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魔女は悪魔になると予想される
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数時間経って、手術が無事に終わったと知らされた。すぐに顔を見に行くと落ち着いた顔つきでハージお兄様が眠っていてホッとした。見上げるとコランお兄様も同じように安心したようだった。
「氷の魔女は重症のハージと私が繋がっていると思っているだろう。……アイラがハージと呪いを代われることが氷の魔女にバレてしまう前に氷の魔女を倒さなければならない。おそらく重症のハージの心臓を取るのは簡単なことだと思っているはずだ。次の襲撃で必ず仕留めなければならない」
十数年前に氷の魔女はプレスロト国に住みついたらしい。氷の山に己の城を建てていたのは知っていたが、竜が許しているのであれば国としては特に文句は言えないのだそうだ。ただ、その頃から失踪事件が多発。限りなく黒に近かった氷の魔女だが、決定的な証拠もなく事件を追っていた騎士団としても二の足を踏んでいた。
氷の魔女がコランお兄様のことをとても気に入っていたのは周知の事実だったらしい。しかし、妾の子といっても公に認められた第四王子であり、騎士団長でもあるコランお兄様を無理やりどうこうはできない。その上、女嫌いで有名であったため、アプローチをかけてもなんの手ごたえもなく、ずいぶん苛立っていたようだ。彼女自身、美女である自負もあるために悔しい思いをしていたそうだ。そうして諦め切れなかった魔女は、ついに氷の山で魔獣の討伐をした帰りのコランお兄様を氷の城に誘い込むことに成功し監禁した。後は呪いの赤い糸で自分と縛り付ける手筈だったのだ。
誤算だったのはコランお兄様が自力で逃げ出すほど優秀であったことと、逃げる途中でハージお兄様と出会い、焦って繋げようとした赤い糸の呪いが二人にかけられてしまったことだ。
「こんなにもコラン様に執着するなんて思ってもみませんでしたね」
ミラ様がお茶を入れながらハア、とつぶやいていた。魔術師団からはミラ様とリンリ様が屋敷に来て手伝ってくれた。ホラム様たちは屋敷外にトラップを仕掛ける作業をしてくれている。
「一度手に入れたのに逃したのが惜しいのだろう。今までも何人もコレクションにされた人間がいるからな。氷の城に監禁されたときに魔女に飽きられた人間が氷漬けにされて転がっていたのを見た。私を氷の城に招いたことで氷の魔女はもう言い逃れはできない。騎士団として正式に氷の魔女を討伐できるよう王にも許可は取れているんだ」
「こ、氷漬け……」
「とても魔力の強い手強い魔女だからな。しかし、十数年前にふらりと現れて、あんなに簡単に竜の住む氷の山に城をどうやって建てられたのか不思議だ」
「まるで悪魔そのものみたい」
「はあ、本当だ。悪魔なら強大な力を持っていてもおかしくないよね」
ミラ様とリンリ様がポツリと言った。
「あのう、魔女は悪魔と契約した人ですよね? 悪魔と契約した地点でもう悪い存在なのではないのですか?」
聞けば聞くほど氷の魔女が悪い人にしか聞こえない。そもそも、悪魔と契約なんてとんでもないではないか。
「そもそも、人が魔力を持ったのは悪魔と契約をしたのが始まりだと言われているんだ。それを悪いことだとすると私たちは皆罪を背負って生まれていることになる」
「……うーん。わかったような、わからないような」
「あのね、私たちが『悪』と言っているだけでそれが『悪』なのかは本当のところわからないんだよ。とても力を持っている存在が『悪魔』であって、それは人の魂を糧にして力をつける存在なの。たくさんの人の命を奪うことはよくないことだから『悪魔』っていわれているけど、悪魔からしてみれば人の魂の価値がどうかって話。私たちだって食べるために家畜や植物の命をもらってるもの」
「じゃあ、契約して力をもらうだけならその人は魔女っていうだけで悪い人じゃないってことなんですか?」
「実際、欲にまみれず、魔女にだけなって人々を助けた人もいるからね」
「賛否両論あるんだよ。でも簡単に魔女=悪いとは言えないんだ。ただ、『悪魔』そのものは別。借りるのではなくて、自分の力にするということはたくさんの魂を取り入れることだから」
「悪い心があれば、魔女が『悪魔』になるってことですか?」
「いや、いくら魔力が強い魔女でも人間が悪魔になれるなんて……」
私の質問にミラ様がそう説明すると青い顔でリンリ様が言った。
