181 / 206
第二部 第七章 終わりの始まり
悪神の子たる三男(4)
しおりを挟む
虫の死骸で生み出されたソンビを駆除しているのはアザゼルと四音。
「やれやれ、ブンブンとうるさい虫だな」
アザゼルは、軽く光の槍で振り払い消滅させていく。
「はいはい、文句言わずに手を動かして。アザゼル」
魔力の球を放ち消し飛ばす四音。
二人からしてみれば肩慣らしにすらならないか。まあ、数は無尽蔵に増えていくがそれも問題ないだろ。
その元である、蜘蛛が糸を張り巣を作りそのお尻から虫が湧いて出てくるこれを断てばいい。蜘蛛の大きさは、およそ一メートルくらいか。
「お前さんか。よっと」
アザゼルが先に巣の四方を斬り、落下していく蜘蛛を四音の魔力が飲み込み消滅。
「はい、終わり」
雑魚処理が終わった二人も傍観するようだ。さて、植物と戦うのは紅と東雲先輩だ。
こちらもこれといって苦戦はしていない。ただ、粘液を垂れ流す触手に触れたくないようで距離を保ちつつ攻撃を入れていく。
「大蛇、植物本体を喰らえ」
紅は八岐大蛇に命じ、暴れまわる触手ではなく植物本体を狙う。
「フェニックス、触手を全て燃やして構わない」
東雲先輩は、フェニックスに触手を全て燃やすよう命じ業火を浴びさせる。炎を受け燃えながらそれでいて、ウネウネと毛虫みたいな動きで気持ち悪い触手だな。
フェニックスの火は、消えることなく灰へと変わるまで燃え続けた。本体も、八岐大蛇が喰らいあとを残さない。
これで、残るは三男だけ。こちらは燐と神前先輩が相手をしている。
雑魚のよう簡単には倒せないだろうな。なにせ、悪神の子だからなと思いきや、二人の刀身が三男の腕を斬り落とし燐の赤い炎と、レヴィアタンの水で機体が吹き飛び地面を転がる。
全身燃え上がり、水を浴び機械の体から火花が散り感電。
「「………………」」
これには、燐と神前先輩も顔を見合わせなんとも言えない表情。悪神の子、と言うからそれなりに強いと思っていたが、これでは期待外れもいいところ、そんな風に言いたげな二人。
俺もそれは思った。弱すぎないか? こいつ、本当に悪神の子か? と疑いたくなる。
三男は笑いながら「やりますね」と。
「まさか、この吾をここまで追い込むとは。さすが巫女と神殺し」
その言葉に燐は手を顔の前で振りながら、
「いや、お前が弱いだけだと思うが……」
神前先輩はため息を吐き出す。
「あんた、本当にあの悪神の子なわけ? 脆いは、弱いはで話にならないわ」
つまらなそうに言い放つ。
それに対して三男は、いつまでもヘラヘラと笑うだけ。
……気に入らない笑みだ。腕を失くしても、ヘラヘラと不愉快な奴だな。
「へへっ。そりゃあ、子の中で一番弱いから吾は。でもさ、これが本気だと思われるのは心外だなあ」
首をポキポキ鳴らし立ち上がると、斬り落とした腕が三男の元に飛んでくる。断面がくっつき、自動修理が始まり数秒で直った。
この光景に誰もが思い出す。
悪神と同じ再生力を、頭に浮かべ目つきが鋭くなる。
特に、俺の目は憎悪と恨み、辛み、殺意が込もる。忌々しく憎たらしい再生能力! やはり、それも受け継いでいたか!
