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アストラ帝国編

最大の襲撃

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 一回、教会に戻った幸一達。メーリングもついてきている。

 ホテルに戻った後、教会から手紙がきていた。
 すぐに来てほしいと、その言葉通り彼らはすぐに教会へ直行した。

「ハァ……、ハァ……、ついたです」

「そうだね、シスカちゃん」

 教会の入り口に到着した幸一達。
 早足でこっちにむかい、体力がないシスカとサラが軽く息をあげている。

 一緒に行動していたルチアが中に視線を配ると、一人のシスター姿をしている人物が早歩きでこっちに向かってきた。

 どこか焦っている様子なのが誰の目から見てもわかる。

「マルカさん、おはようございますッス。どうしたんですか?」

「何でもいままでに無いくらい強い魔獣たちのオーラを感じたそうです。ですので緊急に教皇様を呼んで、緊急に予言をするそうです」

「予言、この世界にもあるんだ……」

 イレーナの国でもあった。魔王軍が襲ってくる「襲撃」を知らせるサイン。この国でも当然魔王軍の襲撃はある。

 それを知らせる手段だ。
 何故分かるのか。詳しくはわかっていないが、魔獣たちが発する闇の力を焔が感知して、その力の強さが焔の強さに表されることで分かるようになっているらしい。


 そしてそんな話をしていると、幸一たちがその場所にたどり着く。

 大きな大聖堂のような間とりになっている。すでに教皇様や、信者たちなども集まりすぐにでも始まりそうな様子だ。
 天使を祭っている像。その前に、大きめのランプが置いてある。

「お待たせしました、すぐに始めましょう。」

 教皇様がそう言って数秒の間、手を組み祈りのポーズをする。
 紫色の焔が出現。

 教皇様がその焔の場所にゆっくりと歩いて近寄る。
 そしてそっと手をかざす。すると──。

 バチバチバチバチッ──!!!!

 その手に反応したかのように終焉の焔が紫に激しく燃え始め、火花が散る。

 その勢いは落ちることなくまるで花火のようにバチバチと火花を散らす。


 そして──。


 ドォォォォォン!!

 大きく燃え上がったあと、小さく焔は爆発した。


 全員が言葉を失い、騒然とするこの場。



 すると教皇様の手が震え、動揺し始める。

「わしは初めてみたぞい……。ここまで強い爆発は──」

「ええ、私もそう思うッス」

 ルチアが教皇様の言葉に反応すると、シスカが今の意味について聞き始める。

「今の……、どういう事なんで……すか?」

「私が生まれる前の「襲撃」について調べたことがあるんッスけどね、資料によるとあの焔が強ければ強いほど襲撃の規模も大きく、強い魔獣も出現しやすいそうッス」

「つまり、次の魔獣の襲撃って」

「今までにないくらいの襲撃?」

「イレーナさん、サラさん。そういう事です」

 イレーナとサラの言葉にシスターのマルカが深刻な表情で答える。
 それだけでなく、教皇様も深刻そうな表情を浮かべながら周囲の信者達に叫んだ。


「直ちに対策会議を開くのです。これは一大事ですぞ、街の存亡がかかっていると言っても過言ではないですぞ」

 その言葉、彼が感じている危機感をしっかりと感じ始める信者たち。

「勇者様!!」

「はい」

 幸一が教皇に力強く返事をする。

「全員が力を合わせなければ、この街を、この国を守ることは出来ませぬ。どうか私達にお力を貸してください」

「当然です」

「みんなで力を合わせて、この街を守ろうね」

 周囲のシスターの気持ちがこもった口調。しかし──。

「そうであればいいんだけれどね──」

 メーリングが深刻そうな表情、彼女には理解していた。その力を合わせるというのがいかに難しいかが──。


 確かに奴らは欲深く、自己保身にかけては一流の連中だ。

「それでも、力を合わせなければいけないことに変わりはない。とても厳しい戦いになるだろうけれど。頑張ろう──」

「──ええ」

 幸一とメーリングが互いに顔を合わせる。
 難しい、どんな強敵と戦うより困難かもしれない。しかしやるしかない、それがみんなを守るための唯一の手段なのだから。

 今までとは違う、異なる考えを持つ人を味方に引き込む戦い。

 この後彼らは、この街のため、一人でも手を取り合う人を探すため必死に街を走り回るのであった。
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