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カケル×ミライ(後編)
しおりを挟むあっさりとその日になったのか、マシーンの
蓋が開いた。
俺はすぐにミライの元に向かった。
今ならミライは家に居るはずだ。
(ピンポーン!!)
「はーい、って何だカケルかよっ。」
「ハァハァ、悪いミライ。」
「どうした?息切らして?」
「お前に、・・・謝り・・たく・・・て。」
「そんでわざわざ来たのか?」
「あぁ。」
呆れたような表情でミライが言う。
「変なカケル。」
「うっさい。」
急に恥ずかしくなって、そう言った。
「別にいいのに、あのくらい。」
「・・・・・」
「本当、どうした?なんかいつもの
カケルじゃなくね?」
「ミライ、話があるんだ。」
「?まぁ、何か分かんね~けど上がる?」
「いや、公園に行こう!」
「もう暗いぜ?」
「う~~」
(困った、こんな話、ミライ1人納得させるだけでもムズいのに大人まで来たら・・・)
カケルの様子を見てミライは言った。
「あ~分かった、分かった。」
そうして俺達は公園に向かった。
「ミライ、いいか、良く聞け。俺はお前を、
うっ・・・・」
「どうした、大丈夫か?顔色悪いぜ?」
「ミライ、うっ、・・う~~・・・」
(どうして、どうして声がうまく
出ないんだ!?)
「無理すんな、帰ろう。」
「いやっミライ、俺はお前を、
うっ、うっ、う~~~。」
「カケル?お前、本当どうしたんだよ?」
(何で肝心なことが・・・)
「ミライ、うっ、生きろっ!!」
「あ、あぁ?何言ってんだよ?」
「帰る。」
「え、大丈夫なのか?送ってく?」
「大丈夫。」
「はぁ、変なカケル。」
その後、またタイムマシーンに乗り
蓋が開いたら父さんがいた。
「父さん?何で悲しそうな顔してるの?」
「ミライ、ごめん、ごめんなぁっ!!」
泣きながら父さんはそう言った。
「父さん、何か俺、疲れて・・・」
そのまま、眠るように意識を失った。
(ピッ、ピッ、ピッ)
次に気付いた時は病院だった。
目が良く見えないし、声も出ない。
体はとても痛かった。
少しして、父さんと母さんが来たのが
話し声から分かった。
二人ともとても悲しそうな様子だ。
しばらくしてミライが来たのが分かった。
俺は心から安心した。
ミライは死なずに済んだんだ、と。
だが、そのミライの言葉に俺は愕然とする。
「カケルぅ。どうして、どうしてそこまでして
俺なんか助けたんだよ!!
もうお前、死にそうになってん
じゃねぇかよ~。」
泣きじゃくるミライの言葉に
カケルの頭は混乱する。
(へっ?どういうこと?)
「カケルぅ~。俺、生きるよ!!
お前が頑張った分、生きるよ!
だから、死ぬなよ~~~!!」
(えっ、ちょっと待って!?)
何とか動かした左手を握るミライを、
いや、その左手を見てカケルは更に混乱する。
(お、俺っ・・・)
途端に意識が遠退いた。
後日、父さんから聞いた話によると、
タイムマシーンは体に絶大な負荷が
かかるそうで、2回も使った俺は
余命数ヶ月の爺さんになってしまったらしい。
親への申し訳なさもあったが、最期の時は
ミライを救えたことへの喜びで
胸が一杯だった。
ーーー完ーーー
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