偽りの神人 ～神造七代の反逆と創世～

第六章 機械仕掛けの神

第一部 終章 エピローグ 世界崩壊のカウントダウン００

　――世界が、秩序が、文明が崩れていく。



　シンボルだった各地のタワーや遺産など、観光名所は壊滅的被害。

　人々が住む街は破壊され、火災が起き黒い煙が立ち込め空を黒く塗り潰す。

　あちこちで建物が倒壊し、死と絶望が世界を染め上げた。



「……ううっ、くぅっ……！」



　泣き崩れる夏目は、美哉を抱きかかえる。

　美哉の目を閉ざされ、頬を伝う涙の跡が残り、口の端から赤い一筋が流れ、体は動かない。



「…………っ！！」



　夏目は、顔を上げその目から止めどなく涙を流し殺意、憎悪、恨み、怒りが溢れ出す。



「悪神っ……！！！！」



　その口は大きく開かれ、声は枯れるほど泣き叫び、呪詛のように繰り返し口にする。



「殺してやる！　殺してやる！　殺してやる！　殺してやるっ！」



　ただ一点を睨みつけ。



「許さない！　許さないっ！　絶対に許さないっ！」



　目を開き、目元は赤く、血走った目で言葉にし呪う。



「貴様だけは！　何があっても必ず、俺の手で殺してやるっ！　悪神っ！！！！！！」



　夏目たちが通う校舎は、見る影もないほど破壊の痕。どこを見渡しても、残った建物はないほどに。

　空は、暗雲に包まれ太陽の光は遮られ、冷たい風が吹く。次第に風は強さを増し、突風から雨も降り出し嵐へと変わり荒れ狂う。



　夏目の近くには、フェンリルとヨルムンガンドとヘルがいる。しかし、何もできずただ立ち竦むだけだった。

　兄妹の神獣もそばに控え、主と同じく悪神に対して抑え切れない殺意、憎悪、怒りの目を向ける。



　夏目はずっと泣いていた。美哉を抱きかかえながら。



　彼らは憎む。世界を欲しった者、奪った者、傷つけた者を……。

　悪神という存在を――。



　七月の三連休の最終日のこの日、当たり前でありふれた日常の世界は悪神の手によって滅びるのだった――――。