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浅川 由梨花
祈り
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「私は若い頃、東京の浅川ロイヤルホテルにフロント係として勤務していました。お父様がご宿泊になった時に名前を覚えて頂いて、以後、お世話になっています。亡くなった主人と結婚してこの宿の若女将になった時も、なにかと支援してくださいました。一人娘の美雪はあなたより九歳年上でした。美雪が生まれた時、お父様はお祝いをくださって、やっぱり女の子はかわいい、自分も女の子が欲しいと笑ってらっしゃいました。まだ小さい頃、何度か遊んで頂いたこともあるんですよ。主人が亡くなった時は、私たち母娘を励まして下さいました」
そんな縁があったんだ。全然知らなかった。
「美雪は札幌の大学を出て、藤川法律事務所で事務の仕事をしていました。やがて利光さんと恋愛し、二十四歳で結婚しました。二人は本当に幸せそうでした。でも、結婚して三年目、美雪は病魔に襲われたのです。乳癌でした。診察を受けた時はすでに全身に転移していました。乳癌は女性ホルモンがあると成長します。若い患者のほうが進行が速いんです」
衝撃で声も出なかった。
「母親が言うのも憚られますが、美雪はきれいな子でした。外見も内面も、利光さんに愛されて、ますます磨きがかかったようでした。本人は密かに自分のバストを気に入っていて、利光さんも褒めてくれると、嬉しそうに言っていました。でも、それが命取りになってしまったんです。異常を感じながらも、乳房に傷ができるようなことは絶対に嫌だったのでしょう。利光さんにもずっと黙っていました」
それは、わかる。わかるような気がする。
「若い女性の乳癌はパートナーが見つけることも多いんです。利光さんは気付けなかったことに責任を感じ、深く傷つきました。お互いを思う気持ちが全く裏目に出てしまったんです。美雪の癌は主治医が呆然とするほど進行が早く、しかも本人が、髪の毛が抜けるからと抗がん剤を使った治療を拒否しました。私も利光さんも治療を受けるよう必死に説得したのですが、決心を変えることはできませんでした」
「それだけ、先生を愛していたのですね」
「はい、愛する夫の前では最後まで、きれいでいたかったのでしょう。でも、その反面、別れが迫っているのが悲しくて、利光さんのご飯を作れなくなると泣いていました」
「辛かったでしょうね」
「そう思います。でも厳しい言い方ですが、娘はやはり間違っていたと思うんです。乳房を失っても脱毛しても、利光さんとの時間を大切にするべきだった。治療すれば十年くらい生きられたかもしれません。彼はそれでも大事にしてくれたでしょう。そういう器量を持った男性です」
利光さんは本当に信頼されているのだな。
「二人で時間を共有して、ゆっくりと現実を受け入れていく。そんなことがないまま、利光さんは一人になってしまいました」
「美雪さんの美しいイメージだけが残ったのですね」
「あの子が亡くなって二年が過ぎたころ、あるお嬢さんの話をしてみたんです。とても素敵な女性だったんですけど利光さんは全然興味が無くて……。お付き合いしている方もいないようだし。美雪が恐れていたことが現実になって、食事もろくにせず居酒屋で済ませてたみたいで。まあ、家に帰っても寂しかったんでしょうね」
父が「死別と離婚は違う」と言ったのはこういうことなのだろう。
「この前あなたのお父様とお話ししていて、顧問弁護士を探していると仰ったので利光さんを推薦してみたんです。ちょっと気分を変えるのもいいかな、と思って。そのとき本気半分、冗談半分で、夕食の管理をして、言ったんです。さすがに東京までは目が届きませんからね。でもまさか、社長のお嬢様にお世話して頂けるとは思いませんでした」
「父がこれも仕事だと……」
「お父様らしいですね。目に浮かぶようです」
女将さんは笑った。
「この前、利光さんが東京から戻ったとき、なんとなく嬉しそうな顔をしていました。社長のお嬢さんがチャンチャン焼きを作ってくれた。まさか東京で食べられるとは思わなかった、と」
「恥ずかしい。美雪さんと同じように作れるわけないのに」
「そうです。美雪の味とは違うはずです。それでも嬉しそうだった。今までは無かったことでした。それで思いました、やっと前を向こう、向きたいと思っているんじゃないかと」
