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第二部 第七章 終わりの始まり
第五幕 神器VS神の機械(1)
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両腕と両脚が剣の形へ、背中からはロケットランチャー。やはり、機械仕掛けの子だけはあると思わせる姿。
ここからが、本番というわけか。
俺たちが見守る中、それに対して燐と神前先輩はお互いの顔を見合わせ頷き合う。左右から攻め込む二人は、それぞれ神器を構え斬り掛かる。
「へへへっ!」
笑う三男は、両腕の剣で受け止め二砲のランチャーがそれぞれ二人に向きを変え至近距離から撃ち、間一髪で身を翻し躱す二人は体勢を整える。
燐は、ダーインスレイヴの切っ先を下へ向け駆けた。三男の背後へ素早く回り込み、ランチャーの破壊を試みる。
「はああっ!」
ダーインスレイヴに火を纏わせた一振り、下から振り上げ斬るが見えない壁に阻まれ失敗。
「なっ!?」
驚く燐は、腕が上がり胴へ隙が生まれたその一瞬を見逃さない三男。
「そぉれっ!」
片腕を扇状に振り刀身の切っ先が燐の服を切り、素肌が顕になったところへランチャーの向きが変わり撃つ。
「――――っ!?」
まともに喰らう燐の体は吹き飛ぶ。
「燐!? 夏目、すぐ加勢に!」
地面に転がる燐に、美哉が名を叫び俺に加勢を頼む。けれど、俺は傍観したまま動かない。
「あれは燐と神前先輩の戦いだ。俺が出る幕ではない」
「夏目!? それはいったい……」
三男は吹き飛ぶ燐を横目に神前先輩へ、
「神殺し、巫女を助けにいかないのかい?」
そう訊かれ、神前先輩は首を横に振りながら言う。
「助けが本当に、必要になった時は助けるわ。でも、それは今じゃない。まだ、秋山は戦える。あの程度で殺れたと思わないことね」
その言葉に首を傾げる三男の横っ腹に、ダーインスレイヴの刀身が横殴るがやはり見えない壁に阻まれ斬ることは叶わず。
「いぎっ……!?」
しかし、壁の効果で燐は思い切りバッドで殴る感覚で三男の体をぶっ飛ばす。その際に、口から苦痛の声がもれ地面を抉り数十メートル飛んでいく。
「ふぅー」
と、息を吐き出しダーインスレイヴを構え直す燐。傷は軽度で、まだまだ余裕の表情だ。
俺は戦いを見守りながら美哉へ。
「燐も、ずっと己を鍛えている。あの敗北を痛感したそうだ。巫女の力をより強くそのために肉体を強化し直し、皮膚の表面を炎で覆いある程度の攻撃から身を護れるようにな。だから、心配はいらない。燐はあの頃よりも強い。それに、ダーインスレイヴとの相性も良い。負けることは絶対にない」
仲間を信頼している。だからこそ、笑みを浮かべ余裕のある態度で見守ることができる。
美哉は今一度、燐と神前先輩を見つめた。二人共の表情からは余裕が見て取れるだろう? その顔を見ると、なぜだか勝つと信じられ安心して任せられる。そう思えないか?
