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本編
27話 愛の巣と抱き枕
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発情期が明けて冷静になったオレが真っ先にしたのは、礼二さんの部屋に行って、壁と天井いっぱいに貼られた写真を引っ剥がすことだった。
『そんなことはどーでもいいから、はやくエッチしよ?』
数日前に自分の言った台詞を思い出して、オレは頭を抱えた。
そんなことはどーでもよくない!! ドン引きだわ!!
いくらなんでもやりすぎだ。
しかも、礼二さんのツッコミどころが多すぎる行動に喜んでんじゃねーよ、自分!!
どうも発情期の自分は言動がおかしくなる傾向があるみたいだ。オレは大きなため息を吐いた。
「あ、茜祢。起きたんだ。身体の調子は……って、な、なにやってんの……!?」
礼二さんが、寝室にオレが居ないことに気付いて探しに来たのだろうか。自室のドアを開けて、オレの姿をみつけると、ひっくり返った声を出した。
「本物が目の前に居るんだから、もう写真はいらないでしょう?」
「だ、だめだ、捨てないで……!!」
ドアのほうを振り返っていたオレが再び作業に取り掛かろうとしたら、礼二さんが縋りついてきた。そんなこと言われても。
「これ、全部盗撮でしょ? いったいいつの間にこんなのを撮っていたんだか……あ、あとで勝手につけたGPSと、室内に仕掛けてある監視カメラも外してくださいよ」
「そんなぁ……!! 茜祢の行動を一日中観察するのが生きがいなのに……!!」
写真を剥がそうとするたびに礼二さんが邪魔をしてくるので作業が全く捗らない。オレは写真は後回しにすることにして、棚の整理に取り掛かることにした。
「うわっ!? なんだこれ!? おやつのパッケージ……?」
一番下の段にあった塊を引きずり出してオレは声を上げた。
なんとなく見たことがあると思ったら、礼二さんが営業帰りにオレに買ってきてくれたコンビニスイーツの入れ物だった。
一応、洗浄はしてあるようだけれど……オレは無言で、用意していたゴミ袋にまとめて突っ込んだ。後ろで礼二さんがまた悲鳴をあげた。
「あと、これ!」
オレはうさぎのぬいぐるみの棚を指さした。
「絶対、捨てないからっ」
子供じゃないんだから。礼二さんの言い方が可笑しくて、オレは思わず吹き出してしまった。
「違いますよ。寝室にいくつか持って行ってもいいですか? このぬいぐるみに囲まれて寝たいなーってずっと思ってたんです」
「いいけど……」
「オレの持ち物にばっかり構ってないで、ちゃんとオレのこと構い倒してくださいね。じゃないと、寂しすぎて拗ねますからね」
ちなみに、大量の写真は壁と天井じゃなくて、アルバムに貼って保管することでお互い妥協した。そして、寝室に連れて行ったぬいぐるみは、オレが抱き着いて寝ようとしたら取り上げられてしまった。
……うさぎのぬいぐるみに囲まれて寝るのはオレの夢だったのに、酷い。
そのかわり、礼二さんがオレの抱きまくらになった。
時々イタズラしてくる不埒な抱きまくらだけど。
でもオレはその抱きまくらも、実はとても気に入っているのだ。
おしまい
-------
最後までお付き合いくださいましてありがとうございました。
第12回BL大賞にエントリーしていますので、もし気に入っていただけましたら、投票していただければ嬉しいです。
また、この後「どーしても礼二さんと×××したい茜祢が奮闘する」番外編を予定しています。
よろしければ、引き続きしょっぱくて甘い二人に、お付き合いください!!
『そんなことはどーでもいいから、はやくエッチしよ?』
数日前に自分の言った台詞を思い出して、オレは頭を抱えた。
そんなことはどーでもよくない!! ドン引きだわ!!
いくらなんでもやりすぎだ。
しかも、礼二さんのツッコミどころが多すぎる行動に喜んでんじゃねーよ、自分!!
どうも発情期の自分は言動がおかしくなる傾向があるみたいだ。オレは大きなため息を吐いた。
「あ、茜祢。起きたんだ。身体の調子は……って、な、なにやってんの……!?」
礼二さんが、寝室にオレが居ないことに気付いて探しに来たのだろうか。自室のドアを開けて、オレの姿をみつけると、ひっくり返った声を出した。
「本物が目の前に居るんだから、もう写真はいらないでしょう?」
「だ、だめだ、捨てないで……!!」
ドアのほうを振り返っていたオレが再び作業に取り掛かろうとしたら、礼二さんが縋りついてきた。そんなこと言われても。
「これ、全部盗撮でしょ? いったいいつの間にこんなのを撮っていたんだか……あ、あとで勝手につけたGPSと、室内に仕掛けてある監視カメラも外してくださいよ」
「そんなぁ……!! 茜祢の行動を一日中観察するのが生きがいなのに……!!」
写真を剥がそうとするたびに礼二さんが邪魔をしてくるので作業が全く捗らない。オレは写真は後回しにすることにして、棚の整理に取り掛かることにした。
「うわっ!? なんだこれ!? おやつのパッケージ……?」
一番下の段にあった塊を引きずり出してオレは声を上げた。
なんとなく見たことがあると思ったら、礼二さんが営業帰りにオレに買ってきてくれたコンビニスイーツの入れ物だった。
一応、洗浄はしてあるようだけれど……オレは無言で、用意していたゴミ袋にまとめて突っ込んだ。後ろで礼二さんがまた悲鳴をあげた。
「あと、これ!」
オレはうさぎのぬいぐるみの棚を指さした。
「絶対、捨てないからっ」
子供じゃないんだから。礼二さんの言い方が可笑しくて、オレは思わず吹き出してしまった。
「違いますよ。寝室にいくつか持って行ってもいいですか? このぬいぐるみに囲まれて寝たいなーってずっと思ってたんです」
「いいけど……」
「オレの持ち物にばっかり構ってないで、ちゃんとオレのこと構い倒してくださいね。じゃないと、寂しすぎて拗ねますからね」
ちなみに、大量の写真は壁と天井じゃなくて、アルバムに貼って保管することでお互い妥協した。そして、寝室に連れて行ったぬいぐるみは、オレが抱き着いて寝ようとしたら取り上げられてしまった。
……うさぎのぬいぐるみに囲まれて寝るのはオレの夢だったのに、酷い。
そのかわり、礼二さんがオレの抱きまくらになった。
時々イタズラしてくる不埒な抱きまくらだけど。
でもオレはその抱きまくらも、実はとても気に入っているのだ。
おしまい
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最後までお付き合いくださいましてありがとうございました。
第12回BL大賞にエントリーしていますので、もし気に入っていただけましたら、投票していただければ嬉しいです。
また、この後「どーしても礼二さんと×××したい茜祢が奮闘する」番外編を予定しています。
よろしければ、引き続きしょっぱくて甘い二人に、お付き合いください!!
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