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第三章.さよなら大好きだよ
45.ナズナの指輪
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「で、だ。結局、お前どうすんだ? シャルルのまんまでいいのか? それとも、お前の名前を使うのか?」
「名前? シャルルでいいよ。シャルルも私の名前を使ってたし。みんなに説明したくないし」
「説明したくない?」
「ただでさえ面白要素満載なのに、これ以上変な属性広める必要ある? いい影響より、リスクが高いだけだと思う」
「?!」
キーリーが、すごい顔でこちらを凝視した。
「何、その顔は」
「そんなまともな思考回路があるなんて!」
「失礼だな!」
キーリーのことを、ぽこぽこぽこぽこ叩いた。キーリーは、腕でガードはするが、反撃はして来ない。そうか。こういう関係だったんだな?
「名乗りはシャルルのままでいいとして、お前の名前を聞いてもいいか?」
「那砂だよ」
「ナズナって、アレだな? コレだな?」
キーリーは、左の拳をずずいと出した。薬指にはまっている指輪の意匠が、ナズナだった。
「お前が作った指輪だよ。これで、本人確定だな」
「あ、、、」
熊。馬。熊、くま、クマ。殺し屋。槍。穴。ドラゴン。馬車。熊。猫鬼。牛。ケーキ。熊。緑小鬼。穴。爆発。犬。穴。熊。宝石。熊。いろんな映像が頭の中で再生される。
ジョエルは、いつも優しかった。
キーリーは、いつも見ててくれた。
タケルは、私を諦めなかった。
ジョエルは、、、!
身に覚えのない映像だけど、大切だと思える人が次々出てきた。記憶はないハズなのに、事実だと思った。前回の記憶だと思う。 私が何をしていたのかは、よくわからなかったけれど、いつも3人は私を助けてくれていた。
ジョエルとキーリーが1番大事な人なんだと思っていたのに、次々と出て来る熊が可笑しかった。私は、そんなに熊が大事だったのか。可愛いクマさんではなく、かなりワイルドな方の黄色い熊が!
「ん? どうした?」
「そっか。ありがとう、キーリー。嫌がってたのに、使ってくれてたんだ」
「しょうがねぇだろ。あんなこと言われたんだ。野郎とセットとか有り得んから、お前の分も作ってはめろ。タケルの首輪にも、下げておけ」
「また作れるようになったらね」
キーリーの動きが、はたと止まる。また変な顔を向けて来る。失礼なことを考えてるに違いない。
「待て、、、、、嫌がってた?」
「ちょっとだけ、思い出したかもしれない」
熊とか熊とか熊とか。半分くらい熊だった。
「じゃあ、もう触ってもいいか? 娘」
「んー」
どうしよう。大丈夫だろうか? 考え中のつもりの返事だったのに、キーリーの手が伸びてきて、躊躇いがちに、そっと抱きしめられた。
「おかえり。待ってた。お前がいい」
!! そうか。私、ここにいていいのか。ただのわがままなお荷物だったのに。
「ただいま。お父さん。ありがとう」
嬉し涙なら、泣いてもいいだろうか。
ぎゅっと力を入れたところで、ジョエルが来て、大騒ぎになった。
「抱きついて、『ジョエル大好き』って言え」
って、キーリーが言うから、実行したら抱きしめ返されて、助骨が折れるような体験をさせられた。もう二度とジョエルには抱きつかないようにしよう、と心に誓った。大好きとか関係ない。死にたくない。
久しぶりに、特級傷薬が大活躍だ。原理はわからないが、大体なんでも治る傷薬最高!
手持ちの薬が減ってるなー、作らなきゃなー、と思ったところで、そういえば弟子を見かけないなー、と気になった。一人で創薬ルームにこもってるのかな? 毛染め剤の発注すごかったもんね。一人で作ってるなら、可哀想だ。
「ローちゃんさんは?」
「ああ、あいつ? 丁度良いから、クビでいいんじゃねぇか? シャルルは、薬なんか、全く興味ないからな。お前がシャルルになった時点で、荷物を抱えて帰ったぞ」
そっかー。シャルルにだって作れるんだけど、作らないよね。家出じゃないけれど、家出みたいに出て来たんだから、帰るのもしょうがないか。
汎用的な薬の作り方はいくつか習ったから、新しいのを覚えるより定着させるのに時間を使えばいいかな。タケルをかっ飛ばせば、また習いに行けるだろうし、しばらくは1人で頑張るか。
「次は、女薬師にしましょう!」
ジョエルには、返事をしない。私はまだ怒ってるアピールだ。
「ちょっと創薬してくる。傷薬の残りが少ないから」
「ああ、頑張れ。お前ケガし過ぎだからな。誰かさんの所為で」
「ごめんなさい~」
護衛の依頼料を払っていないのだから、守りきれない分はジョエルの所為だとは思わないが、今回はジョエルの所為だ。きっちり反省してもらわないと、次は死んでしまうかもしれない。恩を忘れて、厳しくあたろう。
「名前? シャルルでいいよ。シャルルも私の名前を使ってたし。みんなに説明したくないし」
「説明したくない?」
「ただでさえ面白要素満載なのに、これ以上変な属性広める必要ある? いい影響より、リスクが高いだけだと思う」
「?!」
キーリーが、すごい顔でこちらを凝視した。
「何、その顔は」
「そんなまともな思考回路があるなんて!」
「失礼だな!」
キーリーのことを、ぽこぽこぽこぽこ叩いた。キーリーは、腕でガードはするが、反撃はして来ない。そうか。こういう関係だったんだな?