肩を回し確かめると三男は、二人に向かって告げた。
「強いな。あっ、そうだ! 兄上たちにお願いして持って帰ろう! それで、吾の子を孕ませる母体にしてやる。巫女と神殺しの機械人形が産まれるぞ!」
……あ? このクソ機械は何を言い出す? 機械の分際で、生殖機能でもあるのか? だとしたら、不愉快を通り越して怒りが込み上げてくる発言だな。俺なら即刻、ぶち殺す。
三男のクソッたれな言葉に、俺と同じ不愉快もあれば不快感を顕にした二人がキレた。
「ふざけるなっ! 誰がお前の子など産むものか! お前に触れられることさえ虫酸が走る! ここでダーインスレイヴの贄にしてやるっ!」
燐が構える魔剣ダーインスレイヴに火を纏わせ吠える。
神前先輩も、目尻を吊り上げこめかみに青筋を立て言い放つ。
「気持ち悪いわ。私を抱けるとか思われてることも気に入らない! 挙げ句、子を産め? 舐めてんじゃないわ! 私の全てはヒナのもので、貴様に与えるものはないのよ! その腐った口諸共、体をバラバラに解体してやるわ!」
おー、おー。初めて見るな、二人のキレっぷり。これに誰も手を出さないでおこう、と見守る。ただ一人、立花先輩だけは神前先輩にエールを送る。
「真冬ちゃん、頑張って。負けちゃ、ダメだよ? 真冬ちゃんは、ヒナの真冬ちゃん、だから。絶対に、勝ってね」
こちらこちらで、相変わらずのようで何より。
二人の怒りを受けてより一層に燃えてきたのか、三男は甲高い声で笑いながら人形から形態が変化する。
「ふふっ、ははははははははっ! いいね、いいね!!」
両腕と両脚が剣の形へ、背中からはロケットランチャーを展開。
これは、また歪な姿だな。第二形態とでも言うのか。
第二戦が切って落とされた。
「やれやれ、ブンブンとうるさい虫だな」
アザゼルは、軽く光の槍で振り払い消滅させていく。
「はいはい、文句言わずに手を動かして。アザゼル」
魔力の球を放ち消し飛ばす四音。
二人からしてみれば肩慣らしにすらならないか。まあ、数は無尽蔵に増えていくがそれも問題ないだろ。
その元である、蜘蛛が糸を張り巣を作りそのお尻から虫が湧いて出てくるこれを断てばいい。蜘蛛の大きさは、およそ一メートルくらいか。
「お前さんか。よっと」
アザゼルが先に巣の四方を斬り、落下していく蜘蛛を四音の魔力が飲み込み消滅。
「はい、終わり」
雑魚処理が終わった二人も傍観するようだ。さて、植物と戦うのは紅と東雲先輩だ。
こちらもこれといって苦戦はしていない。ただ、粘液を垂れ流す触手に触れたくないようで距離を保ちつつ攻撃を入れていく。
「大蛇、植物本体を喰らえ」
紅は八岐大蛇に命じ、暴れまわる触手ではなく植物本体を狙う。
「フェニックス、触手を全て燃やして構わない」
東雲先輩は、フェニックスに触手を全て燃やすよう命じ業火を浴びさせる。炎を受け燃えながらそれでいて、ウネウネと毛虫みたいな動きで気持ち悪い触手だな。
フェニックスの火は、消えることなく灰へと変わるまで燃え続けた。本体も、八岐大蛇が喰らいあとを残さない。
これで、残るは三男だけ。こちらは燐と神前先輩が相手をしている。
雑魚のよう簡単には倒せないだろうな。なにせ、悪神の子だからなと思いきや、二人の刀身が三男の腕を斬り落とし燐の赤い炎と、レヴィアタンの水で機体が吹き飛び地面を転がる。
全身燃え上がり、水を浴び機械の体から火花が散り感電。
「「………………」」
これには、燐と神前先輩も顔を見合わせなんとも言えない表情。悪神の子、と言うからそれなりに強いと思っていたが、これでは期待外れもいいところ、そんな風に言いたげな二人。
俺もそれは思った。弱すぎないか? こいつ、本当に悪神の子か? と疑いたくなる。
三男は笑いながら「やりますね」と。
「まさか、この吾をここまで追い込むとは。さすが巫女と神殺し」
その言葉に燐は手を顔の前で振りながら、
「いや、お前が弱いだけだと思うが……」
神前先輩はため息を吐き出す。
「あんた、本当にあの悪神の子なわけ? 脆いは、弱いはで話にならないわ」
つまらなそうに言い放つ。
それに対して三男は、いつまでもヘラヘラと笑うだけ。
……気に入らない笑みだ。腕を失くしても、ヘラヘラと不愉快な奴だな。
「へへっ。そりゃあ、子の中で一番弱いから吾は。でもさ、これが本気だと思われるのは心外だなあ」
首をポキポキ鳴らし立ち上がると、斬り落とした腕が三男の元に飛んでくる。断面がくっつき、自動修理が始まり数秒で直った。
この光景に誰もが思い出す。
悪神と同じ再生力を、頭に浮かべ目つきが鋭くなる。
特に、俺の目は憎悪と恨み、辛み、殺意が込もる。忌々しく憎たらしい再生能力! やはり、それも受け継いでいたか!
