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2.鉄壁の尻穴*

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 前をくつろげたジーパンに手を差し入れ、下着の上から自分の尻の穴に触れて溜息をつく。

 何故か、オレの尻穴は鉄のように硬い。指一本突っ込むだけでも、大変な作業になる。妄想の中ではデカチンに突かれまくってイきまくるオレの淫乱穴は、実際は小指の第一関節までしか呑み込んだことしかない。とても残念だ。

 鉄壁の尻穴は体質。これはもうどうしようもないことらしい。
 だけど、尻に突っ込むことができないということは、受けの素質が全くないと同義だ。

 ああああ!! そんなのは嫌だぁ……!!!!
 素質だからって、そんな簡単に諦めたくねぇ!!!!
 オレもあんな風に、訳わかんなくなるような尻穴の快感に身を委ねたいんだよおぉぉ……!!!!

 そのために、今日も「欲獣ほしけも」でイメトレをしようと思って、発売日当日に本屋に行ってきたんだけど……

 パラパラっと本を捲って、純也が崇に挿入するシーンを開く。

「なんか、巻を追うごとに、修正がデカくなってる気がするんだよなー」

 多分きっと、それは気のせいなんかじゃないはずだ。
 以前は純也のチンコの形とか、浮かび上がる血管とかが見えていたと思う。オレの心の目が見た脳内補正画像なんかじゃないはずだ。

「ライトセーバーじゃねーんだから。これじゃあ、純也のチンコが何も見えねぇじゃねーか」

 白く塗りつぶされた部分に何か描かれていないかと、オレは目を凝らした。しかし当然だが、どんなに凝視しても、そこに皺一つ見つけることはできなかった。

 いや、チンコなんて自分にもついてんだけどさー。
 やっぱ、他人のチンコは違うっつーか。ぶっちゃけ、イケメンのチンコを見たいっつーか。

 今日はこの最新刊でヌきまくるつもりだったのに、白すぎるチンコが気になって、イき損ねたというか、射精し損ねてしまった。

 中途半端に勃ち上がった自分の息子をオレは撫でた。
 このまま擦れば射精はデきなくもないだろうけれど、違うんだ。オレは尻にチンコを突っ込まれてイきたいんだ。いや、実際は尻に何かを突っ込むことは不可能なので、その妄想でイきたいんだ。
 だけど、デカすぎる修正のせいでそれもビミョーに叶わない。
 あー、ムラムラする!!
 だけど、イけない、射精せない。
 つまり欲求不満だ。
 オレは大きなため息をついた。

「……ゲームでもすっか」

 ムラムラはするけどオナる気分でもなくなってしまった。
 やりかけのゲームがクリアできれば気も紛れてスッキリするだろう。そう思って、机の上を見たけど、いつもなら充電器に差しているゲーム機が見当たらない。

「あー……もしかして純太じゅんたんとこに忘れてきたか?」

 純太というのは、大学寮のお隣さんだ。

 寮の入居日、隣の部屋に挨拶に行ったオレは絶叫しそうになった。
 目の前に現れた純太が、欲獣の『純也』と超似ていたからだ。しかも、顔立・髪型・体型だけでなく、名前までそっくりさん!
 一時期は「欲獣の純也が好きすぎて真似しているんだろうか」などと疑っていたこともあったけれど、どんなに探りを入れても純太がBL漫画を読んでいる様子はなかった。
 つまり、純也と純太が似ているのは、他人の空似。ただの偶然だったってわけだ。

 しかし探りを入れるために純太にことあるごとに絡んだ結果、オレたちは親友と言っても過言ではないくらいに仲良くなった。純太はすごくイイ奴だし、学年が同じで、寮の部屋も隣なんだから、とても自然な流れだと思う。

 ……時々、純太と純也を重ねて、こっそり推し活妄想に使わせて貰っているのは、本人には勿論秘密だ。

 しかもお互いがゲーム好きなのもあって、最近では結構頻繁にお互いの部屋を行き来している。純太と一緒に居る時間が長いと、妄想が捗るので大変ありがたい。

 ……と、まあそんなことは置いておいて。

 確か、昨日の夜もオレたちは純太の部屋で一緒にゲームをしていたはずだ。
 その後、こっちの部屋に持って帰ってきた覚えがない。ということは、やっぱりオレのゲーム機は純太の部屋に置いてきてしまったんだろう。

 仕方ない、取りに行くか。
 オレははだけたズボンを直すと、ベッドから降りた。

 純太の部屋に行ったら、昨日のゲームの続きでも一緒にしよう。
 彼は結構ビビリで、急に敵が飛び出して来たときなんかには「あぁっ!」とか「ひゃあんっ!」とかいう声を上げがちだ。それがちょっとした喘ぎ声みたいに聞こえることがあって……運が良ければ今日も純太の色っぽい声が聞けるかもしれない。
 もし聞くことができたなら、今夜はそれをオカズにオナニーしよう。そうしよう。

 そんなことを考えながら、オレは隣の部屋に向かった。
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