上 下
170 / 221
アストラ帝国編

こういうことが、したいんでしょ?

しおりを挟む
「この部屋に来てください。話があります」

 その言葉を見て、幸一はすぐにベッドから起き上がる。
 そしてメーリングの部屋に向かう。

 彼女の部屋は階段を上がって最上階。その部屋へ歩を進める中、彼女の事を考える。

(メーリング、あんな事情がある何て思いもしなかった)

 思い出したのは彼女の過去と今。天使の力を受け入れ、時には自分の意思を捻じ曲げられ、戦わされていたこと。
 そしてサラとの関係。サラを守るために決別をしたこと。

 もう一つ、あのカルトゥーシュ、メーリングと天使の力をつなぐ象徴。それを自分が何とかしようと近づこうとしたが、強い抵抗があったこと。

「確かにあの力は強かった。人間ごときに抵抗できないかもしれない」

 けれど幸一は見ていた。あの戦いの時、サラが勇気を出して彼女の名を叫んだ瞬間、一瞬ピクリと彼女が反応した事。

(メーリングのあの時の反応。あれは嘘じゃないはずだ。彼女を信じよう)

 拳を強く握りそう誓う。以前青葉と戦っていた時もそうだった。最終的には青葉は俺にその気持ちを叫んだ。同じようにそれを信じるしかない。

 そう強く胸に刻み目の前の扉をノックする。

 すると中から鍵が開く音がして数秒。

「いいわ。入りなさい──」

 声のトーンが平坦で、聞く人によっては感情が入ってないようにも聞こえるメーリングの声。

「分かった。入るよ」

 幸一はそう言ってドアを開ける。


 キィィィィィィィィィィィィ──。


「メーリング、さっきはありがとうってええっ??」


 そしてドアを開けた先の光景を幸一は予測できずに思わず叫んでしまう。
 ドアの向こうにはメーリングの姿があったのだが、問題はその彼女の格好だ。

 サラと初めて出会った時とほぼ一緒だ。全てが見えてしまっている。

 純白の肌に、引き締まった体型。そして初めて出会った時から服の上からでもわかるくらいのメロンのような大きい胸。
 幸一はまさかの事態に言葉を失いフリーズしてしまう。

「え……」

 互いに見つめ合う二人、メーリングは一瞬キョトンとした表情をした後、無言で幸一に接近する。


 幸一はまさか、彼女が服を脱いで待っていたとは知らず警戒し構える。

「私を救ってくれたお礼よ。気持ちだけでも、とてもうれしかったわ」

「それはありがとう、けど何で──」

 唖然とする幸一にメーリングは一歩一歩ゆっくりと近づく。

「ルチアからサラとのことを聞いたの。男性ならよくあると聞いたわ。自らの性欲のはけ口が無くて抑えられない。かといってサラにも拒絶されどうする事も出来ない。そしてたまり切った性欲を何とか解消したかったって。だから、それをお礼にしようと思ったの」

「え──、違うよ。何か誤解していない??」

 メーリングは微笑を浮かべ──。

「それとも私の胸を見たせいでサラでは要求不満になってしまったとか? 見られるのは慣れているわ」

「待ってくれ、俺の話しを聞いて。勝手に性欲魔人にしないで」

 幸一があたふたして困惑しているとそれを無視するかのようにメーリングは幸一の目の前接近して目の前に移動。
 そしてメーリングは幸一の右腕をギュッとつかむ。

「話はわかったわ。簡単に言うとこういう事を求めているんでしょ」

 なんとメーリングはそのつかんだ手を自分の乳房にそっとあて始め、上下左右に揺らし始めたのだった。
 マシュマロのような感覚が彼の手全体の覆い始める。

「話わかってないよね。そんな事をしたいなんて一言も言ってないよね!!」

「話してなくてもわかる。男性はいつもそう。あなただって初めて会った時も、ここで会った時もチラチラ見てたの分かってるから」

「そ、それは──」

 否定できない、それくらい目立つ胸。全裸でいる時ももちろん地下の競技場で出会った時も一瞬視線を送ってしまっていたのを思い出す。
 そして彼女は身体を寄せ密着させてくる。メーリングの裸の胸が幸一の胸に押しつぶされ、その柔らかさに顔を真っ赤にする。


 そのとき──。


 キィィィィィィィィィィィ──。



 ドアが開く。

「ちょっと、メーリング。やめて──、人が」

「幸君、メーリング、話は──」




 ドアのあいた音とともにサラが入ってくる。見られたくない光景、何とかメーリングの暴走をやめさせようとする。

 もみ合いの中でつい、幸一の手が彼女の胸に触れてしまう。
 マシュマロのような柔らかさ。手のひらでつかみきれないような大きさ。顔が真っ赤になり、頭の中が沸騰しそうになる。

 メーリングの胸に触れている幸一の手。
 メーリングは、わずかに声のトーンを上げて囁く。

「サラ──」

「え? サラちゃん、幸君、なにがあ──」

 そしてサラの背後から一人の少女が出てくる。その声に幸一は背筋を凍らせ戦慄する。

 一番見られたくない人物に見られてしまった。白髪の美少女、イレーナ出会った。
 というか全員いた。その後ろからルーデルにシスカ、ルチアも出てきた。

「幸君、私結構心配していたのに……」

 明らかに軽蔑している表情だ。

「ねぇ幸君、どういうことか説明して……」

 イレーナ、にっこりとしているが目元が明らかに笑っていない。むしろ明らかな殺気すら感じるくらいだ。

「ちゃんと説明するから。話しを聞いて!!」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ただしい異世界の歩き方!