「私、どうしてあんなに急に氷の魔女が強くなっていたか気になってたの。作戦だって、上手くいっていたはずよ。コラン様とハージ様だってすごかったもの。周到に準備は怠らなかったし、予測していた氷の魔女の力以上のトラップを仕掛けた。以前の氷の魔女なら十分倒せたはずだった」
「リンリ……それって、いや、ありえないよ」
「ねえ、でも、もしも、もしもだよ? 氷の魔女が『悪魔』になったとしたら、たくさんの生贄が必要でしょう? そんなに人が亡くなったって話は……聞いてないよね?」
それを聞いてテラ副団長が何か思いついたようだった。
「言われてみれば……元気だった人が酒場で急死したという事件が、最近になって頻繁に報告されてます」
「急死? 酒場で?」
「直前まで女と飲んでいたというケースがほとんどで……」
「女……」
「ええ。 まあ、酒場で女と飲むなんて特別なことではないので気にしていなかったのですが、もしも、同じ女だったとしたら、話は違ってきますね」
「その女が氷の魔女で……酒場で手ごろな魂を集めていたとしたら?」
その場にいた皆が息をのんだ。もしも氷の魔女が悪魔になったのなら、恐ろしいことになる。
「テラ副団長、すぐに調べてくれ。それと、僻地や国境などの騎士団の目の届かないところで行方不明者が多発ていないかも。本当に氷の魔女が悪魔になったのなら、プレスロト国も数百年前のロメカトルト国のように数千人の命を狙われることになるかもしれない」
「わ、わかりました。すぐに調べます」
「どちらにせよ、氷の魔女は一刻も早く討伐しなければならないだろう」
コランお兄様の言葉に皆が重々しく頷いた。
***
「お兄様あああぁっ! ふ、二日も眠っていたんですよ!」
「アイラ、泣くな……」
ハージお兄様が目を覚ましたのは二日後のことだった。目覚めたハージお兄様を見てしまうと我慢していた涙腺が崩壊してしまった。困ったようにハージお兄様が私の頭を撫でて、その優しい温かさにさらに涙が出た。
皆と対策を考える以外は病室にいる私にコランお兄様もずっと付き添ってくれた。心配のあまり、気持ちを落ち着けるために私が窓を拭きまくったお陰で、この病室の窓はぴっかぴかである。
「ハージ、私は氷の魔女を迎え撃とうと思う」
コランお兄様は真っ直ぐ姿勢を正して言った。ハージお兄様はギュッと一度目をつぶって
「わかった」
と答えた。
「アイラを巻き込むなんて聞いていない!」
ベッドの上で体を起こす体制にしてもらったハージお兄様がそう訴えた。これからの事を相談するためにミラ様、リンリ様、そしてテラ副団長が集まってくれた。当然コランお兄様も隣にいる。
「心配してくれるのはありがたいですが、今は重症のハージお兄様よりは私の方が動けます」
「そうは言っても!」
「ハージお兄様、私、今まで生きてきて一番怒っているのです。大事なお兄様をこんな目に合わせた氷の魔女を許しません。私、コランお兄様とここにいる皆さんを信じてます。私ができるのはコランお兄様の呪いを一緒に受けるだけですが、私も、氷の魔女と戦います」
このままだと、氷の魔女はハージお兄様の心臓を喰らってしまう。そんなこと、絶対に許さない。
「アイラ、お前は氷の魔女を知らないから! 変な術を使うんだぞ!」
「対策を考えましょう。ハージ殿、氷の魔女があなたが重症だと思い込んでいるうちに何とかしないと、取り返しのつかないことになるかもしれません。お願いです。プレスロト国を救ってください」
テラ副団長の気迫にハージお兄様が首を傾げた。
「国を救う? 俺の心臓を取り入れて、コラン様と赤い糸の呪いで繋がりたいだけなのだろう?」
「昨日、北の国境近くでも十数名の不審死が確認されました。おそらく、氷の魔女の仕業です。急速に魔力を貯めていると思われます。きっと、氷の魔女は悪魔になっています」
「なに言ってるんです……悪魔になる人間がいるっていうのですか?」
「確証などありませんが、考えれば考えるほど急に力をつけすぎています。ハージ殿も感じたのではないですか、異常なまでの氷の魔女の魔力を。あれが『悪魔』だとしたら、この先恐ろしいほどの被害が予想できます」
「本当なのですか? コラン様」
「ああ。残念ながら、被害はだんだんと大きくなっている」
「悪魔……だって?」
ハージお兄様は肩を落として黙ってしまった。私だって急にこんな話になって怖い。
「そうだ、以前アイラがロッシに話していたのを聞いたんですけど、コートボアール家はラルラ王と悪魔を倒した愛馬の眠る土地を守ってきたお家柄ですよね? 悪魔をどうやってラルラ王が倒したんですか?」