肩を回し確かめると三男は、二人に向かって告げた。
「強いな。あっ、そうだ! 兄上たちにお願いして持って帰ろう! それで、吾の子を孕ませる母体にしてやる。巫女と神殺しの機械人形が産まれるぞ!」
……あ? このクソ機械は何を言い出す? 機械の分際で、生殖機能でもあるのか? だとしたら、不愉快を通り越して怒りが込み上げてくる発言だな。俺なら即刻、ぶち殺す。
三男のクソッたれな言葉に、俺と同じ不愉快もあれば不快感を顕にした二人がキレた。
「ふざけるなっ! 誰がお前の子など産むものか! お前に触れられることさえ虫酸が走る! ここでダーインスレイヴの贄にしてやるっ!」
燐が構える魔剣ダーインスレイヴに火を纏わせ吠える。
神前先輩も、目尻を吊り上げこめかみに青筋を立て言い放つ。
「気持ち悪いわ。私を抱けるとか思われてることも気に入らない! 挙げ句、子を産め? 舐めてんじゃないわ! 私の全てはヒナのもので、貴様に与えるものはないのよ! その腐った口諸共、体をバラバラに解体してやるわ!」
おー、おー。初めて見るな、二人のキレっぷり。これに誰も手を出さないでおこう、と見守る。ただ一人、立花先輩だけは神前先輩にエールを送る。
「真冬ちゃん、頑張って。負けちゃ、ダメだよ? 真冬ちゃんは、ヒナの真冬ちゃん、だから。絶対に、勝ってね」
こちらこちらで、相変わらずのようで何より。
二人の怒りを受けてより一層に燃えてきたのか、三男は甲高い声で笑いながら人形から形態が変化する。
「ふふっ、ははははははははっ! いいね、いいね!!」
両腕と両脚が剣の形へ、背中からはロケットランチャーを展開。
これは、また歪な姿だな。第二形態とでも言うのか。
第二戦が切って落とされた。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
ちょっとエッチな執事の体調管理
mm
ファンタジー
私は小川優。大学生になり上京して来て1ヶ月。今はバイトをしながら一人暮らしをしている。
住んでいるのはそこらへんのマンション。
変わりばえない生活に飽き飽きしている今日この頃である。
「はぁ…疲れた」
連勤のバイトを終え、独り言を呟きながらいつものようにマンションへ向かった。
(エレベーターのあるマンションに引っ越したい)
そう思いながらやっとの思いで階段を上りきり、自分の部屋の方へ目を向けると、そこには見知らぬ男がいた。
「優様、おかえりなさいませ。本日付けで雇われた、優様の執事でございます。」
「はい?どちら様で…?」
「私、優様の執事の佐川と申します。この度はお嬢様体験プランご当選おめでとうございます」
(あぁ…!)
今の今まで忘れていたが、2ヶ月ほど前に「お嬢様体験プラン」というのに応募していた。それは無料で自分だけの執事がつき、身の回りの世話をしてくれるという画期的なプランだった。執事を雇用する会社はまだ新米の執事に実際にお嬢様をつけ、3ヶ月無料でご奉仕しながら執事業を学ばせるのが目的のようだった。
「え、私当たったの?この私が?」
「さようでございます。本日から3ヶ月間よろしくお願い致します。」
尿・便表現あり
アダルトな表現あり
チョロイン2人がオイルマッサージ店でNTR快楽堕ちするまで【完結】
白金犬
ファンタジー
幼馴染同士パーティーを組んで冒険者として生計を立てている2人、シルフィとアステリアは王都でのクエストに一区切りをつけたところだった。
故郷の村へ馬車が出るまで王都に滞在する彼女らは、今流行りのオイルマッサージ店の無料チケットを偶然手に入れる。
好奇心旺盛なシルフィは物珍しさから、故郷に恋人が待っているアステリアは彼のためにも綺麗になりたいという乙女心からそのマッサージ店へ向かうことに。
しかしそこで待っていたのは、真面目な冒険者2人を快楽を貪る雌へと変貌させる、甘くてドロドロとした淫猥な施術だった。
シルフィとアステリアは故郷に戻ることも忘れてーー
★登場人物紹介★
・シルフィ
ファイターとして前衛を支える元気っ子。
元気活発で天真爛漫なその性格で相棒のアステリアを引っ張っていく。
特定の相手がいたことはないが、人知れず恋に恋い焦がれている。
・アステリア(アスティ)
ヒーラーとして前衛で戦うシルフィを支える少女。
真面目で誠実。優しい性格で、誰に対しても物腰が柔らかい。
シルフィと他にもう1人いる幼馴染が恋人で、故郷の村で待っている。
・イケメン施術師
大人気オイルマッサージ店の受付兼施術師。
腕の良さとその甘いマスクから女性客のリピート必至である。
アステリアの最初の施術を担当。
・肥満施術師
大人気オイルマッサージ店の知らざれる裏の施術師。
見た目が醜悪で女性には生理的に受け付けられないような容姿のためか表に出てくることはないが、彼の施術を受けたことがある女性客のリピート指名率は90%を超えるという。
シルフィの最初の施術を担当。
・アルバード
シルフィ、アステリアの幼馴染。
アステリアの恋人で、故郷の村で彼女らを待っている。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる