とける。

おかだ。

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拾弐

第61話

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「はぁ?街で陽真悠太を見た?」

「あの赤髪、間違いないです」

子供連れが行き交うデパートの一角、ゲームセンターの隣に小さく設けられたお菓子の計り売り場。

不釣り合いな黒服に身を包んだ男がマシュマロを頬張っていた青年に耳打ちをすると、青年の整った涼しい顔から笑みが消え顰めっ面に変わった。

「・・・どこ?」

「オフィス街です。雑居ビルも乱立していて治安は良くないようです。後を追ったんですが、あの辺は別の組が仕切っていて下手に手出しができず・・・」

「今度はオフィス街かよあのガキ・・・」

真っ直ぐに一点を見据えていた青年の瞳が冷ややかに光る。

「まだ確証はありませんが、一応報告をと思いまして。善さん、お休み中すみません」

白のワイシャツに赤のニット、黒のパンツにサンダル姿の善が申し訳なさそうに眉を下げる木下をギロりと睨みつけた。

「・・・必ず報告しろ。陽真が死んでみろ。喜島の兄さんあのひとが悲しむ」

「・・・はっ、」

「・・・俺以外にはまだ言ってないよな?」

「はい」

傍から見たらいかにも怪しい黒服の男が、見た目大学生の青年に対して苦しげに深深と頭を下げているのはとてもおかしな光景に見えただろう。

ゲームセンターにいる親子連れがヒソヒソと二人の関係性について話し出すと、近くにいた警備員までもが二人を疑いの目で見つめ、胸元の無線を口元に持っていく。

「・・・ったく、そんな服装でここまで来るんじゃねぇよ」

「っすみません、場所を変えますか。車を──」

「いや・・・」

ぱくりとマシュマロを口に放り込んだ善が木下を上から下まで見つめ、無邪気ににっこりと微笑んだ。

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