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第八章 偽りの神人

反撃開始(3)

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 わたしこと、双葉奏は夏目お兄さんたちを見送ったあと、悪神は裏拍手で分裂し二体となる。それぞれ、四本の腕に一冊の本を片手に持って額の青、赤、橙、緑と入り交じる目が睨む。

 海堂さん、神前さん、東雲お兄さんチームとわたし、遥、東雲さん、秋山さんチームに分かれ対応することに。立花さんは、支援に回り。



 まず海堂さんが先陣を切り、八岐大蛇と融合し全身に鱗を纏い神器を振るう。クロスに斬り込みを入れ、つかさず神前さんの神器が縦に深々とぶった斬り、下から火柱を発生させ全身を焼き払う東雲お兄さんチーム。

 だけど、灰になろうとも復活を遂げて本が開き唱える悪神。吹雪が視界を悪くさせ、空から落雷が三人を襲う。



「フェニックス! みんなを護るんだ!」

「レヴィアタン、落雷にぶつけるわよ!」



 フェニックスの業火がみんなを護り、レヴィアタンが水で形成した槍を幾重にも創り出し放つ。落雷と水の槍が衝突し、力同士が互い威力諸共に霧散。



 その頃のわたしと遥、東雲さん、秋山さんも分裂した悪神と戦っていた。二匹の黒い龍を操作して、こちらも本による攻撃を防ぎ応戦。

 隕石が落ちてくるけど、それを龍が喰らい無限に生み出す黒炎の弾丸で遥が撃ち落とす。



「奏ちゃん、行って!」

「はい!」



 わたしが攻め込み、東雲さんが結界を鎧の役割に変化させ懐へ。蹴りや殴打を入れ、悪神の機体を凹ませ一部破壊するけどやはり意味はない。それでも、攻撃の手を緩めない。

 そこへ、背後から秋山さんが魔剣で斬り掛かる。



「はああっ!」



 ダーインスレイヴによる一振りで、腕の一本を斬り落とし背中に深々と斬り込みが入りその傷口に炎が焼く。

 龍たちも、腕や脚に噛みつき動きを封じると遥の黒炎の弾丸を浴びさせる。全身に風穴を空け、内側から機体を焼き損傷させていく。

 普通ならこれで終わりなんだけど、悪神の場合はそう簡単にはいかない。知っていた通り、傷一つない姿で復活。

 ほんと、厄介な神様ね。何度も蘇る悪神に、仲間は誰一人として焦るわけでも、絶望するわけでもない。ただ、わたしたちは時間を稼ぐ。



 今、悪神に塔を完成させられ、救い出した人をまた奪われたら、今度こそ全滅させられる。そうなれば、本当の意味で終わりなの。

 だから、アザゼルとルシファーが先に塔を破壊。たとえ、また塔の建設に着手したとしても、完成にまで時間が掛かる。

 この国を、世界を取り戻すために夏目お兄さんたちがオリジナルを討つまで、分身体をわたしたちがこの場に留め悪神の計画の邪魔をする。



 直矢くんが教えてくれた。

 塔が完成すると、オリジナルがこちら側の世界に降臨し、人間は絶滅し文明は消滅、この世の本当の意味で終末が訪れるって。

 塔の完成のために拉致し、無理やり建設させ、全てが終われば生かす意味はなくなり殺すのだと。それが、オリジナルを降臨させるためだけに日本列島の中央に建設する理由。その話を聞いた時、どこまでも身勝手な神だって思ったわ。



 でもだからこそ、わたしたちは戦い、次へ繋げるために命懸けなの! こんな世界になって、それから出会ったけどわたしも遥も仲間を信じ、日常を取り戻すために!
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