食べて欲しいの

夏芽玉

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本編

3.この山でのトレンド*

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「ふぁっ……!!」

 え!? まさかそんなところから食べるつもりなの!?

 僕が目を白黒させていると、ヴァンはジュッジュと音を立てながら僕の性器を舌で扱き始めた。

「ああっ!! あっ、ああァっ……!!」

 てっきりそのまま噛み千切られるのだと思っていた。それなのに、痛みを予感していた僕に与えられたのは、ありえないくらいの快感だった。

「あっ、ああ……だめっ!! だめぇ……」

 もっと強い刺激を求めるように、ヘコヘコと腰が動いてしまう。
 出口を求めて、僕の中から何かがせりあがってくる。

「あっ、ああっ……ダメっ、だめえぇぇえ……!!」

 ジュッと啜られたら、僕のモノが弾けた。
 身体がガクガクした後、ピンと脚が伸びて、全部をヴァンの口の中に注いだ後、僕はくったりと脱力した。

 朝、そこがおっきくなっていることは時々あるけれど。いつもはしばらくじっとしていたら収まるから、出したことなんてなかった。
 体液を失ったはずなのに、満たされたような変な気分だ。初めての感覚にゼィゼィと息を穿いていたら、ヴァンが僕の脚を高く持ち上げた。

「ひぃい……!? えっ、えっ……な、なに……!?」

 なんでお尻の穴を舐められてるの!?
 息を整えるのも忘れてびっくりしていると、グニグニとヴァンの舌が僕のお尻の穴から中に入ってきた。

「えっ……、あっ……あぁん、待って……あっ、あっ……」

 そんなところ舐めちゃダメだって言いたいのに、未知の感覚を与えられて、変な声が僕の口から飛び出してしまう。
 この山では、体液を啜った後、獲物をお尻の穴から食べるのがトレンドなの!?

 今まで誰にも見せたことのないような場所を舐められて、恥ずかしくて死にそうだ。

 こんな恥ずかしいこと知らない。
 でも、恥ずかしくて逃げ出したい気持ちよりも、早く食べられてしまいたい。この人と一つになってしまいたいという気持ちのほうが勝ってしまった。
 どうせだったら、できればお尻からじゃなくて、頭から食べてほしかったけれど……

「ねぇ、お願い。早く僕を食べてぇ……」

 恥ずかしいのも、お尻の中を舐められるのも、ヴァンにされてるんだって思ったら、なんだかだんだん気持ち良くなってきてしまった。
 このままお尻から食べられちゃったら、わけがわからない気持ちよさのまま逝けるかもしれない。

 最期が怖くなくて良かった。僕を見つけてくれたのが、ヴァンで良かった。

 ヴァンの長い舌が僕の身体の中で動くのが気持ち良過ぎて、今まで悲しいときにしか流したことがない涙が零れそうになる。

 そうだ。いっぱい泣けば、金が沢山残せる。そしたら、ヴァンは喜んでくれるかな?

 出会ったばかりの獣人ヒトに、僕の金をあげたいと思うなんて。
 金の涙の体質は今まで大嫌いだったけど、ヴァンが喜んでくれるなら嬉しいな。

「早く食べて。ねぇ、早く。……早く」

 僕は、息も絶え絶えに懇願した。
 ようやくヴァンの唇が僕のお尻から離れた。顔を上げたヴァンが僕を見た。

「そんなに食われたいなら食ってやるよ。そのかわり、痛くても文句言うなよ」

 グルルル……とヴァンの喉が鳴る。
 どうやら僕はヴァンをイライラさせてしまったみたいだ。
 それなのに、獰猛な眼差しに見つめられたら、身体が沸騰しそうなくらい熱くなる。
 食い殺そうとするような目を向けられて、こんなに嬉しく思うとは。僕はなんて幸せなんだろう。
 食いしばった唇の端からチラリと見えた牙を、うっとりと見つめた。

 そして、その鋭い牙が肌に食い込む────

 ……と思っていたのに、何故かヴァンのペニスがお尻の穴から中に入ってきた。

「ひぐっ……!?」

 さっきまで僕の中を舐めていた柔らかい舌とは違って、熱くてかたくて大きいソレが、僕の身体に突き立てられる。

「あああんっ! ヴァン、おっきぃ……おっきいよお……」

 お尻の穴を限界まで広げられて、大きいモノを突っ込まれて。苦しいハズなのに、お尻の中がゾワゾワしちゃって、ヴァンのペニスをぎゅうぎゅうと締めつけてしまう。
 僕が食べられちゃうハズだったのに、これじゃあなんだか僕がヴァンを食べているみたいだ。そんな倒錯的な思考にとてつもなく興奮する。

「あああ、ヴァン。やだ、それ気持ちいい……!! 気持ちいいから、早く食べて。僕のことを食べてよぉ!」

 このまま、ヴァンに食べられてしまいたい。
 そう願った僕は、ヴァンの頭を掻き抱いた。

 顎を大きく仰け反らせて、喉元を晒す。

「たまんねぇな……」

 低い声でヴァンが唸って、ベロリと僕の喉のど真ん中を舐めた。
 ゾクゾクっとしてお尻がキュッとしまる。

「ひぃぁぁん……!! 早く、早くぅぅ……」

 ヴァンが口を開くたびに噛みつかれるって身構えるのに、ヴァンは僕を揶揄うみたいにベロベロと舐めるだけだ。

「ぁあああん、もっと……もっと、もっとぉ……!!」

 その喉元に牙を突き立てて、僕の息の根を止めて。
 そう願うのに、ヴァンは僕のお尻の穴にガンガンとペニスを突き立ててばかりだ。僕はそんなヴァンのペニスをもぐもぐしてしまう。これじゃあ、どっちが食べてどっちが食べられてるのか、わからない。

「ねぇっ……早く、早く僕をヴァンのものにして……お願い、お願いぃ……」

 この気持ち良さの中で逝ってしまいたくて、何度も何度も願ったら、ヴァンが低い声で唸って、僕のお尻の中に熱を注いだ。

「んあぁぁぁ……気持ちいい、気持ちいいよぉ……」

 つられるように僕もペニスから精を放った。
 あまりの快感に、ボロボロと目から涙が零れる。

「……おまえも幻獣の獣人なのか……」

 そう言って、ヴァンは僕の額にキスを落とした。




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