空見 大
ファンタジー
人生の内長い時間を病床の上で過ごした男、田中翔が心から望んでいたのは自由な世界。 未踏の秘境、未だ食べたことのない食べ物、感じたことのない感覚に見たことのない景色。 未だ知らないと書いて未知の世界を全身で感じることこそが翔の夢だった。 だがその願いも虚しくついにその命の終わりを迎えた翔は、神から新たな世界へと旅立つ権利を与えられる。 翔が向かった先の世界は全てが起こりうる可能性の世界。 そこには多種多様な生物や環境が存在しており、地球ではもはや全て踏破されてしまった未知が溢れかえっていた。 何者にも縛られない自由な世界を前にして、翔は夢に見た世界を生きていくのだった。 一章終了まで毎日20時台更新予定 読み方はただしい異世界(せかい)の歩き方です

初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後

澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
結婚式の日の夜。夫のイアンは妻のケイトに向かって「お前を愛するつもりはない」と言い放つ。 ケイトは知っていた。イアンには他に好きな女性がいるのだ。この結婚は家のため。そうわかっていたはずなのに――。 ※短いお話です。 ※恋愛要素が薄いのでファンタジーです。おまけ程度です。

記憶がないので離縁します。今更謝られても困りますからね。

せいめ
恋愛
 メイドにいじめられ、頭をぶつけた私は、前世の記憶を思い出す。前世では兄2人と取っ組み合いの喧嘩をするくらい気の強かった私が、メイドにいじめられているなんて…。どれ、やり返してやるか!まずは邸の使用人を教育しよう。その後は、顔も知らない旦那様と離婚して、平民として自由に生きていこう。  頭をぶつけて現世記憶を失ったけど、前世の記憶で逞しく生きて行く、侯爵夫人のお話。   ご都合主義です。誤字脱字お許しください。

王女に婚約破棄され実家の公爵家からは追放同然に辺境に追いやられたけれど、農業スキルで幸せに暮らしています。

克全
ファンタジー
ゆるふわの設定。戦術系スキルを得られなかったロディーは、王太女との婚約を破棄されただけでなく公爵家からも追放されてしまった。だが転生者であったロディーはいざという時に備えて着々と準備を整えていた。魔獣が何時現れてもおかしくない、とても危険な辺境に追いやられたロディーであったが、農民スキルをと前世の知識を使って無双していくのであった。

ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い

平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。 かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。

神様に与えられたのは≪ゴミ≫スキル。家の恥だと勘当されたけど、ゴミなら何でも再生出来て自由に使えて……ゴミ扱いされてた古代兵器に懐かれました

向原 行人
ファンタジー
 僕、カーティスは由緒正しき賢者の家系に生まれたんだけど、十六歳のスキル授与の儀で授かったスキルは、まさかのゴミスキルだった。  実の父から家の恥だと言われて勘当され、行く当ても無く、着いた先はゴミだらけの古代遺跡。  そこで打ち捨てられていたゴミが話し掛けてきて、自分は古代兵器で、助けて欲しいと言ってきた。  なるほど。僕が得たのはゴミと意思疎通が出来るスキルなんだ……って、嬉しくないっ!  そんな事を思いながらも、話し込んでしまったし、連れて行ってあげる事に。  だけど、僕はただゴミに協力しているだけなのに、どこかの国の騎士に襲われたり、変な魔法使いに絡まれたり、僕を家から追い出した父や弟が現れたり。  どうして皆、ゴミが欲しいの!? ……って、あれ? いつの間にかゴミスキルが成長して、ゴミの修理が出来る様になっていた。  一先ず、いつも一緒に居るゴミを修理してあげたら、見知らぬ銀髪美少女が居て……って、どういう事!? え、こっちが本当の姿なの!? ……とりあえず服を着てっ!  僕を命の恩人だって言うのはさておき、ご奉仕するっていうのはどういう事……え!? ちょっと待って! それくらい自分で出来るからっ!  それから、銀髪美少女の元仲間だという古代兵器と呼ばれる美少女たちに狙われ、返り討ちにして、可哀想だから修理してあげたら……僕についてくるって!?  待って! 僕に奉仕する順番でケンカするとか、訳が分かんないよっ! ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

【異世界ショップ】無双 ~廃絶直前の貴族からの成り上がり~

クロン
ファンタジー
転生したら貴族の長男だった。 ラッキーと思いきや、未開地の領地で貧乏生活。 下手すれば飢死するレベル……毎日食べることすら危ういほどだ。 幸いにも転生特典で地球の物を手に入れる力を得ているので、何とかするしかない! 「大変です! 魔物が大暴れしています! 兵士では歯が立ちません!」 「兵士の武器の質を向上させる!」 「まだ勝てません!」 「ならば兵士に薬物投与するしか」 「いけません! 他の案を!」 くっ、貴族には制約が多すぎる! 貴族の制約に縛られ悪戦苦闘しつつ、領地を開発していくのだ! 「薬物投与は貴族関係なく、人道的にどうかと思います」 「勝てば正義。死ななきゃ安い」 これは地球の物を駆使して、領内を発展させる物語である。

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

処理中です...