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第六章 機械仕掛けの神
神山学園壊滅04(4)
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夏目と紅のコンビは前後から悪神へ殴り掛かる。
正面は紅が、背後からは夏目が攻撃に。
「まずは邪魔な腕かな!」
紅は、悪神の全ての腕を八岐大蛇の口で抑え込み、空いた胴体へ拳を減り込ませインパクトを放つ。衝撃が貫通し機体に穴を空けるが、やはりすぐに再生されてしまう。
そこへつかさず、背後から夏目が尻尾による横殴りが襲う。
「おらぁっ! ヨルムンガンド、頭を!」
『任せて!』
硬い蒼く澄んだ鱗に包まれた尻尾は殴ったあとに、頭部へ巻きつき締め上げ悪神の頭はひしゃげ破壊。しかし、頭を失ってもまだ動く機械仕掛けの神へ二人は追加の攻撃をかます。
「その本、破壊させてもらう!」
手に持つ本を紅が奪い取り、その場で表紙ごと千切り破る。
「フェンリル! ヘル!」
「任せよ!」
「はいです!」
『最後は、ボクの番だよ!』
夏目も、厄介な腕へ常にそばへいてくれる相棒と共に蒼炎を使い燃やし尽くし、ヘルによる全身を氷像へ変え、ヨルムンガンドの意思で尻尾を動かし粉々に機体を破壊。
「これでどうだ!?」
と叫ぶ夏目、様子を伺う紅の前で不死身を見せつけるように復活する悪神。
「本当に厄介な神だね……!」
「くそっ! やっぱ、ダメか!」
毒着く紅、舌打ちと共に吐き捨てように言う夏目。
「何度、繰り返そうとも無駄なこと。貴様らでは、我を殺すことは不可能と知れ!」
そう告げる悪神の手には、紅が破り捨てたはずの本も見事に元通りとなり、今度は悪神からの攻撃が始まった。
雷雲を創り雷を落とし、嵐を巻き起こし、炎の塊が二人を襲う。
フェンリルの背に乗り躱す夏目とヘル、八岐大蛇の能力を完全に扱える紅も回避。
「何としても、あの復活の絡繰りを解かねば勝ち目はないぞ。主」
フェンリルの言葉にヘルも同意。
「このままでは埒が明かないです」
「その絡繰りがさっぱり分からないから、どうしようもないんだけどな!」
相棒の言葉に夏目は愚痴る。その気持は誰もが思っていることだ。どれほど破壊しようが、完全復活を何度も見せつける悪神。
秘密を解き明かすにも、ヒントの一つすら見当がつかない。そんな状況で、世界の崩壊を阻止しようというのだから中々にハードルが高いミッションだ。
だからといって、指を咥えて見ているなんてことできるはずもなく、躱し続ける中で悪神がさらなる力を披露する。
八本のうち本を持たない腕が伸び、手を繋げ輪っかを作るとその輪から宇宙を思わせる光景が生み出された。
頭上高く腕を上げ悪神が叫ぶ。
「生きとし生きるもの全て星屑と消え失せるがいい!」
言葉と共に空気も酸素、木々、建物全てが吸い込まれていく。
「ちょっ!?」
「これは、まさか!?」
夏目は驚き、紅は目を開き身を屈める。
吸い込む勢いが強く、引っ張られていかれそうになる面々。この現象にアザゼルが光の槍を地面に突き刺し、それにしがみつきながら言う。
「ちっ! お前ら、何があっても吸い込まれるな! あれは小さいブラックホールだ! 吸い込まれると死ぬぞ!」
何とも分かりやすい説明だろうか。
フェンリルは爪を地面に突き立て踏ん張る。ヨルムンガンドも尻尾を地面に深々と刺し夏目が吸い込まれないよう耐え、夏目とヘルは互いに強く抱きしめ合いフェンリルの毛を掴む。
それぞれ踏ん張り耐えようと力むが、悪神は容赦なく本の一節を読み上げ神山学園全体に重力をかけた。
「――――――――」
全身に重く伸し掛かる重力に、押し潰されそうになるメンバーたち。
『――――っ!?』
地面にひれ伏し、それでも押さえつけられ全員が口から血を吐く。
踏ん張ることもできず、しかし重力のお陰でブラックホールに吸い込まれることはないが、このままは肉体が押し潰され内臓が破裂し死に至るだろう。
神殺しは頑丈でまだ耐えられるだろうが、人の身である美哉たち巫女はそうではない。苦痛に顔を歪め、呼吸ができていない。
(み、美哉っ……!)
