あくまで復讐の代行者

ゆーにゃん

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第二章

二人目 色欲の悪魔は欲を満たして最後は喰らう その二

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 家に帰り、状況を整理する。
 たった一人、失踪しただけで刑事が動いた。それも、姉さんの弟である僕に失踪した件に関係があると疑いの目を向けて。

 刑事の感というやつか。間違ってはいないが、僕を逮捕することは不可能なはず。証拠がなければ意味がない。
 だが、油断は禁物。どこで何を掴まれるかは分からない。

 後日、二人目の復讐相手が決まった。
 二人目は、橋本刑事の息子である橋本亮太。
 これも、グレモリーが調べて分かったこと。

 大学には進学せず、親戚の会社で新入社員として働いているらしい。恋人はおらず、家族関係も良好、会社でも要領が良く覚えも早く期待の新人且つ、人当たりが良い上に爽やか青年として会社の先輩女性たちから人気があると。

「と、表向きではこのように」
「じゃあ、裏ではやりたい放題だと?」
「はい。主の仰る通りです。裏の顔とでも言いましょうか、出会系アプリなどで知り合った女性に対して強姦、性的拷問などを繰り返し、その行為の写真や動画を撮り脅迫しているようです」

 脅迫。誰かに話せば、その時の写真や動画をネットにアップしてやる、とかそんなところか。姉さんにだけではなく、他の女性にもやっているとはな。

 さて、今回は誰に復讐の代行を頼もうか。

「面白そうね~。今回は、お姉さんに行かせてくれるかしら?」

 名乗りを上げたのは、共にお茶をしているアスモデウス。
 目を細め、舌舐めずりし楽しそうに微笑む。おっとりした口調で話すが、目は獲物を見つけ喰らいたいと物語っていた。

「アスモデウス。貴方、これは遊びではないのですよ? 主の願いのための復讐だと理解していますか?」
「あら~。それくらい、分かっているわ~。夏目ちゃんと契約した時からね。それに、こういう男を相手にするなら、お姉さんの方が適任だと思うけど? グレモリーちゃんが、相手の男と性行為でも何でもできるって言うなら話は別だけど」
「そ、それは……」

 アスモデウスの問いかけに言葉を詰まらせるグレモリー。
 グレモリーは、人間の欲を叶えることはあっても性行為は一切しないと、バアルとアスモデウスから聞いたことがある。
 詳しい理由は知らないが、グレモリー曰くそれをする価値がないとか何とか。

「それで~、どうするのかしら?」
「主はどういたしますか?」

 二人の視線が僕に向く。
 アスモデウスの言う通り、性欲の塊のクズをグレモリーに任せるより色欲で男を食らいまくるアスモデウスに任せるのがいいだろう。

「アスモデウスに任せる。お前のやりたいようにすればいい。ただし、復讐のことは忘れるな」
「ええ。それはもちろん。うふふ、楽しみね。どんなプレイでお姉さんを楽しませてくれるのかしらこの坊やは~」

 ……坊や、ね。アスモデウスやグレモリーからすれば今を生きる人間誰しもそうなるのだろうな。生きる年代が違いすぎる。

 それにしても、想像するだけで身体が疼くのか恍惚とした表情で自分の胸を揉むわ、股間にもう片方の手をすり込ませるわ……。

「大丈夫でしょうか……」
「さあ……? まあ、任せると言った以上は何とも言えないな」

 心配するグレモリーと、復讐するより前にアスモデウスの欲望に飲まれ復讐どころではなくなるのでは? という不安になる僕自身。

 アスモデウスは、さっそく出会系アプリに登録し橋本亮太に接触を図るのだった。
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