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第2章
第68話 ミュクシー、35歳
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そして当日。
俺たちは変身を済ませて闘技場へ足を運ぶ。
魔法少女の姿のまま決闘を行う場所へ。そして誰が噂を流したのか、俺の試合と聞いて観客たちがたくさん来ていて、満員になっていた。
「おーアグナムだ! 今日も活躍してくれよ!」
「それで、この前みたいにサービスシーンのご提供、よろしくな!」
嫌だ。あんな脱衣シーン、絶対に見せない!
そして俺たちが戦う場所の中央に、戦うべき敵はいた。
ミュクシー、先日のような露出度の高いタンクトップの姿で仁王立ちしていた。
ほど良い大きさの太ももや胸元が露出していて見ていて恥ずかしい。
「とりあえず聞いてやる。どうして観客を呼んだんだ」
これはエンペラーカップのような見世物でも大会でもない。俺たち街を守る魔法少女と貴様達鉄則団の真剣勝負だ。
そしてミュクシーはなんの悪びれもなく答える。
「何でって、1つは観客から入場料を稼ぐこと、もう一つは──、はっきりと格付けさせるのが目的さ。貴様ら3人より、私達の方が強いってことをね」
「じゃあ、見せてやるよ、私の魔法少女としての姿。刮目しな!」
そう叫んだあと彼女はスッと両手を上げた。
そしてミュクシーは体をくるくると回転させる。
ミラクルキュアキュア! プリティーフォーム! 正義の味方ミュクシーちゃん。世界一かわいい魔法少女にな~~あれっ!
昭和の小さい女の子向け魔法少女アニメに出てくるような、小学生の女の子がやっているような変身ポーズ。
予想もしなかった変身シーンに俺たちは愕然として言葉を失ってしまう。
そして変身シーンが終わり、なんとも言えない雰囲気がこの場を包む。
「ミュクシー、ちょっと聞いていいかな? お前年いくつだよ……」
見た感じ、そこそこ年が言っているように見えるけど……。
「 3 5 歳 だ よ 。 言 わ せ ん な 恥 ず か し い ! 」
そしてレテフが小さな声で囁く。
「きっつ……」
俺とサナも心の中で首を縦に振る。
そしてミュクシーの魔法少女の姿。灰色と金色を基調とした露出度が高い服。セクシーな大人のお姉さんという表現がぴったりだ。
「さあ、私が貴様たちを倒す瞬間。この大衆の現前で見せてやるよ!」
そう叫んだ瞬間彼女が右手を上げて指をピッとはじく。
すると信じられないことが起きる。
グォォォォォォォォォォォォォォ──。
天地を響かすような叫び声が突然会場の外から聞こえ始めた。俺たちは思わずその方向に視線を向ける。
その姿に俺たちは愕然とする。真っ黒い光に包まれ、醜悪な外見をした敵。幻虚獣が数匹、街の中に突然出現したのだ。
大きさは20メートルほど、牛の形をした「ミノタウロス」に近い形だ。
「なんで幻虚獣を召喚する必要がある。俺との一騎打ちだって言ったじゃないか!」
俺はミュクシーに詰め寄った。しかしミュクシーは罪悪感のかけらもなく平然と言葉を返す。
「確かの私は貴様と一騎打ちをするとは言った。けど、後ろの2人は違うだろう。それと、私が用意した駒はそれだけじゃない。ほら、親友さんのお出ましだよ!」
そして彼女が後ろを振り向くと、控室の扉から1人の少女が出て来た。
その姿に俺たちは絶句する。
「リヒレ、なんでここにいるんだ?」
「──けど、何かおかしいわ!」
間違いないリヒレだ。昨日、お見舞いに来た時は確かに病院にいたはずの彼女。それが、ここにいて立っている。
のだが──。
「どうししたんだい? お前たちの親友が目を覚ましてこうして立っているんだよ。少しは喜んだらどうだい?」
「どうしてって、明らかの彼女の様子がおかしいじゃないか!」
何というか、目に力が入っていない。どこかうつろで目の焦点が入っていない。彼女の意志が、そこにないかのような──。
「リヒレをどうしたの? 答えて!」
「よく気づいたねぇ~~。リヒレはもともと私たちのタロットの力がある。それを最大限まで高めたのさ。今のこいつは、完全な私のしもべに洗脳されている」
「洗脳? ひどい!」
「サナの言う通りだ。戦いたいなら、俺たちが相手をしてやる。だから、リヒレを解放しろ」
「断る。さあ、変身するんだリヒレ!」
そしてリヒレは天に向かって手をかざす。
私に宿りし心の闇。今憎悪の塊となりて鉄槌を下せ!
ダークマター・ディザスター・ロット
リヒレが変装した姿に俺たちは愕然とする。
黒い光に包まれ、灰色を基調としたダークな服装。それは、リヒレや俺たちが理想としている正義の魔法少女とははるかにかけ離れた姿だった。
「フッ。この私が考えもなしに勝負を挑むと思ったのかい? 大衆たちに見せてやるよ。お前たち全員がみじめに敗北する姿をな!」
「ふざけるな。俺たちは絶対に負けない。お前たちに勝って見せる」
俺がミュクシーを指さし叫ぶと、隣のレテフが話しかける。
「リヒレは、私が相手をするわ」
「──えっ。大丈夫?」
「子供のころからの友達。私に取り戻させてほしいの。いい?」
そう、レテフはリヒレと幼なじみ、親友。親友相手に矢を向けることができるか気になってたけど、大丈夫そうだ。
「わかったよ。じゃあよろしくね」
レテフは強いまなざしでコクリとうなづいた。信じてるよ。
「じゃああれは、私が相手をする番だね!」
一方サナ。幻虚獣たちと戦う宣言をする。20メートルくらいある、
ちょっと1人じゃきついかもしれない。けど、他の魔法少女だってくるはずだし、何とかなるだろう。
サナはそのまま幻虚獣の方へ向かっていく。頑張れサナ。信じてるよ。
俺たちは変身を済ませて闘技場へ足を運ぶ。
魔法少女の姿のまま決闘を行う場所へ。そして誰が噂を流したのか、俺の試合と聞いて観客たちがたくさん来ていて、満員になっていた。
「おーアグナムだ! 今日も活躍してくれよ!」
「それで、この前みたいにサービスシーンのご提供、よろしくな!」
嫌だ。あんな脱衣シーン、絶対に見せない!
そして俺たちが戦う場所の中央に、戦うべき敵はいた。
ミュクシー、先日のような露出度の高いタンクトップの姿で仁王立ちしていた。
ほど良い大きさの太ももや胸元が露出していて見ていて恥ずかしい。
「とりあえず聞いてやる。どうして観客を呼んだんだ」
これはエンペラーカップのような見世物でも大会でもない。俺たち街を守る魔法少女と貴様達鉄則団の真剣勝負だ。
そしてミュクシーはなんの悪びれもなく答える。
「何でって、1つは観客から入場料を稼ぐこと、もう一つは──、はっきりと格付けさせるのが目的さ。貴様ら3人より、私達の方が強いってことをね」
「じゃあ、見せてやるよ、私の魔法少女としての姿。刮目しな!」
そう叫んだあと彼女はスッと両手を上げた。
そしてミュクシーは体をくるくると回転させる。
ミラクルキュアキュア! プリティーフォーム! 正義の味方ミュクシーちゃん。世界一かわいい魔法少女にな~~あれっ!
