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おでかけ

27.初めて

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初めて見るお祭りというものにフレドリックは驚いてばかりだった。

基本こういう場所は平民である者達がいて、貴族は高みの見物するものだ。


イオも首都とは違う変わったお祭りだな、と思いながらも前世のお祭りに似ている気がした。
 

 いや、似ている。


「イオこれ買って~。」

真っ赤な林檎に飴でコーティングされたりんご飴。


「かしこまりました。」

きょろきょろと目移りするフレドリックの視線の先には、わたあめ、イカ焼き、魚すくいに(金魚ではないのか)射的など見覚えがあるものばかり、


製作者が日本の企業だしなぁ。


改めてこれは乙女ゲームの、造られた世界なんだと実感する。


なんだかマルルはいつの間にかいなくなってるし、後ろを歩くブラウンは妙に口を閉ざしてるし、、、





「これどーやって食べるの!」

もこもこのわたあめを怪訝な目で見てる。フレドリックは指でつんつん突っついてる。

「嬢ちゃん。そりゃ大きく口開けて一気に食べな。」

屋台のおっちゃん。これたこ焼きじゃないんだけど、

「あむっ」

わたあめにかぶりついたフレドリックは口の中で溶ける砂糖菓子に目を丸くした。

「あま~い。」

よかった。


フレディ様は甘いものが好きだからあまり心配はしていなかったが、主人の喜ぶ顔はやはり嬉しい。


「あ、口の周りが、」

サッと袖からハンカチーフを取り出し、口を拭ってやる。

「んん、」

手がベタベタになっていたので、ブラウンに声をかけて井戸までハンカチーフを濡らしに行かなければ。

「ブランさん、フレディ様を見てて貰えませんか。」

「ああ、」

ブラウンにフレドリックを任せて、イオは人の間をするする縫って歩いてく。



「あいつ前世は間者かなんかかよ。」


苦笑するブラウンにフレドリックがニコッと微笑む。

「あれ食べたい!」

あまりの可愛さについつい買ってしまう。


「こりゃ逆らえねぇわ。」


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