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本編
8話 恋人ごっこ
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それから、オレは礼二さんと週に何度か会社帰りに一緒にご飯を食べるようになった。
そして、ついに先週は休日にも待ち合わせて一緒に遊びに行った。映画を見てご飯を食べるというだけの定番デートコースだったけれど、礼二さんと過ごす時間はとても楽しくて、居心地も良かった。
礼二さんが選んでくれるお店も食事も、何故かオレの好きなものばかりだった。映画の前後でウィンドウショッピングもしたけれど、勧めてくれるのはどれもオレの趣味にぴったりと合っていた。
初デート記念ということで、オレたちはお揃いのマグカップを購入した。「初デート記念って、何考えてるんですか」とかオレが可愛げのないことを言ってしまっても、礼二さんは全然気にした様子もなく、ブサかわウサギの水色のマグカップを買ってくれた。それはオレがちょっと好きなキャラクターだった。だからオレも礼二さんに紺色のものをプレゼントした。礼二さんの外見でブサかわウサギのマグカップというのも、ミスマッチで笑えるけれど、オレが渡したら嬉しそうに笑ってくれた。
ニセモノの恋人機関が終わっても、一生の宝物にしようと思った。
最初は馬鹿にしていたマッチングアプリの相性占いだったけれど、精度は思っていた以上に良かったようだ。
相性占いのサンプリングというなら、オレの中ではもう結論は出ていた。オレと礼二さんの相性はかなり良いと思う。最高と言っても差し支えないだろう。アプリの結果通りだ。
しかもアプリのサンプリングをするための「恋人ごっこ」のハズなのに、礼二さんはオレを本物の恋人みたいに扱ってくれた。
仕事をしているときはダメダメなのに、恋人としての礼二さんは何もかもが完璧だった。
気が合うだけじゃなく、とても紳士的で優しくて、二人っきりのときはオレのことを全力で甘やかしてくれて。礼二さんはお付き合いをしてみると、理想の恋人像を具現化したような人だったのだ。
それで、オレは礼二さんのことがもっと好きになってしまった。
礼二さんの提案で恋人ごっこを始めたオレたちだけど、礼二さんが、この恋人ごっこのことを本当はどう思ってるのかはわからない。臆病なオレは、怖くて聞くこともできない。聞いたら、この甘い関係が終わってしまいそうな気がして。
だから「しばらくの間」の恋人ごっこという設定は忘れたふりをして、一ヶ月、二ヶ月とオレは礼二さんの恋人という立場をズルズルと続けてしまったんだ。
そして、ついに先週は休日にも待ち合わせて一緒に遊びに行った。映画を見てご飯を食べるというだけの定番デートコースだったけれど、礼二さんと過ごす時間はとても楽しくて、居心地も良かった。
礼二さんが選んでくれるお店も食事も、何故かオレの好きなものばかりだった。映画の前後でウィンドウショッピングもしたけれど、勧めてくれるのはどれもオレの趣味にぴったりと合っていた。
初デート記念ということで、オレたちはお揃いのマグカップを購入した。「初デート記念って、何考えてるんですか」とかオレが可愛げのないことを言ってしまっても、礼二さんは全然気にした様子もなく、ブサかわウサギの水色のマグカップを買ってくれた。それはオレがちょっと好きなキャラクターだった。だからオレも礼二さんに紺色のものをプレゼントした。礼二さんの外見でブサかわウサギのマグカップというのも、ミスマッチで笑えるけれど、オレが渡したら嬉しそうに笑ってくれた。
ニセモノの恋人機関が終わっても、一生の宝物にしようと思った。
最初は馬鹿にしていたマッチングアプリの相性占いだったけれど、精度は思っていた以上に良かったようだ。
相性占いのサンプリングというなら、オレの中ではもう結論は出ていた。オレと礼二さんの相性はかなり良いと思う。最高と言っても差し支えないだろう。アプリの結果通りだ。
しかもアプリのサンプリングをするための「恋人ごっこ」のハズなのに、礼二さんはオレを本物の恋人みたいに扱ってくれた。
仕事をしているときはダメダメなのに、恋人としての礼二さんは何もかもが完璧だった。
気が合うだけじゃなく、とても紳士的で優しくて、二人っきりのときはオレのことを全力で甘やかしてくれて。礼二さんはお付き合いをしてみると、理想の恋人像を具現化したような人だったのだ。
それで、オレは礼二さんのことがもっと好きになってしまった。
礼二さんの提案で恋人ごっこを始めたオレたちだけど、礼二さんが、この恋人ごっこのことを本当はどう思ってるのかはわからない。臆病なオレは、怖くて聞くこともできない。聞いたら、この甘い関係が終わってしまいそうな気がして。
だから「しばらくの間」の恋人ごっこという設定は忘れたふりをして、一ヶ月、二ヶ月とオレは礼二さんの恋人という立場をズルズルと続けてしまったんだ。
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