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一、溺愛始めました。

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 ◇

「ん……ふぅ……あ、ああ、うっ……も、あ……やめれ、って……いっ、やぁ……聞けってぇ……まおー」
 
 頭も舌も蕩けてしまったみたいに上手く言葉が話せない。
 悶えながら、俺は魔王に許しを乞う。

「いや、わたしがどれだけルカの胸を愛してるか、ちゃんと教え込まないと……」
「ん、んんっ、バカッ、それ、飴じゃな……舐めりゅなぁ……」

 俺は影に拘束され、魔王の膝の上に座って、無防備に胸をさらけ出していた。 
 魔王はそんな俺の胸にしゃぶりついていた。

「見てみろ。薄いピンクが鮮やかな赤に変わってきたぞ?」
「痛ッ……! バカバカバカ、ンなわけ、ない……」

 見せつけるように魔王は俺の乳首を引っ張った。

「ちゃんと見たか? こんなに赤く色づいて……本当に美味しそうだぞ」
 そう言いながら魔王は唾液塗れの乳首に吐息を吹きかける。
 ひんやりとして思わず俺は身震いをした。

「んんっ、美味しくないって……」
「 本当に美味しくないか反対も味見しよう」
「味見って、さっきから舐め……あっ、ああっ!」

 魔王はもう一度俺の胸に吸い付く。
 飴でも舐めるみたいに転がしたり、ねっとりと舐め上げられ、時折甘く歯を立てられる。

 すでに唾液に塗れている乳首には魔王の手が伸びていた。
 乳輪の周りをそっと触ったり、おっぱいを撫で回したり、揉んだり、お臍の辺りを撫でたり、バリエーションには事欠かないらしい。

「あっ♡ やぁっ♡ んっ、ん♡♡」
 声は甘く、さらに蕩けたものに変わっているのが分かった。
 悔しいけど、気持ちいい。

 時折、魔王は俺の敏感なところ刺激するように腿を揺らす。
 俺の下半身の一番弱いところが刺激と共に熱く硬くなっていくのが分かる。

「やぁっ……やだあ、こんな……はず、はずかしっ、あ♡ あっ♡」
「こんなにいやらしい染みまで作って誘ってるのに、やめていいのか?」

 そう言いながら魔王は刺激するようにまた腿をぐっと股間に押し当て、乳首を摘む。
 布が擦れる感じが、堪らなく気持ちいい。

「あぅ……ん♡ んん♡ こ、これはぁ……あ、薬、のせい、ら……んんっ♡」

 硬くなったそこからはとろりと粘液が零れ、魔王のスラックスにさらに濃い染みをつくる。

 くそ、俺だってあの忌まわしい回復薬さえ盛られていなければこんなことにはなってない。
 傷を治すと言いながら口移しで無理やり飲ませたのは魔王の方なのに。

「あれは回復薬だ。媚薬なんかじゃない」
「はぁ、ン……似たよーな、もん……ら、ああっ……♡」

「なるほど。お前の身体は回復薬で気持ちよくなってしまうんだな。一般的ではないとは言え、立派な薬でこんなに乱れるだなんていやらしい身体をしているな」
「そ、んっ……なこと、あっ……ない♡」
「回復薬でこんなに乱れる者を見たことがないぞ」

