27 / 51
第一章
4-4 これ絶対罠よ
しおりを挟む
早朝、宿の裏庭で鍛錬をする。
勇者様は、「なぜ宿には裏庭や中庭が必ずあるのかしら? 普通は無いわよね?」と言っていたが、宿屋は洗濯物も多い。干す場所が広くとられているのは自然なことだ。
本日からパトロン探しを開始するわけだが、まずは鍛錬。勇者様が寝ている間に終わらせておく、というわけだ。
軽く走った後の体は程よく温まっており、上半身裸で素振りをする。
勇者様が触れていた装備の一つ、剣がどう変化しているのかを知りたかった、というのもある。だが、特に変わったとは思えない。
重さも、長さも、握った感触も、自分には変化を感じられなかった。
もしかしたらだが、変われば慣れるまでに時間がかかると思い直し、触れただけに留めてくれたのかもしれない。
さすが勇者様だ。そういったことにも気付いてしまう。
おっと、感心している場合ではない。雑念を捨て、剣を振れ。
だがたまには、掃除を手伝えと蹴飛ばされたときを思い出し、感情を乗せることも大事だと兵士長が言っていた。ちなみに、兵士長の奥さんは超美人で常識人なので、たぶん悪いのは兵士長である。
無心で剣を振る、というのは難しい。だが、感情を乗せることは難しくない。
自身が追い詰められたときを、今後追い詰められるであろうときを想像し、剣を振ればいい。例えば……そう、オルベリアとかを思い浮かべてだ。
「死ねええええええええええええっ!」
……中々に気合の入った剣だった。ヘクトル様ほどではないが、かなり感情を籠められたと思う。
その後も死ね! くたばれ! 消えろ! と連呼しながら素振りをしていたら、当たり前のことだが、宿屋の親父に怒られた。胸の中で思うだけにした。
朝は涼しく、心地よい。一人で鍛錬をするのならば、早朝か夜に限る。
ただただ剣を振った。自分に才能があるからではない。今よりも強くなるためでもない。
これ以上弱くならないためには、鍛錬が必要だった。……もちろん強くなれるのならば強くなりたい、という気持ちはある。そこは否定しない。
強くなっているのか、強くなっていないのか。厳密には分からないわけだが、弱くはなっていないと思う。
なぜかこの旅に同行してから、体が少しずつ軽くなっているように感じていた。
ただの勘違いなのか、環境が変わったことで、本当に強くなっているのか。
少し考えつつ素振りをしていると、声を掛けられた。
「おはよう、ラックスさん。早いのね」
「おはようございます、ミサキお嬢様」
もう一度だけ剣を振った後、勇者様を見て頭を下げる。
彼女はなぜか腕を組み、意味ありげに頷いた。
「上半身裸だからって動揺すると思った? わたしの世界では、男性の裸くらいググれば好きなだけ見れるのよ? だから、やっべぇ実は脱いだらすごい筋肉ついてるじゃない。ラックスさんは細マッチョだったのね、とか思っていないわ」
「は、はぁ、そうですか……?」
とりあえずなにが言いたいのかは分からなかったが、動揺しているということは分かった。
確かに、女性の前でこの姿は良くなかったと思う。それに男性の上半身が裸であれば、やはり動揺してくれるほうが慎み深い女性だと言えよう。
後、関係は無いが、自分は恥ずかしがってくれる女性のほうが好みである。
「《アクア》」
水の魔法で濡らした布で体を拭き、上着を着る。
「あぁ……」
「はい?」
「朝食の用意ができているって、宿屋の親父さんが言っていたわ」
「了解しました」
少し落ち込んだ声を出していた気もしたが、お腹が減っていたのかもしれない。女性からお腹が減った、とは中々言い辛いものだ。
「はー! お腹減ったわー!」
……勇者様はその限りではなかったようだった。
支度も整い、二人連れだって町中を進む。
新しい鎧。新しい槍、新しい剣、新しい盾、新しい鎖帷子。
誰だって新しい物を手に入れれば嬉しい。ニヤニヤしていると、勇者様が不思議そうに首を傾げた。
「どうしたの?」
「勇者様にいただいた鎖帷子や、新しい装備が嬉しく、つい頬が緩んでしまいました」
「そこまで喜んでくれると、プレゼントした甲斐があったわ」
俺も笑顔、勇者様も笑顔。とても良い一日になりそうだ。
「最初の目的地は?」
「勇者様が仰っていた通り、サニスの町一の富豪。良い噂ばかりの人格者。クヤレラヤ家へ向かいます」
「すごく言いにくい家名ね……」
そう言われても、クヤレラヤという家名をつけたのは俺ではない。頑張ってクヤレラヤという名前を憶えてもらおう。どうせ断られそうだから忘れてもいいと思うが、クヤレラヤ家に向かうのだ。
町の中心から近い場所に大きな三階建ての屋敷。広い庭には噴水。これでもかというほどのお金持ち、クヤレラヤ家の前へ辿り着いた。
本来ならば鉄柵の門扉を押し開き、中へ入るべきだろう。なのだが……俺と勇者様は、足を止めていた。
眉根を寄せ、勇者様を見る。目の合った彼女は、笑顔のまま言った。
「これ絶対罠よ」
「同感です」
勇者様は眼鏡をクイッと押し上げ、口を開いた。
「まず、門番がいないわ。普通はいるわよね?」
