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アストラ帝国編
奥の手
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「まったく、あんたたちは卑怯な手を使うわ」
「……サリアちゃん?」
イレーナはその声に驚く。
そして彼女たちの姿に たちは唖然とした。
「なぜだ、なぜ貴様たちは立っていられる?」
そしてすぐに理由を理解した。
そう、サリアの姿だった。
「そうっすよサリアは人体改造によって天使の力を手に入れているッス。だから彼女は魔力の弱体化を受けていないッス」
サリアの防御術が を防ぎ切ったのだった。
「サリアちゃん。本当にいいんッスか」
サリアから発せられる力にトルネンブラたちも気づく。
なるほど、天使の力を持った人間ということか
イレーナたちは立ち上がりトルネンブラたちをにらみつける。
「けど、守ってばかりじゃ、勝負には勝てないッス!!」
一気にイドラへ突っ込む
今度はイドラの攻撃、右から一気にルチアの肉体めがけて薙ぎ払う。
「いただきィィィィィ」
(かかったッス)
するとルチアは予想外の行動に出る。
その攻撃を斜め下から受ける、すると右足に魔力を込めターンをして左にジャンプ
そして体制を低くしターンしていないほうの足に思いっきり魔力を込めイドラの後方に直進、一気に裏を取る。
「よしいけルチア!!」
ルーデルが思わず叫ぶ。前方には「トルネンブラ」のみ、イドラは慌てて反転しルチアを追いかけるがルチアはすでに「トルネンブラ」に急接近。間に合わない。
そして弱体化の術式を放っていた「トルネンブラ」へめがけて一直線へダッシュしていく。
「頭が回るなぁ、嬢ちゃんだが──、甘ぇよ」
「トルネンブラ」まで数メートルにまで接近したルチアに彼はただ手をかざすだけ、そして──。
「んな……!」
トルネンブラはルチアの前に障壁を展開、ルチアは攻撃するも軽くヒビが入る程度にしかダメージを与えられず。
逆に背後からイドラが襲い掛かってくる。
「わかってるッスよ」
慌てて反転しイドラの攻撃を受けようとするが──。
「しまった!!」
予想以上の攻撃に受けきれずの削ってしまう。彼女をここで倒さんと一時的に魔力の出力を上げていたのだ。
そしてそれを逃すイドラではなかった。
「よし、まずは一匹いただいたぞ!!」
ズバァァァァァァァァァァァァ──!!
イドラの攻撃がルチアの胴体を切り裂く。ルチアの肉体から魔力が消え、体が壁にたたきつけられる。
その痛みにぐったりと倒れこみ動かなくなってしまう。
「よっしゃぁぁぁ。次は体を──」
慌ててサリアが無防備になった彼女によるがその間にイドラが立ちはだかってしまう。
「させねえよ。小娘は、今天国に送ってやるよ」
そしてそばにいたトルネンブラが邪険な笑みを浮かべルチアに迫る。今のルチアは魔力が切れている状態。攻撃を受ければその十字剣が彼女の肉体を切り裂き死は免れないだろう。
トルネンブラは彼女を切り裂くため十字剣を振り上げ──。
ズバァァァァァァァァァァァァ──。
その肉体を切り裂いた音は、トルネンブラから発せられた。
「小娘、どういうことだ……?」
「やっぱり、そう来ると思っていたよ!!」
イレーナはただの猪武者ではない。時には勝つためにしっかりと相手を見て、どうすれば勝利できるか考え判断できる人物だ。
生物が最も浮足立ち油断するであろう瞬間。勝利を確信し獲物を打ち取ろうとした瞬間を狙ったのだ。
シュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ──。
トルネンブラから魔力が切れ、肉体が蒸発していくように消えていく。敵に秘密を知られないため敗北すると肉体が消滅していく、魔獣たちの性質だ。
それを見ながらルチアは──。
「私はこの場を去るッス。私が狙われてみんなの足を引っ張るわけにはいかないッス」
