宿命の番

竹輪

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「わあ……」
 
 子どもたちも一緒に移動するのでガイ様が用意してくれた馬車に乗って王都へ初めて足を踏み入れた。車窓からは教会や大きな建物が見えていちいち感嘆の声を上げてしまっていた。

「ルネは王都は初めてか」

「はい」

「気になってたんだが」

「はい?」

「夫婦になるのだから、俺の事は『ガイ』と呼んでくれ」

「え……」

「『様』なんて距離を置かれているようで嫌だ。言葉遣いだってもっと砕けていい」

「あの、分かりました。ガイ」

 私がそう呼ぶとガイは嬉しそうに目を細めた。

「それにしても俺たちの子はかわいいな」

 ガイは二人が眠るクーファンをずっと離さず持っている。こんなに喜んで大事にしてもらえるなんてなんて幸せだろう。

「さあ、ここが俺たちの家だ」

 馬車が止まって大きな屋敷に着いた。ガイにエスコートされて馬車を降りるとそのまま屋敷に踏み入れた。

「プライベートに干渉されたくなかったから規模は小さくしたんだ。嫌か?」

「え? いえ、こんな大きなお屋敷で暮らすんですか?」

「使用人も五人ほどしか雇ってないが不都合が有ったら言ってくれ」

 なんだかガイと話が噛み合っていない気がしたが、屋敷に圧倒されていた。

 相変わらず大事そうにクーファンを抱えたガイが慌ててやってきたトカゲ種の年配の女性に子供たちのクーファンを渡した。

「ルネ、乳母をしてくれるテリだ。テリの家は代々竜種の子供を育てている。もちろんミンミもちゃんと見てくれる。テリ、俺の妻になるルネだ。無理言って来てもらって済まない。よろしく頼む」

「ええ。坊ちゃま。テリは坊ちゃまのお子様を見られるなんて幸せです。それに、どこでこんなお美しい奥様を見つけられたのですか? まあまあ。なんてお可愛らしい双子です事!」

「子どもたちを……よ、よろしくお願いします」

「ルネ、テリは俺の乳母でもあったんだ。安心していい。母より母と慕って来た人物だよ」

「まあ、坊ちゃまったら。……でもこのことを大奥様は?」

「母は俺が誰を娶っても気に入らないさ。さあ、ルネ、疲れただろう。子供たちはテリに預けて少し休もう。夫婦の部屋はこっちだ」

 後ろ髪を引かれつつもガイに腰を掴まれて部屋に誘導される。部屋に入った瞬間ガイに私は唇を奪われた。

「ん……ハア、ガイ……」

「ずっと、こうしたかった。ルネ。会いたかった」

「わ、私も……」

 こんな風にまた触れてもらえるなんて思っていなかった。ずっと不安で怖かった。ガイの愛を求めないようにと気持ちを押さえてもどうしても愛されることを諦めきれていなかった。

「愛してます……ガイ。例えこの先、貴方に『運命の番』が現れようとも、その時まで妻でいさせてください」

「ルネ、もしもそんなことが有っても俺は君を選ぶ」

「嬉しい」

 ガイはそう言ってくれるけれど、抗えないから『運命』なのだと人は言う。だから、その時まで。この幸せが少しでも長くつづきますように。

「今、抱きたい。いいか?」

「で、でも、汗が……埃っぽいだろうし」

「じゃあ、一緒に風呂に入ろう」

「え?」

 そう言うとガイは私を抱えて浴室に向かった。夫婦の部屋に隣接された浴室は広く、入った途端ガイがシャワーを捻った。

「ガイ、ちょっと……まだ服も脱いでないのに!」

「でも、待てそうもない」

「そんな、あ、あっ」

 二人でずぶ濡れになりながらまたガイの深い口付けを受ける。体に張り付いたシャツが濡れて下着の形を映し出していた。ガイの手が私の胸を持ち上げるように掴む。久しぶりだと言うのにガイに触れられるだけでその先を知った私の身体が疼きだしてしまう。

「ルネ……」

 ガイが甘い声で私を呼ぶ。嬉しくて体が震える。

「ガイ、好きです。ガイ……」

「ルネ……やっと捕まえた」

「んんっ」

 シャツのボタンを開けて下着を上に持ち上げられると簡単に胸が現れる。ガイは私の胸にむしゃぶりついた。

「ふあああんっ」

 舌で胸の先を転がされて、吸い付かれる。子供たちに吸い付かれる感覚とは全く違う官能を伴った行為だった。

「甘い。さっきから母乳が溢れている」

 言いながら親指で乳首をこねられると母乳がタラタラと溢れ出た。

「ガイ、ね、せめて服を脱ぐから待って……」

 必死でそう言うのにガイの手は止まらなかった。シャワーの湯は相変わらず二人の身体を温めながら濡らしていた。

「先にルネに入らせてくれ。繋がりたい。安心したいんだ」

 そう言われると弱い。観念した私は後ろを向いてしっぽを上げた。

「はうっつ」

 ショーツをずらして侵入した太いガイの指が濡れそぼったそこを確かめるようにこすり上
 げる。久しぶりの強い刺激に私の身体が跳ねたのを見てガイが嬉しそうにした。

「可愛い、ルネ」

 指の刺激に体を揺らす私を見てからガイは自分の昂ぶりを入り口に当てた。ダラダラと愛液を流しながら、待ちわびたそれに子宮がキュウキュウと収縮する。

「いいか?」

 いつものように聞かれて頷くとグッっとその先端がヒダを分け入ってきた。

「あう……」

 相変わらずのその大きさに静かに息を吐きながら対応する。ガイも私の様子を見てゆっくりと進んでくれた。やがてすべてが収まるとゆるゆると腰を動かしたのでピチャピチャと水の跳ねる音も加わった。

「アッ、アッ」

 揺れる体に合わせて嬌声が室内に響いた。次第に激しく腰を打ち付けられて、それに快感が伴う。最奥をコツコツと突かれると頭が真っ白になるくらいに気持ちが良かった。

「出すぞ」

 その言葉と共に胸を掴まれ、同時に乳首をクニクニと刺激される。打ち付けられる快感と胸の刺激で私も簡単に高みに上らされる。

「ああ、あああっ」

「くっ……!」

 ガイが私の中で爆ぜる。その瞬間、幸せに満たされた。

「愛してる」

「……私も、です」

 繋がったまま、キスを交わすとガイは私の中から出て行った。お互い服を脱いで体勢を変えて向き合うと片手でシャワーを止めたガイは私を持ち上げてそのまま風呂に浸かった。

 ガイの腹筋の上に寄りかかるようにして力を抜くとガイが私の頭にキスをした。

 少し落ち着いてから互いに体を洗って、浴室を出ると、ガイは再び私を求めた。

「これじゃあ、キリがないな……」

 とガイがつぶやく頃には私は泥のように疲れて眠っていた。
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