神前先輩は、燐に「まだ殺れそう?」と訊くと不敵に笑って返ってくる。
「まだいけます、真冬先輩! わたしがあのランチャーを壊します!」
「分かった、じゃあ任せるわ。本体は私に任せなさい、粉々に解体してやるわ」
そんな会話を交わしつつ、三男が戻ってくるのを待つ。その短い時間に、立花先輩が離れた位置から燐へ癒やしの力を与え傷を治療。
吹き飛んだ三男が戻ってくると、不気味で気持ち悪い笑みを作る。
「ああ、いいね! 君はますます欲しくなった! 絶対に連れて帰ろう! 吾の物にしよう!」
高らかに宣言し向こうから襲う。燐が飛び出し、ダーインスレイヴと三男の剣の腕がぶつかり合う。そこからは斬り合いが始まった。
剣同士から火花が散り、せめぎ合い一歩も引かない燐。
徐々に三男が押されていくのを見て呟く。
「腕の剣が欠け始めたな。あれだと長くは保たない」
「見えるのですか、夏目?」
美哉の問いに「ああ」と頷く。
おそらく、燐も気づいている。だからこそ踏ん張り、纏わせた炎の火力を引き上げたのだろう。
「スーッ……」
息を吸い込み、瞬きをしないため目を開く。刀身に力を込め振るい、燃え上がる炎とダーインスレイヴの刀身は三男の剣を確実に削り、遂には腕の刀身を砕き斬り落とした。
「う、嘘だろ!? 吾の腕を!?」
これに三男は驚き後退しようと宙へ体を浮かせた。が、それを予測していた燐はそれよりも高く跳躍。目では見えない壁に阻まれることは承知の上、ゆえにダーインスレイヴに命じる。
「ダーインスレイヴ、全力で叩き斬れ!」
その言葉に呼応した魔剣は、禍々しいオーラを全体から放ち輝きを増す。燐はそれを力任せに振り下ろした。
「な、なにっ!?」
壁に阻まれ刀身は届かないが、三男を強引に地面へ着地させ膝を折らせる。
「くっ! む、無駄だよ! 吾の壁は破れない!」
などと言う三男を無視して燐は気合の声を張り上げる。
「はあああああああああっ!!」
ガラスにヒビが入るピキピキという音が聞こえる。
「ま、まさか!?」
ヒビは広がっていく光景に驚愕。
ダーインスレイヴのオーラは更に増し、壁を飲み込んで全方位から叩き割りに。ヒビは全体にまで広がり、最後に壁はパリンッと音を立て割れた。
振り下ろした剣をすぐさま持ち上げランチャーへ一閃。二砲のロケットランチャーは背中から完全に切断、直される前に斬り刻む。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ……」
壁をダーインスレイヴで叩き割り、ランチャーの破壊で燐の呼吸は荒い。
防御の壁、攻撃のロケットランチャーの両方を失った三男は叫ぶ。
「吾の武器がぁぁあああああああああっ!?」
後輩の宣言通りの成果に先輩は笑う。
「よくやったわ、秋山! あとは先輩の私に任せなさい!」
デュランダルを担ぎ三男を睨めつける。
ここからが、本番というわけか。
俺たちが見守る中、それに対して燐と神前先輩はお互いの顔を見合わせ頷き合う。左右から攻め込む二人は、それぞれ神器を構え斬り掛かる。
「へへへっ!」
笑う三男は、両腕の剣で受け止め二砲のランチャーがそれぞれ二人に向きを変え至近距離から撃ち、間一髪で身を翻し躱す二人は体勢を整える。
燐は、ダーインスレイヴの切っ先を下へ向け駆けた。三男の背後へ素早く回り込み、ランチャーの破壊を試みる。
「はああっ!」
ダーインスレイヴに火を纏わせた一振り、下から振り上げ斬るが見えない壁に阻まれ失敗。
「なっ!?」
驚く燐は、腕が上がり胴へ隙が生まれたその一瞬を見逃さない三男。
「そぉれっ!」
片腕を扇状に振り刀身の切っ先が燐の服を切り、素肌が顕になったところへランチャーの向きが変わり撃つ。
「――――っ!?」
まともに喰らう燐の体は吹き飛ぶ。
「燐!? 夏目、すぐ加勢に!」
地面に転がる燐に、美哉が名を叫び俺に加勢を頼む。けれど、俺は傍観したまま動かない。
「あれは燐と神前先輩の戦いだ。俺が出る幕ではない」
「夏目!? それはいったい……」
三男は吹き飛ぶ燐を横目に神前先輩へ、
「神殺し、巫女を助けにいかないのかい?」
そう訊かれ、神前先輩は首を横に振りながら言う。
「助けが本当に、必要になった時は助けるわ。でも、それは今じゃない。まだ、秋山は戦える。あの程度で殺れたと思わないことね」
その言葉に首を傾げる三男の横っ腹に、ダーインスレイヴの刀身が横殴るがやはり見えない壁に阻まれ斬ることは叶わず。
「いぎっ……!?」
しかし、壁の効果で燐は思い切りバッドで殴る感覚で三男の体をぶっ飛ばす。その際に、口から苦痛の声がもれ地面を抉り数十メートル飛んでいく。
「ふぅー」
と、息を吐き出しダーインスレイヴを構え直す燐。傷は軽度で、まだまだ余裕の表情だ。
俺は戦いを見守りながら美哉へ。
「燐も、ずっと己を鍛えている。あの敗北を痛感したそうだ。巫女の力をより強くそのために肉体を強化し直し、皮膚の表面を炎で覆いある程度の攻撃から身を護れるようにな。だから、心配はいらない。燐はあの頃よりも強い。それに、ダーインスレイヴとの相性も良い。負けることは絶対にない」
仲間を信頼している。だからこそ、笑みを浮かべ余裕のある態度で見守ることができる。
美哉は今一度、燐と神前先輩を見つめた。二人共の表情からは余裕が見て取れるだろう? その顔を見ると、なぜだか勝つと信じられ安心して任せられる。そう思えないか?