痛みが強く残る体を鞭打ち何とか起き上がらせる。そしてとぼとぼと後ろを通って安全な背後に退散。
「まあ、相打ちといえば相打ちだが」
「これで、私達は……、全力で戦えます!!」
ルーデルとシスカの表情が少し明るくなる。
これで奴が放っていたイレーナたちを弱体化させる術式はなくなった。
「ルチアさん、ありがとうございます……」
「シスカちゃん。みんな、後は──よろしく頼むッス」
ルチアはその言葉に少し頷き強気な姿勢になる。
リーダー格のキノトグリスが周囲に向かって叫ぶ。
「てめえら、一回下がれ、作戦を組みなおすぞ」
先ほどからルーデルの攻撃をかろうじて防いでいたアブホースが、一端背後に下がりながら顔をゆがめた。
先ほどまでイレーナ達を苦しめていたトルネンブラの術式はもうない。
アブホースも今の攻撃でそれを実感。
「わかったよ。下がりゃらいいんだろ」
先ほどまで圧倒的に魔王軍側が押されていた状況は変わり始めていた。
少しずつイレーナ達が押し気味になっていく。しかしイレーナ達も決定打をなかなか打てないでいる。
キノトグリスが要領よく味方を援護しているからだ。
しかしこっちもサリアと力を取り戻したシスカの援護がある。
イレーナもルーデルもその力を感じながらイドラとソトスと戦っていく。
二人ともすっかり力を取り戻し押しこむ形になる。
「舐めるなよ、小娘!!」
「え──!?」
しかしソトスは一気に踏み込み乱戦状態になる。
「小娘たち。確かにその強さは認めてやるよ。だがなァ──、俺たちだっていじってモノがあるんだよォ!! 行くぞォ!!」
ソトスが一気に攻撃に転じる。
「そうだな、賭けだが勝つにはこれしかない。お前ら、覚悟を決めろ!!」
キノトグリスが周囲に大きく叫ぶと彼の体が強く光り始める。
「まずい、何かやってくるわ!!」
「……サリアちゃん?」
イレーナはその声に驚く。
そして彼女たちの姿に たちは唖然とした。
「なぜだ、なぜ貴様たちは立っていられる?」
そしてすぐに理由を理解した。
そう、サリアの姿だった。
「そうっすよサリアは人体改造によって天使の力を手に入れているッス。だから彼女は魔力の弱体化を受けていないッス」
サリアの防御術が を防ぎ切ったのだった。
「サリアちゃん。本当にいいんッスか」
サリアから発せられる力にトルネンブラたちも気づく。
なるほど、天使の力を持った人間ということか
イレーナたちは立ち上がりトルネンブラたちをにらみつける。
「けど、守ってばかりじゃ、勝負には勝てないッス!!」
一気にイドラへ突っ込む
今度はイドラの攻撃、右から一気にルチアの肉体めがけて薙ぎ払う。
「いただきィィィィィ」
(かかったッス)
するとルチアは予想外の行動に出る。
その攻撃を斜め下から受ける、すると右足に魔力を込めターンをして左にジャンプ
そして体制を低くしターンしていないほうの足に思いっきり魔力を込めイドラの後方に直進、一気に裏を取る。
「よしいけルチア!!」
ルーデルが思わず叫ぶ。前方には「トルネンブラ」のみ、イドラは慌てて反転しルチアを追いかけるがルチアはすでに「トルネンブラ」に急接近。間に合わない。
そして弱体化の術式を放っていた「トルネンブラ」へめがけて一直線へダッシュしていく。
「頭が回るなぁ、嬢ちゃんだが──、甘ぇよ」
「トルネンブラ」まで数メートルにまで接近したルチアに彼はただ手をかざすだけ、そして──。
「んな……!」
トルネンブラはルチアの前に障壁を展開、ルチアは攻撃するも軽くヒビが入る程度にしかダメージを与えられず。
逆に背後からイドラが襲い掛かってくる。
「わかってるッスよ」
慌てて反転しイドラの攻撃を受けようとするが──。
「しまった!!」
予想以上の攻撃に受けきれずの削ってしまう。彼女をここで倒さんと一時的に魔力の出力を上げていたのだ。
そしてそれを逃すイドラではなかった。
「よし、まずは一匹いただいたぞ!!」
ズバァァァァァァァァァァァァ──!!