ふと、思いついたようにミラ様が訊ねた。そういえば悪魔なら、倒し方は同じのなのだろうか。私はハージお兄様と顔を見合わせた。
「ラルラ王の愛馬、コートボアールは馬でありながら魔力を封じる力を持ってたんだ」
そうして、ハージお兄様は私たちコートボアール家に伝わる話を皆に披露した。
「氷の魔女は重症のハージと私が繋がっていると思っているだろう。……アイラがハージと呪いを代われることが氷の魔女にバレてしまう前に氷の魔女を倒さなければならない。おそらく重症のハージの心臓を取るのは簡単なことだと思っているはずだ。次の襲撃で必ず仕留めなければならない」
十数年前に氷の魔女はプレスロト国に住みついたらしい。氷の山に己の城を建てていたのは知っていたが、竜が許しているのであれば国としては特に文句は言えないのだそうだ。ただ、その頃から失踪事件が多発。限りなく黒に近かった氷の魔女だが、決定的な証拠もなく事件を追っていた騎士団としても二の足を踏んでいた。
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誤算だったのはコランお兄様が自力で逃げ出すほど優秀であったことと、逃げる途中でハージお兄様と出会い、焦って繋げようとした赤い糸の呪いが二人にかけられてしまったことだ。
「こんなにもコラン様に執着するなんて思ってもみませんでしたね」
ミラ様がお茶を入れながらハア、とつぶやいていた。魔術師団からはミラ様とリンリ様が屋敷に来て手伝ってくれた。ホラム様たちは屋敷外にトラップを仕掛ける作業をしてくれている。
「一度手に入れたのに逃したのが惜しいのだろう。今までも何人もコレクションにされた人間がいるからな。氷の城に監禁されたときに魔女に飽きられた人間が氷漬けにされて転がっていたのを見た。私を氷の城に招いたことで氷の魔女はもう言い逃れはできない。騎士団として正式に氷の魔女を討伐できるよう王にも許可は取れているんだ」
「こ、氷漬け……」
「とても魔力の強い手強い魔女だからな。しかし、十数年前にふらりと現れて、あんなに簡単に竜の住む氷の山に城をどうやって建てられたのか不思議だ」
「まるで悪魔そのものみたい」
「はあ、本当だ。悪魔なら強大な力を持っていてもおかしくないよね」
ミラ様とリンリ様がポツリと言った。
「あのう、魔女は悪魔と契約した人ですよね? 悪魔と契約した地点でもう悪い存在なのではないのですか?」
聞けば聞くほど氷の魔女が悪い人にしか聞こえない。そもそも、悪魔と契約なんてとんでもないではないか。
「そもそも、人が魔力を持ったのは悪魔と契約をしたのが始まりだと言われているんだ。それを悪いことだとすると私たちは皆罪を背負って生まれていることになる」
「……うーん。わかったような、わからないような」
「あのね、私たちが『悪』と言っているだけでそれが『悪』なのかは本当のところわからないんだよ。とても力を持っている存在が『悪魔』であって、それは人の魂を糧にして力をつける存在なの。たくさんの人の命を奪うことはよくないことだから『悪魔』っていわれているけど、悪魔からしてみれば人の魂の価値がどうかって話。私たちだって食べるために家畜や植物の命をもらってるもの」
「じゃあ、契約して力をもらうだけならその人は魔女っていうだけで悪い人じゃないってことなんですか?」
「実際、欲にまみれず、魔女にだけなって人々を助けた人もいるからね」
「賛否両論あるんだよ。でも簡単に魔女=悪いとは言えないんだ。ただ、『悪魔』そのものは別。借りるのではなくて、自分の力にするということはたくさんの魂を取り入れることだから」
「悪い心があれば、魔女が『悪魔』になるってことですか?」
「いや、いくら魔力が強い魔女でも人間が悪魔になれるなんて……」
私の質問にミラ様がそう説明すると青い顔でリンリ様が言った。
「私、どうしてあんなに急に氷の魔女が強くなっていたか気になってたの。作戦だって、上手くいっていたはずよ。コラン様とハージ様だってすごかったもの。周到に準備は怠らなかったし、予測していた氷の魔女の力以上のトラップを仕掛けた。以前の氷の魔女なら十分倒せたはずだった」
「リンリ……それって、いや、ありえないよ」
「ねえ、でも、もしも、もしもだよ? 氷の魔女が『悪魔』になったとしたら、たくさんの生贄が必要でしょう? そんなに人が亡くなったって話は……聞いてないよね?」