神前先輩は、燐に「まだ殺れそう?」と訊くと不敵に笑って返ってくる。
「まだいけます、真冬先輩! わたしがあのランチャーを壊します!」
「分かった、じゃあ任せるわ。本体は私に任せなさい、粉々に解体してやるわ」
そんな会話を交わしつつ、三男が戻ってくるのを待つ。その短い時間に、立花先輩が離れた位置から燐へ癒やしの力を与え傷を治療。
吹き飛んだ三男が戻ってくると、不気味で気持ち悪い笑みを作る。
「ああ、いいね! 君はますます欲しくなった! 絶対に連れて帰ろう! 吾の物にしよう!」
高らかに宣言し向こうから襲う。燐が飛び出し、ダーインスレイヴと三男の剣の腕がぶつかり合う。そこからは斬り合いが始まった。
剣同士から火花が散り、せめぎ合い一歩も引かない燐。
徐々に三男が押されていくのを見て呟く。
「腕の剣が欠け始めたな。あれだと長くは保たない」
「見えるのですか、夏目?」
美哉の問いに「ああ」と頷く。
おそらく、燐も気づいている。だからこそ踏ん張り、纏わせた炎の火力を引き上げたのだろう。
「スーッ……」
息を吸い込み、瞬きをしないため目を開く。刀身に力を込め振るい、燃え上がる炎とダーインスレイヴの刀身は三男の剣を確実に削り、遂には腕の刀身を砕き斬り落とした。
「う、嘘だろ!? 吾の腕を!?」
これに三男は驚き後退しようと宙へ体を浮かせた。が、それを予測していた燐はそれよりも高く跳躍。目では見えない壁に阻まれることは承知の上、ゆえにダーインスレイヴに命じる。
「ダーインスレイヴ、全力で叩き斬れ!」
その言葉に呼応した魔剣は、禍々しいオーラを全体から放ち輝きを増す。燐はそれを力任せに振り下ろした。
「な、なにっ!?」
壁に阻まれ刀身は届かないが、三男を強引に地面へ着地させ膝を折らせる。
「くっ! む、無駄だよ! 吾の壁は破れない!」
などと言う三男を無視して燐は気合の声を張り上げる。
「はあああああああああっ!!」
ガラスにヒビが入るピキピキという音が聞こえる。
「ま、まさか!?」
ヒビは広がっていく光景に驚愕。
ダーインスレイヴのオーラは更に増し、壁を飲み込んで全方位から叩き割りに。ヒビは全体にまで広がり、最後に壁はパリンッと音を立て割れた。
振り下ろした剣をすぐさま持ち上げランチャーへ一閃。二砲のロケットランチャーは背中から完全に切断、直される前に斬り刻む。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ……」
壁をダーインスレイヴで叩き割り、ランチャーの破壊で燐の呼吸は荒い。
防御の壁、攻撃のロケットランチャーの両方を失った三男は叫ぶ。
「吾の武器がぁぁあああああああああっ!?」
後輩の宣言通りの成果に先輩は笑う。
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