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人魚姫・奈々海
九
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ゴォ、という音が聞こえる。
「んんっ」
徐々に意識が戻ってくる。身体が右側に傾くのを感じた。ハッとして動こうとすると、黒いスエットを着てシートに固定されている。
(ジェット機に乗っているんだわ)
いよいよ終着点、人生の墓場に運ばれて行く。
(終わりね……)
いっそ目覚めなければよかったのに。そう思うと涙が込み上げてきた。
「泣いてるのか?」
背後から声がして、髪を撫でられる。
(え……)
「ナナミ」
「ど、どうして……」
「迎えに来たんだ」
声の主は間違いなく大吾だった。
「もしかして、同じところに売られたの?」
「そうじゃないんだ」
大吾は静かに笑った。
「ただ、ナナミは俺のもとで生きることになる。これからは俺に服従するんだ」
「え、でも私を買ったのは中年男性だって……」
「そのとおり、俺の親父だ」
「待って、頭が追いつかないわ」
「そうだな」
大吾が語り始める。
「卒業前に会った時に違和感を感じたんだ。俺の知っているナナミは、あんなエロいことを自分から仕掛けてくる女子ではない。それに悲しみを堪えているような目をしていた。これは何かあるに違いない、そう直感した。そしてナナミは姿を消した。それで親父に話してみたんだ。ナナミも会ったことがあるだろう?」
「うん」
「親父もナナミのことは気に入っていたようで、調べてみようと言ってくれた」
大吾の父は世界的な貿易会社の経営者であり、政界や財界、更にはアンダーグラウンドの世界にまで人脈があるらしい。その全容は誰も知らないが。人を使って努励学園の経営者夫婦を締め上げたところ、万理華の組織に売られたことがすぐにわかった。
「先生たちに、ひどいことをしたの?」
「ナナミはお人好しだな」
大吾が苦笑する。
「あの夫婦は極悪人だ。これまでに何人もの子供を性奴隷やゲイ奴隷として売却し、私腹を肥やして来たんだぞ。施設を回って、将来売れそうな子供を見つけ出しては引き取っていたんだ」
「えっ」
衝撃で頭が真っ白になる。
「え、園の子供たちは?」
「全員あそこを出て、まともな施設に移されている」
「よかった……」
ちなみに園長夫妻は全てを失い、南米の鉱山に送られて地底で酷使されている。もう二度と陽の光を見ることはないだろう。もっとも、ナナミがそれを知ることはないのだが。
「でも……」
なぜ大吾がここにいるのか、やはり分からない。
「大吾も売られたと思ってた」
「実はな」
大吾の父は、取引のあった貿易商・唐(愛少女・姫菜 参照)の仲介で万理華に接触した。
「性奴隷は商品ですから、売却することは構いませんが」
そのためには、まずシークレットリゾートの会員になる必要があった。それは今回限りの限定会員となることで合意したが最も高いハードルはナナミの飼育環境だった。
「ひとたびこの組織に捕獲された性奴隷は、二度と外の世界には出られないのです。秘密の保持のために。性奴隷の体内にはマイクロチップが埋め込まれ、位置情報が把握されます。あらかじめ申告された飼育エリアを出た場合には、スナイパーに処分されることをご承知おきください。最後まで責任を持って飼育せず廃棄されたりすると、あなた自身にもペナルティが科される場合があります」
「わかりました。飼育場は、買収したリゾートホテルを改装して作ります。これが計画書です」
「なるほど、施設に到達するには専用の私道を通るしかないのですね」
「はい、途中に峡谷もありますが、そこに掛かる橋は通常は跳ね上げておきます。それとは別に、敷地内にヘリポートを設置して、出入りや搬入は主にこちらから行います」
「ライフラインは大丈夫ですか?」
「問題ありません」
「日本国内のようですが、警察やマスコミに嗅ぎつけられる恐れは?」
「心配ありません。それなりの根回しもしますので」
万理華はフッと笑った。
「なるほど、あなたほどの権力を持った方なら十分に実現は可能ですね。ただ……」
「ただ?」
