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女子アナウンサー・萌桃

プロローグ

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 女の体には二つの種類がある。
 男に見られることが前提の体と、そうでない体である。
 男を知らない清純そのものの美少女の繁みがボウボウの原生林だったり、秘部の洗い方が不十分で垢がこびり付いていたりする。もし男の顔がそこに密接することを想像すれば、たぶんそのままにはしておかないだろう。
 女の体は男に愛でられることで成長するのだ。

「お疲れ様でした、お先に上がりまーす」
「モモちゃん、おつかれー」

 コスモポリタンテレビの新人女子アナウンサー・水上萌桃は一日の仕事を終え、マンションに帰って来た。シャワーを浴びるために服を脱いでいく。仕事用のパンツスーツの下には薄いブルーのティーバックの上下。ハーフカップのブラの上には真っ白な乳房が谷間を形成し、尻も丸々としている。
 全身がマシュマロのようなフワフワとした曲線に包まれ、それでいてウエストや足首は程よく締まっている。
 下着を取ると、薄いシナモン色の乳輪の範囲は少し広めで煽情的であるが、中心にポツリと立っている乳首は小さく愛らしい。
 全身が映る大きな鏡の前で、ちょっとポーズを気取ってみる。腕から腋、そして脚までムダ毛はきれいに処理されている。下腹部の小高い丘の頂上部分には艶やかなヘアが小さな楕円形を作り、同じ長さにきれいに刈り揃えられていた。
 萌桃はスツールに座ると、片脚を上げて、局部を手鏡に映した。大陰唇の上に細い陰毛がひょろりと生えているのを見て、小さな鋏でそっと切り取った。その部分は、完全に無毛となっている。ふっくらとした大陰唇と、わずかに顔をみせる左右対称の花びら。

(よし。完璧だ)
(この体なら、誰に見られても恥ずかしくない)

 この体を作るためにホットヨガに通っている。とにかく体を冷やさないこと、肌を乾燥させないことに神経を遣っていた。
 バスタブの中に沐浴剤を入れ、バブルのスイッチを入れる。その感触を楽しみながら、壁に埋め込まれたモニターで、ゆったりと動画を観る。

「ああ……」

 快感から、思わず甘い声を漏らす。
女性器を強化するため、膣トレにも取り組んでいた。骨盤底筋を鍛えるエクササイズもルーティンとなっていた。
 愛らしい顔をしながら、得も言われぬセクシーさを醸し出す萌桃は、女子アナとして絶対的な人気を誇っていた。しかし、その裏にこのような努力があることは誰も知らない。
 萌桃を変えたのは二人の男だった。初体験の男と、萌桃をじっくり育てた男。
 萌桃の初体験は、高校三年の春だった。同じクラスになったバスケ部のキャプテン。外見も性格も爽やかなイケメンで、萌桃ともお似合いだった。
 お互い初めてで苦労はしたけれど、やっと結ばれた時は感動で涙が出た。愛する男に抱かれることが、こんなにも幸せなんだと実感した。なんどか体を重ねたが、彼がイギリスに留学することになり別れが訪れた。お互いに感謝し、エールを送る明るい別れだった。
 都内の私立大学に進学した萌桃は、メディア学を学んだ。二年生の時、ゼミの飲み会があり、准教授と話し込むうちに酔いつぶれてしまい、その夜関係を持った。初体験の男と違い、二番目の男は、経験が浅い萌桃の体と心を時間を掛けて開発していった。惜しみなく愛情と精液を注ぎ込まれ、萌桃は女として開花していく。いつ彼に抱かれても困らないように、体磨きに励むようになった。
 二人は愛し合い結婚を意識するまでになったが、萌桃がコスモポリタンテレビのアナウンサーとしての採用が決った時、萌桃の将来を考え、男の方から別れを切り出した。萌桃は泣いて拒絶したが男の愛情を感じ、最後には同意した。最後の夜、激しく愛し合い、翌朝、萌桃が目覚めた時には男の姿は消えていた。
 彼の思いに応えるために、萌桃は前を向いた。仕事に取り組む姿勢は、単なるアイドル系アナウンサーとは違っていた。
 彼に自分の成長を見て欲しい、その一心でカメラの前に立ち続けた。
 その一方で、性体験について非常に幸運だったこともあり、人一倍性欲は強くなった。体も心も愛されたい。いままでの快感が忘れられない。
 いつかまた素敵な男性に巡り合った時のために、いつ見られても困らないように。今日も体の手入れを怠らない。

(あ…)

 バスタブの中で眠ってしまったようだ。明日は都内の日本料理店でレポートした後、某国の大使館に取材に入る。

(珍しい仕事だな)

 さあ、もう寝なければ。寝不足の顔を視聴者に晒すわけにはいかない。戸締りを確認しベッドに入る。リモコンで照明を落とし目を閉じると、すぐに眠りに落ちていった。
 安らかな寝息。この部屋で過ごす最後の夜になるとも知らずに。
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