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女子大生、二体
竿挿れ1
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「ママと呼ぶのは恥ずかしいから、お母さんでいいですか?」
モジモジしながら言うくららの手を握り、
「もちろんいいわよ、うれしいわ。あら、あなた」
初美の夫であり、この家の主である酒井雪之丞が顔を見せた。くららの顔がさっと緊張する。
「怖がらなくてもいいのよ、くらら。この人は私の夫よ。だから、くららにとってはお父さんよ」
「おとう……さん?」
「そう、お父さんよ。ほらあなた、そんな顔してたら怖いでしょ」
「そ、そうだな」
「くららがね、お母さん、って呼んでくれたのよ。私うれしくて」
そんなくららを、雪之丞は少し複雑な気持ちで見た。ここに来る前、調教師・霧山響児から声を掛けられていたのだ。
「姉のきららの調教は順調に進んでいます。ほぼ堕ちている状態ですが、女郎人形として仕上げるため、いよいよ竿挿れを行います。今までのように、完全に汚れる前に味わっておきますか?」
「そうしましょう」
香薬師が女を香薬に漬け込んで下地を作り、竿師が実践的な性技を叩き込む。実際に竿を挿入する調教を「竿挿れ」と呼び、女郎人形へと堕としていく最終段階だった。それは活人形にとって、二度と還れぬ道だった。
霧山響児は唯一無二の竿師である。その道を極めるためパイプカットという不妊手術を受けている。そのため竿挿れを行っても、調教中の活人形を孕ませることはない。ただし、手術を受ける前に精子を凍結保存しており、いずれは人工授精により後継者を作る予定である。
「それでは、今夜準備をしておきますので」
「お願いします。妻も同席すると思います」
「分かりました」
その晩は、雪之丞、初美、くららの三人で夕食を摂った。
「このシチュー、とっても美味しい」
「そう、良かったわ。いねはとっても料理上手なのよ。あ、でも私が作ることもあるのよ」
「お母さんのお料理も美味しいわ」
「ありがとう。可愛い娘ができて良かったわね、あなた」
「ああ」
食後のデザートとお茶が終わった後、初美が言った。
「お父さんとお母さんは、これから出かけるから、お部屋で休みなさい。冷蔵庫に飲み物があるし、スナックも置いてあるから。でも、食べすぎると太っちゃうわよ」
「えー、ヤダ」
「くららは少しふっくらしても可愛いと思うぞ」
「そうかな」
三人で笑った後、くららが不安げな顔をする。
「どこに行くの?」
「ちょっとお仕事の話よ」
「お仕事、か……」
くららは少しうつむくと、ポツリと言った。
「私に飽きちゃったりしないよね?」
「え?」
「私、捨てられたりしないよね?」
「なに言ってるの。くららは大事な娘じゃない」
「お父さんとお母さんが違う女の子を見に行くんじゃないかって、怖くなったの」
なんて鋭いんだろう、初美は内心驚いた。
「大丈夫よ、そんな用事じゃないわ。安心して」
「……うん」
(続く)
モジモジしながら言うくららの手を握り、
「もちろんいいわよ、うれしいわ。あら、あなた」
初美の夫であり、この家の主である酒井雪之丞が顔を見せた。くららの顔がさっと緊張する。
「怖がらなくてもいいのよ、くらら。この人は私の夫よ。だから、くららにとってはお父さんよ」
「おとう……さん?」
「そう、お父さんよ。ほらあなた、そんな顔してたら怖いでしょ」
「そ、そうだな」
「くららがね、お母さん、って呼んでくれたのよ。私うれしくて」
そんなくららを、雪之丞は少し複雑な気持ちで見た。ここに来る前、調教師・霧山響児から声を掛けられていたのだ。
「姉のきららの調教は順調に進んでいます。ほぼ堕ちている状態ですが、女郎人形として仕上げるため、いよいよ竿挿れを行います。今までのように、完全に汚れる前に味わっておきますか?」
「そうしましょう」
香薬師が女を香薬に漬け込んで下地を作り、竿師が実践的な性技を叩き込む。実際に竿を挿入する調教を「竿挿れ」と呼び、女郎人形へと堕としていく最終段階だった。それは活人形にとって、二度と還れぬ道だった。
霧山響児は唯一無二の竿師である。その道を極めるためパイプカットという不妊手術を受けている。そのため竿挿れを行っても、調教中の活人形を孕ませることはない。ただし、手術を受ける前に精子を凍結保存しており、いずれは人工授精により後継者を作る予定である。
「それでは、今夜準備をしておきますので」
「お願いします。妻も同席すると思います」
「分かりました」
その晩は、雪之丞、初美、くららの三人で夕食を摂った。
「このシチュー、とっても美味しい」
「そう、良かったわ。いねはとっても料理上手なのよ。あ、でも私が作ることもあるのよ」
「お母さんのお料理も美味しいわ」
「ありがとう。可愛い娘ができて良かったわね、あなた」
「ああ」
食後のデザートとお茶が終わった後、初美が言った。
「お父さんとお母さんは、これから出かけるから、お部屋で休みなさい。冷蔵庫に飲み物があるし、スナックも置いてあるから。でも、食べすぎると太っちゃうわよ」
「えー、ヤダ」
「くららは少しふっくらしても可愛いと思うぞ」
「そうかな」
三人で笑った後、くららが不安げな顔をする。
「どこに行くの?」
「ちょっとお仕事の話よ」
「お仕事、か……」
くららは少しうつむくと、ポツリと言った。
「私に飽きちゃったりしないよね?」
「え?」
「私、捨てられたりしないよね?」
「なに言ってるの。くららは大事な娘じゃない」
「お父さんとお母さんが違う女の子を見に行くんじゃないかって、怖くなったの」
なんて鋭いんだろう、初美は内心驚いた。
「大丈夫よ、そんな用事じゃないわ。安心して」
「……うん」
(続く)
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