「なぜ、ナナミという性奴隷に執着なさるのですか?」
「ククッ」
大吾の父は含み笑いをした。
「実は息子の初恋の相手なのですよ」
「というと、ご子息の見ている前で調教なさるのですか?」
「いやいや、そこまで酷くはありません。ナナミの調教と世話は息子にやらせます」
「なるほど、ご子息へのプレゼントというわけですか」
「ええ、是非にとせがまれましてね。あ、それから」
大吾の父が付け加える。
「ナナミのバージンは息子に与えたいと思っているので、性器は傷つけないようご配慮いただければ」
「承知致しました。現状のままお引き渡しということに致しましょう」
万理華が真顔になった。
「それでは価格ですが、三億ではいかがでしょう。オークションを行えばそのくらいの値はつくと思いますので」
「結構です」
「それでは施設の準備ができたら、ご連絡ください」
そんな話をしている間、大吾はナナミの髪や肩を撫で続けていた。
「ああ……」
触れられるだけで脳イキに達するよう調教されている。下腹部の泉からは熱い粘液が溢れ出していた。
「救出しても完全に自由にしてやれるわけじゃない。それを知った時、俺の中にドス黒い欲望が湧き上がった。ナナミが性奴隷としてしか生きられないのなら、俺好みの完璧な奴隷妻に仕上げてやりたい。俺は親父に頼んで、脳内調教するように依頼した。それを引き受けたのがシークレットリゾート会員のパウロ氏だった。ナナミのバージンは維持しつつ、その脳内はドロドロの淫乱奴隷に育成してくれた。本当に感謝しているよ」
「私は、辛かったわ」
「そうだろうな。ヒドいことをしたと思っている。だがこの先、ナナミは俺に服従して生きていくんだ。被虐に慣れたおいた方が幸せを感じられると思ってな。気持ち良かっただろ?世界一淫乱で、美しくて、幸せな奴隷妻にしてやる。ナナミを収容する施設ができたから、プライベートジェットで迎えに来たんだ」
「奴隷、妻?」
「そうだ。帰ったらすぐに入籍するぞ。ナナミに拒否権はない」
「ゲイ奴隷として売られる、というのはウソだったの?」
「ああ、より絶望感を煽るための演出だった」
その時、着陸のためベルトを着用するよう、アナウンスが流れる。
「さあ、日本に着いた。俺たちの新しい棲家へ行くぞ」
「んんっ」
徐々に意識が戻ってくる。身体が右側に傾くのを感じた。ハッとして動こうとすると、黒いスエットを着てシートに固定されている。
(ジェット機に乗っているんだわ)
いよいよ終着点、人生の墓場に運ばれて行く。
(終わりね……)
いっそ目覚めなければよかったのに。そう思うと涙が込み上げてきた。
「泣いてるのか?」
背後から声がして、髪を撫でられる。
(え……)
「ナナミ」
「ど、どうして……」
「迎えに来たんだ」
声の主は間違いなく大吾だった。
「もしかして、同じところに売られたの?」
「そうじゃないんだ」
大吾は静かに笑った。
「ただ、ナナミは俺のもとで生きることになる。これからは俺に服従するんだ」
「え、でも私を買ったのは中年男性だって……」
「そのとおり、俺の親父だ」
「待って、頭が追いつかないわ」
「そうだな」
大吾が語り始める。
「卒業前に会った時に違和感を感じたんだ。俺の知っているナナミは、あんなエロいことを自分から仕掛けてくる女子ではない。それに悲しみを堪えているような目をしていた。これは何かあるに違いない、そう直感した。そしてナナミは姿を消した。それで親父に話してみたんだ。ナナミも会ったことがあるだろう?」
「うん」
「親父もナナミのことは気に入っていたようで、調べてみようと言ってくれた」
大吾の父は世界的な貿易会社の経営者であり、政界や財界、更にはアンダーグラウンドの世界にまで人脈があるらしい。その全容は誰も知らないが。人を使って努励学園の経営者夫婦を締め上げたところ、万理華の組織に売られたことがすぐにわかった。
「先生たちに、ひどいことをしたの?」
「ナナミはお人好しだな」
大吾が苦笑する。
「あの夫婦は極悪人だ。これまでに何人もの子供を性奴隷やゲイ奴隷として売却し、私腹を肥やして来たんだぞ。施設を回って、将来売れそうな子供を見つけ出しては引き取っていたんだ」
「えっ」
