134 / 221
巨大なる襲撃編
機密情報
しおりを挟む「どうやら、バレなかったみたいね」
「ああ」
宮殿の備品だけあって高価な作りで濃厚な感覚の外見をしていて机を動かせないように印象づけている。
確かに機密情報があらぬところから漏れる事はある。当然そうすれば警戒はする。部屋の中に誰か隠れていないか探したりするかもしれない。しかし仮に人が隠れているとわかっても彼らにとって机は机でありそれ以外の何物でもない。
当然思考の外。そして音の録音機能があり貝のような形をしたメモワール・ダイヤルを何個か所持。グロリアが会話を初めて何か有力な情報を口にしたら記録を開始する作戦だ。
そして幸一が作戦が始まり気を引き締めようとする。しかし……。
「わ~~い。幸君と一緒、やった~~」
「そういう言い方はやめて」
青葉が小さな声で幸一を茶化す、少しはっちゃけ身体をツンツンと触れる。青葉はこういった作戦は慣れている。そこまで気を引き締める必要はないのだ。
意外とばれないというのが幸一も理解できた。またあらかじめ彼女の予定表を入手していたので外で予定がある時にトイレや食糧を入手できるのでそれに関してはそこまで問題ではない。
しかし意外なことで問題があった。
つんつん──。
「ちょっと青葉、身体に触れ過ぎだよ」
「ん~~? ちょっと二の腕が触れただけじゃん。もしかしてやましい事でも想像してるの??」
青葉の純白でぷにぷにとした二の腕が幸一の腕にぴったりとくっつく。狭い椅子の中という中、ある程度体が触れるのは仕方がないが青葉はそれをいいことにまるで誘惑するかのように必要以上に身体に触れてくるのであった。
おまけに彼女の髪からシャンプーの香りが幸一の鼻腔を刺激。何とかその誘惑を断ち切っていくが青葉の誘惑に理性が氷のように解けていくのを感じる。
幸一としては当然誘惑に負けるわけにはいかない。ましてや絶対に間違いを起こすわけにはいかない。何とか理性を総動員して耐える。
「まあ、あいつがいない時間は大体わかっているんだしその時間だったら多少はいやらしい事をしてもいいわよ。キスぐらいならやってみる?」
「や、やらないよ……」
ギュッ──。
「ちょ、ちょっと──」
ウィンクをしながら青葉がノリノリでしゃべるとさらに幸一に体を寄せる。もともと青葉は露出度が高い服を着ていてそれが彼女の色気を引きたてていて思わず顔を赤らめる。
幸一はイレーナに先日告白され交際をすることになったばかりだ。間違ってもここでそれを裏切るようなことはしたくない。
「イレーナちゃんには言わないから大丈夫!! バレなきゃ犯罪じゃないってこと技があるじゃない。そう言う事よ!」
「そんなことわざないって。本当にやめて」
「もう、幸君のいけず~~」
しかし幸一には違和感があった。
どこか演技が入っているような気がする。何か嫌なことがあってそれをごまかすために過剰にテンションを上げているような……。
幸一がそんな心配をしていると──。
キィィィィィ──。
ドアが開く音が二人の耳に入る。
二人ともさっきまでのいちゃいちゃムードは消えさる。ダイヤルを動かし録画モードにする。
二人以上の足音が聞こえた事や話の内容から誰かと階段をしているのだろう。
「ええ、ここの役人さんは馬鹿ばかり。秘密情報は筒抜け、少し私が利益を与えたりそれなりの地位を約束するだけよ」
「想像力が足りませんな」
「そうそう。ちょっと私が利益をちらつかせているだけでみんなホイホイ情報をくれるわ。相手がどんな集団に所属しているかわからないのにね」
「ははは、まさか機密情報を売った先が魔王軍とつながりがあるなんて知ったら奴ら驚くでしょうな」
ピクッ──。
その言葉に耳を澄ませて聞いていた幸一と青葉の表情が凍りつく。やはりこいつが魔王軍への裏切り者。しかしそれでもこいつが何をしようとしているのかを聞き逃さないため懸命に耳を澄ます。
「それで、これからはどうするんですか? もうすぐで大規模な襲撃がありますよね。そこでも策とかはあるんですか」
「まあ、そうね……。普通の冒険者はほっておくとして。兵士の中に裏切り者を作るのはどうかしら。そいつに国王に向かって発砲させるの。パニックになり後方は確実に混乱するわ」
「それと、後は勇者さんね。彼は行く先々で魔獣たちを討ちとりいろいろな問題も解決していると聞いたわ。何か対策しないと彼一人で作戦が台無しにされかねないわ」
「幸君モッテモテ~~」
「ちょ、ちょっと声を立てないで。ばれちゃうよ!」
青葉はその言葉を聞くと肘でうりうりとつついてひそひそ声ではやし立てる。
「それに関しても考えはあるわ。ここでは話しずらいけどね……。ゴニョゴニョ」
グロリアはひそひそ声で耳打ちしながら小さい声でその策を話す。残念ながらその小さな声では青葉と幸一には聞こえなかった。やはり侍女が変わった時点でグロリアはどこかで警戒しているのだろう。
そして2人の会話が終わる。具体的な内容に関しては結局聞く事は出来なかった。
「では、あなたのご命運を祈ります。ミスグロリア」
「ええ。次は勝利の宴ね」
0
お気に入りに追加
107
あなたにおすすめの小説
記憶がないので離縁します。今更謝られても困りますからね。
せいめ
恋愛
メイドにいじめられ、頭をぶつけた私は、前世の記憶を思い出す。前世では兄2人と取っ組み合いの喧嘩をするくらい気の強かった私が、メイドにいじめられているなんて…。どれ、やり返してやるか!まずは邸の使用人を教育しよう。その後は、顔も知らない旦那様と離婚して、平民として自由に生きていこう。
頭をぶつけて現世記憶を失ったけど、前世の記憶で逞しく生きて行く、侯爵夫人のお話。
ご都合主義です。誤字脱字お許しください。
王女に婚約破棄され実家の公爵家からは追放同然に辺境に追いやられたけれど、農業スキルで幸せに暮らしています。
克全
ファンタジー
ゆるふわの設定。戦術系スキルを得られなかったロディーは、王太女との婚約を破棄されただけでなく公爵家からも追放されてしまった。だが転生者であったロディーはいざという時に備えて着々と準備を整えていた。魔獣が何時現れてもおかしくない、とても危険な辺境に追いやられたロディーであったが、農民スキルをと前世の知識を使って無双していくのであった。
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
神様に与えられたのは≪ゴミ≫スキル。家の恥だと勘当されたけど、ゴミなら何でも再生出来て自由に使えて……ゴミ扱いされてた古代兵器に懐かれました
向原 行人
ファンタジー
僕、カーティスは由緒正しき賢者の家系に生まれたんだけど、十六歳のスキル授与の儀で授かったスキルは、まさかのゴミスキルだった。
実の父から家の恥だと言われて勘当され、行く当ても無く、着いた先はゴミだらけの古代遺跡。
そこで打ち捨てられていたゴミが話し掛けてきて、自分は古代兵器で、助けて欲しいと言ってきた。
なるほど。僕が得たのはゴミと意思疎通が出来るスキルなんだ……って、嬉しくないっ!
そんな事を思いながらも、話し込んでしまったし、連れて行ってあげる事に。
だけど、僕はただゴミに協力しているだけなのに、どこかの国の騎士に襲われたり、変な魔法使いに絡まれたり、僕を家から追い出した父や弟が現れたり。
どうして皆、ゴミが欲しいの!? ……って、あれ? いつの間にかゴミスキルが成長して、ゴミの修理が出来る様になっていた。
一先ず、いつも一緒に居るゴミを修理してあげたら、見知らぬ銀髪美少女が居て……って、どういう事!? え、こっちが本当の姿なの!? ……とりあえず服を着てっ!
僕を命の恩人だって言うのはさておき、ご奉仕するっていうのはどういう事……え!? ちょっと待って! それくらい自分で出来るからっ!
それから、銀髪美少女の元仲間だという古代兵器と呼ばれる美少女たちに狙われ、返り討ちにして、可哀想だから修理してあげたら……僕についてくるって!?
待って! 僕に奉仕する順番でケンカするとか、訳が分かんないよっ!
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
【異世界ショップ】無双 ~廃絶直前の貴族からの成り上がり~
クロン
ファンタジー
転生したら貴族の長男だった。
ラッキーと思いきや、未開地の領地で貧乏生活。
下手すれば飢死するレベル……毎日食べることすら危ういほどだ。
幸いにも転生特典で地球の物を手に入れる力を得ているので、何とかするしかない!
「大変です! 魔物が大暴れしています! 兵士では歯が立ちません!」
「兵士の武器の質を向上させる!」
「まだ勝てません!」
「ならば兵士に薬物投与するしか」
「いけません! 他の案を!」
くっ、貴族には制約が多すぎる!
貴族の制約に縛られ悪戦苦闘しつつ、領地を開発していくのだ!
「薬物投与は貴族関係なく、人道的にどうかと思います」
「勝てば正義。死ななきゃ安い」
これは地球の物を駆使して、領内を発展させる物語である。
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
エラーから始まる異世界生活
KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。
本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。
高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。
冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。
その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。
某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。
実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。
勇者として活躍するのかしないのか?
能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。
多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。
初めての作品にお付き合い下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる