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第二章.家族になろうよ
22.vsジョエル
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泊まっていたホテルに着いた。どこへ向かっているかわからなかったが、素晴らしい帰巣本能だ。
だがしかし、犯人のお姉さんたちが、どこかでしれっと私の捜索をしているのだ。いるかもしれないホテルに行くのが、正解かどうか、かなり疑問だ。
だったら、どこに行けば、と聞かれても、候補はない。ローちゃんさんも行商のおじさんも信頼してはダメだ、と言われているくらいだ。キーリーを探さないといけない。ジョエルは、どこか遠くに行っているから除外だ。キーリーは、まだ川原だろうか?
「猫ちゃん、川原わかる? キーリーを探したいんだけど」
全身ボロボロすぎて、もう部屋で休みたい。でも、今度捕まったら軟禁じゃ済まないだろう。腕と足にザッと特級傷薬を塗って、歩き出す。痛みは大分減ったが、走るともたないし、歩みが遅いのは仕方がない。猫に乗るのは、最終手段だ。あまり乗り物としては向いてない。
誰かに見つかることもなく、川原についたが、キーリーはいなかった。ローちゃんさんもいないし、護衛のお姉さんもいない。
目標は達成していないが、敵もいないなら、まあいい。限界など、逃避行の大分初期の段階で超えている。休んで、特級傷薬を塗って、ちょっと落ち着いてイロイロ考えよう。
「おいで。ごはんだよ」
今が何時なのかわからないが、お昼用に準備をしていたごはんを、猫ちゃんに提供する。
「助けてくれて、ありがとうね」
わっしわっしと頭をなでる。すると、柴犬くらいの大きさに縮んだ。虎に子猫のごはんで足りるか心配していたけれど、これなら大丈夫だろうか。足りないなら、ここで作ることは可能だが、不用意に火を焚かない方がいいだろう。
どかーん! っと、すごい音がした。反射で起き上がる。私は、いつの間にか、寝ていたようだ。こんな非常時に!
音の発生元に目を向けると、虎猫ちゃんと剣をかまえたジョエルが向かい合っていた。仲良くチャンバラという雰囲気ではない。何故だ!!
「だめだめだめだめー!」
近寄ったら、両方にやられてしまいそうだが、虎猫ちゃんの前に立って、ジョエルから守る。ドラゴンと殴り合いで友情を深めるような人だ。猫を倒すくらい容易だろう。止めなければならない。今度は、私が猫ちゃんを守る番だ!
「何してるの? 猫ちゃんをいじめないで!」
「ルルー!」
「にゃあぁあ!」
何をする前に、一瞬でジョエルに掻っ攫われた!
「危ないでしょう。何をしているの?」
「ジョエルから、猫ちゃんを守るの!」
もう一度、猫ちゃんのところに走って戻る。
「猫ちゃん、小さくなって! 私が守るから!!」
猫が小さくなってくれたので、服の中にしまう。達人レベルなら、猫だけ切るのに挑戦するかもしれないので、ギュッと手で覆う。
ジョエルを倒せる訳がないので、走って逃げた。ジョエルのところに逃げたかったのに、どこへ行けばいいだろう。
「ルルー、それを離しなさい」
私が必死で走っているのに、ジョエルは早歩きで優雅についてくる。そうだ。この人は馬より速い人だ。走って逃げれる訳がない。
「絶対やだ。離したら、切るでしょう?」
「シャル、宿屋じゃ猫は飼えませんよ。捨ててらっしゃい! お父さんも、お母さんも許しませんよ」
反対側から、キーリーがジョギング気分でついてくる。
「やだやだやだやだ」
「それは見た目は可愛いかもしれないけれど、わたしの今回の討伐対象なの。猫鬼シャノワール、取り憑いて人を呪い殺す魔獣だよ」
「この子は、そんなことしないもの」
「実際に、やったんだよ」
「この子を殺すなら、私はジョエルを殺すわ。できるとか、できないとか、そういうことじゃないの。私にとっては、そのくらい大切な子なの!」
疲れて走れなくなったので、無駄な努力は辞めて、ジョエルに向き直る。口で言ってわかってもらえないなら、活路はない。ジョエルに勝てる見込みがあるのは、口ゲンカだけだ。頑張れ、私。
「私、誘拐されたの。この子が助けてくれて、ここまで逃げて来れたの。おかげでジョエルにも、また会えた。この子がいなかったら、私、売られてどうなったか、わからないの。助けてもらったのに、見殺しになんてできないよ。いっつも助けてくれるジョエルが死ぬのを見てるのと、一緒じゃない。ジョエルが死ぬなんて、絶対に嫌なんだから!」
他に言うことはないだろうか。もっと何か話さないと。この子を守らないと!
「ちょっと待って。それがルルーを攫ったんじゃないの?」
「私を誘拐したのは、護衛のお姉さんたちだよ」
ジョエルの表情が、がらっと変わる。すごいキレイだが、刃物のような物騒な空気をまとっている。
「へぇえぇー。そぅおなの。ハリセンボン飲ましてこなくちゃいけないみたい。キーリー、ルルーを連れてついてきなさい」
「イェッス、サー!」
「ひゃっ!」
キーリーに担がれて運ばれ始めた。もうちょっとで猫ちゃんを潰してしまうところだったが、潰す前に服から出てきて、頭の上に乗った。
私がお荷物なのもあるけれど、キーリーがジョエルの本気についていけるはずもなく、かなり置いて行かれた。しかし、目的地は知っているようで、遅れたが現場に着いた。
ジョエルの怒号と誰かの悲鳴が聞こえる半壊の建物の前に立つ。
「ここ何?」
「冒険者ギルドだった場所」
「ジョエル、犯罪者になっちゃわない?」
「あんなの、誰が捕まえるんだよ。あれこそ災害級モンスターだろ。レイド編成を組んで出かけたら、ウインク一回で落とされるんだぜ、きっと」
「法治国家の維持って難しいね」
「ああ、そこが頭の痛いところでな。理想を叶えるには、、、、、」
どうでもいい話で暇つぶしをしていたら、キラキラ笑顔でジョエルが出てきた。
冒険者ギルドは、全壊している。石造りの建物は、瓦礫の山で死屍累々といった風情だ。倒れている人全員が、今回の件に関わっているとは思えないのだけど、いいのかな。敷地ギリギリに建っている隣のビルは、まったく被害がなく、どうやって壊したのか、わからない。ジョエルには、土木系の仕事も向いているようだった。
「ルルー、ホテルに戻ろう。話がある」
だがしかし、犯人のお姉さんたちが、どこかでしれっと私の捜索をしているのだ。いるかもしれないホテルに行くのが、正解かどうか、かなり疑問だ。
だったら、どこに行けば、と聞かれても、候補はない。ローちゃんさんも行商のおじさんも信頼してはダメだ、と言われているくらいだ。キーリーを探さないといけない。ジョエルは、どこか遠くに行っているから除外だ。キーリーは、まだ川原だろうか?
「猫ちゃん、川原わかる? キーリーを探したいんだけど」
全身ボロボロすぎて、もう部屋で休みたい。でも、今度捕まったら軟禁じゃ済まないだろう。腕と足にザッと特級傷薬を塗って、歩き出す。痛みは大分減ったが、走るともたないし、歩みが遅いのは仕方がない。猫に乗るのは、最終手段だ。あまり乗り物としては向いてない。
誰かに見つかることもなく、川原についたが、キーリーはいなかった。ローちゃんさんもいないし、護衛のお姉さんもいない。
目標は達成していないが、敵もいないなら、まあいい。限界など、逃避行の大分初期の段階で超えている。休んで、特級傷薬を塗って、ちょっと落ち着いてイロイロ考えよう。
「おいで。ごはんだよ」
今が何時なのかわからないが、お昼用に準備をしていたごはんを、猫ちゃんに提供する。
「助けてくれて、ありがとうね」
わっしわっしと頭をなでる。すると、柴犬くらいの大きさに縮んだ。虎に子猫のごはんで足りるか心配していたけれど、これなら大丈夫だろうか。足りないなら、ここで作ることは可能だが、不用意に火を焚かない方がいいだろう。
どかーん! っと、すごい音がした。反射で起き上がる。私は、いつの間にか、寝ていたようだ。こんな非常時に!
音の発生元に目を向けると、虎猫ちゃんと剣をかまえたジョエルが向かい合っていた。仲良くチャンバラという雰囲気ではない。何故だ!!
「だめだめだめだめー!」
近寄ったら、両方にやられてしまいそうだが、虎猫ちゃんの前に立って、ジョエルから守る。ドラゴンと殴り合いで友情を深めるような人だ。猫を倒すくらい容易だろう。止めなければならない。今度は、私が猫ちゃんを守る番だ!
「何してるの? 猫ちゃんをいじめないで!」
「ルルー!」
「にゃあぁあ!」
何をする前に、一瞬でジョエルに掻っ攫われた!
「危ないでしょう。何をしているの?」
「ジョエルから、猫ちゃんを守るの!」
もう一度、猫ちゃんのところに走って戻る。
「猫ちゃん、小さくなって! 私が守るから!!」
猫が小さくなってくれたので、服の中にしまう。達人レベルなら、猫だけ切るのに挑戦するかもしれないので、ギュッと手で覆う。
ジョエルを倒せる訳がないので、走って逃げた。ジョエルのところに逃げたかったのに、どこへ行けばいいだろう。
「ルルー、それを離しなさい」
私が必死で走っているのに、ジョエルは早歩きで優雅についてくる。そうだ。この人は馬より速い人だ。走って逃げれる訳がない。
「絶対やだ。離したら、切るでしょう?」
「シャル、宿屋じゃ猫は飼えませんよ。捨ててらっしゃい! お父さんも、お母さんも許しませんよ」
反対側から、キーリーがジョギング気分でついてくる。
「やだやだやだやだ」
「それは見た目は可愛いかもしれないけれど、わたしの今回の討伐対象なの。猫鬼シャノワール、取り憑いて人を呪い殺す魔獣だよ」
「この子は、そんなことしないもの」
「実際に、やったんだよ」
「この子を殺すなら、私はジョエルを殺すわ。できるとか、できないとか、そういうことじゃないの。私にとっては、そのくらい大切な子なの!」
疲れて走れなくなったので、無駄な努力は辞めて、ジョエルに向き直る。口で言ってわかってもらえないなら、活路はない。ジョエルに勝てる見込みがあるのは、口ゲンカだけだ。頑張れ、私。
「私、誘拐されたの。この子が助けてくれて、ここまで逃げて来れたの。おかげでジョエルにも、また会えた。この子がいなかったら、私、売られてどうなったか、わからないの。助けてもらったのに、見殺しになんてできないよ。いっつも助けてくれるジョエルが死ぬのを見てるのと、一緒じゃない。ジョエルが死ぬなんて、絶対に嫌なんだから!」
他に言うことはないだろうか。もっと何か話さないと。この子を守らないと!
「ちょっと待って。それがルルーを攫ったんじゃないの?」
「私を誘拐したのは、護衛のお姉さんたちだよ」
ジョエルの表情が、がらっと変わる。すごいキレイだが、刃物のような物騒な空気をまとっている。
「へぇえぇー。そぅおなの。ハリセンボン飲ましてこなくちゃいけないみたい。キーリー、ルルーを連れてついてきなさい」
「イェッス、サー!」
「ひゃっ!」
キーリーに担がれて運ばれ始めた。もうちょっとで猫ちゃんを潰してしまうところだったが、潰す前に服から出てきて、頭の上に乗った。
私がお荷物なのもあるけれど、キーリーがジョエルの本気についていけるはずもなく、かなり置いて行かれた。しかし、目的地は知っているようで、遅れたが現場に着いた。
ジョエルの怒号と誰かの悲鳴が聞こえる半壊の建物の前に立つ。
「ここ何?」
「冒険者ギルドだった場所」
「ジョエル、犯罪者になっちゃわない?」
「あんなの、誰が捕まえるんだよ。あれこそ災害級モンスターだろ。レイド編成を組んで出かけたら、ウインク一回で落とされるんだぜ、きっと」
「法治国家の維持って難しいね」
「ああ、そこが頭の痛いところでな。理想を叶えるには、、、、、」
どうでもいい話で暇つぶしをしていたら、キラキラ笑顔でジョエルが出てきた。
冒険者ギルドは、全壊している。石造りの建物は、瓦礫の山で死屍累々といった風情だ。倒れている人全員が、今回の件に関わっているとは思えないのだけど、いいのかな。敷地ギリギリに建っている隣のビルは、まったく被害がなく、どうやって壊したのか、わからない。ジョエルには、土木系の仕事も向いているようだった。
「ルルー、ホテルに戻ろう。話がある」
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