昭和の小さい女の子向け魔法少女アニメに出てくるような、小学生の女の子がやっているような変身ポーズ。
予想もしなかった変身シーンに俺たちは愕然として言葉を失ってしまう。
そして変身シーンが終わり、なんとも言えない雰囲気がこの場を包む。
「ミュクシー、ちょっと聞いていいかな? お前年いくつだよ……」
見た感じ、そこそこ年が言っているように見えるけど……。
「 3 5 歳 だ よ 。 言 わ せ ん な 恥 ず か し い ! 」
そしてレテフが小さな声で囁く。
「きっつ……」
俺とサナも心の中で首を縦に振る。
そしてミュクシーの魔法少女の姿。灰色と金色を基調とした露出度が高い服。セクシーな大人のお姉さんという表現がぴったりだ。
「さあ、私が貴様たちを倒す瞬間。この大衆の現前で見せてやるよ!」
そう叫んだ瞬間彼女が右手を上げて指をピッとはじく。
すると信じられないことが起きる。
グォォォォォォォォォォォォォォ──。
天地を響かすような叫び声が突然会場の外から聞こえ始めた。俺たちは思わずその方向に視線を向ける。
その姿に俺たちは愕然とする。真っ黒い光に包まれ、醜悪な外見をした敵。幻虚獣が数匹、街の中に突然出現したのだ。
大きさは20メートルほど、牛の形をした「ミノタウロス」に近い形だ。
「なんで幻虚獣を召喚する必要がある。俺との一騎打ちだって言ったじゃないか!」
俺はミュクシーに詰め寄った。しかしミュクシーは罪悪感のかけらもなく平然と言葉を返す。
「確かの私は貴様と一騎打ちをするとは言った。けど、後ろの2人は違うだろう。それと、私が用意した駒はそれだけじゃない。ほら、親友さんのお出ましだよ!」
そして彼女が後ろを振り向くと、控室の扉から1人の少女が出て来た。
その姿に俺たちは絶句する。
「リヒレ、なんでここにいるんだ?」
「──けど、何かおかしいわ!」
間違いないリヒレだ。昨日、お見舞いに来た時は確かに病院にいたはずの彼女。それが、ここにいて立っている。
のだが──。
「どうししたんだい? お前たちの親友が目を覚ましてこうして立っているんだよ。少しは喜んだらどうだい?」
「どうしてって、明らかの彼女の様子がおかしいじゃないか!」
何というか、目に力が入っていない。どこかうつろで目の焦点が入っていない。彼女の意志が、そこにないかのような──。
「リヒレをどうしたの? 答えて!」
「よく気づいたねぇ~~。リヒレはもともと私たちのタロットの力がある。それを最大限まで高めたのさ。今のこいつは、完全な私のしもべに洗脳されている」
「洗脳? ひどい!」
「サナの言う通りだ。戦いたいなら、俺たちが相手をしてやる。だから、リヒレを解放しろ」
「断る。さあ、変身するんだリヒレ!」
そしてリヒレは天に向かって手をかざす。
私に宿りし心の闇。今憎悪の塊となりて鉄槌を下せ!
ダークマター・ディザスター・ロット
リヒレが変装した姿に俺たちは愕然とする。
黒い光に包まれ、灰色を基調としたダークな服装。それは、リヒレや俺たちが理想としている正義の魔法少女とははるかにかけ離れた姿だった。
「フッ。この私が考えもなしに勝負を挑むと思ったのかい? 大衆たちに見せてやるよ。お前たち全員がみじめに敗北する姿をな!」
「ふざけるな。俺たちは絶対に負けない。お前たちに勝って見せる」
俺がミュクシーを指さし叫ぶと、隣のレテフが話しかける。
「リヒレは、私が相手をするわ」
「──えっ。大丈夫?」
「子供のころからの友達。私に取り戻させてほしいの。いい?」
そう、レテフはリヒレと幼なじみ、親友。親友相手に矢を向けることができるか気になってたけど、大丈夫そうだ。
「わかったよ。じゃあよろしくね」
レテフは強いまなざしでコクリとうなづいた。信じてるよ。
「じゃああれは、私が相手をする番だね!」
一方サナ。幻虚獣たちと戦う宣言をする。20メートルくらいある、
ちょっと1人じゃきついかもしれない。けど、他の魔法少女だってくるはずだし、何とかなるだろう。
サナはそのまま幻虚獣の方へ向かっていく。頑張れサナ。信じてるよ。
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