「でも、もう私の家に来るのは止めたいと」
女将さんは、ふうっ、と息を吐いた。
「それこそ、真剣さの証拠だと思います」
「私、とんでもないことを言ってしまいました。先生は疲れているようですし、部屋も空いているので一緒に生活されてはいかがですかと。いえ、変な意味ではなく、そのほうが先生の健康管理ができると思いまして……」
女将さんは、美雪さんの写真に話しかけた。
「美雪、良かったね。これで安心できるね」
「あ、あの」
「あの子は最期まで利光さんの体を心配していました。誰かいい女性を見つけてあげて、と必死に言っていました」
「私でいいんでしょうか」
「少し歳は離れていますけど、それは大きな問題じゃないと思いますよ。利光さんは、あなたに安らぎを感じていると思います」
「美雪さんの姿を投影しているのでは?」
「あなたと美雪は、見た目がそっくりというわけではありません。でも、纏っている空気が似ていると思います。彼は本気になっていく自分が怖いのでしょう。あの人も、これでいいのかと自分に問いかけているのでは」
自分の部屋に戻った私は、ただ座り込んでいた。
女将さんが訪ねて来た。
「重い話をしてしまい、申し訳ありませんでした。浅川様がお望みなら、このあたりか札幌に別の宿をご用意いたしますが」
「いえ」
私は答えた。
「今夜、美雪さんとお話ししてみたいと思います。このまま泊まらせて頂いてよろしいでしょうか」
「もちろんでございます。よろしければ、夕食前に温泉でおくつろぎください 」
大浴場は清潔で、海の眺めが素晴らしかった。体を洗った後、湯に浸かった。あんな話を聞いた後だからか、乳房が張って、微かに痛むような気がした。両腕で胸を抱いて暮れなずむ小樽の街並みを見ていた。
食事は、おひとりでは寂しいでしょうと食事処に案内された。なんとなくホッとする。
部屋に戻り、寝る支度をする。
「よし……」
支度を終え、窓に向いた椅子に座った。
灯りを消す。
街の夜景、流れるヘッドライトとテールランプ、函館本線の列車、そして真っ暗な石狩湾。
私は待つ。
予想通り、その女性はやって来た。
空気が動くのを感じ目を閉じる。
ゆっくりと近づいて来る。
やがて、膝の上に置いた手に、別の手が重ねられた。
「はっ……」
思わず体が強張ったがすぐに解けた。
心を静めてくれるような優しい香り。
そしてなぜだろう、重なった手は冷たくない。ほんのり温かかった。
その静寂の中で、すべてが伝わった。
それは、祈り。
そんな縁があったんだ。全然知らなかった。
「美雪は札幌の大学を出て、藤川法律事務所で事務の仕事をしていました。やがて利光さんと恋愛し、二十四歳で結婚しました。二人は本当に幸せそうでした。でも、結婚して三年目、美雪は病魔に襲われたのです。乳癌でした。診察を受けた時はすでに全身に転移していました。乳癌は女性ホルモンがあると成長します。若い患者のほうが進行が速いんです」
衝撃で声も出なかった。
「母親が言うのも憚られますが、美雪はきれいな子でした。外見も内面も、利光さんに愛されて、ますます磨きがかかったようでした。本人は密かに自分のバストを気に入っていて、利光さんも褒めてくれると、嬉しそうに言っていました。でも、それが命取りになってしまったんです。異常を感じながらも、乳房に傷ができるようなことは絶対に嫌だったのでしょう。利光さんにもずっと黙っていました」
それは、わかる。わかるような気がする。
「若い女性の乳癌はパートナーが見つけることも多いんです。利光さんは気付けなかったことに責任を感じ、深く傷つきました。お互いを思う気持ちが全く裏目に出てしまったんです。美雪の癌は主治医が呆然とするほど進行が早く、しかも本人が、髪の毛が抜けるからと抗がん剤を使った治療を拒否しました。私も利光さんも治療を受けるよう必死に説得したのですが、決心を変えることはできませんでした」
「それだけ、先生を愛していたのですね」
「はい、愛する夫の前では最後まで、きれいでいたかったのでしょう。でも、その反面、別れが迫っているのが悲しくて、利光さんのご飯を作れなくなると泣いていました」
「辛かったでしょうね」
「そう思います。でも厳しい言い方ですが、娘はやはり間違っていたと思うんです。乳房を失っても脱毛しても、利光さんとの時間を大切にするべきだった。治療すれば十年くらい生きられたかもしれません。彼はそれでも大事にしてくれたでしょう。そういう器量を持った男性です」
利光さんは本当に信頼されているのだな。
「二人で時間を共有して、ゆっくりと現実を受け入れていく。そんなことがないまま、利光さんは一人になってしまいました」
「美雪さんの美しいイメージだけが残ったのですね」
「あの子が亡くなって二年が過ぎたころ、あるお嬢さんの話をしてみたんです。とても素敵な女性だったんですけど利光さんは全然興味が無くて……。お付き合いしている方もいないようだし。美雪が恐れていたことが現実になって、食事もろくにせず居酒屋で済ませてたみたいで。まあ、家に帰っても寂しかったんでしょうね」
父が「死別と離婚は違う」と言ったのはこういうことなのだろう。
「この前あなたのお父様とお話ししていて、顧問弁護士を探していると仰ったので利光さんを推薦してみたんです。ちょっと気分を変えるのもいいかな、と思って。そのとき本気半分、冗談半分で、夕食の管理をして、言ったんです。さすがに東京までは目が届きませんからね。でもまさか、社長のお嬢様にお世話して頂けるとは思いませんでした」
「父がこれも仕事だと……」
「お父様らしいですね。目に浮かぶようです」
女将さんは笑った。
「この前、利光さんが東京から戻ったとき、なんとなく嬉しそうな顔をしていました。社長のお嬢さんがチャンチャン焼きを作ってくれた。まさか東京で食べられるとは思わなかった、と」
「恥ずかしい。美雪さんと同じように作れるわけないのに」
「そうです。美雪の味とは違うはずです。それでも嬉しそうだった。今までは無かったことでした。それで思いました、やっと前を向こう、向きたいと思っているんじゃないかと」
「でも、もう私の家に来るのは止めたいと」
女将さんは、ふうっ、と息を吐いた。
「それこそ、真剣さの証拠だと思います」
「私、とんでもないことを言ってしまいました。先生は疲れているようですし、部屋も空いているので一緒に生活されてはいかがですかと。いえ、変な意味ではなく、そのほうが先生の健康管理ができると思いまして……」
女将さんは、美雪さんの写真に話しかけた。
「美雪、良かったね。これで安心できるね」
「あ、あの」
「あの子は最期まで利光さんの体を心配していました。誰かいい女性を見つけてあげて、と必死に言っていました」
「私でいいんでしょうか」
「少し歳は離れていますけど、それは大きな問題じゃないと思いますよ。利光さんは、あなたに安らぎを感じていると思います」
「美雪さんの姿を投影しているのでは?」
「あなたと美雪は、見た目がそっくりというわけではありません。でも、纏っている空気が似ていると思います。彼は本気になっていく自分が怖いのでしょう。あの人も、これでいいのかと自分に問いかけているのでは」
自分の部屋に戻った私は、ただ座り込んでいた。
女将さんが訪ねて来た。
「重い話をしてしまい、申し訳ありませんでした。浅川様がお望みなら、このあたりか札幌に別の宿をご用意いたしますが」
「いえ」
私は答えた。
「今夜、美雪さんとお話ししてみたいと思います。このまま泊まらせて頂いてよろしいでしょうか」
「もちろんでございます。よろしければ、夕食前に温泉でおくつろぎください 」
大浴場は清潔で、海の眺めが素晴らしかった。体を洗った後、湯に浸かった。あんな話を聞いた後だからか、乳房が張って、微かに痛むような気がした。両腕で胸を抱いて暮れなずむ小樽の街並みを見ていた。
食事は、おひとりでは寂しいでしょうと食事処に案内された。なんとなくホッとする。
部屋に戻り、寝る支度をする。
「よし……」
支度を終え、窓に向いた椅子に座った。
灯りを消す。
街の夜景、流れるヘッドライトとテールランプ、函館本線の列車、そして真っ暗な石狩湾。
私は待つ。
予想通り、その女性はやって来た。
空気が動くのを感じ目を閉じる。
ゆっくりと近づいて来る。
やがて、膝の上に置いた手に、別の手が重ねられた。
「はっ……」
思わず体が強張ったがすぐに解けた。
心を静めてくれるような優しい香り。
そしてなぜだろう、重なった手は冷たくない。ほんのり温かかった。
その静寂の中で、すべてが伝わった。
それは、祈り。
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