それを見た夏目の中で怒りが湧き上がり、歯を食いしばり全身に神通力を纏い立ち上がる。
体内で猛毒を創り、悪神に目掛け手加減なしで吐き出す。ブラックホールに吸い込まれるだけだが、それでも吐き出す量を体に鞭を打ち増幅させ悪神の周囲を、猛毒の煙で包み込み視界を封じることに成功。
重力とブラックホールが同時に消失。
「げほっ、ごほっ! あっ、うぐっ……」
猛毒の影響で夏目は激しく咳込みその場に膝をつく。
学園は、ブラックホールの影響で地面は深く抉られた箇所が多く、木々は根こそぎ持っていかれ、校舎の一部が半壊という有様。
それでも悪神との戦闘は終わらず、煙を消し去り夏目たちを見下ろし続けた。
正面は紅が、背後からは夏目が攻撃に。
「まずは邪魔な腕かな!」
紅は、悪神の全ての腕を八岐大蛇の口で抑え込み、空いた胴体へ拳を減り込ませインパクトを放つ。衝撃が貫通し機体に穴を空けるが、やはりすぐに再生されてしまう。
そこへつかさず、背後から夏目が尻尾による横殴りが襲う。
「おらぁっ! ヨルムンガンド、頭を!」
『任せて!』
硬い蒼く澄んだ鱗に包まれた尻尾は殴ったあとに、頭部へ巻きつき締め上げ悪神の頭はひしゃげ破壊。しかし、頭を失ってもまだ動く機械仕掛けの神へ二人は追加の攻撃をかます。
「その本、破壊させてもらう!」
手に持つ本を紅が奪い取り、その場で表紙ごと千切り破る。
「フェンリル! ヘル!」
「任せよ!」
「はいです!」
『最後は、ボクの番だよ!』
夏目も、厄介な腕へ常にそばへいてくれる相棒と共に蒼炎を使い燃やし尽くし、ヘルによる全身を氷像へ変え、ヨルムンガンドの意思で尻尾を動かし粉々に機体を破壊。
「これでどうだ!?」
と叫ぶ夏目、様子を伺う紅の前で不死身を見せつけるように復活する悪神。
「本当に厄介な神だね……!」
「くそっ! やっぱ、ダメか!」
毒着く紅、舌打ちと共に吐き捨てように言う夏目。
「何度、繰り返そうとも無駄なこと。貴様らでは、我を殺すことは不可能と知れ!」
そう告げる悪神の手には、紅が破り捨てたはずの本も見事に元通りとなり、今度は悪神からの攻撃が始まった。
雷雲を創り雷を落とし、嵐を巻き起こし、炎の塊が二人を襲う。
フェンリルの背に乗り躱す夏目とヘル、八岐大蛇の能力を完全に扱える紅も回避。
「何としても、あの復活の絡繰りを解かねば勝ち目はないぞ。主」
フェンリルの言葉にヘルも同意。
「このままでは埒が明かないです」
「その絡繰りがさっぱり分からないから、どうしようもないんだけどな!」
相棒の言葉に夏目は愚痴る。その気持は誰もが思っていることだ。どれほど破壊しようが、完全復活を何度も見せつける悪神。
秘密を解き明かすにも、ヒントの一つすら見当がつかない。そんな状況で、世界の崩壊を阻止しようというのだから中々にハードルが高いミッションだ。
だからといって、指を咥えて見ているなんてことできるはずもなく、躱し続ける中で悪神がさらなる力を披露する。
八本のうち本を持たない腕が伸び、手を繋げ輪っかを作るとその輪から宇宙を思わせる光景が生み出された。
頭上高く腕を上げ悪神が叫ぶ。
「生きとし生きるもの全て星屑と消え失せるがいい!」
言葉と共に空気も酸素、木々、建物全てが吸い込まれていく。
「ちょっ!?」
「これは、まさか!?」
夏目は驚き、紅は目を開き身を屈める。
吸い込む勢いが強く、引っ張られていかれそうになる面々。この現象にアザゼルが光の槍を地面に突き刺し、それにしがみつきながら言う。
「ちっ! お前ら、何があっても吸い込まれるな! あれは小さいブラックホールだ! 吸い込まれると死ぬぞ!」
何とも分かりやすい説明だろうか。
フェンリルは爪を地面に突き立て踏ん張る。ヨルムンガンドも尻尾を地面に深々と刺し夏目が吸い込まれないよう耐え、夏目とヘルは互いに強く抱きしめ合いフェンリルの毛を掴む。
それぞれ踏ん張り耐えようと力むが、悪神は容赦なく本の一節を読み上げ神山学園全体に重力をかけた。
「――――――――」
全身に重く伸し掛かる重力に、押し潰されそうになるメンバーたち。
『――――っ!?』
地面にひれ伏し、それでも押さえつけられ全員が口から血を吐く。
踏ん張ることもできず、しかし重力のお陰でブラックホールに吸い込まれることはないが、このままは肉体が押し潰され内臓が破裂し死に至るだろう。
神殺しは頑丈でまだ耐えられるだろうが、人の身である美哉たち巫女はそうではない。苦痛に顔を歪め、呼吸ができていない。
(み、美哉っ……!)
それを見た夏目の中で怒りが湧き上がり、歯を食いしばり全身に神通力を纏い立ち上がる。
体内で猛毒を創り、悪神に目掛け手加減なしで吐き出す。ブラックホールに吸い込まれるだけだが、それでも吐き出す量を体に鞭を打ち増幅させ悪神の周囲を、猛毒の煙で包み込み視界を封じることに成功。
重力とブラックホールが同時に消失。
「げほっ、ごほっ! あっ、うぐっ……」
猛毒の影響で夏目は激しく咳込みその場に膝をつく。
学園は、ブラックホールの影響で地面は深く抉られた箇所が多く、木々は根こそぎ持っていかれ、校舎の一部が半壊という有様。
それでも悪神との戦闘は終わらず、煙を消し去り夏目たちを見下ろし続けた。
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