「いますね」
「次に、この辺りに人がいない。町の中心近いのに、歩いている人すら見ない。明らかにおかしいわ」
「おかしいですね」
「さらに、あれよ」
指差した方向は、屋敷の玄関。
まだ随分先にあるが、なぜかそこは開かれていた。しかも手招きをするように、ギィギィと揺れている。風も吹いていないのに。
「では、ここで多数決を採ります。罠だと思う人―」
二人とも挙手したため、満場一致である。今、ここではなにかが起きているので入らない。当然の答えが出た。
「では、ピエールへ伝えに行きましょう。対処をしてくれるはずです」
「こういったイベントでは、大抵ヤバいやつが潜んでいるわ。町の人を逃がしておいたほうがいいかもしれないわね」
「でしたら、詰所の地下には避難場所があります。なんせ魔族と戦っていますからね。本土決戦になったときのことを考え、有事の際には備えております」
「戦争しているんだなぁ、という実感が、今さらながらに沸いたわ」
うへぇ、という顔をしている勇者様と共に詰所へ向かおうと歩き出す。
「……キャアアアアアアアアアアアアアアアアア」
「勇者様! 自分は屋敷の中へ入ります! 詰所へ援軍を呼びに行ってください!」
「待って待って! 絶対罠よ! 100%罠よ! なんなら命賭けるわ! 賭けないけど!」
自分を止めようとする勇者様の両肩を掴み、ハッキリと告げた。
「例え罠だと分かっていても、助けを求める声があれば行かないわけにはいかぬのです。自分は、王国の兵士。民を守ることが責務です」
「それ完全に死亡フラグだから!? ま、待ってよラックスさーん!」
俺は申し訳ないと心の中で謝罪をしつつ、十中八九どころか十中十は罠であろう屋敷の中へ入った。
『ダメだ! 逃げろ!』
妖精さんの声で足を止めたが、すぐに、また悲鳴が聞こえる。
「……キャアアアアアアアア」
二階だ。正面の階段を駆け上り、二階へ。廊下へ出て前後を見回した。
「キャアアアアアアア」
二階じゃなかった、三階だ。もう一度階段へ戻って上る。廊下を見れば、一つだけ少しだけ開かれており、光の漏れている扉があった。
「キャー」
間違いなくあそこだ。確信を持ち、扉を蹴り飛ばして中へ入る。中途半端に開いていたので邪魔だったからだ。
室内に入れば、部屋は天井まで真っ赤に染まっており……などということはない。ソファに一人、女性が腰かけているだけだった。
金色の片側だけ巻かれた髪。褐色の肌。背中の開けた赤いドレス。
見ているだけで、じわりと手に汗が滲んだ。
「追いついたわ! 無事ね、ラックスさん!」
来て欲しくなかった。だが、来てくれた。そんな勇者様の行動が嬉しくもあり、悲しくもある。
相反する感情のまま、勇者様の前に立つ。腰を下ろし、盾を強く握った。
ソファに腰かけている女性は、ゆっくりと顔だけをこちらへ動かす。
「まさか、本当にうまくいくとはねぇ。あいつの情報も使えるじゃなぁい」
左目には深い傷跡、右目には紫色の美しい瞳。
魔貴族が一人、オルベリア=アクアロールは、背筋が冷たくなるような笑みを浮かべていた。
勇者様は、「なぜ宿には裏庭や中庭が必ずあるのかしら? 普通は無いわよね?」と言っていたが、宿屋は洗濯物も多い。干す場所が広くとられているのは自然なことだ。
本日からパトロン探しを開始するわけだが、まずは鍛錬。勇者様が寝ている間に終わらせておく、というわけだ。
軽く走った後の体は程よく温まっており、上半身裸で素振りをする。
勇者様が触れていた装備の一つ、剣がどう変化しているのかを知りたかった、というのもある。だが、特に変わったとは思えない。
重さも、長さも、握った感触も、自分には変化を感じられなかった。
もしかしたらだが、変われば慣れるまでに時間がかかると思い直し、触れただけに留めてくれたのかもしれない。
さすが勇者様だ。そういったことにも気付いてしまう。
おっと、感心している場合ではない。雑念を捨て、剣を振れ。
だがたまには、掃除を手伝えと蹴飛ばされたときを思い出し、感情を乗せることも大事だと兵士長が言っていた。ちなみに、兵士長の奥さんは超美人で常識人なので、たぶん悪いのは兵士長である。
無心で剣を振る、というのは難しい。だが、感情を乗せることは難しくない。
自身が追い詰められたときを、今後追い詰められるであろうときを想像し、剣を振ればいい。例えば……そう、オルベリアとかを思い浮かべてだ。
「死ねええええええええええええっ!」
……中々に気合の入った剣だった。ヘクトル様ほどではないが、かなり感情を籠められたと思う。
その後も死ね! くたばれ! 消えろ! と連呼しながら素振りをしていたら、当たり前のことだが、宿屋の親父に怒られた。胸の中で思うだけにした。
朝は涼しく、心地よい。一人で鍛錬をするのならば、早朝か夜に限る。
ただただ剣を振った。自分に才能があるからではない。今よりも強くなるためでもない。
これ以上弱くならないためには、鍛錬が必要だった。……もちろん強くなれるのならば強くなりたい、という気持ちはある。そこは否定しない。
