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玖
第51話
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『鍵が五つ・・・』
『随分頑丈ですね?なにか閉じ込めてるみたいだ・・・』
『あ?アンタまだ気付いてないのか?』
『え?』
木下が玄関扉に手をかけてゆっくりと開ける。
『あ、待て。俺が先に・・・』
ドンッ
木下の前に喜島が出た瞬間、勢いよく玄関から出てきた塊に押されて喜島が後方によろめいた。
『いって・・・』
ジンジンと熱い右手を見ると、掌が切れて血が流れていた。
喜島に馬乗りになったソレが包丁を振り上げてふと動きを止める。
『あ・・・。なんだ、橘じゃないじゃん』
無気力にそう呟いたソレが包丁を放り投げる。同時に、木下がダラりと垂れたソレの手首を捻りあげた。
『喜島さんッ大丈夫ですか?!』
『・・・ゔッ』
グンッと掴みあげられて苦しげな声を上げたのは、可愛らしいメイド服を着たロングヘア金髪の美少女だった。
『えっ』
木下が思わず手を離すと少女がキッと木下を睨みつけ手を摩る。
『誰だお前ら。橘の仲間か?』
綺麗なハーフの少女だと思っていた目の前のソレから、女にしては低い声で威嚇されて木下が目を剥く。
よく見ると、スカートから覗く色白で真っ直ぐな足も、腕を摩る手も女にしては筋張っているようだ。
『仲間じゃねぇな。橘を追ってる方だ。・・・・お前こそなんだその格好』
メイド服姿の青年のホワイトブリムを喜島が掴んで引っ張ると、ロングヘアのかつらが地面にずり落ちた。
金髪ロングヘアだった青年は前髪をセンターで分けた短髪アッシュブロンドで、ライトブルーの綺麗な瞳をしていた。
長い間放置されていたのか髪の毛先はバラバラだが、ストレートの柔らかそうな毛は傷んでいる様子はない。
『・・・うるさいッ。俺だって、こんな事・・・うわっ?!』
アッシュブロンドの青年を血まみれの手で抱き上げた喜島が、脚でドアを開けて別荘の中に入る。
『橘はもうここに戻ってこないぞ。刺し違えるつもりかも知れないが、待ってても無駄だ』
『うわ、何だこれ!喜島さん!』
先に別荘に入った木下が声を上げた。
別荘の中には青年の他にも五人ほど子供が居た。
『俺は良いからッ、そいつらに手は出すな!カズっ、ヒロッ!みんなを連れて隠れろっ』
青年の声に肩をビクつかせた少年たちがワラワラと奥の扉に消えていく。
木下が捕まえようとするが、間を縫って逃げられてしまい、広いリビングに三人のみになる。
『・・・お前達を襲いに来たわけじゃない』
『・・・・だからってお前が安全かなんて分からないだろ』
『随分頑丈ですね?なにか閉じ込めてるみたいだ・・・』
『あ?アンタまだ気付いてないのか?』
『え?』
木下が玄関扉に手をかけてゆっくりと開ける。
『あ、待て。俺が先に・・・』
ドンッ
木下の前に喜島が出た瞬間、勢いよく玄関から出てきた塊に押されて喜島が後方によろめいた。
『いって・・・』
ジンジンと熱い右手を見ると、掌が切れて血が流れていた。
喜島に馬乗りになったソレが包丁を振り上げてふと動きを止める。
『あ・・・。なんだ、橘じゃないじゃん』
無気力にそう呟いたソレが包丁を放り投げる。同時に、木下がダラりと垂れたソレの手首を捻りあげた。
『喜島さんッ大丈夫ですか?!』
『・・・ゔッ』
グンッと掴みあげられて苦しげな声を上げたのは、可愛らしいメイド服を着たロングヘア金髪の美少女だった。
『えっ』
木下が思わず手を離すと少女がキッと木下を睨みつけ手を摩る。
『誰だお前ら。橘の仲間か?』
綺麗なハーフの少女だと思っていた目の前のソレから、女にしては低い声で威嚇されて木下が目を剥く。
よく見ると、スカートから覗く色白で真っ直ぐな足も、腕を摩る手も女にしては筋張っているようだ。
『仲間じゃねぇな。橘を追ってる方だ。・・・・お前こそなんだその格好』
メイド服姿の青年のホワイトブリムを喜島が掴んで引っ張ると、ロングヘアのかつらが地面にずり落ちた。
金髪ロングヘアだった青年は前髪をセンターで分けた短髪アッシュブロンドで、ライトブルーの綺麗な瞳をしていた。
長い間放置されていたのか髪の毛先はバラバラだが、ストレートの柔らかそうな毛は傷んでいる様子はない。
『・・・うるさいッ。俺だって、こんな事・・・うわっ?!』
アッシュブロンドの青年を血まみれの手で抱き上げた喜島が、脚でドアを開けて別荘の中に入る。
『橘はもうここに戻ってこないぞ。刺し違えるつもりかも知れないが、待ってても無駄だ』
『うわ、何だこれ!喜島さん!』
先に別荘に入った木下が声を上げた。
別荘の中には青年の他にも五人ほど子供が居た。
『俺は良いからッ、そいつらに手は出すな!カズっ、ヒロッ!みんなを連れて隠れろっ』
青年の声に肩をビクつかせた少年たちがワラワラと奥の扉に消えていく。
木下が捕まえようとするが、間を縫って逃げられてしまい、広いリビングに三人のみになる。
『・・・お前達を襲いに来たわけじゃない』
『・・・・だからってお前が安全かなんて分からないだろ』
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