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Side-2:最悪の敵
殺させるわけには———
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『…………っ、危なかった…………
コーラス2! そっちは無事か!』
閃光と爆煙に包まれる場。……しかし、ソレらが晴れた先より出てきたのは、12枚の縦長ドローンビット———レイルダンジュのその全てを円状に並べた盾であった。
「はい! こっちは何とか……ありがとうございます!」
『……大丈夫だ、ヴェンデッタ・シンは発射シーケンスを中断した、まだ撃てていない!
…………殺させたくないんだろう、行ってこい、コーラス2!』
「了解っ!
…………さて、会いに来たよ———ケイ!」
折り重なり、円状の盾を形作っていたレイルダンジュの重なりが解ける。
その奥より姿を現した、2枚の機械的な羽を広げたヴェンデッタ・シン。
…………だったが、ヴェンデッタは躊躇なく、私の方角にCキャノン2門の銃口の先を向ける。
「……ケイ、通信を繋いで!……そこにいるんでしょ?」
『……』
話しかけた瞬間———Cキャノン2門は、全く同時のタイミングで発射された。
「———ぎぃっ!」
が、ヴェンデッタ・ネオも伊達ではない。背面部に取り付けられたバーニアによって、そのCキャノン2連射をいとも簡単に回避してみせる。
「ちょっと、危ないじゃんいきなり撃ってぇっ!
そこにいるんでしょ! なら話してよ、ケイ! 何でこんなことするの、何がケイをここまでさせるの!
教えてくれたっていいじゃん、ってか私に色々話す約束すっぽかしてるよね! その辺どーなのよ!」
『………………僕の前から、いなくなれ』
「———え」
瞬間、自機の周りを一瞬にして、レイルダンジュ12基が取り囲む。
ケイの声だ。声は低かったけれど、機嫌悪くしてるケイの声だ。
「…………どういう真似?」
『これ以上僕の邪魔をするのなら、君を殺す。
僕は復讐がしたいんだ。復讐するしかないんだよ。……誰も理解してあげなかった、アイツのためにも。
……もう、全部終わらせるんだ』
「アイツぅ?! 一体誰に浮気したのよ、あんなに劇的なキスまでやったのに!」
『…………浮気じゃ、ない……!』
「じゃあ何だっての?!……ああああもう、何でもいいからとりあえず言ってみてよ!」
『言ったところで…………誰にも理解されやしないぃっ!』
腕を振るヴェンデッタ。一瞬にしてレイルダンジュより放たれた神力光線に対し、私が取った行動は「強行突破ぁぁぁぁぁっ!!!!」
ヴェンデッタの機動力を活かし、前方に盾を向けながらひたすら超スピードで前進する、そんなシンプルなものだった。
後方より迫り来る神力光線も、ヴェンデッタの超スピードの前では敵ではなかった。敵ではなかった———が。
「マジで戦う気じゃん……ホントに、どうしちゃったっての、ケイ……!
隊長! なんか知らないけど、やっぱりフラれました!」
『あまり悲しいこと……言うなっ!』
もはや私が呼ぶ前より、隊長は既にヴェンデッタ・シンに接近。もう既にこの時には、隊長のカスタムアインはヴェンデッタ・シンに掴みかかっていた。
その周りを、さも当然の如くレイルダンジュが覆うが———、
「お前らの相手は、私がやってやろうじゃんっ!」
……が、ヴェンデッタ・ネオを捕捉した瞬間、レイルダンジュ12基の狙いはこちらに移った。
『ケイ……何があった、君は一体どうしてしまったんだ!』
『教えたところで、何も変わりはしないんだ……っ!』
『それでもっ! 君のことを想ってくれている人が———』
『そんな人は———僕の前からいなくなったよっ!』
掴み合い、互いの頭部をぶつけ合ったヴェンデッタとカスタムアイン———そのパイロット同士の言い争いが聞こえてくる。
『いなくなった?!……ここにいるだろう、僕たちがその———』
『お前らに、理解できるはずもない……っ!
だから殺したんだろう、何の躊躇もなく! 理解できないから、どこまで行っても分かり合えないから、痺れを切らして殺したんだろ!!』
『何の話をしているぅぅっ!』
……ダメだ、聞いていてもあっちの話が何なのか全く掴めない!
……いやいや本当に何の話をしてるの?!
「ケイ、理解できないのはそうだよ、だって話してくれないんだもん!
教えてよ、何があったか! 何でそうなったのか、教えてほしいんだって———」
『もう、僕は…………成り下がったんだよ、復讐鬼にっ!