 意地悪な声が耳元で囁く。

 羞恥心で顔が染まる。
 ますます熱い。
 耳まで熱気帯びてきた。

「やめ……やめ、え……覚えれろ、絶、対……ころ、す」
「強がるな」
「うっせ……あ、あ♡ お、お前、は、黙って、イかせ、ろ……よお……♡」

 強がるものの、俺の身体は限界だった。
 なんとか熱を吐き出したくて、ゆるゆると染みをひろげるように腰が動かす。
 気持ちいい。
 嗚呼、早くイキたい。

「では、問おう。お前は誰のものだ?」

 確か、俺が誰のものか分からせないとって言ってたな。
 つまり、魔王に媚びておねだりをしろってことか。
 この俺がこれ以上魔王に媚びるなんて冗談じゃない。

「言えないのか?」

 乳首がほんの少し、魔王の服に当たり、それすら気持ちがいい。
 でも、イクにはまだまだ足りない。

 魔王のものだと言えば楽になるのだろうが、一瞬たりとも魔王のものになりたくない。
 そんなこと言いたくない。

「おれ、はぁ……お、れ……も、ンっらぁ! あっ、あっ! ……ああぁ!」

 魔王は溜め息を吐いた。耳に吐息が掛かる。

「強情だな」
「う、るへ……」
 
 必死だった。もっともっと真っ白になるような快楽が欲しい 。
 でも、屈するのは勘弁だ。

 魔王は俺の脇腹を撫で回し、突き上げるように腿を動かした。

「あ、あぁっ!」
「言わないか。誰のものかは十分教えたつもりだが……」

 そう言って魔王は思いきり俺の乳首を抓った。

「ひっ……!」

 魔王は容赦なく俺の両乳首を抓り上げる。

 痛くて痛くて堪らない。
 うっかりすればちぎれてしまいそうだが、俺は絶対に屈しない。
 そう自分に言い聞かせて、魔王を睨みつけた。

「どうやらまだ分かっていないようだな。いいだろう。教えてやる」

 魔王はじんじんと痛む乳首を優しく舌で愛撫した。

「ん、ン……あっあっ、あっ……あ!」

 急に欲しかった快楽の波がどっと寄せてくる。

 拘束が外され、俺の手は自由になる。
 俺は魔王の頭をくしゃりと掻き抱いた。

 じわじわと下半身が熱くなる。

 気持ちがいい。もっともっと気持ちよくして欲しい。
 そこもすごく気持ちいいのだけど、優しくされるならやはり下も触って欲しい。
 そんな気持ちが湧いてくる。
 
「誰のものか言ってみろ。欲しいものを与えよう」

 指で乳輪を優しく撫でられ、乳首を優しく舐られる。
 ねっとりといやらしい手つきで触られて、頭がぼんやりとしてきた。

「い、あない……言って、や……うもん……か」
 そう口では強がるものの、身体は我慢できず、勃ち上がったモノを揺らし、擦り付け、強請ってしまう。

 魔王は全てを理解したように微笑む。

「辛いのなら言えばいい」

 俺は頭を振った。
 いやだ。絶対、お前のものだなんて言わない。言いたくない。

「全く譲る気はないようだな」

 魔王の言葉に俺は頷く。

 当たり前だ。絶対に俺はお前のものにならない。
 例え、純潔を散らされても、俺のものは全部奪わせない。
 俺の心だけは絶対にやらない。

「そうは言っても辛いだろう」
 魔王が熱っぽく言う。

 こんなことをされて辛くないはずがないだろう。

「イイって、イキたいと言え」

 悪魔の囁きだった。
 イキたいと言うだけでよい。
 そうすればイかせてやると魔王は笑う。

 最初の、あの、絶頂を思い出す。
 真っ白になるくらい気持ちが良くて、何もかも全てが快楽で塗り潰された、あの感覚。
 あれを俺の口からお願いしろと言うのか。

 恥ずかしい。
 何もかも熱い。熱くて熱くて溶けてしまいそうだ。

「今日はイキたいと乞うだけいい。それで手打ちにしてやる」

 魔王は甘く囁く。
 耳に吐息が掛かり、甘く背中が痺れる。
 それを知ってか、魔王は追い打ちをかけるように耳を食んだ。

「っ……!」

 恐ろしく気持ちが良かった。
 触ってもいないのに下半身から込み上げ、崩れそうになる。
 もう、イキたいと言うくらいならいいだろう。
 そんな気にさせる。

「はぁ、はぁ♡ ンっ……イ、かしぇ、て……」

「どんな風に?」
「……触っ……て」
「何処を?」
「……お、れの……した……」
「下じゃ分からないな」
「……分かってるだ、お」

 思考が崩れ落ち、魔王に問われるまま答える。

「言え。言わないともうこれで終わりだ」

 もう終わりなんて。
 こんなに下半身が痛いくらい切なく疼くのに。

 シーツにとろりと体液が零れ落ちる。

「お、お、ち……ん、ちん……」

 言ってから途端に恥ずかしくなる。 
 自分の熱くて弱いところの名前なんてなかなか呼んだことがない。
 ましてや、こんなふうに言わされることなんてない。
 下を向き、羞恥に震えながら俺は魔王の言葉を待った。

「そうか」
 素っ気ない返事がした。

 場所を言えば触ってくれる約束だったのに。
 もっと違う呼び方で言えば満足だったのか。
 ぐるぐると思考が回る。

「ちがっ、ちん、ちんこ……ちんぽ、触っ……イ、イかせろっ……てっ!」

 魔王が好みそうな言葉が分からない。
 分からないが、気に食わなかったに違いない。
 俺はできるだけえっちな呼び方をしてみる。

 恥ずかしくて顔は焼けるように熱いし、魔王の顔がまともに見られない。

「其処だけでいいのか?」
「え?」

 トンと魔王の指がおしりの穴に触れる。

「此処は? もういらない?」

 俺はその言葉で全てを理解した。
 魔王が言わせたかったのは前じゃない。
 後ろのことだったんだ。

「あっ……あっ……そこ、そこはぁ……」

 昨日のことを思い出しただけで身体がきゅっと熱くなる。
 熱くて頭がおかしくなりそうだ。

「すごく、良さそうだったぞ。此処にまた、欲しくないのか?」
 魔王はねっとりと囁く。

「……き、汚いし」
「浄化魔法を使ってるから汚くなりようがないだろう」
「でも……っ、でも……」

 魔王は俺に口づける。
 深く深く入り込み、上顎の一番よいところを撫で回す。
 苦い。魔王の舌からはコーヒの味がした。

 腹がむずむずして、下半身が痛いくらい勃ち上がっている。
 早くここを触れてほしいのに何で触ってくれないのだろう。
 もどかしくて下に手を伸ばす。

 俺の動きを制すように唇が離れた。

「何をしている」

 魔王の言葉に俺は我に返った。

 俺は一体何をしようとしていたんだ。
 魔王から与えられるキスは俺の身体をおかしくさせる。
 変な魔法でも使っているんじゃないのか?

「違うだろう。お前に欲しいものを与えるのは私だ」
「ほしいもの……」
 俺は言った魔王の言葉を口にする。

「嗚呼」

 魔王は頷くとまた深いキスをした。
 今度は俺の舌を味わうように絡ませ、吸い、歯を立てて甘噛みをする。 
 強請るようなキスに思考が溶ける。

「ルカ、欲しいものはないか?」
 魔王の声が甘く響く。

 なけなしの理性が砕けて甘さだけが耳に残る。

「……気持ち、いいこと、いっぱい……ほしっ」
「後ろはいらないのか?」

 魔王は責めるように穴の縁を指で撫で回し、仕上げとばかりにトントンと叩く。
 ずくずくと下半身が痛い。

 何でもいいから触ってほしい。

「い、いる……いるから、触っ、れ、よお」
「嗚呼」
 満足げな声がした。

 期待通り、ゆっくりと手が下りていく。
 先走り液でとろとろになったところに指が触れた。
 くちゅっと水音がする。

 魔王の手がぐずぐずになった屹立を包み込み、ゆっくり握り締めた。
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