イドラの攻撃がルチアの胴体を切り裂く。ルチアの肉体から魔力が消え、体が壁にたたきつけられる。
その痛みにぐったりと倒れこみ動かなくなってしまう。
「よっしゃぁぁぁ。次は体を──」
慌ててサリアが無防備になった彼女によるがその間にイドラが立ちはだかってしまう。
「させねえよ。小娘は、今天国に送ってやるよ」
そしてそばにいたトルネンブラが邪険な笑みを浮かべルチアに迫る。今のルチアは魔力が切れている状態。攻撃を受ければその十字剣が彼女の肉体を切り裂き死は免れないだろう。
トルネンブラは彼女を切り裂くため十字剣を振り上げ──。
ズバァァァァァァァァァァァァ──。
その肉体を切り裂いた音は、トルネンブラから発せられた。
「小娘、どういうことだ……?」
「やっぱり、そう来ると思っていたよ!!」
イレーナはただの猪武者ではない。時には勝つためにしっかりと相手を見て、どうすれば勝利できるか考え判断できる人物だ。
生物が最も浮足立ち油断するであろう瞬間。勝利を確信し獲物を打ち取ろうとした瞬間を狙ったのだ。
シュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ──。
トルネンブラから魔力が切れ、肉体が蒸発していくように消えていく。敵に秘密を知られないため敗北すると肉体が消滅していく、魔獣たちの性質だ。
それを見ながらルチアは──。
「私はこの場を去るッス。私が狙われてみんなの足を引っ張るわけにはいかないッス」
痛みが強く残る体を鞭打ち何とか起き上がらせる。そしてとぼとぼと後ろを通って安全な背後に退散。
「まあ、相打ちといえば相打ちだが」
「これで、私達は……、全力で戦えます!!」
ルーデルとシスカの表情が少し明るくなる。
これで奴が放っていたイレーナたちを弱体化させる術式はなくなった。
「ルチアさん、ありがとうございます……」
「シスカちゃん。みんな、後は──よろしく頼むッス」
ルチアはその言葉に少し頷き強気な姿勢になる。
リーダー格のキノトグリスが周囲に向かって叫ぶ。
「てめえら、一回下がれ、作戦を組みなおすぞ」
先ほどからルーデルの攻撃をかろうじて防いでいたアブホースが、一端背後に下がりながら顔をゆがめた。
先ほどまでイレーナ達を苦しめていたトルネンブラの術式はもうない。
アブホースも今の攻撃でそれを実感。
「わかったよ。下がりゃらいいんだろ」
先ほどまで圧倒的に魔王軍側が押されていた状況は変わり始めていた。
少しずつイレーナ達が押し気味になっていく。しかしイレーナ達も決定打をなかなか打てないでいる。
キノトグリスが要領よく味方を援護しているからだ。
しかしこっちもサリアと力を取り戻したシスカの援護がある。
イレーナもルーデルもその力を感じながらイドラとソトスと戦っていく。
二人ともすっかり力を取り戻し押しこむ形になる。
「舐めるなよ、小娘!!」
「え──!?」
しかしソトスは一気に踏み込み乱戦状態になる。
「小娘たち。確かにその強さは認めてやるよ。だがなァ──、俺たちだっていじってモノがあるんだよォ!! 行くぞォ!!」
ソトスが一気に攻撃に転じる。
「そうだな、賭けだが勝つにはこれしかない。お前ら、覚悟を決めろ!!」
キノトグリスが周囲に大きく叫ぶと彼の体が強く光り始める。
「まずい、何かやってくるわ!!」
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