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断章Ⅱ〜最終兵器にアイの花を〜
奮起する人界軍
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「レイちゃん、残った人界軍……どれくらいいるのか、どこにいるのかとか……わかる?」
「分かるわけないでしょ、もう軍として活動するのは無理。陣形が崩れ、敵軍自軍の境界線が曖昧になった今となっては、個として自らを守りながらコイツらを殲滅するしか道はない。
……元より犠牲なしで終われるとは、私も思ってないし、サナもそうは思わないはずでしょ……!」
「そうね、イデアたちによって救われたことが奇跡だわ。……だからこそ、まだまだ戦わないとね……!」
———そんな彼女らを横目に。
「……さて、そういえば聞いてなかったが———貴様、名前は———」
「レイラっすよレイラ。……ったく、共闘する人の名前ぐらい、覚えたらどーなんすか!」
不機嫌そうに怒鳴る少女———レイラを横目に、爆剣の投擲のタイミングを伺う。
見据えるは、ロストのコア。
コアの部分に当てれば、一撃で倒せるこの武器、ならば効率よく倒さない手などないじゃないか。
しかし———気になるのはロストの量だ。
何度倒そうったって、何度だって無尽蔵に湧いてくる。
一体どこまで、ヤツらはロストを貯蔵している?
一体いつになれば、ゴルゴダ機関の隊員は出てきて———、
「……ワレ…………ワレラガ…………シュ、ノ……タメ、ニ……」
いつの間にやらイデアのそばに近づいていたロストは、そのような言葉を残す。
……そういうことか。
使えない隊員なら、生物兵器にしてしまった方がマシだと。
そういう魂胆か、機神……!
……ならば意味はない、何度だって湧いてくるし、下手すれば民間人を使っている可能性だってある。
……ならば、早めに切り上げるべきか……!
「レイラ。……ロストの殲滅は諦めろ、多分ヤツらは、今この場でロストを作り出している……!」
「今この場でって……いや、なんで部外者が、ロストの生態を知って———」
「……とりあえず、この場は通過することが先決だ。マトモに戦っても意味がない、戦った時点で詰みだ……!」
「じゃあどうする気っすか、あの量のロストを切り抜けるなんて———」
「……いいや、できるさ。……世界最高峰の魔術師さんならな……!」
「ほぇ、私?……名前を呼ばれた気がしたんだけど……」
名前を呼んだわけではないが、そのフレーズに反応して、サナはイデアの方に振り向く。
「そうだ、この場で戦ったところで、俺たちは体力を浪費するだけだ。……だからこそ、お前の爆裂魔法で……薙ぎ払って先に進む」
「強引ね、後から挟み撃ちにされても大丈夫なの?」
レイが質問してくるのも分かる———が、コレはあくまで、俺が導き出した『最適解』なのだ。
「後のことは———その時になって考えればいい。……それに、進んだ先に待ち構える敵にロストをぶつけることだって可能だ。……そう考えれば、ここで停滞するよりかは幾分マシだと思うんだが?」
「…………妙に頭が回るのね、貴方って」
「———それを言うのも、今更な気もするがな」
「分かるわけないでしょ、もう軍として活動するのは無理。陣形が崩れ、敵軍自軍の境界線が曖昧になった今となっては、個として自らを守りながらコイツらを殲滅するしか道はない。
……元より犠牲なしで終われるとは、私も思ってないし、サナもそうは思わないはずでしょ……!」
「そうね、イデアたちによって救われたことが奇跡だわ。……だからこそ、まだまだ戦わないとね……!」
———そんな彼女らを横目に。
「……さて、そういえば聞いてなかったが———貴様、名前は———」
「レイラっすよレイラ。……ったく、共闘する人の名前ぐらい、覚えたらどーなんすか!」
不機嫌そうに怒鳴る少女———レイラを横目に、爆剣の投擲のタイミングを伺う。
見据えるは、ロストのコア。
コアの部分に当てれば、一撃で倒せるこの武器、ならば効率よく倒さない手などないじゃないか。
しかし———気になるのはロストの量だ。
何度倒そうったって、何度だって無尽蔵に湧いてくる。
一体どこまで、ヤツらはロストを貯蔵している?
一体いつになれば、ゴルゴダ機関の隊員は出てきて———、
「……ワレ…………ワレラガ…………シュ、ノ……タメ、ニ……」
いつの間にやらイデアのそばに近づいていたロストは、そのような言葉を残す。
……そういうことか。
使えない隊員なら、生物兵器にしてしまった方がマシだと。
そういう魂胆か、機神……!
……ならば意味はない、何度だって湧いてくるし、下手すれば民間人を使っている可能性だってある。
……ならば、早めに切り上げるべきか……!
「レイラ。……ロストの殲滅は諦めろ、多分ヤツらは、今この場でロストを作り出している……!」
「今この場でって……いや、なんで部外者が、ロストの生態を知って———」
「……とりあえず、この場は通過することが先決だ。マトモに戦っても意味がない、戦った時点で詰みだ……!」
「じゃあどうする気っすか、あの量のロストを切り抜けるなんて———」
「……いいや、できるさ。……世界最高峰の魔術師さんならな……!」
「ほぇ、私?……名前を呼ばれた気がしたんだけど……」
名前を呼んだわけではないが、そのフレーズに反応して、サナはイデアの方に振り向く。
「そうだ、この場で戦ったところで、俺たちは体力を浪費するだけだ。……だからこそ、お前の爆裂魔法で……薙ぎ払って先に進む」
「強引ね、後から挟み撃ちにされても大丈夫なの?」
レイが質問してくるのも分かる———が、コレはあくまで、俺が導き出した『最適解』なのだ。
「後のことは———その時になって考えればいい。……それに、進んだ先に待ち構える敵にロストをぶつけることだって可能だ。……そう考えれば、ここで停滞するよりかは幾分マシだと思うんだが?」
「…………妙に頭が回るのね、貴方って」
「———それを言うのも、今更な気もするがな」
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