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Side-2:最悪の敵

月虹天使

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 嫌だな。

 単純に、そんな後悔が付き纏う一瞬だった。


 背後、そして正面。
 どちらからも迫り来る、弾丸の雨。避けられるはずもなく、避けようなどと考える暇もなく、死ぬしかないとしか言えなかった。 


 死ぬ、死ぬんだ。ここまで来ておいて、結局私は、最後の最後でしくじった。ケイを助けられなかった。

 ———ああ、そうだ。……ごめん、ほんとにしくじったよ、ケイ。……なんたって、ケイに———んだから。

 ケイに誰も殺させたくないからって、私が飛び出したのに。一番殺されたくない人を、自分の手で殺すことになっちゃうなんて。

 そんなの嫌だって、絶対にダメだって、思ってるはずなのに。

「———」


 一瞬、刹那。声を出す暇もないほどの、隙間。あと私が生きていられる、最後の時間。

 何を想うか、何を感じて、何を考えるか。




 …………嫌、だよ。
 こんなところで死ぬなんて。ケイを救えないまま終わるなんて。『虹』を見れないまま終わるなんて。

 こんな———こんな結末は、嫌だ。私はこんなの認めない、認められるわけがない。

 ここで終わる———そう分かっていても、諦められるわけがなかったんだ。





「…………嫌だ……嫌、そんなの絶対に嫌……!

 私はケイの———ケイのことが好き! ずっとずっと、死ぬまで好き!……だからケイを救ってあげたい、ケイともっと一緒にいたい!

 お願い……お願い、ヴェンデッタ!

 ケイにもやったように———私にも力を貸して!



 こんな現実———ぶっ飛ばして…………っ!!!!




 ああ———、


 ……ダメ?」
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