全部だ、全部に復讐してやる、殺して殺して殺して殺して殺し尽くしてやるんだ、あの子のことを何も理解しようとしなかった、この世界をっ!!!!』
その時———ヴェンデッタ・シンより、空に向かって放たれた7つの円環は、その色を赤黒色に変貌する。
「んなぁ……っ、隊長逃げてぇっ!」
『……っこ、これは…………っあああああああっ!』
「隊長! 隊長、隊長……セン隊長ーーーーっ!」
コーラス2! そっちは無事か!』
閃光と爆煙に包まれる場。……しかし、ソレらが晴れた先より出てきたのは、12枚の縦長ドローンビット———レイルダンジュのその全てを円状に並べた盾であった。
「はい! こっちは何とか……ありがとうございます!」
『……大丈夫だ、ヴェンデッタ・シンは発射シーケンスを中断した、まだ撃てていない!
…………殺させたくないんだろう、行ってこい、コーラス2!』
「了解っ!
…………さて、会いに来たよ———ケイ!」
折り重なり、円状の盾を形作っていたレイルダンジュの重なりが解ける。
その奥より姿を現した、2枚の機械的な羽を広げたヴェンデッタ・シン。
…………だったが、ヴェンデッタは躊躇なく、私の方角にCキャノン2門の銃口の先を向ける。
「……ケイ、通信を繋いで!……そこにいるんでしょ?」
『……』
話しかけた瞬間———Cキャノン2門は、全く同時のタイミングで発射された。
「———ぎぃっ!」
が、ヴェンデッタ・ネオも伊達ではない。背面部に取り付けられたバーニアによって、そのCキャノン2連射をいとも簡単に回避してみせる。
「ちょっと、危ないじゃんいきなり撃ってぇっ!
そこにいるんでしょ! なら話してよ、ケイ! 何でこんなことするの、何がケイをここまでさせるの!
教えてくれたっていいじゃん、ってか私に色々話す約束すっぽかしてるよね! その辺どーなのよ!」
『………………僕の前から、いなくなれ』
「———え」
瞬間、自機の周りを一瞬にして、レイルダンジュ12基が取り囲む。
ケイの声だ。声は低かったけれど、機嫌悪くしてるケイの声だ。
「…………どういう真似?」
『これ以上僕の邪魔をするのなら、君を殺す。
僕は復讐がしたいんだ。復讐するしかないんだよ。……誰も理解してあげなかった、アイツのためにも。
……もう、全部終わらせるんだ』
「アイツぅ?! 一体誰に浮気したのよ、あんなに劇的なキスまでやったのに!」
『…………浮気じゃ、ない……!』
「じゃあ何だっての?!……ああああもう、何でもいいからとりあえず言ってみてよ!」
『言ったところで…………誰にも理解されやしないぃっ!』
腕を振るヴェンデッタ。一瞬にしてレイルダンジュより放たれた神力光線に対し、私が取った行動は「強行突破ぁぁぁぁぁっ!!!!」
ヴェンデッタの機動力を活かし、前方に盾を向けながらひたすら超スピードで前進する、そんなシンプルなものだった。
後方より迫り来る神力光線も、ヴェンデッタの超スピードの前では敵ではなかった。敵ではなかった———が。
「マジで戦う気じゃん……ホントに、どうしちゃったっての、ケイ……!
隊長! なんか知らないけど、やっぱりフラれました!」
『あまり悲しいこと……言うなっ!』
もはや私が呼ぶ前より、隊長は既にヴェンデッタ・シンに接近。もう既にこの時には、隊長のカスタムアインはヴェンデッタ・シンに掴みかかっていた。
その周りを、さも当然の如くレイルダンジュが覆うが———、
「お前らの相手は、私がやってやろうじゃんっ!」
……が、ヴェンデッタ・ネオを捕捉した瞬間、レイルダンジュ12基の狙いはこちらに移った。
『ケイ……何があった、君は一体どうしてしまったんだ!』
『教えたところで、何も変わりはしないんだ……っ!』
『それでもっ! 君のことを想ってくれている人が———』
『そんな人は———僕の前からいなくなったよっ!』
掴み合い、互いの頭部をぶつけ合ったヴェンデッタとカスタムアイン———そのパイロット同士の言い争いが聞こえてくる。
『いなくなった?!……ここにいるだろう、僕たちがその———』
『お前らに、理解できるはずもない……っ!
だから殺したんだろう、何の躊躇もなく! 理解できないから、どこまで行っても分かり合えないから、痺れを切らして殺したんだろ!!』
『何の話をしているぅぅっ!』
……ダメだ、聞いていてもあっちの話が何なのか全く掴めない!
……いやいや本当に何の話をしてるの?!
「ケイ、理解できないのはそうだよ、だって話してくれないんだもん!
教えてよ、何があったか! 何でそうなったのか、教えてほしいんだって———」
『もう、僕は…………成り下がったんだよ、復讐鬼にっ!
全部だ、全部に復讐してやる、殺して殺して殺して殺して殺し尽くしてやるんだ、あの子のことを何も理解しようとしなかった、この世界をっ!!!!』
その時———ヴェンデッタ・シンより、空に向かって放たれた7つの円環は、その色を赤黒色に変貌する。
「んなぁ……っ、隊長逃げてぇっ!」
『……っこ、これは…………っあああああああっ!』
「隊長! 隊長、隊長……セン隊長ーーーーっ!」
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