上 下
80 / 206
第四章 神山学園のレヴィアタン

プロローグ

しおりを挟む
 ヨルムンガンドも一緒に住み出して早一週間。



 新たな主と居場所を得たヨルムンガンドは、毎日が今までとは違い楽しい様子。

 家の中では、好きな時にお昼寝をし夏目に引っつき学園では姿を透明化させ共に授業を受ける。放課後、部室では燐や桜が遊び相手になってくれるため退屈しない。



 休日は、夏目と美哉とスーパーへ買い物に同行。甘い食べ物、飲み物を好むため強請れば何かと買ってくれる。

 食事も、美哉の手料理で腹を満たし今までの生活ではあり得なかった日々に満足していた。



 何より、夏目と美哉の攻防戦がとても面白いのだとヨルムンガンド曰く。

 今日も夏目の自室のベッドの上でワイシャツ一枚の姿で美哉が迫る。それを必死に止めながらも、押し倒され跨がれていた。



「ちょっ!? み、美哉!」

「ふふっ」



 その光景をヨルムンガンドは、大きなクッションに寝転ぶフェンリルに囲まれながら見ていた。

 美哉は、夏目の手に自ら手を重ね指を絡め妖艶な笑みを作り放さない。



 夏目はというと、押し倒され腹部に乗る美哉の体重と肌の感触に顔を赤らめていた。相変わらず奥手である。



(美哉の温もりが伝わってくるっ……)



 絡めた指と繋ぐ手、そしてもう片手は夏目の服の裾を捲くり上げ撫でる。その感触、ワイチャツから見える谷間、裾から覗く白く引き締まった脚、跨っているために見せつけるよう黒い下着が夏目の性欲を刺激し理性を溶かしにくる。



 誘惑に力を入れ、本格的に一線を越えようとする美哉の強引で大胆な行動力。



(わ、わざと見せつけてるだろ美哉の奴!)



「そろそろ、私たちの関係を進めるべきだとは思いませんか? 夏目」

「……っ! お、思わないわけでもないが、これはちょっと強引じゃないか!?」

「こうでもしないと、進まないからじゃないですか。私だって、恥ずかしくないわけじゃないんですよ?」



(~~~~っ! そ、そういうことを今、言わないでほしい!)



 美哉は、唇を舐め服の下に滑り込ませた手を上へ撫でるように移動させある箇所に触れた。



「――っ!? ま、待て! どこ触ってるんだよ!」

「うふふ。男性でも気持ちよくなる性感帯です」



 制しを聞かない美哉は、胸板を優しく撫でたあと指の腹で擦る。その瞬間、夏目は全身に電流が流れる感覚に襲われた。言いようのない刺激に驚きと喘ぎ声が口からもれてしまう。



「……っ!? ああっ、いぎっ……!」



 美哉は、そんな反応を見せる夏目へ更に刺激を送り続けた。親指と人差し指で摘み、硬くなったそれにデコピンをするように中指で弾く。



「ちょっ!? ま、待て――いっ、んんっ! あっ、う、くっ……!」

「気持ちいいでしょう?」



 その送り続けられる刺激に、繋ぎ指を絡めた手に力が入り目を開く夏目。徐々に体が熱く、感じる度に体は己の意思とは関係なくビクつき、腰が震え動き上に跨る美哉にも振動が伝わる。



「み、美哉……も、もうやめっ……!」



 涙目で訴えるが、これが逆効果となる。幼なじみの彼女に、耳まで赤くし潤んだ目、半開きになった口に、刺激に耐え歯を食いしばる姿は、余計に興奮度を高めるためのスパイスになることを忘れてはいないか。



