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オリエント編

私も戦いたい。力になりたい!

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 そして目的の遺跡に到達。馬を降りる幸一達。

 雲がかかった黒い空、灰色の大地。
 そしてマヤのピラミッドを一回り大きくしたような建造物。邪悪な気配がこれでもかというくらいこれでもかというくらい漂っている。

「着きました。ここが魔王軍の拠点地『ルルイエ』遺跡です」

「けど、どうやって中に入るの、ルナシー。入口なんてないよ」

「ここは魔王軍たちの本拠地です、サラさん。特殊な入り方でないと入れません」

 するとルナシーがポケットから手のひらサイズの小道具を取り出す。

「いかにも邪悪そうな小道具ね」

 メーリングの言葉通り、ルナシーが持っているそれは漆黒を基調としていて、禍々しく不気味な形状をしていた。


「ヘイム様が、以前ここの番人を打倒した時に押収した物です」

「そうだ。俺様の成果だ。番人というだけあっててこずったところもあったが、無事に勝利し、消滅する寸前にこれを押収したのだ」

 そしてその後、その小物を遺跡の前でかざしてみた瞬間。突然壁が灰色に光りだし、遺跡への道が出現したのだ。

「では、いきます……」

 ルナシーが遺跡の前でその小道具をかざす。すると──。

 ゴゴゴ──。

 遺跡から地響きのような音が聞こえはじめる。さらに、遺跡全体が淡い灰色に光始めたのだ。

「闇の力だ。気配でわかる」

 幸一の言葉、誰もが心の中で「うん」とうなづく。



 目の前の壁がまぶしいくらいに強く、黒く光始めた。


「これは、道?」

「そうだな、イレーナ」

 遺跡の光が弱くなり、元に戻る。幸一の言葉通り、壁だった場所に道が現れた。
 地下へと続く真っ暗な階段の道。

「行きましょう、皆さん」

 ルナシーがそう言って真っ暗な道に踏み込んでいく。すると、その道の上にあったランプに火が灯り始める。

「なにこれ──」

「まるで私たちを読んでいるようですね。メーリングさん」

 規則的に存在するランプの灯。薄暗く、足元がよく見えない中、ルナシーが先頭になり、道を進んでいく。

 らせん状の階段を下りた先にそれはあった。

「これは、石板?」

「そのようですね。サラさん」


 サラとルナシーの言う通り、階段を下り、道の先にあったのは石板だった。

「これ、天使と魔王軍。それと人間だよな」

「幸一君の言う通りだわ。天使によって力を与えられ、戦う人間。それと対峙する魔王軍って感じよね」

 メーリングの言う通り、石板には天空で祈りをささげる天使。そしてその下で魔王軍と戦う人間。それを見ている大勢の人たち。そして、誰も読めない文字。

 何を意味しているのだろうか。

「それで、行き止まりみたいだけどこれから先、どうするの?」

「う……。この文字は、私もわかりません。行き止まりってことでしょうか」

 うなだれるルナシーに声掛けをしたのはサラだった。

「私に任せて!」

 そしてサラは右手を上げて叫ぶ。

 偉大なる全知の光、その手に結集し降誕せよ!!
 全知なる館アル=ヒクマ

「私には、文字を解読する力がある。それで、道を切り開く!」

「でもサラちゃん。そんなことしたら──」

 イレーナが心配になり方をたたく。彼女は知っていた。確かにサラにはその力がある。しかし、古代文字などこの時代に存在文字や、魔王軍などそもそも別世界の系統の文字の解読には相当の魔力を消費する。

 場合によってはそれだけで倒れこんでしまうこともあるくらいだ。
 それでもサラは、立ち向かうことをやめない。
「大丈夫。私は戦えない。でも、力になりたい! 私だけ見ているなんて、イヤだ!」

 サラの額に汗が出始めた。

「サラさん──。消耗しているみたい……です。大丈夫─
 ─です、か?」

 シスカが、その様子に心配になる。しかしサラはそれに負けず解読に成功。

「みんな。この文字の意味が、わかりました!」

「本当に。どういう意味なの? サラちゃん」

 イレーナの質問にサラが真剣な表情になる。

「龍の力です。その力をこの場で強く出現させると、その人物たちをここから先へ通すにふさわしいと判断して、扉を開けるそうです」

 すると、ルナシーが手を上げ始めた。

「つまり、私の出番ということですね。私には世界を作り出した龍の力があります。任せてください!」

 そう言って石板の前へ。


 そして、ルナシーがお祈りの表情をし始めた。体の中にある魔力を強く意識し始める。
 石板が、うっすらではあるが、光始める。それを見たルナシーが理解した。

(私の力で、完全に石板に光らせれば。扉が開いて、先へ進める。お願い、開いて!)

 心の中でそう叫び、ルナシーは魔力の供給を上げる。彼女の体が、魔力で強く光っていることからも、魔力の供給が激しくなっているのがわかる。

(これでも、まだ開かないの?)

 ルナシーが供給を全開にして数十秒。石板はより強く光っているが、状況が変わる雰囲気はない。
 全力ダッシュを続けば疲労でペースが落ちるように、やがてルナシーにも限界訪れる。

(ハァハァ──。私じゃ、ダメなの?)

 息を荒げ、額から汗があふれ出る。誰から見ても、彼女が疲弊しているのが理解出来た。

「ルナシー、無理はするな!」

 戦友のピンチにルーデルが思わず叫ぶ。
 しかし、ルーデルの静止にルナシーは叫び返した。

「無理させて。あなたたちが命懸けで戦っていたように。私も戦いた
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