「名乗りはシャルルのままでいいとして、お前の名前を聞いてもいいか?」
「那砂だよ」
「ナズナって、アレだな? コレだな?」
キーリーは、左の拳をずずいと出した。薬指にはまっている指輪の意匠が、ナズナだった。
「お前が作った指輪だよ。これで、本人確定だな」
「あ、、、」
熊。馬。熊、くま、クマ。殺し屋。槍。穴。ドラゴン。馬車。熊。猫鬼。牛。ケーキ。熊。緑小鬼。穴。爆発。犬。穴。熊。宝石。熊。いろんな映像が頭の中で再生される。
ジョエルは、いつも優しかった。
キーリーは、いつも見ててくれた。
タケルは、私を諦めなかった。
ジョエルは、、、!
身に覚えのない映像だけど、大切だと思える人が次々出てきた。記憶はないハズなのに、事実だと思った。前回の記憶だと思う。 私が何をしていたのかは、よくわからなかったけれど、いつも3人は私を助けてくれていた。
ジョエルとキーリーが1番大事な人なんだと思っていたのに、次々と出て来る熊が可笑しかった。私は、そんなに熊が大事だったのか。可愛いクマさんではなく、かなりワイルドな方の黄色い熊が!
「ん? どうした?」
「そっか。ありがとう、キーリー。嫌がってたのに、使ってくれてたんだ」
「しょうがねぇだろ。あんなこと言われたんだ。野郎とセットとか有り得んから、お前の分も作ってはめろ。タケルの首輪にも、下げておけ」
「また作れるようになったらね」
キーリーの動きが、はたと止まる。また変な顔を向けて来る。失礼なことを考えてるに違いない。
「待て、、、、、嫌がってた?」
「ちょっとだけ、思い出したかもしれない」
熊とか熊とか熊とか。半分くらい熊だった。
「じゃあ、もう触ってもいいか? 娘」
「んー」
どうしよう。大丈夫だろうか? 考え中のつもりの返事だったのに、キーリーの手が伸びてきて、躊躇いがちに、そっと抱きしめられた。
「おかえり。待ってた。お前がいい」
!! そうか。私、ここにいていいのか。ただのわがままなお荷物だったのに。
「ただいま。お父さん。ありがとう」
嬉し涙なら、泣いてもいいだろうか。
ぎゅっと力を入れたところで、ジョエルが来て、大騒ぎになった。
「抱きついて、『ジョエル大好き』って言え」
って、キーリーが言うから、実行したら抱きしめ返されて、助骨が折れるような体験をさせられた。もう二度とジョエルには抱きつかないようにしよう、と心に誓った。大好きとか関係ない。死にたくない。
久しぶりに、特級傷薬が大活躍だ。原理はわからないが、大体なんでも治る傷薬最高!
手持ちの薬が減ってるなー、作らなきゃなー、と思ったところで、そういえば弟子を見かけないなー、と気になった。一人で創薬ルームにこもってるのかな? 毛染め剤の発注すごかったもんね。一人で作ってるなら、可哀想だ。
「ローちゃんさんは?」
「ああ、あいつ? 丁度良いから、クビでいいんじゃねぇか? シャルルは、薬なんか、全く興味ないからな。お前がシャルルになった時点で、荷物を抱えて帰ったぞ」
そっかー。シャルルにだって作れるんだけど、作らないよね。家出じゃないけれど、家出みたいに出て来たんだから、帰るのもしょうがないか。
汎用的な薬の作り方はいくつか習ったから、新しいのを覚えるより定着させるのに時間を使えばいいかな。タケルをかっ飛ばせば、また習いに行けるだろうし、しばらくは1人で頑張るか。
「次は、女薬師にしましょう!」
ジョエルには、返事をしない。私はまだ怒ってるアピールだ。
「ちょっと創薬してくる。傷薬の残りが少ないから」
「ああ、頑張れ。お前ケガし過ぎだからな。誰かさんの所為で」
「ごめんなさい~」
護衛の依頼料を払っていないのだから、守りきれない分はジョエルの所為だとは思わないが、今回はジョエルの所為だ。きっちり反省してもらわないと、次は死んでしまうかもしれない。恩を忘れて、厳しくあたろう。
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