「うふふっ、嫌です。もっと、感じているところを見せてください。夏目」

「なっ!?」



 自身の欲を満たしたくて仕方がない美哉は笑顔で拒否。より一層、動かす指に強弱をつけ刺激を送り夏目の興奮度を無理やり高めていく。



「まっ――うぅんっ、くっ……!」



 夏目の体が大きく跳ね、腰がビクビクと動く。



「うんっ……な、夏目の硬いのが、んぁっ、はあっ、当たって……」



 夏目の腰の動きに合わせて、下着越しに硬くなった股間の感触が押しつけられ震える度に刺激が美哉にも伝わっていく。



「あっ、んんっ、はあっ、はあっ……う、んっ!」



 美哉自身も息を荒くさせ、腰を揺らしてお互いの熱を感じ興奮が高まっていく。我慢できず、前のめりになり夏目とのキスを求める。



「な、夏目……」

「はぁっ、はぁっ……」



 美哉の顔が近づき、半開きの夏目の唇に重ねる。



「はむっ……」

「んっ、くっ……」



 開いた隙間に流れる動作で舌をねじ込み、ぬるりとした感触と温もりが夏目の口の中に広がった。



「う、んっ、ふっ、ちゅっ……」



 舌に驚きつつも拒否をすることはない夏目。耳元で、淫靡な水音が響く。美哉の舌に自らも絡め合わせ、性欲が抑え切れなくなる。



「ちゅっ、んく、はあっ、んふっ」



 夏目の舌の動きに合わせて、美哉の舌の動きも変化する。それと同時に、体の熱が理性を溶かし性欲を突き動かす。



 服の下に入れていた手を今度は、ズボンに手をかけ下着だけを残し下ろす。下着越し苦しそうに膨張し震えているそれに、股間を押しつけて擦りつけ上下に体を揺らす。



「~~っ! んんっ、ぷっ、はあっ! み、美哉!?」

「んっ、あっ、はあ……。夏目、もっと……!」



 一度、離した唇をまた重ね長いキスを交わす。お互い、布越しとはいえ股間を押しつけ合い擦りつけ抑え切れない性欲が爆発した。



 夏目は、腰が大きく跳ねる。



「いぎっ! うぐっ……!」



 美哉もキスを交わしながらくぐもった声にならない声を上げる。



「~~~~っ!」



 二人共、全身が震え力が抜け、美哉は夏目の上に倒れ込む格好へ。その際に、唇も離れ荒い呼吸を繰り返す。



 動けない二人。その光景を全て見ていたフェンリルとヨルムンガンド。



「夏目は、押しに弱いんだね。それに比べて、美哉は大胆だよ!」



 などと、面白かったのだろう楽しげに小声で感想を述べる弟。

 それに対して兄のフェンリルは、何もしていないはずなのに疲れ切った声でこぼす。



「見せられる我輩の身にもなってほしいものだ……」



 そう神獣兄弟が部屋にいようがいまいが、美哉の誘惑は関係なく夏目を襲う。むしろ、二匹がいることを、忘れている感じさえもあったりするが。



 そして、言わずもがな翌朝に洗濯が大変だったことには誰もツッコミを入れなかった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

ちょっとエッチな執事の体調管理

mm
ファンタジー
私は小川優。大学生になり上京して来て1ヶ月。今はバイトをしながら一人暮らしをしている。 住んでいるのはそこらへんのマンション。 変わりばえない生活に飽き飽きしている今日この頃である。 「はぁ…疲れた」 連勤のバイトを終え、独り言を呟きながらいつものようにマンションへ向かった。 (エレベーターのあるマンションに引っ越したい) そう思いながらやっとの思いで階段を上りきり、自分の部屋の方へ目を向けると、そこには見知らぬ男がいた。 「優様、おかえりなさいませ。本日付けで雇われた、優様の執事でございます。」 「はい?どちら様で…?」 「私、優様の執事の佐川と申します。この度はお嬢様体験プランご当選おめでとうございます」 (あぁ…!) 今の今まで忘れていたが、2ヶ月ほど前に「お嬢様体験プラン」というのに応募していた。それは無料で自分だけの執事がつき、身の回りの世話をしてくれるという画期的なプランだった。執事を雇用する会社はまだ新米の執事に実際にお嬢様をつけ、3ヶ月無料でご奉仕しながら執事業を学ばせるのが目的のようだった。 「え、私当たったの?この私が?」 「さようでございます。本日から3ヶ月間よろしくお願い致します。」 尿・便表現あり アダルトな表現あり

チョロイン2人がオイルマッサージ店でNTR快楽堕ちするまで【完結】

白金犬
ファンタジー
幼馴染同士パーティーを組んで冒険者として生計を立てている2人、シルフィとアステリアは王都でのクエストに一区切りをつけたところだった。 故郷の村へ馬車が出るまで王都に滞在する彼女らは、今流行りのオイルマッサージ店の無料チケットを偶然手に入れる。 好奇心旺盛なシルフィは物珍しさから、故郷に恋人が待っているアステリアは彼のためにも綺麗になりたいという乙女心からそのマッサージ店へ向かうことに。 しかしそこで待っていたのは、真面目な冒険者2人を快楽を貪る雌へと変貌させる、甘くてドロドロとした淫猥な施術だった。 シルフィとアステリアは故郷に戻ることも忘れてーー ★登場人物紹介★ ・シルフィ ファイターとして前衛を支える元気っ子。 元気活発で天真爛漫なその性格で相棒のアステリアを引っ張っていく。 特定の相手がいたことはないが、人知れず恋に恋い焦がれている。 ・アステリア(アスティ) ヒーラーとして前衛で戦うシルフィを支える少女。 真面目で誠実。優しい性格で、誰に対しても物腰が柔らかい。 シルフィと他にもう1人いる幼馴染が恋人で、故郷の村で待っている。 ・イケメン施術師 大人気オイルマッサージ店の受付兼施術師。 腕の良さとその甘いマスクから女性客のリピート必至である。 アステリアの最初の施術を担当。 ・肥満施術師 大人気オイルマッサージ店の知らざれる裏の施術師。 見た目が醜悪で女性には生理的に受け付けられないような容姿のためか表に出てくることはないが、彼の施術を受けたことがある女性客のリピート指名率は90%を超えるという。 シルフィの最初の施術を担当。 ・アルバード シルフィ、アステリアの幼馴染。 アステリアの恋人で、故郷の村で彼女らを待っている。

♡ちょっとエッチなアンソロジー〜おっぱい編〜♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート詰め合わせ♡

処理中です...