強くなっているのか、強くなっていないのか。厳密には分からないわけだが、弱くはなっていないと思う。
なぜかこの旅に同行してから、体が少しずつ軽くなっているように感じていた。
ただの勘違いなのか、環境が変わったことで、本当に強くなっているのか。
少し考えつつ素振りをしていると、声を掛けられた。
「おはよう、ラックスさん。早いのね」
「おはようございます、ミサキお嬢様」
もう一度だけ剣を振った後、勇者様を見て頭を下げる。
彼女はなぜか腕を組み、意味ありげに頷いた。
「上半身裸だからって動揺すると思った? わたしの世界では、男性の裸くらいググれば好きなだけ見れるのよ? だから、やっべぇ実は脱いだらすごい筋肉ついてるじゃない。ラックスさんは細マッチョだったのね、とか思っていないわ」
「は、はぁ、そうですか……?」
とりあえずなにが言いたいのかは分からなかったが、動揺しているということは分かった。
確かに、女性の前でこの姿は良くなかったと思う。それに男性の上半身が裸であれば、やはり動揺してくれるほうが慎み深い女性だと言えよう。
後、関係は無いが、自分は恥ずかしがってくれる女性のほうが好みである。
「《アクア》」
水の魔法で濡らした布で体を拭き、上着を着る。
「あぁ……」
「はい?」
「朝食の用意ができているって、宿屋の親父さんが言っていたわ」
「了解しました」
少し落ち込んだ声を出していた気もしたが、お腹が減っていたのかもしれない。女性からお腹が減った、とは中々言い辛いものだ。
「はー! お腹減ったわー!」
……勇者様はその限りではなかったようだった。
支度も整い、二人連れだって町中を進む。
新しい鎧。新しい槍、新しい剣、新しい盾、新しい鎖帷子。
誰だって新しい物を手に入れれば嬉しい。ニヤニヤしていると、勇者様が不思議そうに首を傾げた。
「どうしたの?」
「勇者様にいただいた鎖帷子や、新しい装備が嬉しく、つい頬が緩んでしまいました」
「そこまで喜んでくれると、プレゼントした甲斐があったわ」
俺も笑顔、勇者様も笑顔。とても良い一日になりそうだ。
「最初の目的地は?」
「勇者様が仰っていた通り、サニスの町一の富豪。良い噂ばかりの人格者。クヤレラヤ家へ向かいます」
「すごく言いにくい家名ね……」
そう言われても、クヤレラヤという家名をつけたのは俺ではない。頑張ってクヤレラヤという名前を憶えてもらおう。どうせ断られそうだから忘れてもいいと思うが、クヤレラヤ家に向かうのだ。
町の中心から近い場所に大きな三階建ての屋敷。広い庭には噴水。これでもかというほどのお金持ち、クヤレラヤ家の前へ辿り着いた。
本来ならば鉄柵の門扉を押し開き、中へ入るべきだろう。なのだが……俺と勇者様は、足を止めていた。
眉根を寄せ、勇者様を見る。目の合った彼女は、笑顔のまま言った。
「これ絶対罠よ」
「同感です」
勇者様は眼鏡をクイッと押し上げ、口を開いた。
「まず、門番がいないわ。普通はいるわよね?」
「いますね」
「次に、この辺りに人がいない。町の中心近いのに、歩いている人すら見ない。明らかにおかしいわ」
「おかしいですね」
「さらに、あれよ」
指差した方向は、屋敷の玄関。
まだ随分先にあるが、なぜかそこは開かれていた。しかも手招きをするように、ギィギィと揺れている。風も吹いていないのに。
「では、ここで多数決を採ります。罠だと思う人―」
二人とも挙手したため、満場一致である。今、ここではなにかが起きているので入らない。当然の答えが出た。
「では、ピエールへ伝えに行きましょう。対処をしてくれるはずです」
「こういったイベントでは、大抵ヤバいやつが潜んでいるわ。町の人を逃がしておいたほうがいいかもしれないわね」
「でしたら、詰所の地下には避難場所があります。なんせ魔族と戦っていますからね。本土決戦になったときのことを考え、有事の際には備えております」
「戦争しているんだなぁ、という実感が、今さらながらに沸いたわ」
うへぇ、という顔をしている勇者様と共に詰所へ向かおうと歩き出す。
「……キャアアアアアアアアアアアアアアアアア」
「勇者様! 自分は屋敷の中へ入ります! 詰所へ援軍を呼びに行ってください!」
「待って待って! 絶対罠よ! 100%罠よ! なんなら命賭けるわ! 賭けないけど!」
自分を止めようとする勇者様の両肩を掴み、ハッキリと告げた。
「例え罠だと分かっていても、助けを求める声があれば行かないわけにはいかぬのです。自分は、王国の兵士。民を守ることが責務です」
「それ完全に死亡フラグだから!? ま、待ってよラックスさーん!」
俺は申し訳ないと心の中で謝罪をしつつ、十中八九どころか十中十は罠であろう屋敷の中へ入った。
『ダメだ! 逃げろ!』
妖精さんの声で足を止めたが、すぐに、また悲鳴が聞こえる。
「……キャアアアアアアアア」
二階だ。正面の階段を駆け上り、二階へ。廊下へ出て前後を見回した。
「キャアアアアアアア」
二階じゃなかった、三階だ。もう一度階段へ戻って上る。廊下を見れば、一つだけ少しだけ開かれており、光の漏れている扉があった。