それを聞いてテラ副団長が何か思いついたようだった。
「言われてみれば……元気だった人が酒場で急死したという事件が、最近になって頻繁に報告されてます」
「急死? 酒場で?」
「直前まで女と飲んでいたというケースがほとんどで……」
「女……」
「ええ。 まあ、酒場で女と飲むなんて特別なことではないので気にしていなかったのですが、もしも、同じ女だったとしたら、話は違ってきますね」
「その女が氷の魔女で……酒場で手ごろな魂を集めていたとしたら?」
その場にいた皆が息をのんだ。もしも氷の魔女が悪魔になったのなら、恐ろしいことになる。
「テラ副団長、すぐに調べてくれ。それと、僻地や国境などの騎士団の目の届かないところで行方不明者が多発ていないかも。本当に氷の魔女が悪魔になったのなら、プレスロト国も数百年前のロメカトルト国のように数千人の命を狙われることになるかもしれない」
「わ、わかりました。すぐに調べます」
「どちらにせよ、氷の魔女は一刻も早く討伐しなければならないだろう」
コランお兄様の言葉に皆が重々しく頷いた。
***
「お兄様あああぁっ! ふ、二日も眠っていたんですよ!」
「アイラ、泣くな……」
ハージお兄様が目を覚ましたのは二日後のことだった。目覚めたハージお兄様を見てしまうと我慢していた涙腺が崩壊してしまった。困ったようにハージお兄様が私の頭を撫でて、その優しい温かさにさらに涙が出た。
皆と対策を考える以外は病室にいる私にコランお兄様もずっと付き添ってくれた。心配のあまり、気持ちを落ち着けるために私が窓を拭きまくったお陰で、この病室の窓はぴっかぴかである。
「ハージ、私は氷の魔女を迎え撃とうと思う」
コランお兄様は真っ直ぐ姿勢を正して言った。ハージお兄様はギュッと一度目をつぶって
「わかった」
と答えた。
「アイラを巻き込むなんて聞いていない!」
ベッドの上で体を起こす体制にしてもらったハージお兄様がそう訴えた。これからの事を相談するためにミラ様、リンリ様、そしてテラ副団長が集まってくれた。当然コランお兄様も隣にいる。
「心配してくれるのはありがたいですが、今は重症のハージお兄様よりは私の方が動けます」
「そうは言っても!」
「ハージお兄様、私、今まで生きてきて一番怒っているのです。大事なお兄様をこんな目に合わせた氷の魔女を許しません。私、コランお兄様とここにいる皆さんを信じてます。私ができるのはコランお兄様の呪いを一緒に受けるだけですが、私も、氷の魔女と戦います」
このままだと、氷の魔女はハージお兄様の心臓を喰らってしまう。そんなこと、絶対に許さない。
「アイラ、お前は氷の魔女を知らないから! 変な術を使うんだぞ!」
「対策を考えましょう。ハージ殿、氷の魔女があなたが重症だと思い込んでいるうちに何とかしないと、取り返しのつかないことになるかもしれません。お願いです。プレスロト国を救ってください」
テラ副団長の気迫にハージお兄様が首を傾げた。
「国を救う? 俺の心臓を取り入れて、コラン様と赤い糸の呪いで繋がりたいだけなのだろう?」
「昨日、北の国境近くでも十数名の不審死が確認されました。おそらく、氷の魔女の仕業です。急速に魔力を貯めていると思われます。きっと、氷の魔女は悪魔になっています」
「なに言ってるんです……悪魔になる人間がいるっていうのですか?」
「確証などありませんが、考えれば考えるほど急に力をつけすぎています。ハージ殿も感じたのではないですか、異常なまでの氷の魔女の魔力を。あれが『悪魔』だとしたら、この先恐ろしいほどの被害が予想できます」
「本当なのですか? コラン様」
「ああ。残念ながら、被害はだんだんと大きくなっている」
「悪魔……だって?」
ハージお兄様は肩を落として黙ってしまった。私だって急にこんな話になって怖い。
「そうだ、以前アイラがロッシに話していたのを聞いたんですけど、コートボアール家はラルラ王と悪魔を倒した愛馬の眠る土地を守ってきたお家柄ですよね? 悪魔をどうやってラルラ王が倒したんですか?」
ふと、思いついたようにミラ様が訊ねた。そういえば悪魔なら、倒し方は同じのなのだろうか。私はハージお兄様と顔を見合わせた。
「ラルラ王の愛馬、コートボアールは馬でありながら魔力を封じる力を持ってたんだ」
そうして、ハージお兄様は私たちコートボアール家に伝わる話を皆に披露した。
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