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14.一緒に、天国を見ましょう*

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 その後、頻繁にサシャに呼び出されるようになった。今日のように、気がついたらサシャの部屋に居たなんてことも、一度や二度どころじゃない。
 最初は「恋愛と行動に関する研究をしている」みたいなことを言っていた気がする。けれど、そのうち「性感帯を増やす薬を作ったので飲んで欲しい」とか、「感度を上げる薬の実験がしたいから付き合って欲しい」とか言われるようになった。そして、理由は毎回違うけれど、逢う度にセックスをしている。
 付き合い始めてから三ヶ月が経つが、サシャとのセックスはいつも刺激的だ。しかも、とても気持ちがいい。

 元々、オレは性欲が強い。今まで、オナニーしていても一度や二度では満足できず、同室の奴が居ないタイミングを見計らっては、毎晩何度も一人で発散していた。
 そんなオレの性欲を、サシャは週何回かのセックスできっちりと満たしてくれる。
 おかげでサシャと付き合うようになってからは、自慰行為をしていない。……あー、そういえば。最初のセックスのときに約束した「厭らしい下着を履いて、サシャの前でオナニーをする」というのは、二度目のセックスのときに実行した。というのも、何故かサシャが紐とレースでできた真っ赤な男性用下着を用意していてくれたからだ。オナニーといえば、あれがそうかもしれないけれど、どちらかといえば自慰というよりはセックスの前戯っぽかった気がする。

 顔も頭も良くて、性欲旺盛なオレの身体も満足させてくれて……本当、サシャはこれ以上ない最高の恋人だと思う。



 なのに、先程、サシャはオレに向かって妙なことを言った。

『先輩って、なんでいつもそんなに無防備なんですか? 今まで私にされたこと、忘れたわけじゃないでしょうに?』

 ああ、サシャとのセックスはオレの大事なズリネタだから、しっかり覚えているに決まっている!! 今のところ、サシャとのエッチに大満足しすぎていて、まだ使っていないけれどな。

『自由を奪われて、好き勝手されて。それとも、そんな扱いをされるのが癖になってしまいましたか?』

 確かに今は縛られているし、薬で動けなくされているときもある。快感でぐずぐずになって動けなくなってるだけのときもある。
 でも、好きな相手になら、何をされても嬉しいもんだろ?
 しいて言えば、オレも行為中はサシャに色々してあげたい気持ちはあるので、できれば縄を解いてもらえると嬉しいのだが。

 それに、サシャにされて嫌なことなんて今まで一度もなかった。
 サシャは一体何を言っているのだろうか。

「……オレ、サシャに何かされたか?」
「本気で言っています? 忘却の呪文なんて、まだ私はまだ先輩に使っていませんよ」

 うん、それはさりげなく高等魔術だ。え、もしかして使えるの!? マジで!?
 この口ぶりからすると、使えそうだな。っていうか、サシャだったら使えてもおかしくはない。

 というか、サシャとのセックスを思い出していたら、なんだか身体がムズムズしてきた。

「なぁ、サシャ。それで、今日はいったい……」

 どんなことをするのだろうか。
 いや、先程オレが飲まされた薬は『媚薬』らしい。
 ということは、今から蕩けるようなセックスが待っているのだろうか。
 サシャに躾けられた身体は、想像するだけであっさりと昂ってしまう。

「先輩は、今日も私とセックスするんですよ」

 そう言いながら、サシャがオレのズボンと下着を脱がせてくれた。
 期待に昂ったオレのチンポはバキバキに勃ち上がって、先端からダラダラと透明な汁を出していた。
 なんだかいつもより身体が熱い気がする。それに、脱がされただけなのに尻の奥が疼いて仕方がない。
 オレはもどかしさに、思わず身体をくねらせた。まるで期待してねだっているみたいだ。
 手を頭上で縛られて、ベッドフレームに括りつけられているので、自分ではどこにも触れることができない。
 どこでもいいから、早くサシャに触れて欲しい。いや、それ以上に早く尻に突っ込んで欲しい。
 そう思っているのに、今度はサシャはオレのシャツのボタンに手をかけた。焦らすようにゆっくりとボタンが外される。
 うっかり手が滑って素肌に触れてくれないだろうか。露わになった乳首にイタズラをしてくれないだろうか。そう考えるより先に、サシャの手に身体を擦り付けようとするかのように胸を反らせてしまっていた。

「先に全裸に剥いてから、縛ればよかったですね」

 どうやら、この縄を解くという選択肢はサシャにはないらしい。
 表面が荒れた縄が手首に擦れる。シーツに肌が触れる。たったそれだけのことにも感じてしまう。
 早く。早く、サシャが欲しい。

「今から一緒に、天国を見ましょうね」

 オレの前で天使が微笑んだ。


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