宿命の番

竹輪

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「ああ、元気そうで安心した!」

「私もです! ケイさん、お顔ちゃんと見せてください」

 以前よりふっくらとしたケイさんはとても大事にされていることが分かった。気を利かせてくれたのか屋敷に送ってきてくれたロイド様はガイと席を外してくれていた。

「素敵な屋敷に住んでいるのね」

「ええ。幸せすぎて。ケイさんは?」

「私は城下よりは少し離れたところにいるの。その……ロイドのご両親は良い方なんだけど、前妻がちょっと怖い人でね。それもあってずっとロイドが私に冷たい態度を取っていたみたい」

「そうだったんですね。こちらはお姑さんが怖い感じです」

「お互い上位種と結婚すると苦労するわね。……王城にも数名猫種が召し上げられるみたい。私とルネが上位種の子を産んだからね。気の毒なことにならなければいいけど」

「……ガイの休日の出動も増えているので魔獣の動きも活発なのでしょうね」

 何としてでも黄金竜を誕生させたいのだろうか。王妃がルネを見て嫌そうにしていたのを思い出す。

「ロイドと結婚して貴族の生活が地獄のように思えるわ」

「それには私も同感です」

「あのね、ルネ、今日はお願いもあって来たの。貴族の子は最低でも一人は生まれながらに婚約者がいるのが普通なんだけど、ロッカとメイにはいないの」

「それって……」

「ええ。カルカとミンミと婚約させたいと思ってる。何よりルネの子たちだから安心できる」

「私も、ロッカとメイなら安心ですが、ガイに相談しないと」

「きっと今ロイドが頼んでいると思うわ。もしも子供たちに別の相手が見つかってもきっとその時は私たちみたいに拗れることは無いと思う」

「でも、カルカは良いとしてもミンミは猫種ですよ?」

「大丈夫。団長の子には間違いないもの。寧ろ、凄く狙われているわよ。竜種を産んだルネの子だもの」

「もしも反対されてもガイに頼んでみます」

「ふふ。きっと了承してくれるよ」

 それからケイさんと笑いあって幸せな時間を過ごした。

「もうこんな時間。私は帰るわ。ルネ。私の住んでいるところは秘密なの。貴方にも住所は教えられない。けれど、困ったことがあったら。暖炉の入り口の上にメッセージを隠しているから」

「ケイさん……大丈夫なんですか?」

 私の言葉にケイさんは苦笑した。名残惜しくその日は別れた。少し気になることはあったけどケイさんが幸せそうで本当に良かった。そして子供たちの婚約者も無事に決まった。

 晩餐会から興味本位に私を誘うパーティの招待状が舞い込むようになったが、全てガイが断ってくれていた。色々と煩わしい事もあったが私は子供たちと幸せに暮らしていた。何よりガイが側に居てくれた。けれども年々、魔獣の活動が活発化してガイの出動要請も増えて行っていた。そのせいか、ケイさんとは定期的に会おうと約束したのにそれ以来会えない日々が続いた。

 ***

「ガイ……ね、ガイ……ちょと、まって……」

 この屋敷に来て三年が過ぎても相変わらずガイは私を求めてくれていた。最近は遠征も多く、久しぶりに会うと特に激しく抱かれた。魔獣と闘った後は気持ちが昂るらしいと聞いたのは誰にだったか。現に先ほど屋敷に戻ったガイは体を流してくると私を貪るように求めた。首に包帯を巻いていたので気になったがこうなったガイを止められそうにない。性急に下肢を暴かれてなかに潜り込んできたガイを見上げるとぬるい汗を落としながら私を見つめていた。

 縦に長い瞳孔は私と同じでも金色と黒が入り混じったその瞳は獰猛さと美しさが同居しているように思えた。

「ルネ……愛している」

 ぬるりとガイの舌が私の口内を犯し始める。必死でガイの舌に答えるとどちらかとも言えない唾液を啜るように舌を吸い上げられる。足をガイの肩に乗せられて体を揺らされる。繋がった部分から蜜が零れてきたのを確認するように敏感な芽をいじりながらガイが出し入れを始めた。

「アッ、アッ……」

 ジュプジュプと弱いところを的確に攻められる。与えられる快感に頭が馬鹿になりそうになる。下半身を繋げながらガイの唇が少しずつ降りてきて舌が乳首をコリコリと刺激する。

「アッ、アアアッ!」

 ガクガクと体は震え、私は嬌声を上げる事しか出来なかった。私の声が上がってくると体制を低くしてガイがガツガツと中を突いてくる。必死にガイの背中にしがみつくとガイが更に深く奥を突いてきた。

「ガイ、ガイ!」

「ああ、ルネッ」

 パンパンと結合部から激しい音が聞こえる。理性が焼き切れてガイとの快感を貪り、ガイの動きに合わせて腰が揺れた。

「イッちゃ……ガイ、ああっ! イッちゃう……」

「俺も……ルネッ!!」

 最奥をガツガツと突かれてガイを逃さまいと子宮が収縮した。ガイは爆ぜても私の中にいてくれた。

「ハア、ハア、ハア……ん、んんっ」

 深い口づけに愛情を感じる。そのまま私を抱き込むガイは私が逃げやしないかとでもいうようだった。ようやく息が整って落ち着いてきたところで気になっていたガイの首の包帯について聞いた。

「……首、どうしたのですか?」

「ああ、これか? 少し、しくじったのを治癒師が大げさに巻いた」

「怪我をしたんですね」

「大したこともないし、すぐ治る」

「本当に?」

「……ほどいてみるか?」

「え、それは、いいです。 駄目、駄目です!」

 包帯を乱暴にほどこうとするガイの手を止める。竜種の治癒力が凄いのは身をもって知っているし、傷口を見たいわけじゃない。困った顔をする私にガイは『大丈夫だ』とだけ言ってまたぎゅっと私を抱き込んだ。
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