衝撃で頭が真っ白になる。
「え、園の子供たちは?」
「全員あそこを出て、まともな施設に移されている」
「よかった……」
ちなみに園長夫妻は全てを失い、南米の鉱山に送られて地底で酷使されている。もう二度と陽の光を見ることはないだろう。もっとも、ナナミがそれを知ることはないのだが。
「でも……」
なぜ大吾がここにいるのか、やはり分からない。
「大吾も売られたと思ってた」
「実はな」
大吾の父は、取引のあった貿易商・唐(愛少女・姫菜 参照)の仲介で万理華に接触した。
「性奴隷は商品ですから、売却することは構いませんが」
そのためには、まずシークレットリゾートの会員になる必要があった。それは今回限りの限定会員となることで合意したが最も高いハードルはナナミの飼育環境だった。
「ひとたびこの組織に捕獲された性奴隷は、二度と外の世界には出られないのです。秘密の保持のために。性奴隷の体内にはマイクロチップが埋め込まれ、位置情報が把握されます。あらかじめ申告された飼育エリアを出た場合には、スナイパーに処分されることをご承知おきください。最後まで責任を持って飼育せず廃棄されたりすると、あなた自身にもペナルティが科される場合があります」
「わかりました。飼育場は、買収したリゾートホテルを改装して作ります。これが計画書です」
「なるほど、施設に到達するには専用の私道を通るしかないのですね」
「はい、途中に峡谷もありますが、そこに掛かる橋は通常は跳ね上げておきます。それとは別に、敷地内にヘリポートを設置して、出入りや搬入は主にこちらから行います」
「ライフラインは大丈夫ですか?」
「問題ありません」
「日本国内のようですが、警察やマスコミに嗅ぎつけられる恐れは?」
「心配ありません。それなりの根回しもしますので」
万理華はフッと笑った。
「なるほど、あなたほどの権力を持った方なら十分に実現は可能ですね。ただ……」
「ただ?」
「なぜ、ナナミという性奴隷に執着なさるのですか?」
「ククッ」
大吾の父は含み笑いをした。
「実は息子の初恋の相手なのですよ」
「というと、ご子息の見ている前で調教なさるのですか?」
「いやいや、そこまで酷くはありません。ナナミの調教と世話は息子にやらせます」
「なるほど、ご子息へのプレゼントというわけですか」
「ええ、是非にとせがまれましてね。あ、それから」
大吾の父が付け加える。
「ナナミのバージンは息子に与えたいと思っているので、性器は傷つけないようご配慮いただければ」
「承知致しました。現状のままお引き渡しということに致しましょう」
万理華が真顔になった。
「それでは価格ですが、三億ではいかがでしょう。オークションを行えばそのくらいの値はつくと思いますので」
「結構です」
「それでは施設の準備ができたら、ご連絡ください」
そんな話をしている間、大吾はナナミの髪や肩を撫で続けていた。
「ああ……」
触れられるだけで脳イキに達するよう調教されている。下腹部の泉からは熱い粘液が溢れ出していた。
「救出しても完全に自由にしてやれるわけじゃない。それを知った時、俺の中にドス黒い欲望が湧き上がった。ナナミが性奴隷としてしか生きられないのなら、俺好みの完璧な奴隷妻に仕上げてやりたい。俺は親父に頼んで、脳内調教するように依頼した。それを引き受けたのがシークレットリゾート会員のパウロ氏だった。ナナミのバージンは維持しつつ、その脳内はドロドロの淫乱奴隷に育成してくれた。本当に感謝しているよ」
「私は、辛かったわ」
「そうだろうな。ヒドいことをしたと思っている。だがこの先、ナナミは俺に服従して生きていくんだ。被虐に慣れたおいた方が幸せを感じられると思ってな。気持ち良かっただろ?世界一淫乱で、美しくて、幸せな奴隷妻にしてやる。ナナミを収容する施設ができたから、プライベートジェットで迎えに来たんだ」
「奴隷、妻?」
「そうだ。帰ったらすぐに入籍するぞ。ナナミに拒否権はない」
「ゲイ奴隷として売られる、というのはウソだったの?」
「ああ、より絶望感を煽るための演出だった」
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