「キャー」
間違いなくあそこだ。確信を持ち、扉を蹴り飛ばして中へ入る。中途半端に開いていたので邪魔だったからだ。
室内に入れば、部屋は天井まで真っ赤に染まっており……などということはない。ソファに一人、女性が腰かけているだけだった。
金色の片側だけ巻かれた髪。褐色の肌。背中の開けた赤いドレス。
見ているだけで、じわりと手に汗が滲んだ。
「追いついたわ! 無事ね、ラックスさん!」
来て欲しくなかった。だが、来てくれた。そんな勇者様の行動が嬉しくもあり、悲しくもある。
相反する感情のまま、勇者様の前に立つ。腰を下ろし、盾を強く握った。
ソファに腰かけている女性は、ゆっくりと顔だけをこちらへ動かす。
「まさか、本当にうまくいくとはねぇ。あいつの情報も使えるじゃなぁい」
左目には深い傷跡、右目には紫色の美しい瞳。
魔貴族が一人、オルベリア=アクアロールは、背筋が冷たくなるような笑みを浮かべていた。
0
お気に入りに追加
84
あなたにおすすめの小説
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
虐げられた令嬢、ペネロペの場合
キムラましゅろう
ファンタジー
ペネロペは世に言う虐げられた令嬢だ。
幼い頃に母を亡くし、突然やってきた継母とその後生まれた異母妹にこき使われる毎日。
父は無関心。洋服は使用人と同じくお仕着せしか持っていない。
まぁ元々婚約者はいないから異母妹に横取りされる事はないけれど。
可哀想なペネロペ。でもきっといつか、彼女にもここから救い出してくれる運命の王子様が……なんて現れるわけないし、現れなくてもいいとペネロペは思っていた。何故なら彼女はちっとも困っていなかったから。
1話完結のショートショートです。
虐げられた令嬢達も裏でちゃっかり仕返しをしていて欲しい……
という願望から生まれたお話です。
ゆるゆる設定なのでゆるゆるとお読みいただければ幸いです。
R15は念のため。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
勇者に闇討ちされ婚約者を寝取られた俺がざまあするまで。
飴色玉葱
ファンタジー
王都にて結成された魔王討伐隊はその任を全うした。
隊を率いたのは勇者として名を挙げたキサラギ、英雄として誉れ高いジークバルト、さらにその二人を支えるようにその婚約者や凄腕の魔法使いが名を連ねた。
だがあろうことに勇者キサラギはジークバルトを闇討ちし行方知れずとなってしまう。
そして、恐るものがいなくなった勇者はその本性を現す……。
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断
Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。
23歳の公爵家当主ジークヴァルト。
年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。
ただの女友達だと彼は言う。
だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。
彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。
また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。
エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。
覆す事は出来ない。
溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。
そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。
二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。
これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。
エルネスティーネは限界だった。
一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。
初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。
だから愛する男の前で死を選ぶ。
永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。
矛盾した想いを抱え彼女は今――――。
長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。
センシティブな所へ触れるかもしれません。
これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる