ち上がる姿を見たミュクシーが驚愕し、一歩後ずさりをする。
「お前、どうして立ち上がれる」
「応用して、いたんだ。魔力を、ダメージ軽減に。お前の攻撃を耐えられるように調整してね」
俺は攻撃を受ける直前、身体を纏う魔力を強化したのだ。それも、あの攻撃を見極めて、ミュクシーの攻撃を食らっても勝負が決まらないくらいの魔力を。
もっとも口で言うほど簡単なことじゃない。少しでも観測を誤ればそのまま致命傷を食らい、回しすぎれば、攻撃の上昇幅が小さくなってしまい、攻撃の通りが悪くなってしまう。
今までの勘と、魔力を目視で計測する戦術眼がなければできない芸当だ。
そして俺は再び立ち上がり、剣をミュクシーに向けた。
「これで、威力はほぼ2倍だ!」
「ふん。器用なことをするねぇ~~」
確かに手痛いダメージだった。けれど、これで魔力は倍になった。
そして俺は一気に立ち上がり、ミュクシーとの距離を詰める。
彼女が威嚇で銃弾を撃ってくるが気にしない。
至近距離の乱打戦。俺は再び攻勢に出る。さっきより倍以上の威力。たとえミュクシーといえども簡単には受けきれない。
「ケッ、狂人が──」
攻撃に出る。彼女が相手ということもあり、前に出すぎないように慎重にではあるが。
徐々に押し始める俺。ミュクシーの表情から、余裕がなくなっていっているのがわかる。
攻撃を受けるのに、精一杯という感じだ。
攻撃を連打しながら、感じ始める。
ミュクシー、確かにお前は強い。
けれど、俺にはあって、貴様にないものだってある。
お前と違って、絶対に負けられない理由がある。
その差を、全力で味わってもらう。
「これで、勝負を決める!」
俺はガードのことなど考えずに全力の攻撃を彼女に叩き込む。
ミュクシーも、似たようなことを考えているのだろう。今までないくらい強力な魔力を纏い、俺に向かってきている。
そして、両者は急接近した後、その武器を一気に相手に振り下ろす。
ズバァァァァァァァァァァァァァァ──!
「ぐああああああああああああああ!」
「グハァァッ──」
俺とミュクシーは相手に攻撃を与えたと同時に攻撃を受ける。
互いに相手からの必殺技を食らう形となり、後方に吹き飛ばされた。
そのまま両方とも闘技場の壁にたたきつけられ、地面に力なく落ちる。
俺は、大ダメージを受け魔力が消滅。正直生きていただけ、ありがたい。そしてミュクシーがどうなったか気になり、視線を前方へ向けた。
ミュクシーも、魔力が尽きたようだ。これで決着はついた。
そう考えたとき──。
ズルズル……。タッ!
マジかよ……。ミュクシーはボロボロになりながらもゆっくりと立ち上がり始める。
そして1歩1歩俺に近づいてきた。
多少時間がかかったが俺の足元へ。
腕をポキポキと鳴らし、叫びだす。
「さすがだよアグナム。だが、私にも意地ってもんがある。一発、殴らせてもらおうか」
マジかよ。執念深いやつだな。
そしてミュクシーが殴りかかろうとしたが──。
スッ。
「お前たち。倒しちまったんかい……」
俺とミュクシーの間に現れたのはサナとレテフ。2人が俺の前に立ちはだかる。
「私のアグナムに、指一本触れさせないわ!」
「うん。観念して、捕まりなさい!」
2人は、ボロボロになりながらもまだ魔法少女として戦える状況。
すでに戦えない。ボロボロになっているミュクシーでは、2人に勝つのは無理だろう。勝負はあった。
ミュクシーが俺に話しかけてくる。
「なぜガードしなかったお前!」
「なぜって? する必要がないからだよ。お前を倒せばそれでいい。」
今回はエンペラーカップのような1対1の大会とは違う。別に俺が無理して勝利する必要がない。
貴様さえ止めれば、それでいい。俺が無視して勝つ必要はない。
けれど、お前は違う一人で乗り込んだせいで。俺に勝利しなければいけない。
「お前の負けだ。ミュクシー、おとなしく捕まってくれ」
ミュクシーは倒れこんだまま微笑を浮かべる。
「ああ、今回は私の負けだ。認めてやるよ」
そして兵士たちが出て来た。まあ、幻虚獣を繰り出してきたのだから当然だ。ミュクシーを縄で縛り上げ、闘技場の外へ。
その姿を見ながら、俺はつぶやいた。
「本当に強かった。ギリギリの戦いだった」
恐らく次やっても勝てるかわからない。とても強い相手。
それでも、勝つことができた。
その事実にサナとレテフが喜んで俺に抱き着いてきた。
「アグナム。おめでとう。すごいわ」
「まあ、運が良かったからね──」
俺は考えた。ミュクシーとは、敵味方抜きにしてまた会いたい。いろいろ話したり、戦ったりしてみたい。
だから、また会おう!
そして、俺はこの場所を去っていった。
銃弾が俺に直撃。体が宙を舞う。正直きつい。もう一発食らったら終わりだと思う。
けれど、それに似合うだけのリターンはもらった。
その瞬間、俺の体と剣が今までないくらい強く光始めた。
これで俺の攻撃の威力は2倍。これなら有利に戦える!
そう思うだけで、力が湧いてくる。俺は両足に力を入れ、ゆっくりと立ち上がった。
立ち上がる姿を見たミュクシーが驚愕し、一歩後ずさりをする。
「お前、どうして立ち上がれる」
「応用して、いたんだ。魔力を、ダメージ軽減に。お前の攻撃を耐えられるように調整してね」
俺は攻撃を受ける直前、身体を纏う魔力を強化したのだ。それも、あの攻撃を見極めて、ミュクシーの攻撃を食らっても勝負が決まらないくらいの魔力を。
もっとも口で言うほど簡単なことじゃない。少しでも観測を誤ればそのまま致命傷を食らい、回しすぎれば、攻撃の上昇幅が小さくなってしまい、攻撃の通りが悪くなってしまう。
今までの勘と、魔力を目視で計測する戦術眼がなければできない芸当だ。
そして俺は再び立ち上がり、剣をミュクシーに向けた。
「これで、威力はほぼ2倍だ!」
「ふん。器用なことをするねぇ~~」
確かに手痛いダメージだった。けれど、これで魔力は倍になった。
そして俺は一気に立ち上がり、ミュクシーとの距離を詰める。
彼女が威嚇で銃弾を撃ってくるが気にしない。
至近距離の乱打戦。俺は再び攻勢に出る。さっきより倍以上の威力。たとえミュクシーといえども簡単には受けきれない。
「ケッ、狂人が──」
攻撃に出る。彼女が相手ということもあり、前に出すぎないように慎重にではあるが。
徐々に押し始める俺。ミュクシーの表情から、余裕がなくなっていっているのがわかる。
攻撃を受けるのに、精一杯という感じだ。
攻撃を連打しながら、感じ始める。
ミュクシー、確かにお前は強い。
けれど、俺にはあって、貴様にないものだってある。
お前と違って、絶対に負けられない理由がある。
その差を、全力で味わってもらう。
「これで、勝負を決める!」
俺はガードのことなど考えずに全力の攻撃を彼女に叩き込む。
ミュクシーも、似たようなことを考えているのだろう。今までないくらい強力な魔力を纏い、俺に向かってきている。
そして、両者は急接近した後、その武器を一気に相手に振り下ろす。
ズバァァァァァァァァァァァァァァ──!
「ぐああああああああああああああ!」
「グハァァッ──」
俺とミュクシーは相手に攻撃を与えたと同時に攻撃を受ける。
互いに相手からの必殺技を食らう形となり、後方に吹き飛ばされた。
そのまま両方とも闘技場の壁にたたきつけられ、地面に力なく落ちる。
俺は、大ダメージを受け魔力が消滅。正直生きていただけ、ありがたい。そしてミュクシーがどうなったか気になり、視線を前方へ向けた。
ミュクシーも、魔力が尽きたようだ。これで決着はついた。
そう考えたとき──。
ズルズル……。タッ!
マジかよ……。ミュクシーはボロボロになりながらもゆっくりと立ち上がり始める。
そして1歩1歩俺に近づいてきた。
多少時間がかかったが俺の足元へ。
腕をポキポキと鳴らし、叫びだす。
「さすがだよアグナム。だが、私にも意地ってもんがある。一発、殴らせてもらおうか」
マジかよ。執念深いやつだな。
そしてミュクシーが殴りかかろうとしたが──。
スッ。
「お前たち。倒しちまったんかい……」
俺とミュクシーの間に現れたのはサナとレテフ。2人が俺の前に立ちはだかる。
「私のアグナムに、指一本触れさせないわ!」
「うん。観念して、捕まりなさい!」
2人は、ボロボロになりながらもまだ魔法少女として戦える状況。
すでに戦えない。ボロボロになっているミュクシーでは、2人に勝つのは無理だろう。勝負はあった。
ミュクシーが俺に話しかけてくる。
「なぜガードしなかったお前!」
「なぜって? する必要がないからだよ。お前を倒せばそれでいい。」
今回はエンペラーカップのような1対1の大会とは違う。別に俺が無理して勝利する必要がない。
貴様さえ止めれば、それでいい。俺が無視して勝つ必要はない。
けれど、お前は違う一人で乗り込んだせいで。俺に勝利しなければいけない。
「お前の負けだ。ミュクシー、おとなしく捕まってくれ」
ミュクシーは倒れこんだまま微笑を浮かべる。
「ああ、今回は私の負けだ。認めてやるよ」
そして兵士たちが出て来た。まあ、幻虚獣を繰り出してきたのだから当然だ。ミュクシーを縄で縛り上げ、闘技場の外へ。
その姿を見ながら、俺はつぶやいた。
「本当に強かった。ギリギリの戦いだった」
恐らく次やっても勝てるかわからない。とても強い相手。
それでも、勝つことができた。
その事実にサナとレテフが喜んで俺に抱き着いてきた。
「アグナム。おめでとう。すごいわ」
「まあ、運が良かったからね──」
俺は考えた。ミュクシーとは、敵味方抜きにしてまた会いたい。いろいろ話したり、戦ったりしてみたい。
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