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オペレーション・ヴェンデッタ・ゼロ

猶予

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「…………そして、みんなに———謝っておきたいことが、あります。

 色々と迷惑をかけて……すいません。勝手に旅に出たと思えば勝手に帰ってきて、そしたらまた勝手に暴れ始めて———すいません。


 ……それでも、僕のわがままを聞いてくれると言うのなら……お願いします。頭だって、いくらでも下げます。

 …………お願い、します」


 返答はなかった。
 ———ただ、それ自体が肯定の意であると、僕たち全員は分かりきっていたからこそ。

 その信頼があるからこそ、僕はみんなの前から降りて、また第0機動小隊として———席に着くことができたんだ。



「…………とのことだ。異論はなさそうだな。

 ちなみに、第0機動小隊教官、レイ・ゲッタルグルトは———イレギュラー部隊、要するにに抜擢された。

 ……まあ、彼女もサイドツーに乗れると言うだけで、本来は生身で戦う役職の人間だ、こうなることは予想もついていた。


 じゃあ———解散……だけど、コックにはちょっと用がある」

『えっ、私ですか?!』

 しれっと僕の後ろに座っていたコックさん。……どー考えても人間のソレではない翅が生えているが、今は気にしないことにしよう。


◇◇◇◇◇◇◇◇


 格納庫、兼整備庫。


 ……誰も、いなかった。
 ヴェンデッタも両機放置されたまま。復興はされることはなく、瓦礫も崩れたまま。それにしては少し綺麗だったが。

 ……最終作戦前だと言うのに、放置するものだろうか。

「…………おーい、誰かいませんかーーーーっ!」

 ……いるわけないよな。
 いやいや、それにしてもコレはおかしい。流石にヴェンデッタは無傷とはいえ、整備くらいはするはずなのに。


 ……いや、違うな。ヴェンデッタ・シンはところどころ完成しきってないし、ネオにいたってはところどころに損傷がある。整備必須だろ、この状況は。

「誰か…………いないのか」

「いるよっ!」

「うぅわぁっ!」

 ふっと横を向いた瞬間、下の方からひょこっとリコが顔を出す。……なんでそう驚かそうと……

「なんだリコか……」
「なんだってなんだよー」

「いや…………ヴェンデッタ……さ、整備してる人がいるはず……だと思って。そこを見にきて、整備士の人たちにお礼を言いたかったんだよ。

 ……でも、誰も整備してなくって……最終決戦の直前だって言うのに、それはおかしいんじゃないかって……」

「確かに、言われてみればそうだね!」

 言われて……みればね……気付いてなかったんかいっ!

「じゃあさ、誰もいないかもだけど、ここで言っちゃおうか!」

「え———」

「整備士さーーーーーんっ! いつもいつもありがとうございまーーーーーーすっ! ついでに私のヴェンデッタは青に塗ってくれると嬉しいでーーーーーーーーすっ!」

 ……じゃあ僕も。

「僕からも…………ありがとうございまーーーーすっ!」



 ……アレ。
 今、『どういたしまして』と聞こえたような気がする。

 気のせいかな?……幻聴かな。
 わざわざそんなことを言われることを期待して妄想するなんて……何やってんだろうか。
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